北上線

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北上線(きたかみせん)は、岩手県北上市にある北上駅秋田県横手市にある横手駅を結ぶ、東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線地方交通線)である。

路線データ

  • 管轄(事業種別):東日本旅客鉄道(第一種鉄道事業)・日本貨物鉄道第二種鉄道事業
  • 区間(営業キロ):北上駅 - 横手駅 61.1km[1]
  • 軌間:1067mm
  • 駅数:17(起終点駅含む)[1]
    • 北上線所属駅に限定した場合、起終点駅(北上駅は東北本線、横手駅は奥羽本線の所属[2])が除外され、15駅となる。
  • 複線区間:なし(全線単線
  • 電化区間:なし(全線非電化
  • 閉塞方式:特殊自動閉塞式(軌道回路検知式)
  • 保安装置:
  • 運転指令所
    • 北上駅 - 横手駅間 盛岡総合指令室(CTC
    • 横手駅構内は秋田輸送指令の管轄。
  • 最高速度:85km/h
  • 最急勾配:20.0(和賀仙人 - ゆだ錦秋湖間など)

北上駅 - ゆだ高原駅間は東日本旅客鉄道盛岡支社、黒沢駅 - 横手駅間は東日本旅客鉄道秋田支社の管轄である。

平均通過人員

各年度の平均通過人員(人/日)は以下の通り[3]

  • 北上駅 - ほっとゆだ駅間
    • 1987年度:1,413人
    • 2011年度:580人
    • 2012年度:578人
    • 2013年度:543人
    • 2014年度:484人
    • 2015年度:465人
  • ほっとゆだ駅 - 横手駅間
    • 1987年度:813人
    • 2011年度:154人
    • 2012年度:152人
    • 2013年度:155人
    • 2014年度:132人
    • 2015年度:131人

運行形態

小松川駅・平石駅・矢美津駅を通年通過する快速列車と、各駅に停車(ただし冬期〈12月1日 - 翌年3月31日〉は平石駅・矢美津駅を通過)する普通列車が設定されている。快速列車は北上駅 - 横手駅間で下り4本と上り2本運転されており、うち上り1本は北上駅から東北本線一ノ関駅まで乗り入れている(東北本線内は普通列車)。普通列車は北上駅 - 横手駅間の列車が4往復、北上駅 - ほっとゆだ駅間の列車が2往復、北上駅 - 藤根駅間の列車が月 - 土曜日(祝日を除く)に1往復運転されている。キハ100系気動車によるワンマン運転を行っている。

臨時列車

岩手・秋田県際交流事業実行委員会の主催で、2002年から2004年までの秋に蒸気機関車D51 498牽引で「SL錦秋湖号」が運転された。また、2006年には「びゅうコースター風っこ」を使用したトロッコ列車も運転された。

運転実績

使用車両

歴史

西横黒軽便線東横黒軽便線として開業し、1924年11月15日の全線開業の際に横黒線(おうこくせん)となった[4]。「横黒」は、横手と黒沢尻(現在の北上)の頭文字を取ったものである[4]

黒沢尻駅は1954年3月25日に北上駅に改称されたが、横黒線が北上線に改称されたのは1966年10月20日であった[4]

1962年には、沿線で湯田ダムが建設されるのに伴い、岩沢 - 陸中川尻間の15kmほどでルート変更を行っている(ダム完成は1964年)[4]。この際に大荒沢駅のみは信号場に変更となり、駅は廃止された[4]。現在でも旧線の遺構は和賀仙人駅周辺や湯田ダムのダム湖である錦秋湖の湖底に残っており、錦秋湖の渇水期にはトンネルやロックシェードなどが湖面に現れることもある[5]

現在は地域輸送が需要の中心となっているが、東北本線奥羽本線を結ぶ路線の中でも線形が良く、陸羽東線や電化前の田沢湖線と異なりD60形DD51形といった大型の機関車が入線できたことから、勾配区間の多い奥羽本線の輸送力を補う目的で東北本線直通の貨物列車が運転されていたほか、東北新幹線開業前は、仙台 - 秋田間の最短ルートとして広域輸送を担い、特急「あおば」、急行「きたかみ」といった優等列車も運転されていた。また、東北新幹線開業後にも山形新幹線の工事が始まった1990年以降は臨時夜行急行「おが」が当線を経由する形で1994年まで運転され、秋田新幹線工事による田沢湖線運休時に特急「秋田リレー号」が運転されていた。

