ゲルマン民族

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ゲルマンみんぞく Germanen; Germanic peoples

チュートン民族とも呼ばれる。インド=ヨーロッパ諸族の一民族。青銅器時代の末期 (前5~4世紀) には南スウェーデン,デンマーク半島,北部ドイツが居住地。北ゲルマン (デーン人,ノルマン人など) ,西ゲルマン (アングル人,アラマン人,サクソン人,フランク人など) ,東ゲルマン (東ゴート人,西ゴート人,バンダル人,ブルグント人など) に大別される。前2世紀頃から移動を始め,南東へ向ったものは遠く黒海沿岸へ,南西に進んだものはライン川方面に達した。初めてローマ人と接触したのは前2世紀末に南ガリアと北イタリアへ侵入して撃滅されたときであるが,その後もローマのガリア遠征軍としばしば交戦した。 375年東ゲルマンのゴート人がアジアのフン民族に圧迫されて移動を開始し,いわゆるゲルマンの民族大移動が展開され,ゲルマンの王国が各地に建設された。原住地バルト海沿岸にとどまっていた北ゲルマンもスウェーデン,ノルウェー,デンマークを建設したが,のちにヨーロッパ各地を劫略したデーン,ノルマンもその一部である。ゲルマンについて,現存する最古の記述を残した古代ローマの将軍ユリウス・カエサルによれば,社会生活の面では,本来農耕民族ではなく,牧畜民で彼らの食料の大部分はその家畜群から得ていたという。しかし農業を知らなかったわけでなく,農耕のための独特な共同体組織 (ジッペ) をもっていた。自由民から成る民会で政治的決定を行う伝統があり,戦時には首長が選ばれた。そこにローマ法と異なるゲルマン的な法観念の母体がはぐくまれた (ゲルマン法) 。宗教的には,ゲルマン独自の宇宙観から成る宗教をもっていたが,4世紀の初め頃からキリスト教に改宗していった。