テレビドラマ

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テレビドラマとは、テレビ番組の一種で、ドラマ形式のもののこと。

アメリカ

シチュエーションコメディ

米国のテレビドラマでは、ひとつの定番は、米国では「sitcom(シットコム)」などと呼ばれているコメディドラマ(シチュエーションコメディ)で、内容としては、毎回、いかにも米国にありそうな「家庭」(のセット)が舞台になっていて、おきまりの家族の面々が登場し、日常生活を送るなかで、間の抜けた失敗をしたり、間の抜けた(視聴者が思わず笑ってしまうような)会話をし、(しばしば米国人流の大きなジェスチャーとともに)おかしな台詞が言われるたびに、テレビ音声としても(画面内の「家庭」にいるはずのない、架空の多数の観客の)「アハハハ..」といった笑い声(の合唱)が聞こえる、というタイプのドラマである。登場人物の中に、やたらと「おませ」な子供がひとりいて、その子が言う台詞によって、(普段、大人自身実はうすうす気付いているのだが、気付かないフリをしているような)大人の愚かさが浮き彫りにされ 笑いを誘う、というのはしばしば使われるパターンである。舞台が家庭ではなく学校になっていて同級生たちが登場するもの、また舞台が職場になっていて職場の同僚同士が馬鹿馬鹿しく笑えてしまうような会話をする、というタイプもある。

具体的には次に挙げるようなものである。

シットコムは、派手な事件が起きるわけでもなく、特殊撮影や特殊メイクを駆使するわけでもない。 よって、放送作家ユーモアのセンス、また俳優たちの(アドリブも含めた)掛けあいの妙技に依っているテレビ番組である。撮影は、テレビ局内のスタジオに設けられたセットで行われるが、しばしば、セットを斜め上から見下ろせる階段状の観客席が設置してあり、そこに多数の観客が座って見ている中で行われる。このように撮影することで、俳優の演技に対する観客の反応がリアルタイムに俳優にも現場監督にも把握できるという利点がある。笑いをとる目的で書かれた台詞に対する観客の反応が良くない場合は、現場の監督が撮り直しを命じる。俳優は観客が笑えるように台詞の抑揚やジェスチャーや表情の修正を何度も繰り返す。どうしても笑いを取れない場合はその部分を削除する場合もある。こうした撮影の観客はしばしば、観光地の前などで集められたボランティアである。観客の側にとっては無料で俳優の生の演技を楽しむことができ、テレビ局の側にとっては数百名もの人を「テスト視聴者」として利用して番組の質向上を図れる。

超常現象もの・怪奇現象もの

アメリカのテレビドラマで根強い人気を持っているジャンルのひとつに、「怪奇現象もの」(超常現象もの)、「ミステリー」や「ホラーサスペンス」などと呼ばれるものがある。物語中で常識では理解できないようなこと(超常現象怪奇現象不可思議)が起き、視聴者はそのの深さや恐怖を感じることを楽しむ、というものである。

探偵もの

アメリカで比較的古くから放送されているものに、いわゆる「探偵もの」がある。探偵は、私立探偵や素人探偵である。「私立探偵もの」は、多くが町の小さな私立探偵事務所を運営している男がさまざまな事件に関わり解決してゆくもので、「素人探偵」ものは、多くが推理小説家が実際の事件にかかわるという設定で、探偵めいたことをしてその事件を解決してゆくものである。

刑事もの、犯罪ドラマ

警察の刑事や警官が事件を解決する物語は比較的古くから作られている。 特に世界的に知られたのは『刑事コロンボ』シリーズである。

2000年以降には様々な公的捜査機関のチームが殺人事件の捜査を行う、といった筋書きのドラマが増えた。従来のような「警察の殺人課」所属の警官(いわゆる「刑事」)に限らず、(日本とは違い、さまざまな公的捜査機関が並立(乱立)しているアメリカ事情を反映させて)さまざまな公的な捜査機関のエージェント(捜査官)を描くものが登場したのである。結果、「犯罪ドラマ」「crime(犯罪)もの」という、新たなくくりでとらえられることになったわけだが、これは(アメリカの治安の悪さ、犯罪の多さ、などといった世相を反映して)視聴率が比較的高いので、結果として多数作られている。事件だけでなく、捜査官の側の人生模様、家族にまつわる物語なども並行的に描くものが多い。

法廷もの(リーガル・フィクション)


イギリス

イギリスのTVドラマとしては、例えば次のようなものがある。

BBCで放送

ITVで放送

E4で放送

スペイン

台湾

日本

日本では、一日を通してテレビドラマが放映されている。中でも、午後8時から10時台に放送されるテレビドラマは視聴率が高く、予算も高額で、他の時間帯に比べ質も高いとされる。時の人気俳優や人気タレントも多く出演し、時の流行やファッション等、多方面に渡って社会に大きな影響を及ぼす作品も少なくない。

