ハナミズキ

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ハナミズキ(花水木、学名:Cornus florida)は、ミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属の落葉高木。別名、アメリカヤマボウシ[1]

ハナミズキの名は、ミズキの仲間でが目立つことに由来する。また、アメリカヤマボウシの名は、アメリカ原産で日本の近縁種のヤマボウシに似ていることから。

分布

北アメリカ原産。おもにアメリカ合衆国東海岸からミシシッピ川あたりまで自生しており、山岳部西海岸にはない。アパラチア山脈を南部のジョージア州などで初春に、北部のメイン州などで春の終わりに開花が移動する模様は、「ハナミズキ前線」が日本桜前線のように報道されることもあり、特に南部山岳のブルーリッジ山脈Blue Ridge Parkway)などで野生のハナミズキの花を見る行楽も行われる。通常白い花は、日本の大部分の桜のように、葉が出る前に花を付ける。[2] 南部のジョージア州、ノースカロライナ州などで珍重されていて、栽培種をまるで日本の盆栽のように展示する家庭も多い。

形態・生態

樹皮は灰黒色。

葉は楕円形となっている。には紅葉する。

花期は4月下旬から5月上旬で、白色や薄いピンク色の花をつける。但し、花弁のように見えるのは総苞で、中心の塊が花序である。実際の花は、4弁の直径5mm程度の目立たない花が集合して、順次開花する。

秋につける果実は複合果で、赤い。

人間との関わり

ファイル:Benthamidia florida autumn.jpg
のハナミズキ。紅葉が始まっている。

庭木のほか、街路樹として利用される。栽培する際には、うどんこ病などに注意する。また、アメリカシロヒトリの食害にも遭いやすい。ハナミズキの深刻な病害であるハナミズキ炭疽病の感染地域では、感染によってハナミズキの街路樹が枯死すると、ハナミズキ炭疽病に抵抗性があるヤマボウシまたはハナミズキのヤマボウシ交配品種に植え替える病害対策が行われることがある。

ハナミズキは英語では「犬の木」を意味する「dogwoodドッグウッド」と呼ばれる。この語の語源には諸説あるが、一説には17世紀頃に樹皮の煮汁がイヌの皮膚病治療に使用されたためと言われ、他には、木製のを意味する英古語の「dag」「dog」を作る材料に使われる堅い木であったことからとも言われる。ただし、イヌの皮膚病治療に使ったとされる「dogwood」は、同じミズキ科の植物でもセイヨウサンシュユと考えられており、ハナミズキとは異なる。

日本における植栽

日本における植栽は、1912年に当時の東京市長であった尾崎行雄が、アメリカ合衆国ワシントンD.C.サクラソメイヨシノ)を贈った際、1915年にその返礼として贈られたのが始まり。この話は、1981年改訂版の日本の中学生向け教科書『NEW PRINCE』中3版でもエピソード的に取り上げられた。贈られたハナミズキは全部で60本で、うち白花の苗木が40本、ピンク花の苗木が20本で、日比谷公園小石川植物園などに植えられた。 [3] 原木は第二次世界大戦中にほとんどが伐採されるなどして、戦後小石川植物園で切株が発見されて、その標本が憲政記念館に展示されており [4]、原木は現在東京都立園芸高等学校にしか残っていない[5]。なお、2012年にサクラの寄贈100周年を記念して、再びハナミズキを日本に送る計画が持ち上がっている。

シンボル

日本

アメリカ合衆国

イエス・キリストに関する伝説

イエス・キリストが掛かった十字架にはハナミズキの木が使われて、そのため以前は大きかったこの木は小さくなり、花は4弁で十字架に似ていて、花弁にくぎを刺された傷跡があるという伝説がある。[6] この伝説の出どころはアメリカ合衆国と推察され、「When Christ was on earth, the dogwood grew / To a towering size with a lovely hue.」で始まる詩があり、これは1954年に「The Victoria Advocate」紙(1954年4月18日)に発表されたことまでは分かっている。20世紀よりも前にはない伝説で、キリスト教聖書には書かれておらず、またハナミズキは北アメリカ原産でイスラエルには自生していない。 [7]

ハナミズキを題材とした作品

脚注

参考文献

  • 茂木透写真 『樹に咲く花 離弁花2』 高橋秀男・勝山輝男監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2000年、646-647。ISBN 4-635-07004-2。

関連項目

外部リンク