健康増進法

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健康増進法
日本の法令
通称・略称 なし
法令番号 平成14年8月2日法律第103号
効力 現行法
種類 医事法
主な内容 健康の保持・増進
関連法令 歯科口腔保健の推進に関する法律など
条文リンク 総務省法令データ提供システム
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健康増進法(けんこうぞうしんほう、平成14年8月2日法律第103号)は、国民の健康維持と現代病予防を目的として制定された日本法律。平成13年に政府が策定した医療制度改革大綱の法的基盤とし、国民が生涯にわたって自らの健康状態を自覚するとともに健康の増進に努めなければならないことを規定したものである。

概説

従来の栄養改善法(廃止)に代わるもので、第5章以降は栄養改善法の条文を踏襲している。第1章から第4章までは新たに設けられたものである。健康増進法で加わった条文では、「国民は…生涯にわたって…健康の増進に努めなければならない」とするなど、健康維持を国民の義務としており、自治体や医療機関などに協力義務を課しているなどの特徴がある。

2条は、国民は生涯にわたって健康の増進に努めなければならないとする。5条は、国、地方自治体、健康保険者、医療機関などに協力義務を課す。7条は、厚生労働大臣は、国民の健康の増進のための基本的な方針を定めるとする。

構成

  • 第1章 総則(第1条―第6条)
  • 第2章 基本方針等(第7条―第9条)
  • 第3章 国民健康・栄養調査等(第10条―第16条の2)
  • 第4章 保健指導等(第17条―第19条の4)
  • 第5章 特定給食施設等
    • 第1節 特定給食施設における栄養管理(第20条―第24条)
    • 第2節 受動喫煙の防止(第25条)
  • 第6章 特別用途表示等(第26条―第33条)
  • 第7章 雑則(第34条・第35条)
  • 第8章 罰則(第36条―第40条)
  • 附則

内容

健診事業

本法により、従来の老人保健法に基づく健康診断事業は廃止された。代わって、65歳以上を対象にした介護予防健診が2006年度(平成18年度)から開始され、市町村の新しい義務として、特定高齢者把握事業を行い、国の基準に該当するものに対して介護予防事業を行うことが定められた。

また、65歳未満の国民に対しては、2008年度(平成20年度)から、特定健診事業が開始される予定である。ここでは、腹囲が大きく血液検査に異常値を持つ者をメタボリックシンドローム該当者ないしは予備群として選び出すことと、これらの者に特定保健指導を行うことの二点を、健康保険者に義務づけている。

受動喫煙防止

第25条では、多数の者が利用する施設の管理者に対し、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう求めており、努力規定を制定している。この条文に違反しても、法令上なんの罰則はない。なお、厚生労働省健康局長通知により[1]、本条の制定趣旨、対象となる施設、受動喫煙防止措置の具体的方法を明示しているが、法的強制力はない。

2017年(平成29年)には、建物内での原則禁煙などを盛り込んだ厚生労働省提出の改正案が、第193回国会に提出される筈だったが[2][3]、自民党厚生労働部会内で議論が紛糾し、厚生労働大臣塩崎恭久が強硬姿勢を崩さず、閣議決定や国会審議の目処すら立たないまま[4]、国会に改正案が提出される事なく、自民党内だけで議論が終了した[5]


特別用途表示、栄養表示基準

第26条からは、特定保健用食品(トクホ)制度を定めている。所管は消費者庁に移管された。

原則屋内禁煙の改正

2020年東京オリンピックパラリンピックに向けた受動喫煙対策を推進するため、2017年(平成29年)にはスナックやバーなど延床面積30平方メートル以下の小規模飲食店を除く、全ての飲食店で原則禁煙とし、悪質な施設管理者に50万円以下の罰金や違反して喫煙した者に、30万円以下の過料を科すなどの内容が盛り込んだ改正案が、第193回国会に提出される筈だった[2][3]

しかし、自民党厚生労働部会で「非現実的だ」「五輪のためなら東京だけでやれ」と反対論が噴出し、自民党の部会でも了承されず、安倍内閣での閣議決定が出来無い状態が続いたまま[4]、閣議決定される事もなく、第193回国会では国会に健康増進法改正案の提出さえ出来ずに議論は終了した[5]

2018年(平成30年)7月の第196回国会において、前回より緩和された原則禁止の法案が可決された。

所管

健康増進法の主務官庁は厚生労働省である。消費者庁発足後は、表示関係を同庁が所管している[6][7]

関連項目

脚注

外部リンク