ハウサ語

提供: miniwiki
移動先:案内検索

ハウサ語(ハウサご)は、ハウサ人言語。主にナイジェリア北部からニジェール南部にかけて用いられる。さらにナイジェリア各地や周辺諸国の共通語として2,000万人以上の話者を抱える。アフロ・アジア語族チャド諸語に属する。

音韻

声調

ハウサ語は声調言語であり、 五つの母音 a, e, i, o, u それぞれに低位トーン、高位トーン、下降曲線トーンがある。

トーンを表すためにアクセント記号が使われている。

  • à è ì ò ù (低位トーン)
  • á é í ó ú (高位トーン)
  • â ê î ô û (下降トーン)

表記

ラテン文字系

現代のハウサ語にはボーコー (boko) と呼ばれる表記法があり、これが公式な正書法とされている。 イギリス植民地統治により1930年代に導入され、ラテン文字を基にしている。

A a B b Ɓ ɓ C c D d Ɗ ɗ E e F f G g H h I i J j K k Ƙ ƙ L l
/a/ /b/ /ɓ/ /tʃ/ /d/ /ɗ/ /e/ /ɸ/ /ɡ/ /h/ /i/ /(d)ʒ/ /k/ /kʼ/ /l/
M m N n O o R r S s Sh sh T t Ts ts U u W w Y y (Ƴ ƴ) Z z ʼ
/m/ /n/ /o/ /r/, /ɽ/ /s/ /ʃ/ /t/ /(t)sʼ/ /u/ /w/ /j/ /ʔʲ/ /z/ /ʔ/

これらの文字のうち ƴニジェールでしか使わない(ナイジェリアでは ʼy と書く)。

声調、母音の長短、および /r//ɽ/ の区別(全話者が区別するわけではない)は、表記には表れない。そのため、例えば /daɡa/ (…から)と /daːɡaː/ (戦い)はどちらも daga と綴る。

アラビア文字系

ハウサ語でアジャミ (ajami) と呼ばれるアラビア文字系の表記法もある。17世紀初頭より使われてきたが、標準が定まっておらず、音価と文字との対応は人により揺れがある。

下表では、母音はアラビア文字の t との組み合わせで例示している。

ボーコー
(Latin)
音韻
(IPA)
アジャミ
(Arabic)
備考
a /a/ تَ
/aː/ تَا
b /b/ ب
ɓ /ɓ/ ب = b
ٻ アラビア語では使わない
c /tʃ/ ث
d /d/ د
ɗ /ɗ/ د = d
ط = ts
e /e/ تٜ アラビア語では使わない
/eː/ تٰٜ アラビア語では使わない
f /ɸ/ ف
g /ɡ/ غ
h /h/ ه
i /i/ تِ
/iː/ تِى
j /(d)ʒ/ ج
k /k/ ك
ƙ /kʼ/ ك = k
ق
l /l/ ل
m /m/ م
n /n/ ن
o /o/ تُ = u
/oː/ تُو
r /r, ɽ/ ر
s /s/ س
sh /ʃ/ ش
t /t/ ت
ts /(t)sʼ/ ط = ɗ
ڟ アラビア語では使わない
u /u/ تُ = o
/uː/ تُو
w /w/ و
y /j/ ي
z /z/ ز
ذ
ʼ /ʔ/ ع

その他

ハウサ語の表記法にはこれまでに提唱されたもの、あるいは「発見」されたと称するものなどが上記以外に少なくとも三通りあるが、いずれも広く普及するには至っていない模様である。

  • 古代文字に由来すると推定され、ニジェール北部のマラディ州で使われているというハウサ語アルファベット[1]。これらの主張には重大な疑いが向けられている。
  • 著述・出版業グループ Raina Kama が 1980年代に始めたとされる書法[2]
  • 1970年代 (?) に提唱された "Tafi" と呼ばれる書法[3]

典拠・脚注

外部リンク


テンプレート:NG-stub テンプレート:NE-stub テンプレート:BJ-stub