ペリカン便

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取次店に掲出されていた看板(東京都北区

ペリカン便(ペリカンびん)は、かつて展開されていた宅配便事業および商品の名称である。

2009年3月までは日本通運が、同年4月から2010年6月まではJPエクスプレスが事業を行っていた。基本的には「ゆうパック」に統合されサービスを終了しているが、一部のサービスについては統合後も日通航空扱いを含む日本通運(日通)が継続している。

概要

日本通運における宅配便事業のブランドとして設置されたが、日通全体としてはこの部門の収益性が良くなかった。また、郵便事業(現日本郵便)は日通と同じくゆうパックブランドで宅配便事業を行っていたが、ヤマト運輸佐川急便の2社のシェアが圧倒的であったため、ゆうパックの収益向上の必要性に迫られていた。両社の利益が一致する形で、受け皿となる合弁会社 JPエクスプレス(略称 JPEX)を設立し、ペリカン便は同社のブランドとなっていた。しかし、日通のイメージが強い印象があるためか、2009年10月頃から、JPエクスプレス宅配便と称することが多くなり、後述のように同年11月ごろから配布されている送り状からのペリカン便マークも姿を消している。

なお、ペリカン便では扱えないサイズ・重量の荷物を扱う、「貨物」扱いのサービスとして、「アロー便」というサービスが日通に存在するが、こちらは2009年4月以降も日通によるサービスのままである。また、スーパーペリカン便・海外ペリカン便などの日通航空扱いの商品、他法人向けの一部部門などについてはJPEXへ移管されない。

また、台湾東元集団(TECOグループ)へのライセンス供与という形で、現地で「宅配通」(PELICAN)の名称でサービスを行っている。

JPEXへの移行に伴う暫定処置

なお、JPEXへの移管に伴い、ペリカン便関連の電話番号については、フリーダイヤルから新たにKDDIフリーコール番号に変更されている(携帯電話からの問い合わせ用は、NTTコミュニケーションズナビダイヤルが別途設置されている)が、各営業店の番号は概ね、従前の日通のPA支店・営業所番号を継承している。今後、事業統合や郵便事業への集配業務の一部委託へ向けて、一部日通委託拠点の直轄化や再委託拠点の見直しなどをはかっていく方針としていた。

営業店名称は、概ね、直轄店舗(主に統括支店併設拠点)が「支店」、日通委託店舗は従来通り「ペリカンセンター(PC)」または「日通の支店・営業所名」、他社委託(正確には、日通による再委託)拠点は従来通り受託企業の社名そのもの(一部は、ペリカンセンターとなっているケースもあるが、正確には受託社名が頭に付く)となる。一部で「営業所」となっている拠点があるが、こちらについては直轄・委託の区分については両方のケースがあり事業所名称だけ見ただけでは不明確。原則的には、次のようになる(括弧内の名称はない場合もある。なお、2009年9月末までの拠点形態で、同年10月の新ブランド開始以降の形態については現時点では未定)。なお、直轄拠点であっても、上述のように日通と設備を共用しているケースもある(統括支店のケースでは、共用であってもアローセンターのみだが、それ以外の拠点は、他の事業を含めた全部を共用しているケースもある)。

  • ○○統括支店△△支店…直轄
  • ○○統括支店××ペリカンセンター…日通への委託(ただし、一部拠点は、2009年9月より以前に「ペリカンセンター」から「支店」に移行し、JPEXの直轄拠点化している)
なお、店舗検索で「○○PA(支)店××ペリカンセンター」と表示されるものは、「○○統括支店××ペリカンセンター」の誤り[1]
  • ○○統括支店△△支店××営業所…拠点により、直轄拠点と日通への委託と両方ある
  • △△支店(××営業所・××営業支店・××ペリカンセンター)…ここでの「支店」は「日通の支店」を指すため、日通委託拠点である
  • □□通運・□□運輸(××ペリカンセンター)…日通から再委託された事業者の拠点(□□通運・□□運輸は、再委託事業者名。当然ながら、「通運」・「運輸」とは限らない)

