いすゞ・ガーラ

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いすゞ・ガーラ(ISUZU GALA)は、ジェイ・バスが製造し、いすゞ自動車が販売している観光・高速路線用大型バス車両である。

1996年スーパークルーザーの後継車として発売開始。その後、いすゞ自動車と日野自動車のバス製造事業が統合され、2005年8月22日に、日野・セレガとの統合モデルとしてフルモデルチェンジし、新発売となった。統合モデルであるので、両車の見た目の変化は少ない。

初代ガーラ(LV7系)

KC-LV780/781/782系

テンプレート:BusModelImage2 1996年にスーパークルーザーをフルモデルチェンジして登場。純正ボディはいすゞバス製造製。エンジンはスーパークルーザーから継承された、V1010PE1-H型(380PS)と10PE1-N型(325PS)に加え、新たにV1212PE1-S型(450PS)と12PE1-C型(420PS)を12m車に搭載、更にV88PE1-S型(285ps)搭載9m車もLV7系に改め、いすゞP系エンジンフルラインナップでバス搭載を果たす。

型式はV10の10PE1型エンジンモデルがKC-LV781R1又はKC-LV781N1で、V12の12PE1型エンジン搭載モデルがKC-LV782R1、V8の8PE1型エンジン搭載モデルがKC-LV780H1となる。

9m級については、ガーラ以前のモデルからクラス唯一のV8となっており、駆動系は路線バスキュービックLVのV8搭載車とも共通で、変速機はOD5速であった。
テンプレート:BusModelImage2 1997年12月には日本の観光バスでは初めてエアバッグを標準装備した。

ラインナップは全長12m級が3種類。

  • ガーラI・HD(ハイデッカー:全高3.3m)ホイールベースは6150mm(-R*)と5450mm(-N*)の2種類
  • ガーラII・SHD(スーパーハイデッカー:全高3.6m)
  • ガーラIII・GHD(グレースハイデッカー:全高3.6m・2階建て風低運転席)

9m級が1種類。

  • ガーラIV・HD-9(ハイデッカーナイン:全高3.3m)


ガーラI・HD
ガーラII・SHD/ガーラIII・GHD

KL-LV774/780/781系

テンプレート:BusModelImage2 2000年に平成11年排出ガス規制に合わせて、マイナーチェンジが行われ、通称ガーラ2000と呼ばれるモデルになる。外観上の変更点はヘッドランプベゼルの色がグレーメタリックになったことと、後部のテールランプが、リアウインドウの下から、バンパー内に移ったことである。ただし、多くの車両は、リアウインドウの下にもテールランプがあり、テールランプを増設した形になる。

エンジンは12PE1(22801cc)から新V8・8TD1型(24312cc)に換装、8TD1-S型(480PS)と8TD1-C型(450PS)、8TD1-N型(410PS)と10PE1-S型(19001cc・360PS)という展開になる。8TD1-S型の480馬力(353.28kW)は国産観光バスとしては最強のエンジン出力である。V8エンジン搭載モデルが高馬力/標準馬力仕様となり、V10エンジン搭載モデルが低馬力仕様となる。

型式は新V8の8TD1型エンジン搭載モデルがKL-LV774R2となり、V10の10PE1型エンジンモデルがKL-LV781R2で、8PE1型エンジン9m車がKL-LV780H2となる。なお、今回から、ガーラGHDは高出力の8TD1型エンジンのみの設定となっており、低馬力仕様のV10搭載車は設定されていない。

ガーラ2000HD/HD-9
ガーラ2000SHD/GHD

2004年、いすゞと日野のバス製造事業統合により、いすゞバス製造はジェイ・バスへ移行したが、LV7系はそのまま旧いすゞバス製造の工場(ジェイ・バス宇都宮事業所)で2005年8月の生産終了まで製造された。

純正以外のボディ

上記のいすゞバス製造製純正ボディの他に存在した同型シャーシのモデル(純正以外のボディではエアバッグは装備されなかった)

