ルテニウム

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ルテニウム: ruthenium)は原子番号44の元素元素記号Ru。漢字では釕(かねへんに了)と表記される。白金族元素の1つ。貴金属にも分類される。銀白色の硬くて脆い金属(遷移金属)で、比重は12.43、融点は2500 °C沸点は4100 °C(融点、沸点とも異なる実験値あり)。常温、常圧で安定な結晶構造は、六方最密充填構造 (HCP)。酸化力のあるに溶ける。王水とはゆっくり反応。希少金属である。

用途

触媒
オスミウムとの合金が、万年筆などのペン先(ニブポイント)に使われる。有機化学分野においては不飽和結合を水素化する際の触媒として多用される。不斉要素を持った配位子を配位させることによって面選択的な水素化も実現しており、この技術を開発した野依良治教授が2001年のノーベル化学賞を受賞している。四酸化ルテニウム過ルテニウム酸塩などは酸化剤として多用される。またルテニウムのカルベン錯体は二重結合同士を組み替えるメタセシス反応の触媒となり、中でも近年開発されたグラブス触媒は近年の有機合成分野に革命的な変化をもたらしている。グラブスらは、メタセシス反応により有機合成化学のみならず、多様な分野に与えた革新的な業績が評価され、2005年のノーベル化学賞を受賞した。また、アンモニア合成の際の三重促進鉄触媒に代わる触媒[1]として利用されている。
電解工業
DSA電極にRuO2の形でコーティングされ電解の効率化に役立っている。これは塩素過電圧、酸素過電圧が他と比べ低い事、耐食性が優れている性質を利用している。
磁性材
HDDの容量増大の目的でも用いられている。具体的には、数原子層のルテニウムを記録層の間に挟むことで反強磁性的結合状態をつくり、磁化の方向(0/1の記録に対応)を安定化している。この手法により、ビットサイズを小さくした際の超常磁性効果によってもたらされる、記録の熱的不安定性を抑制することが可能となる。

歴史

ベルセリウス (J. J. Berzelius) とオサン (G. W. Osann) が1828年に存在を予測し命名。1844年にクラウス (K. Klaus) の研究により単体分離に成功、存在が証明された[2]ラテン語ルーシを表すルテニアが元素名の由来[3]

ルテニウムの化合物

同位体

自然ルテニウム

1973年に北海道雨竜川で、ルテニウムを最も含む白金族元素の合金が発見され、命名規則から自然ルテニウム (Ruthenium) と登録された。日本で発見された初の元素鉱物新鉱物である。

脚注

  1. 江崎正直、アンモニア合成 (PDF)
  2. 桜井弘 1998, p. 214.
  3. イラスト周期表「ルテニウム」”. 愛知教育大学 科学・ものづくり教育推進センター. . 2016閲覧.

参考文献


テンプレート:ルテニウムの化合物