災害時などには優等列車、特に夜行列車の迂回経路として用いられることも多く、過去には主として特急「あけぼの」に代表される奥羽本線経由の列車が横手以南の不通時に通過したほか、東北本線の全線電化前には特急「はくつる」・「ゆうづる」といった東北本線経由の列車を通したことも[6]あった。秋田新幹線開業(1997年)や山形新幹線の新庄延伸(1999年)によって仙山線や田沢湖線経由での直通迂回運転が不可能になる中で、東北本線と日本海側との数少ない連絡路線として使用されている。2011年8月10日 - 12日には、平成23年7月新潟・福島豪雨によって運休となっていた特急「あけぼの」が、東北本線・北上線経由にて迂回運転されている[7]

東横黒線

  • 1921年大正10年)
    • 3月25日東横黒軽便線黒沢尻駅 - 横川目駅間 (14.3km) が開業[4]。藤根駅、横川目駅が新設される[4]
    • 11月18日:横川目駅 - 和賀仙人駅間 (7.3km) が延伸開業[4]。岩沢駅、和賀仙人駅が新設される[4]
  • 1922年(大正11年)9月2日:路線名が東横黒線に改称される[4]
  • 1923年(大正12年)4月15日:江釣子駅が新設される[4]
  • 1924年(大正13年)10月25日:和賀仙人駅 - 大荒沢駅間(3.7km)が延伸開業[4]。大荒沢駅が新設される[4]

西横黒線

  • 1920年(大正9年)10月10日西横黒軽便線横手駅 - 相野々駅間 (7.7km) が開業[4]。相野々駅が新設される[4]
  • 1921年(大正10年)11月27日:相野々駅 - 黒沢駅間 (9.1km) が延伸開業[4]。黒沢駅が新設される[4]
  • 1922年(大正11年)
    • 9月2日:路線名が西横黒線に改称される[4]
    • 12月16日:黒沢駅 - 陸中川尻駅間 (9.1km) が延伸開業[4]。陸中川尻駅が新設される[4]

全通後

  • 1924年(大正13年)11月15日:大荒沢駅 - 陸中川尻駅間 (9.1km) が延伸開業し、黒沢尻駅 - 横手駅間が全通[4]。西横黒線が東横黒線に編入され、路線名が横黒線に改称される[4]。陸中大石駅が新設される[4]
  • 1948年昭和23年)12月25日:岩手湯田駅が新設される[4]
  • 1951年(昭和26年)
    • 4月:小松川仮乗降場が新設される[4]
    • 12月25日:小松川仮乗降場が駅に変更され、小松川駅となる[4]
  • 1954年(昭和29年)11月10日:黒沢尻駅が北上駅に改称される[4]
  • 1962年(昭和37年)12月1日湯田ダム建設により、岩沢駅 - 陸中川尻駅間の線路が付け替えられる[4]。これにより同区間が改キロされ (+0.8km)、和賀仙人駅と陸中大石駅が移転される[4]。また、大荒沢駅が廃止され、大荒沢信号場が新設される[4]
  • 1963年(昭和38年)
    • 5月15日:柳原駅、立川目駅が新設される[4]
    • 7月15日:平石駅、矢美津駅が新設される[4]
  • 1966年(昭和41年)10月20日:路線名が北上線に改称される[4]
  • 1967年(昭和42年)3月19日:この日のD60形を最後に、蒸気機関車運転が廃止される[4]
  • 1970年(昭和45年):大荒沢信号場が廃止される[4]
  • 1986年(昭和61年)10月30日:翌日からのダイヤ改正に伴う貨物列車の廃止・経路変更により、2往復が設定されていた貨物列車が廃止される[8]
  • 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により、全線を東日本旅客鉄道(JR東日本)が承継[4]。また、全線の貨物営業が廃止される。
  • 1989年平成元年)10月1日:全線で、日本貨物鉄道(JR貨物)による第二種鉄道事業開始。貨物列車1往復の運転再開。
  • 1990年(平成2年)3月13日キハ100系気動車を導入。
  • 1991年(平成3年)
    • 3月16日:ワンマン運転開始。
    • 6月20日:陸中大石駅がゆだ錦秋湖駅、陸中川尻駅がほっとゆだ駅、岩手湯田駅がゆだ高原駅に改称される[4]
  • 1994年(平成6年)10月1日:全線が特殊自動閉塞(軌道回路検知式)・CTC化される。これにより、和賀仙人駅・黒沢駅が無人化、相野々駅が簡易委託化される。
  • 1996年(平成8年)3月30日:田沢湖線改軌工事(秋田新幹線運転開始に伴うもの)に伴う全面運休に伴い、代替として北上線経由で特急「秋田リレー」を、翌1997年(平成9年)3月21日まで運転[9][10][11]
  • 1999年(平成11年)12月4日:快速「きたかみ」廃止[12][13]
  • 2001年(平成13年)4月1日:黒沢駅 - 横手駅間の管轄を盛岡支社から秋田支社に移管する。
  • 2010年(平成22年)3月14日:貨物列車の運行を休止。
  • 2013年(平成25年)3月16日:全列車がワンマン運転となる。
  • 2016年(平成28年)12月1日:平石駅・矢美津駅が冬季期間(12月1日 - 翌年3月31日)全列車通過となる[14]
  • 2017年(平成29年)3月4日:快速列車(愛称なし)運転開始[15]

