ジョージ・バランシン

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ファイル:Suzanne Farrell and George Balanchine NYWTS.jpg
スザンヌ・ファレルEnglish版とともに自身の振付による『ドン・キホーテ』を踊るバランシン(右)。1965年

ジョージ・バランシンGeorge Balanchine, 1904年1月22日[1] - 1983年4月30日)は、米国における主要なバレエ団の創設者で、20世紀の最も進歩的なバレエ振付師。クラシック・バレエとモダン・バレエの橋渡しをした人物としてバレエの歴史に名を残している。

本名はギオルギ・バランチヴァーゼGiorgi Balanchivadze, Георгий Мелитонович Баланчивадзе, : გიორგი მელიტონის ძე ბალანჩივაძე)。

経歴

サンクトペテルブルクグルジア人の家庭に生まれる。父親はグルジア国民楽派のオペラ作曲家、メリトン・バランチヴァーゼ1862年 - 1937年[2]。弟アンドリア1906年 - 1992年)も作曲家で、バランシン自身もいくつか小品を作曲している。

1921年にペテルブルクの旧帝室バレエ学校を卒業し、1924年までマリインスキー劇場バレエダンサーとして出演。1923年ペトログラード音楽院を卒業する。この頃、帝室バレエ学校の教え子であったタマーラ・ジェヴェルジェーエワ(芸名はタマーラ・ジェーヴァ、1907年 - 1997年)と最初の結婚をするが、1926年に離婚。渡米後に3回結婚している(いずれもバレエダンサーのヴェーラ・ゾーリナEnglish版マリア・トールチーフタナキル・ルクレア)が、いずれも離婚し子供をもうけなかった[3][4]

1924年に小さなバレエ団を作ってソ連を去り、西欧ツアーを敢行する。ロンドンセルゲイ・ディアギレフに認められ、請われてバレエ・リュスに加わった。膝関節の故障により舞踏手としてのキャリアは終ったが、バレエマスター兼首席振付家としてディアギレフの下で5年間の実りある活動を行った。この頃生み出された作品に『アポロ』(1928年)、『放蕩息子』(1929年)がある。ストラヴィンスキーとの付き合いもこの時期から始まった。ディアギレフの死後はパリ・オペラ座バレエのバレエマスター就任を依頼されたが、結核のためにこれを受けることが出来ず、回復後にデンマーク王立バレエ団のバレエマスターを経て、バレエ・リュス・ド・モンテカルロの旗揚げに参加。ここでタマーラ・トゥマーノワの才能を発掘した。

パトロンのL・カーステイン(Lincoln Kirstein, 1907年 - 1996年)に説得されて、1933年にバレエ団を設立するために渡米。バランシンは先ず学校を作ることが優先であると説き、アメリカン・バレエ学校 (School of American Ballet) を設立した。2年後の1935年、その卒業生からなるアメリカン・バレエ (The American Ballet) を発足させた[5]

1946年にバレエ協会を設立、これは現在のニューヨーク・シティ・バレエ団となる。1954年の『くるみ割り人形』公演によって、米国でもクリスマスにこの作品を取り上げることが習慣となった。ミュージカルや映画、テレビ番組でも振付を担当、R・ロジャーズV・デュークらに協力した。一方でバレエ・リュス以来のストラヴィンスキーとの協力関係は続き、『カルタ遊び』(1937年)、『オルフェウス』(1947年)、『アゴン』(1957年)が作られた。また舞踊音楽として作曲されていない器楽曲への振付も行った[6]

1978年、舞踊中にバランスを失い、その後に体の安定、視力聴力が衰え始める。1982年までに活動不能に陥った。1983年に他界。79歳。存命中はバランシンが生検に同意しなかったため病は謎のままだったが、解剖の結果それがクロイツフェルト・ヤコブ病と判明した[7]

代表作は『放蕩息子』(1929年)、『四つの気質』(1946年)、『テーマとヴァリエーション』(1947年)、『シンフォニー・イン・C (水晶宮)』(1947年)、『アゴン』(1957年)、『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』(1960年)など多数。

関連項目

脚注

  1. ロシアで用いられていたユリウス暦では1月9日
  2. テイパー、pp.30-32.
  3. 『バレエ音楽百科』pp.270-271.
  4. 鈴木、pp.252-254.
  5. ニューヨーク・シティ・バレエ団 - 沿革の項を参照。
  6. 音楽家としての教育を修了していたバランシンにとってはお手のものであった。メンデルスゾーンの交響曲に振付けた 『スコッチ・シンフォニー』(1952年)、ブラームスリートに振付けた 『愛の歌』(1960)など。
  7. テイパー、pp.431-432.

参考文献

  • {{safesubst:#invoke:Anchor|main}}小倉重夫編 『バレエ音楽百科』 音楽之友社、1997年。ISBN 4-276-25031-5
  • {{safesubst:#invoke:Anchor|main}}鈴木晶 『バレリーナの肖像』新書館、2008年。ISBN 978-4-403-23109-4
  • {{safesubst:#invoke:Anchor|main}}バーナード・テイパー 『バランシン伝』 長野由紀訳、新書館、1993年。 ISBN 4-403-23035-0