KC-規制車、KL-規制車は指定メーカーのいすゞバス製造の車体を架装する例が多いものの、2003年3月までの製造車には富士重工業[1]の架装例も見られる。この場合、KC-車が17型MまたはS2(ヤサカ観光および東都観光には1998年まで15型HD2)、KL-車が21型MまたはS(東都観光には17型M)が架装された。2005年8月の生産終了までは西日本車体工業の架装例があり、92MC・C型などが架装され、西日本を中心に多く見られる。西鉄グループをはじめ、大分交通JR九州バス(貸切車)、南国交通エアポートシャトル)に採用された。ただし1998年まではスーパークルーザーのシャーシが架装されていた。

広州ガーラ

テンプレート:BusModelImage2 2001年からいすゞの中国現地法人広州いすゞ(広州汽車といすゞの合弁)でも製造され、広州製のガーラは広州GALAと呼ばれる。エンジンは当初V10の10PE1を搭載したが、のちに直6ターボインタークーラー付きの6SD1、6SE1に変更されている。トランスミッションは6速MTでACTとロッド式が設定されている。一方でエアロバス同様に、現地ボディメーカーによってコピーされた類似車が多数製造されており、中にはいすゞとは無関係にもかかわらず、堂々と「五十鈴」とロゴを入れているものもある。広州いすゞも当初は現地部品調達の必要性から、ガーラと同一ボディではなく、エアロバスのコピー同然のボディを架装していた[2]

広州製ガーラのラインナップ

  • 12m級
    • S12(全高3.7m)
    • SHD(全高3.8m)
    • EHD(全高3.8m)
    • LHD(全高3.8m)
      • この他にも中国独自の仕様として寝台バス仕様が設定されている。
  • 11m級
    • S11
    • V11
  • 9m級
    • S9
    • V9

2代目ガーラ (RU系)

前述のように、いすゞ自動車と日野自動車のバス製造事業統合により、日野・セレガとの統合車種となった。製造は、2社合同資本のジェイ・バスの小松事業所(旧・日野車体工業)で行われている。日野自動車が開発を行っているため、実質日野・セレガのフルモデルチェンジ車であるといえる。

セレガとの違いは、外装の差異で判断できる。フロントガラス下のガーニッシュの違い、側面のJピラーの違い(セレガは有、ガーラは無)、リアガラスの形状(セレガは1枚窓、ガーラは先代を引き継ぐ左右に分かれた2枚の小窓)の違いなど。但し、各車の仕様によってはガーラとセレガの外装が同じになる場合があるため、一概にはいえない。また、標準とは異なる例外仕様も見受けられ、車名ロゴやメーカープレートを見ないと判別できない場合もある。

  • フロントマスクは6キューブマスク以外はセレガのリミテッドエディション(窓下のオーナメントランプがない)とほぼ同一である。
  • 高速バス仕様のガーラの場合、行先表示機搭載の関係上、リアガラスがセレガと同様の1枚窓になる。ただし一部で2枚窓仕様のまま、左右の窓の間に行先表示器窓を設けた仕様も導入されている[3]
  • Jピラーはセレガでも装備しない事例がある一方で、ガーラでも装備する事例がある[4]
  • この他にもフロントパネルのガーニシュをセレガと同一とし、リヤパネルは2枚窓仕様というガーラの事例も存在している[5]

詳しい車種説明は、日野・セレガ#セレガ(2代目)を参照のこと。

基本ラインナップ

  いすゞ・ガーラ 日野・セレガ
スーパーハイデッカー(12m車) SHD(スーパーハイデッカー) スーパーハイデッカ(SHD)
ハイデッカー(12m車) HD(ハイデッカー) ハイデッカ(HD)
ハイデッカー(9m車) HD9(ハイデッカー9) ハイデッカショート(HD-S)
12mハイデッカー廉価モデル HD-VP ハイデッカリミテッドエディション


ADG-RU1E系/ADG-RU8J系

2005年8月22日にフルモデルチェンジした。エンジンは日野自動車製E13C型(直6・TI、338kW=460psもしくは279kW=380ps)。ハイデッカー9は日野自動車製J08E型(直6・TI、199kW=270ps)、変速機は他メーカーと同様に、OD6速となった。このモデルから西日本車体工業への架装は取りやめとなった。