駅一覧

  • 停車駅
    • 快速… ●:停車、|:通過
    • 普通… ●:停車、▲:冬期(12月1日 - 翌年3月31日)は通過、冬期以外は停車。
  • 線路(全線単線) … ◇・∨・∧:列車交換可、|:列車交換不可
駅名 駅間営業キロ 累計営業キロ 普通 快速 接続路線 線路 所在地
北上駅 - 0.0 東日本旅客鉄道:■ 東北新幹線東北本線 岩手県 北上市
柳原駅 2.1 2.1  
江釣子駅 3.1 5.2  
藤根駅 3.2 8.4  
立川目駅 3.7 12.1  
横川目駅 2.2 14.3  
岩沢駅 3.8 18.1  
和賀仙人駅 2.2 20.3  
ゆだ錦秋湖駅 8.5 28.8   和賀郡
西和賀町
ほっとゆだ駅 6.4 35.2  
ゆだ高原駅 3.9 39.1  
黒沢駅 5.2 44.3   秋田県
横手市
小松川駅 5.3 49.6  
平石駅 2.0 51.6  
相野々駅 1.8 53.4  
矢美津駅 3.2 56.6  
横手駅 4.5 61.1 東日本旅客鉄道:奥羽本線

廃駅

  • 大荒沢駅:和賀仙人駅 - 陸中大石駅(現在のゆだ錦秋湖駅)間。1962年12月1日の新線移設時に信号場に変更。1970年廃止。

脚注

  1. 1.0 1.1 引用エラー: 無効な <ref> タグです。 「sone 13」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません
  2. 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』JTB 1998年
  3. 路線別ご利用状況(2011〜2015年度) (PDF) - 東日本旅客鉄道
  4. 4.00 4.01 4.02 4.03 4.04 4.05 4.06 4.07 4.08 4.09 4.10 4.11 4.12 4.13 4.14 4.15 4.16 4.17 4.18 4.19 4.20 4.21 4.22 4.23 4.24 4.25 4.26 4.27 4.28 4.29 4.30 4.31 4.32 4.33 4.34 4.35 4.36 『歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』 通巻21号 釜石線・山田線・岩泉線・北上線・八戸線 23頁
  5. 『歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』 通巻21号 釜石線・山田線・岩泉線・北上線・八戸線 22頁
  6. 交友社鉄道ファン』1967年8月号 No.74 P.38 - P.39
  7. あけぼの、北上線走る 新潟の豪雨で迂回”. 秋田魁新報社 (2011年8月12日). . 2011閲覧.
  8. 交友社『鉄道ファン』1987年3月号 No.311 P.108
  9. 日本鉄道旅行歴史地図帳 2号―全線全駅全優等列車 東北・列車年表、p.37-38。
  10. 『歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』 通巻21号 釜石線・山田線・岩泉線・北上線・八戸線 23頁
  11. 日本鉄道旅行歴史地図帳 2号―全線全駅全優等列車 東北・列車年表、p.46。
  12. 『歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』 通巻21号 釜石線・山田線・岩泉線・北上線・八戸線 23頁
  13. 日本鉄道旅行歴史地図帳 2号―全線全駅全優等列車 東北・列車年表、p.45。
  14. “北上線「平石駅及び矢美津駅」冬季期間の列車通過について” (PDF) (プレスリリース), 東日本旅客鉄道秋田支社, (2016年11月11日), http://www.jreast.co.jp/akita/press/pdf/20161111.pdf . 2016閲覧. 
  15. 2017年3月ダイヤ改正について”. 東日本旅客鉄道秋田支社 (2016年12月16日). . 2016閲覧.

参考文献

関連項目

外部リンク


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