セイの法則

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Say's law

貨幣は単なる交換手段であり,生産物の販売は同時に生産物の購買であるから,生産物の総供給と総需要は恒等的に等しいという命題。主唱者である J.-B.セーが「販路法則」とも呼んだものである。

D.リカードはこのセーの法則に基づいて一般的過剰生産は存在しないことを主張し,一般的過剰生産の可能性を主張した T.R.マルサスと対立した。恐慌の必然性を主張した K.マルクスもセーの法則を批判した。

J.M.ケインズ以後はセーの法則は生産物の総需要と総供給が価格の調整により均等化されることを意味すると解釈されている。ケインズはこの法則を「供給はそれみずからの需要を生み出す」と表現し,セーの法則に明示的あるいは暗黙的に基づくリカードや A.マーシャルの経済学を「古典派」経済学と呼んで,実質賃金率の下方硬直性により不完全雇用が生じる可能性を指摘したケインズの経済学と区別した。現代的な意味でのセーの法則は,このような価格調整に基づく経済学と数量調整に基づく経済学を区分するための基準の役割を果している。