ラインナップ

  • SHD(スーパーハイデッカー):ADG-RU1ESAJ(ET-X<460PS>のみ)…2006年2月20日に夜間都市間用3列独立シート仕様が追加された。
  • HD(ハイデッカー):ADG-RU1ESAJ(ET-X<460PS>とET-XI<380PS>の2機種)
  • HD9(ハイデッカー9、9m車):ADG-RU8JHAJ…2006年2月20日発売
ガーラSHD(スーパーハイデッカー) ADG-RU1ESAJ
ガーラHD(ハイデッカー) ADG-RU1ESAJ
ガーラHD9(ハイデッカー9) ADG-RU8JHAJ

PKG-RU1E系/BDG-RU8J系

テンプレート:BusModelImage2

2006年7月5日、9mタイプを除きPKG-RU1E系となった。 前モデルと同形式のE13C型(直6TI、338kW=460psもしくは279kW=380ps)をベースに平成27年重量車燃費基準とPMのみ10%低減を両立したものに改良した。その他、変速機や外観などに於いても差異は殆どなく、燃費基準達成車という緑色のステッカーが貼り付けてあれば、このモデルであると識別可能である。

ラインナップ

  • SHD(スーパーハイデッカー):PKG-RU1ESAJ(ET-X<460ps>のみ)
  • HD(ハイデッカー):PKG-RU1ESAJ(ET-X<460ps>とET-XI<380ps>の2機種)
  • HD9(ハイデッカー9、9m車):BDG-RU8JHAJ
ガーラSHD(スーパーハイデッカー) PKG-RU1ESAJ
ガーラHD(ハイデッカー) PKG-RU1ESAJ
ガーラHD9(ハイデッカー9) BDG-RU8JHAJ

LKG-RU1E系/LDG-RU8J系/SDG-RU8J系

テンプレート:BusModelImage2

ファイル:Hatobus 176 and 764 Gala-SHD (2nd).jpg
ガーラSHD・LKG-車(左)とPKG-車(右)のフロント対比(はとバス

2010年8月4日にマイナーチェンジを行い、12m車はエンジンを日野自動車製ET-X型 (460PS) ・ET-XI型 (380PS) から日野自動車製ET-VI (450ps/195kg・m) ・ET-I (360ps/185kg・m) にそれぞれ換装され平成21年(ポスト新長期)排出ガス規制に適合し、前モデルと同様に平成27年重量車燃費基準を達成した。またハイデッカー9はエンジンが日野自動車製J08-VI型 (270ps) からJ08-VIII (280ps/81kg・m) に換装され、GVW(車両総重量)12トン超車が平成21年排出ガス規制に、GVW12トン以下車が平成22年排出ガス規制にそれぞれ適合した。車間制御クルーズ・衝突被害軽減ブレーキ・車間距離警報装置が標準化されたためフロントにミリ波レーダー照射装置が取り付けられて6キューブのデザインが変わり、さらに12m車では後輪とルーバーの間に尿素水注入口があるため、この点で見分けが付く。また、この代の途中からセレガのリミテッドエディションに相当するHD-VPがカタログから姿を消している。

ラインナップ

  • SHD(スーパーハイデッカー):LKG-RU1ESBJ(ET-VI<450PS>のみ)
  • HD(ハイデッカー):LKG-RU1ESBJ(ET-VI<450PS>とET-I<360PS>の2機種)
  • HD9(ハイデッカー9、9m車):LDG-RU8JHBJ(GVW12トン超車)SDG-RU8JHBJ(GVW12トン以下車)
ガーラHD(ハイデッカー) LKG-RU1ESBJ
ガーラHD9(ハイデッカー9)

QPG-RU1E系/QRG-RU1A系/LDG-RU8J系/SDG-RU8J系

テンプレート:BusModelImage2

2012年6月15日、2012年7月2日にシリーズ全体をマイナーチェンジして発売されることが発表され、12m車の360PSエンジン搭載車は日野自動車製ET-I (360ps/185kg・m)から、重量車モード燃費値が重量車燃費基準値より20%以上向上しなおかつ小型化された日野自動車製AT-VIII型エンジン(8,900cc、360PS/160kg・m)に換装されると同時に日野自動車製A09C型エンジン搭載車には7速MTが標準装備となった。全車にVSC(車両安定制御システム)が標準装備となる。また2012年7月施行のシート並びにシートベルトに関する保安基準に適合する。なお、HD9(ハイデッカー9)の形式名の変更は行われない[6]。 ラインナップ