数あるテレビドラマの中でも、特にフジテレビ系列で月曜日午後9時から放送されるテレビドラマは「月9(げつく、げっく)[1]TBSで日曜日午後9時から放送されるテレビドラマ(日曜劇場)は「)」、日本テレビ系列で土曜日午後9時から放送されるテレビドラマ(日本テレビの土曜ドラマ)は「土9(ドック・ドキュウ・ツチク 等[2] )」と呼ばれ、高視聴率を記録した作品を数多く残している。また、午前に放映されるテレビドラマの中でも、NHK総合テレビ連続テレビ小説(朝ドラ)は人気があり、特にヒロインを演じた女性俳優(新人であることが少なくない)がその出演を期に各局でプライムタイムのドラマ等に出演するようになることが少なくないため「登竜門」と言う言われ方をすることもある。

子供番組としての30分程度のドラマ(児童向けドラマ)も、1980年代までは比較的多く製作されていた。現在では、NHK教育テレビにおいて、道徳教育ドラマを就学年齢の児童生徒向けの学校放送として放送している。またテレビ朝日では、日曜朝9時から10時までの1時間枠を「SUPERヒーロータイム」と称し、未就学児童をコア・ターゲットとしたいわゆる「特撮」ドラマを放送している。これは「秘密戦隊ゴレンジャー」に始まり「高速戦隊ターボレンジャー」に至るまでの土曜夕刻放送枠を移動させたもの。

古くから続いているテレビドラマでは、NHK総合テレビの大河ドラマがある。歴史ドラマを恒常的に毎週放映するのはNHKだけである。民放にも70年代までは連続歴史ドラマが見られたが、現在は正月特番などの単発作品ぐらいで、中心はかつてトレンディドラマと呼ばれた流れを引く現代劇の恋愛ものである。架空キャラクター(もしくは水戸黄門、大岡越前などの実在人物の一部設定だけを借用したフィクション)による連続時代劇も民放ではかつてほど製作されることがなく、しばしば存亡の危機が取りざたされる。

1980年代までは当初1クールまたは2クールで制作予定が人気が出ると延長されて最終的に1年以上続くドラマになるということがよくあったが、近年は人気が出ても当初の放送予定を変えずに(変更は最終回の放送時間拡大程度)いったん終了させて、概ね3ヵ月から半年間のインターバルを経てから次のシリーズが製作されているものが大半を占めている。昔のように、1年中製作されるかたちで数年続いている作品は皆無に等しい。切れ目に特番を挟むことも慣行化し、1クールものも13回めいっぱい放送されることはなく、10~11回程度が通常である。また、視聴率不振による途中打ち切りの不面目を避けるため放映回数を発表せずにスタートする例も多い。

大きな人気や高い評価を受けた作品の場合、新たに劇場公開用の映画作品として製作されることがある。テレビ放送初期は『三匹の侍』、『若者たち』のようなテレビ局のディレクターが映画版でも監督を務めるなどの一部スタッフの関わりを除けばテレビ局が関与しないことがほとんどであったが(テレビドラマ作品を「原作」として扱った)、1969年に映画『御用金』でフジテレビがテレビ局として初めて映画製作を手がけたことを皮切りに、テレビ局は映画事業に本格的に進出。現在ではテレビ局が主体となってテレビドラマ作品(特に連続ドラマ)の世界観を継承した新たなエピソードを、映画作品として製作するケースが多くみられる。その一方で近年では、テレビドラマ作品そのものが、再編集を経るか、またはそのままの形で劇場公開されるケースもある(単発ドラマにみられる)。

アメリカ人プロデューサーであるデーブ・スペクターは、日本のテレビドラマについて「(今のドラマは)演技も良くないし、物語に工夫がない」とし、その理由として「力のある芸能プロダクションが売り込む俳優・女優・タレントを使わざるを得ない業界構造がある」と述べた[3]

歴史

撮影機材・放送形態

1940年4月、テレビの実験放送で放送された『夕餉前』(脚本:伊馬鵜平)が、日本初のテレビドラマとされている。当時のスタジオは非常に狭く、またアイコノスコープ方式のカメラを使用していたため、俳優は、時に木材や紙などを発火させるほど強い照明に耐えなければならないなど、技術的制約が多い状況だった。同年10月には実験放送第2作『謡と代用品』が放送されたが、太平洋戦争1941年12月8日勃発)のために11年中断後、1952年に再開。