当初ゆうパックとのブランド統一を予定していた2009年10月より、一部拠点の再編が行われ、概ね次のようになった。

  • ○○統括支店○○広域支店…主に、郵便事業統括支店へ併設された委託拠点(例・宮城統括支店宮城広域支店であれば、委託先拠点は郵便事業新仙台支店となり、連絡先電話番号も同新仙台支店窓口課と同一。ただし、青森広域支店など、郵便事業の統括支店ではなく、JPEXのターミナル拠点である統括支店に併設されるケースも一部ある。この場合の電話番号は、統括支店に併設された一般支店の番号を共用)
  • ○○統括支店△△支店…直轄(この時点でも、日通施設との共用拠点もあり)
  • ○○統括支店××ペリカンセンター…日通への委託
  • ○○統括支店△△支店××営業所…拠点により、直轄拠点と日通への委託と両方ある

運送車両については、JPEXの事業開始に合わせて新デザインのものが採用されているが、従前の一部日通車両については、日通社名と旧集荷フリーダイヤル番号部分を、JPEX社名や新フリーコール番号が書かれたステッカーでマスクしただけの車両が見られる。

拠点については上述の通りだが、配達員については直轄の拠点であっても委託配達員となるケースがあり、既に日通時代の委託配達員がJPEX移行後のペリカン便に加え、ゆうパックを配達している事例も見られる。2009年9月以前の時点で、既に、郵便事業の赤色塗装仕様の軽ワゴン車に「JPエクスプレス宅配便」のステッカーを貼り付け、郵便事業のゆうパック配達員用制服(郵便事業の内勤職員および郵便物配達員の制服とは別)に類似した作業着を着た配達員がペリカン便あるいはゆうパックを配達する事例もある。

2009年9月11日郵便事業が発表した統合延期に伴い、2009年10月1日より、一部地域のペリカン便の集配業務を郵便事業の一部支店へ委託することになった(この時点での具体的な方法は上述の通り)。その代わり、料金後納扱いのゆうパックの利用者に対し、ペリカン便を利用する「JPEX掛売」へ移行するようアナウンスを開始する。

ゆうパックへの移行に伴う処置

しかし、JPEXの赤字拡大がとまらない事もあり、統合方針を見直しすることとなったため、2010年7月1日を目処に、郵便事業がJPEXの事業の譲受することになり、ペリカン便のサービスレベルを取り入れた「ゆうパック」として、宅配便事業を統一することが、2009年12月24日付で発表され、郵便事業による譲受の後、速やかにJPEXを清算する方向であることが明らかになった。これにより、一般のペリカン便ブランドは消滅を見ることになった。

なお、コールセンターのフリーコール番号・配達時間帯指定・セキュリティサービスなどは、郵便事業の譲受により、ゆうパックへ継承されている。JPEX名の送り状については、当面はゆうパック用のものと同様、一部のサービス専用のものを除けば従前どおり利用可能としている(日通名となっている送り状については、システムの変更があるため使用不可となった)。

なお、今般の措置にともなって、ゆうパック側ではJPEXのラベル仕様を継承した元払Aラベルと元払Bラベルが新設されている(「元払」がつくAとBの違いは、取次店控えの有無、よって、従前からのゆうパックB-2ラベルとBラベルの相違点とほぼ同様。JPEXから継承したラベルと従来からのラベルの相違点は、到着通知ハガキの設定がない部分(代わりに、受取人控え片がある)とラベルサイズに止まり、それ以外の点はほぼ同一の利用が可能)。そのため、従来のゆうパックのAラベルは、Cラベルに統合される形となった(旧来のゆうパックAラベルは、Cラベルに挿入されている取扱店控えがないものであった)。着払ラベルは従来のゆうパックベースのものに一本化している。

コンビニエンスストアでの扱い

一部コンビニで、ペリカン便の取扱を行っている。ただし、JR東日本系のNEWDAYSでは、地域によっては他社の宅配便サービスを取り扱っているところもあった。

日通時代には、ゆうパックと併売している形で取り扱っているチェーンも一部で見られた(デイリーヤマザキam/pmなど)。これは、日通がゆうパックの集荷も一緒に取扱い、日通が郵便事業の支店へ一括して差し出すという形式を取っていたことに起因する。このため、日本郵政公社時代に公開されていたゆうパックの取扱店リストに、コンビニや一般の取扱店に加え、日通のペリカン・アロー支店ないしはペリカンセンターが含まれていた。

