クロマツ

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クロマツ(黒松、学名Pinus thunbergii)は、日本韓国の海岸に自生するマツ属の1種である。別名はオマツ(雄松)。

特徴

樹高は、40 mに達することもあるが、自然の状態ではそこまで成長することはまれである。記録的な高さのクロマツとしては、「春日神社の松」(島根県隠岐郡布施村(現・隠岐の島町))の66 m、「緩木神社の松」(大分県竹田市。もと国の天然記念物)の60 m、「大日松」(茨城県大宮村(現・龍ケ崎市))の55 mなどがあったが、いずれも現存しない。

針葉は二葉で、7〜12 cmの長さで幅が1.5〜2 mm。球果は4〜7 cmの長さである。樹皮は灰黒色で厚く、亀甲状に割れ目が入りはがれる。

アカマツと比較してっぽい樹皮をしており、名前はこれによる。針葉もアカマツより硬く、枝振りも太いことから、別名「雄松(オマツ)」とも呼ばれる。一方、アカマツは「雌松(メマツ)」と呼ばれる。クロマツとアカマツの交じっている林では稀に雑種(アイグロマツ)が生じる。

品種として、タギョウクロマツ P. thunbergii f. multicaulis [1]がある、

分布と生育環境

日本では本州、四国、九州に分布し、国外では朝鮮南部の島嶼から知られる。北海道の海岸沿いや道路沿いにも植林されており、道南では北海道駒ヶ岳などで自生化が見られる。海岸の岩の上から砂浜海岸に広く見られ、特に砂浜のクロマツ林は白砂青松と呼ばれて景観として重視された。ただし、遷移の上では、砂地のクロマツ林は次第にタブ林などに置き換わるものと考えられている。クロマツ林は人為的管理によって維持されてきた面がある。クロマツの大木は往々にして岩礁海岸の岩頭にある。

日本では海岸線への植樹が古くから行われ、本来の植生や分布はよくわからなくなっている。

利用

汚染と塩害に強いために、街路樹防潮林に使われる。いわゆる浜にある松原はクロマツで構成される。また、一般的な園芸用樹種であり、古来から盆栽用の樹種としても使われている。

マツ材線虫病

北米では、マツ材線虫病(カミキリを媒介者としたマツノザイセンチュウの寄生)のために、広い範囲で死滅している。続いて青変菌が侵入すると速やかに樹勢が衰え、枯死する。このマツノザイセンチュウは偶発的に日本へも侵入し、クロマツ林に打撃を与えている。 新(梢)芽にマツノタマバエが産卵すると、新芽は茶色に枯れてしまう。2~3年連続して寄生されると緑の葉はなくなり、やがては松林全体が茶色に変色し、枯れてしまう。発芽した苗も寄生されるので、松は完全に駆逐される。幼虫は新梢内に寄生するので、専門家でもマツ材線虫病との区別ができない。 茶色に枯れた松の枝先を初夏に採集すれば容易に区別出来る。

クロマツを「自治体の木」とする日本の地方公共団体

都道府県
市町村

写真集

樹皮の様子  
新しい枝葉  
手入れされた小振り  

脚注

参考文献

  • 北村四郎・村田源『原色日本植物図鑑・木本編II』保育社(1979)、ISBN 4586300507

関連項目