1953年にテレビの本放送が始まるが、当時は実用的な録画手段がなく、テレビドラマの多くは生放送またはフィルム制作であった。

ビデオは、1956年アメリカ合衆国2インチVTRが開発され、2年後の1958年には、日本に初輸入され、国産のビデオも開発された。同年6月、大阪テレビ放送(OTV、現・ABC)の『ちんどん屋の天使』において、日本で初めてテレビドラマにビデオテープが使用された。そして同年10月、ラジオ東京テレビ(KRT、現・TBS)の『私は貝になりたい』(主演:フランキー堺)では、本格的にビデオ録画が実用化され、技術的な先駈けとなった。また、その年の芸術祭賞を受賞し、それまで「電気紙芝居」と酷評されたテレビドラマが初めて人を感動させたとして、テレビドラマ史上に残る重要作品と位置付けられている。当初はビデオ機材もビデオテープも高価だったが、やがて普及していき、ドラマも生放送から収録する形態へと変わっていった。

1970年代までにビデオテープで収録されたテレビドラマの中には、原盤ビデオテープが別の番組撮影に使われて上書きされたことにより、映像が失われたものも少なくない。また、当初は撮影機材の大きさと、カメラの感度の低さから、照明を煌々と照らしたスタジオ内で演技するより他なく、屋外の情景はスタジオ内でのセットで再現していた。どうしても屋外でのロケが必要な場合は、ビデオでの撮影を諦めて、16mmフィルムで撮影することもあった。そのため本編中にビデオ映像とフィルム映像が混在し画調や画質、場合によっては音質においても不連続が発生することがかつては多く見られた。いわゆるホームドラマはこうした技術的制約の苦肉の産物でもあった。

NHKのドラマはNHKですべて制作していたのに対して、民放では1950年代から外部の制作会社が制作したテレビドラマを放送した。それらは当初「テレビ映画」とも称され、劇場映画を作ってきたスタッフが制作にあたり、撮影もフィルムで行なわれた。大手では、1959年東映が出資したテレビ局NET(現・テレビ朝日)で、さらに1962年には新東宝を前身とする国際放映がTBSで、テレビ映画の制作に進出している。東宝大映松竹など他の大手も続いてテレビ進出したものの、たとえば東宝は1980年に至るまで自社製作のテレビ映画については、傍系の東宝ビルドを使ったり、傘下の国際放映に孫受けさせたり、本拠地の砧撮影所を極力使わない差別的な姿勢を貫くなど、東映に比べると本腰が入っていなかった。また、特撮ものは、合成などのノウハウが蓄積されているフィルムでの撮影が主となっていた。詳しくはテレビ映画を参照。これに対し、VTRによるドラマはスタジオドラマと呼び分けられた。

1970年代も半ばを過ぎると、これまでのビデオカメラのコストと技術的制約もなくなり、フィルムからビデオでの撮影に徐々に移行することとなった。フィルムが必要とする現像の手間以外だけでなく、ビデオ編集用の機材の発達と何よりもコストの問題で、映画会社系の制作会社もビデオ撮影を採用し始め、1990年代後半からフィルムで撮影されたドラマは激減。2000年代初頭には、刑事ドラマ時代劇もビデオ撮影に移行して、フィルム撮影はほぼ姿を消した(日本と違ってフィルムへのこだわりが強い欧米では大型テレビドラマの場合35ミリ映画用カメラを使ったフィルム撮影の方が主流である)。

モノクロ時代は消え物(料理)はそれらしく見えればいいということで、すき焼きを食べているシーンなのに食べているのは出汁の味しかしない物だった、本物が出てきたのはカラーになってからだった、と黒柳徹子は語っている[4]

2005年現在、地上デジタル放送への移行期を迎えて、ビデオでの撮影もNTSCからハイビジョンで収録するものが増えつつある。そのため、最近ではアナログ放送で放送する場合、NHKのドラマ全般(2005年4月 - )やテレビ朝日の木曜9時のドラマと「金曜ナイトドラマ」は、上下に少し黒帯の付く13:9のワイド画面で放送したりする。また、日本テレビ(2005年7月 - )とTBS(2004年10月 - )やフジテレビ(2004年1月 - )などでは、上下に若干黒帯が付く(ブラウン管テレビでは見えない)。テレビ朝日の木曜9時ドラマと「金曜ナイトドラマ」以外については、両端をカットして放送しているため、アナログ放送の画角4:3画面いっぱいで放送される。またフジテレビでは、アナログ向けとデジタル向けで別の収録テープに分けて放送している(画角に合わせてエンドロール等のテロップの位置を変えてある)ため、地方局での再放送や他系列放送の場合、機材の都合上アナログ向けとデジタル向けの2択を迫られることになる。前者の場合、デジタル放送でも標準画質でしか放送できないが、後者の場合、デジタル放送ではフルサイズ、アナログ放送ではレターボックスでの放送となる。

