ドラえもん

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 漫画家、藤子不二雄(ふじこふじお)の代表作。主人公は22世紀につくられたネコ型ロボット「ドラえもん」。誕生日は2112年9月3日。野比(のび)のび太の孫の孫にあたるセワシの依頼で、タイムマシンに乗って20世紀ののび太のもとにやってくる。その派遣理由は、先祖にあたるのび太のドジにより、膨大な借金が残り子孫が大迷惑しているため、のび太の運命を変えるためである。そのほかの登場人物はのび太、その両親、同級生のしずか、ジャイアン、スネ夫、それにドラえもんの妹ドラミなど。

 小学館の学習雑誌『よいこ』『幼稚園』『小学一年生』~『小学四年生』の6誌に1970年(昭和45)1月号より同時連載され人気を得る。73年より連載が全学年別学習雑誌に拡大。この年、日本漫画家協会賞優秀賞を受賞。74年より単行本『ドラえもん』が刊行され、翌年100万部を突破。77年には「ドラえもん」を中心にして『コロコロコミック』が創刊された。  テレビアニメでは、1973年より日本テレビ系で半年間放映され、その後、79年よりテレビ朝日系で放映されて大ヒットする。当初は10分枠の放映であったが、81年より30分枠となった。1980年からは劇場用アニメが毎年1作の割合で制作されだす。この年、単行本が3000万部を突破する。

 1982年、小学館漫画賞を受賞。そして、タイイタリア、中南米9か国などでアニメ放送が開始された。「ドラえもん」は海外で大ヒットした最初の日本アニメとなった。東南アジア諸国では衛星放送を通して国の隅々までアニメが見られ、その大人気は単行本の翻訳出版に発展していく。アジアでは当初、海賊版の出版が盛んであった。ベトナムでは代表的出版社キム・ドン社から出版されて大ヒットし、その印税によって96年「ドラえもん教育支援基金」がベトナムに設立された。

 1992年(平成4)単行本が8000万部、96年には17作目の劇場用アニメで総観客動員数5000万人を突破した。なお、単行本は1億冊を突破した数少ない漫画作品の一つとなっている。

 漫画史のなかで「ドラえもん」は、児童漫画あるいはSF漫画というジャンルに入る。ネコを主人公にした漫画には、アメリカでは「猫のフェリックス」Felix The Cat(パット・サリバンPat Sullivan(1887―1933))、「トムとジェリー」Tom and Jerry(ウォルト・ケリーWalt Kelly(1913―73)ら)が第二次世界大戦前から知られており、日本では島田啓三(1900―73)の『ネコ七年生』(1948・鶴書房)、小林まこと(1958― )の『What's Michael?』(1983・講談社『コミックモーニング』連載)などがある。ドラえもんはロボットという新型のネコキャラクターであり、耳がない、強くない、頼りないところもユニーク。そして、ドラえもんがポケットから取り出すタケコプター、どこでもドアなど「秘密の道具」が多くのファンを魅了している。

 「ドラえもん」が連載を始めた当初の作者名「藤子不二雄」は、藤本弘、安孫子素雄(あびこもとお)の2人の漫画家の共同執筆時代のペンネームであったが、1987年以降はそれぞれ独立して活動することになり、「ドラえもん」の原作者である藤本弘は藤子・F・不二雄(ふじこえふふじお)として新たに漫画活動を展開する。96年9月23日に62歳で他界するが、その後も生前記したアイデアノートなどをもとに、連載やテレビアニメ、劇場用アニメの制作が続けられている。