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日本通運からJPエクスプレスにかけての「ペリカン便」ラベルの変遷

なお、JPEXへの移行に伴い、送り状が2006年以降に発行されたものをベースに新調され、「取扱店・CVS用」の元払い送り状と着払い送り状については、4桁ごとに送り状番号がハイフンで分けられている「ゆうパック」の送り状や、2005年以降に発行された「宅急便」の送り状同様、引き受け店控えでは差出人名と受取人名以外の個人情報以外の情報をマスクする処理がされているが、集荷・JPEX直営の取次所などで利用されている元払いの送り状については従前通りとなっている。同様に、新たに同一宛先割引適用のために、前回の伝票番号の記載欄が新たに設けられ、さらに同一割引の使用済み印の欄が左隅のペリカンマークの下に設けられた。

沿革

  • 1977年 - 日本通運が「ペリカンBOX簡単便」の取り扱いを開始
  • 1981年 - 「ペリカンBOX簡単便」の名称を「ペリカン便」に改称
  • 1982年 - 海外ペリカン便の取扱を開始
  • 1991年 - スーパーペリカン便の取扱を開始
  • 1999年 - 集荷専用フリーダイヤルの稼働開始
  • 2000年 - クールペリカン便の冷凍扱いを開始
  • 2005年 - 新「お届け指定サービス」の取扱開始
  • 2008年6月2日 - ペリカン便の受け皿会社として、JPエクスプレスが設立
  • 2009年
    • 4月1日 - 日本通運の宅配便事業をJPエクスプレスが吸収分割にて継承したことに伴い、ペリカン便の事業会社が日本通運からJPエクスプレスに変更(ただし、スーパーペリカン便・海外ペリカン便などは残存)
    • 10月1日 - 一部地域のペリカン便集配業務を郵便事業へ委託し、受託された郵便事業の統括支店(一部の地域では、JPエクスプレスの統括支店の位置)にはJPエクスプレスの広域支店を併設
  • 2010年7月1日 - 郵便事業がJPEXよりペリカン便事業を譲受し、以降はペリカン便のサービスレベルをベースとした「ゆうパック」ブランドで運営されるため、一般の「ペリカン便」は廃止されたが、ゆうパック統一直後は全国的な遅配が発生した。

ペリカン便の種類

日本通運時代

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日通時代の「ペリカン便」トラック(いすゞビギン
  • 日通のペリカン便
  • ゴルフペリカン便(個人向け)
  • スキーペリカン便(個人向け)
  • 空港ペリカン便(個人向け)
  • クールペリカン便
  • コレクトペリカン便(法人向け)
  • スーパーペリカン便日通航空扱い)
  • 海外ペリカン便(日通航空扱い)

JPEX時代

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JPエクスプレスのシールが貼られた「ペリカン便」トラック(いすゞエルフ
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JPエクスプレスのシールが貼られた「ペリカン便」トラック(ゆうパック移行直前)(トヨタクイックデリバリー200
  • JPエクスプレスのペリカン便
  • ゴルフペリカン便(個人向け)
  • スキーペリカン便(個人向け)
  • 空港ペリカン便(個人向け)
  • クールペリカン便
  • セキュリティサービス
  • コレクトペリカン便(法人向け)

スーパーペリカン便や海外ペリカン便などは、2009年4月以降も引き続き日通の事業(一部を除き、日通航空扱い)である。なお、クールペリカン便は、スーパーペリカン便扱いのクール便として、日通航空扱いとなるものが存在する。

脚注

  1. PA店(ペリカン・アロー支店)は、2009年3月まで、日通に存在した支店組織の一つで、同支店のペリカン便部門がJPEXへ移行したことに伴い廃止され、残ったアロー便部門は、従来の日通の近隣の支店の下の組織として新設された「アローセンター」の管轄となっている。ペリカンセンターは、2009年3月までは、日通のPA店のペリカン便部門、2009年4月以降は、JPEXが委託した日通ないしは日通による再委託事業者が管轄する事業所名の一つとなっている。

関連項目

外部リンク

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