  • SHD(スーパーハイデッカー)・HD(ハイデッカー):QPG-RU1ESBJ(ET-VI<450PS>)、QRG-RU1ASCJ(AT-VIII<360PS>)
  • HD9(ハイデッカー9、9m車):LDG-RU8JHBJ(GVW12トン超車)SDG-RU8JHBJ(GVW12トン以下車)
ガーラSHD(スーパーハイデッカー)
ガーラHD(ハイデッカー)

QRG-RU1E系/QRG-RU1A系/LDG-RU8J系/SDG-RU8J系

テンプレート:BusModelImage2 2014年4月1日にマイナーチェンジを実施。日野自動車製ET-VIエンジン搭載車も日野自動車製A09Cエンジン搭載車同様に、重量車モード燃費値が重量車燃費基準値より10%以上向上し「平成27年度燃費基準値+10%達成車」となったと同時に、日野自動車製ET-VIエンジン搭載車の型式もQRG-RU1E系となった。日野自動車製ET-VIエンジン搭載車と日野自動車製A09Cエンジン搭載車は燃料添加弁を追加したことで、DPRクリーナーが改良された。安全装備に関する改良が行われ、衝突被害軽減ブレーキが先行車に対する追突回避支援機能を追加した上で改良されたと同時に2014年11月から適用される「衝突被害軽減ブレーキの新基準」に適合した他、2015年8月から適用される「車線逸脱警報装置の新基準」に伴う車線逸脱警報とドライバーモニターが標準装備となった[7]。また、この代より廉価版であるHD-VPが復活した。なお、日野自動車製A09Cエンジン搭載車並びにHD9(ハイデッカー9)の形式名の変更は行われない。

2RG-RU1E系/2TG-RU1A系/2KG-RU2A系(現行車種)

2017年6月22日に、平成28年排出ガス規制に適合したマイナーチェンジを発表し、7月3日より発売された。衝突被害軽減ブレーキの改良が行われ、停止車両や歩行者に対しても衝突回避を支援する機能が追加された。日野自動車製ET-VIエンジン搭載車は平成27年度重量車燃費基準+10%を、日野自動車製A09Cエンジン搭載車は平成27年度重量車燃費基準+15%をそれぞれ達成した。トランスミッションはFFシフトのままで変更はない。HD9(ハイデッカー9)は搭載エンジンが日野自動車製J08C型から日野自動車製A05C-TC <A5-Ⅲ>型 (5,123cc、260PS/90kg・m)に変更され、トランスミッションはセレクターがダイヤル式の7速AMTシフトを採用し、GVW12t以下車は平成27年度重量車燃費基準を達成した。なお、Pro Shiftは商標権の関係から付かない。メーターは7インチの液晶を配した新型に変更された。ステアリングホイールも4本に変更され、ステアリングスイッチを装備する。室内灯や車幅灯もLEDに変更された。セレガに装備されるICTサービス機能は装備されない[8]

車体

LV系時代の純正ボディはいすゞバス製造→ジェイ・バス宇都宮事業所で架装されていたが、RU系になってからのボディ架装はジェイ・バス小松事業所のみで架装されている。

車名の由来

  • 英語・フランス語で「・陽気な」を表し明るく、楽しい旅を期待させてくれるバスをイメージして名付けた。

関連項目

脚注

  1. 同社は2003年頃にバスの架装事業から撤退し、2017年にSUBARUへ商号変更し、現在に至っている。
  2. バスマガジン28号104P 東アジアのバス事情
  3. バスラマ・インターナショナル 年鑑バスラマ2013-2014』P.44 ぽると出版 ISBN 978-4-89980-513-7
  4. 『バスラマ・インターナショナル No.109』 P.4 2008年 ぽると出版 ISBN 978-4-89980-109-2
  5. 『バスラマ・インターナショナル No.140』 P.66 2013年 ぽると出版 ISBN 978-4-89980-140-5
  6. いすゞ、バスシリーズを改良し発売 - いすゞ自動車、2012年6月15日
  7. いすゞ、バスシリーズを改良し発売 - いすゞ自動車、2014年3月19日
  8. いすゞ、大型観光バス「ガーラ」を改良し発売-平成28年排出ガス規制への対応、安全性の向上-いすゞ自動車 2017年6月22日

外部リンク