冲方丁

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冲方 丁(うぶかた とう、1977年2月14日 - )は、日本小説家脚本家日本SF作家クラブ会員。

概要

1977年、岐阜県各務原市生まれ。4歳から9歳までシンガポール、10歳から14歳までネパールで過ごす。その後、埼玉県立川越高等学校に入学。1996年、早稲田大学在学中に『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞し小説家デビュー。早稲田大学第一文学部中退。小説のみならずメディアを限定せず幅広く活動を展開する。日本SF作家クラブ会員。『マルドゥック・スクランブル』で日本SF大賞、『天地明察』で吉川英治文学新人賞本屋大賞舟橋聖一文学賞、北東文芸賞を受賞し、第143回直木賞にノミネートされた。『光圀伝』で第3回山田風太郎賞受賞。

家族は妻と息子と娘の4人家族。自宅は福島県福島市にあるが、2011年3月11日に発生した東日本大震災により母と妹夫婦の住む北海道池田町に避難した。しかし後に福島に戻っている[1][2]

2014年7月17日、自身の作品の二次創作を一定のルールの下で全面解禁することをブログ上で発表した[3][4]

2015年8月24日、別居中の妻への傷害容疑で逮捕される[5](のちに不起訴処分)。この事件の影響により、水戸市は予定していたNHKへの『光圀伝』の大河ドラマ化要望を見送った[6]。冲方は留置場内での生活を「閉じ込められた9日間」として「週刊プレイボーイ」誌上で発表した[7][8]。冲方自身は、訴える側の視点から見て何をドメスティックバイオレンスと解釈するかは難しいとしつつも、自分が暴力を振るった事実はなく、この逮捕は「警察の勇み足」であったと主張している[9]

2016年、『十二人の死にたい子どもたち』で第156回直木賞候補。

年に不定期でイベント「冲方サミット」を開催しており、出版関係者を交えて刊行作の紹介や執筆予定作品についてのトークを行う。

ペンネームの由来

の用語を並べたもの。生まれたのが1977年(丁巳)で、「」は火が爆ぜるという意味だったので、それに対して「冲[10]」(氷が割れる音を意味する言葉)を持ってきた。「方」は職業の意。冷静さと熱意、それを職業にしていくという意味がある[11]

作風

サイエンス・フィクションを中心に執筆する。

小説で影響を受けた作家は、夢枕獏栗本薫。そのあまりに強い影響=呪縛から逃れるために、デビュー作執筆の際には、夢枕の『上弦の月を喰べる獅子』を鋸で裁断し、栗本の『魔界水滸伝』は学校の焼却炉に放り込んだ、と語っている[12]

少年時代を海外で暮らし日本語に飢えていたことから、日本語の表記にこだわりを持っており、凝った表記や趣向を凝らした文体を作中に好んで用いるようになった。

ばいばい、アース』では造語をふんだんに用いた独特の言語センスと世界設定で注目を集める。

SF界隈での評価を高めた『マルドゥック・スクランブル』は黒丸尚による翻訳作品を意識した文体が用いられており、とりわけ終盤のギャンブルシーンの描写は絶賛されている。一方、前日譚である『マルドゥック・ヴェロシティ』では、記号の「/」や「=」を用いた「クランチ文体」が使用されており、異常な人格・おどろおどろしい風体を持ったサイボーグによる能力バトルが繰り広げられるというジェイムズ・エルロイ山田風太郎を意識したものとなっている。

また、角川書店富士見書房から刊行されているシュピーゲル・シリーズではライトノベルでありながら身体障害人種差別宗教紛争といった重いテーマが取り上げられている。

『ばいばい、アース』のラブラック=ベル、『マルドゥック・スクランブル』のルーン・バロット、『シュピーゲル・シリーズ』の涼月・ディートリッヒ・シュルツなど戦闘美少女が主役に据えられることも多い。

作品リスト

小説

評論・ノンフィクション

共著

  • 『にすいです。 冲方丁対談集』角川書店、2013年2月
  • 『決戦!関ヶ原』講談社、2014年11月
  • 『決戦!大坂城』講談社、2015年5月
  • 『決戦!本能寺』講談社、2015年11月
  • 『決戦!川中島』講談社、2016年5月
  • 『決戦!桶狭間』講談社、2016年11月

アンソロジー収録作品

  • 「月の無い夜の天使祝詞(アヴェマリア)」(『運命の覇者』収録、角川書店、1997年)
  • 「雁首仲間」(『サイドストーリーズ』収録、角川文庫、2015年3月)(『天地明察』のスピンオフ)
  • 「オーガストの命日」(『マルドゥック・ストーリーズ』収録、ハヤカワ文庫JA、2016年9月)

漫画原作

アニメ

ゲーム

テレビ・ラジオ出演

脚注

  1. “作家冲方丁さんが一時避難”. 十勝毎日新聞社. (2011年3月27日). http://www.tokachi.co.jp/news/201103/20110327-0008498.php . 2016閲覧. 
  2. “【新・仕事の周辺】冲方丁(作家) 福島に戻るたび思うこと”. 産経新聞・産経デジタル. (2012年12月9日). オリジナル2013年1月5日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130105161603/http://sankei.jp.msn.com/life/news/121209/bks12120908000002-n1.htm . 2016閲覧. 
  3. “冲方丁さん、自作の2次創作“全面解禁”を提案 「グレーゾーン」ではないあり方の模索”. ITmedia. (2014年7月17日). http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1407/17/news134.html . 2016閲覧. 
  4. ☆本日のお話・二次創作について考えた③☆”. ぶらりずむ黙契録(冲方本人によるブログ) (2014年7月17日). . 2016閲覧.
  5. 【本人には】本日のお知らせ【通知されず】”. ぶらりずむ黙契録(冲方本人によるブログ) (2015年10月17日). . 2016閲覧.
  6. “光圀伝の大河ドラマ化、水戸市が要望見送り 作者・冲方丁容疑者逮捕受け”. 産経新聞. (2015年8月27日). http://www.sankei.com/region/news/150827/rgn1508270016-n1.html . 2016閲覧. 
  7. 妻へのDV容疑で逮捕された作家・冲方丁が独占手記を発表。警察と検察への怒りと疑義”. 週プレNEWS(集英社) (2015年11月30日). . 2016閲覧.
  8. 冲方丁 『冲方丁のこち留 こちら渋谷警察署留置場』 集英社インターナショナル、2016年。ISBN 978-4797673319。
  9. 冲方丁 (2016年8月30日). まさかの逮捕から1年。人気作家・冲方丁が留置場での驚愕体験を「笑える手記」にした理由. (インタビュー). 週プレNEWS.. http://wpb.shueisha.co.jp/2016/08/30/71178/ . 2016閲覧. 
  10. 水部(さんずい)の「沖」ではなく冫部(にすい)である
  11. 活字倶楽部2004年春号 インタビュー記事
    とくダネ! - フジテレビ とく撮 中野実奈子の100問100答コーナー 5月14日分より
  12. ぶらりずむ黙契録: ☆本日限りの回答☆
  13. “シュヴァリエ スタッフ・キャスト”. Production I.G. http://www.production-ig.co.jp/works/chevalier/staff-cast-info.html . 2016閲覧. 
  14. J-WAVE ANA WORLD AIR CURRENT

外部リンク


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