地上波民放系のドラマ番組で、唯一BSデジタルでの先行放送が行われていた「女と愛とミステリー」(テレビ東京系)は、2001年1月の番組発足以来、一貫して16:9のハイビジョン放送を実施していたBSジャパンと技術的な制約で、デジタル放送開始後も4:3の標準画質で収録されたテープをアップコンバートせざるを得なかったテレビ東京(とその系列局)では、テロップ(サブタイトル・エンドロールなど)の挿入位置及びレイアウトが異なっていた。しかし、後継番組である「水曜ミステリー9(BSミステリー)」に関しては、2005年4月の開始時点でハイビジョン放送(デジタル帯)とサイドカット処理(アナログ帯)を同時進行させるために必要な送出マスターの更新が完了していたこともあり、テープの「作り分け」は行われていない。差し替えタイトル(→「BSミステリー」)が入るBSジャパンのサイマル放送(ハイビジョン画質)でも、地上波と同じ仕様で収録されたテープが基本的には使われているが、他系列向けに納品されているテープはその限りではなく、前番組同様複数の収録方式(ハイビジョン・SDサイドカット・SDレターボックスなど)が混在している。

近年ではハイビジョン収録の普及により、プログレッシブカメラ(30pカメラなどと呼ばれる)を用いて撮影したり、シネライクガンマ(2003年に松下電器産業(現・パナソニック)が開発)というデジタル補正技術で画質を調整したりすることによって、従来のビデオ撮影とは異なった、映画フィルムのような階調の映像で放送される作品が多くなっている。

一方、ここ数年インターネットの動画サイトが一般に浸透した影響により、平均15分程度で終わる動画の視聴に慣れた世代にCMなしで45分ないしは1時間分の視聴をさせるのは難しいとの指摘もある。[5]

出演者とスタッフ
  • ラジオ放送を行なっていたNHKと民放テレビ局は、ラジオドラマを制作するために自前の放送劇団を組織して専属の俳優を持っていた。テレビの草創期は芸能プロダクションが未発達だったこともあり、その初期はラジオ時代と同様にNHKが自前でタレントを養成して、ドラマやバラエティに出演させた。また、五社協定により映画会社所属の俳優のテレビ出演に制限があったため、新劇の俳優を多く使ってきた。その後は、芸能プロダクションが隆盛。養成機関で演技の訓練を受けていないタレントがドラマに出演したり、人気俳優を抱えるプロダクションが、配役に影響力を及ぼすことも多い。
  • 最近では、制作局のアナウンサーが出演することが多くなってきている。本業であるニュースキャスターやレポーターとして出演(本人役ということもあれば別名になる場合も名無し(アナウンサーA・リポーターB)という場合もある)というケースもあれば、まったく違う役柄で出演することもある。この場合の大半は、出演するアナウンサーがレギュラーを受け持つ情報番組でドラマ宣伝する意図もある。
番組の宣伝、「番宣」
  • 放送されるテレビ局では、新たなドラマに関して、初回放送まで様々な宣伝PR)活動をしている。主に出演者のインタビューや、撮影風景の密着取材を放送する事前特番(特別番組)が放送される。しかし、2000年代頃からはそれらに加え、放送日の1週間くらい前から主演級俳優らがバラエティー番組に立て続けにゲスト出演し、PRを行なう。また放送当日の朝の情報ワイドショー番組から夕方の報道番組まで立て続けにゲスト生出演(「はしご」)している(土日に放送されるドラマの場合、特に日曜日は生放送番組が少ないため金曜日に生出演している)。
  • 放送されない地域では、番組は基本的には宣伝されないように配慮される(『王様のブランチ』の近畿地方での扱い)。が、一部、放送されない地域で宣伝されてしまう、という妙なことも起きうる。
制作会社


日本で放送されたテレビドラマ

日本で過去に放送された、また現在放送されているテレビドラマについては、日本のテレビドラマ一覧を参照。

日本のテレビドラマの輸出

日本のテレビ番組の海外輸出比率は2011年で0.15%と非常に低い。理由としては、国内だけで十分収益が上げられるマーケットがあるため海外輸出に熱心でないことや、日本の音楽の著作権や出演者の肖像権などが強く守られているため、海外の買い手にとって扱いにくいコンテンツになっていることなどが挙げられる[6]

英語

英語では drama という語が映画とテレビ番組の分野として使われる場合、comedy という用語と対比的に用いられることが多く、この場合は drama は笑いのない内容が主体である話を指す。その意味で、英語では situation comedy は drama と別物である。それに対して、日本語の「ドラマ」はコメディドラマを含むが、英語の comedy drama は笑いのある話と笑いのない話を織り交ぜたものである。英語の situation comedy は笑いのあるストーリーで、日本語のコメディドラマに近い意味がある。

脚注

関連項目

テレビドラマの一覧(国別)
テレビドラマのジャンル
テレビドラマの形態
手法
その他

外部リンク