大幸薬品

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大幸薬品株式会社(たいこうやくひん)は、大阪府吹田市内本町三丁目に本店、大阪市西区西本町一丁目に本社事務所を置く製薬会社である。

概説

胃腸薬・正露丸」の登録商標権を持つ「ラッパのマーク」の社章で広くその名を知られる。その他、ピシャット錠などの医薬品をはじめ、医薬部外品二酸化塩素除菌消臭製品などの製造と国内外での販売、樋屋製薬が製造する「樋屋奇応丸」の国内販売権を有する。なお、医療用医薬品には一切参入していない。

1940年7月に、柴田音治郎が柴田製薬所を設立。1946年4月に「忠勇征露丸」の製造販売権を承継し、同年11月18日に大幸薬品株式会社を設立して、忠勇征露丸の販売を開始している。創業以来、長らく非上場会社であったが、2009年3月18日東京証券取引所2部に上場した。2010年4月26日に東京証券取引所1部に指定替えした。2010年10月19日日本経済団体連合会(日本経団連)に加盟した。

2014年3月、本社機能を大阪市西区のオリックス本町ビルに移転した。なお、吹田市にある工場は京都府相楽郡精華町関西文化学術研究都市への全面移転を検討している。また吹田市の旧本社事務所は登記上の本店として残る。

2016年6月アース製薬株式会社と資本業務提携を締結[1][2]。同年7月にアース製薬が第三者割当により大幸薬品株式の一部を取得し、アース製薬は第三位株主となった[3]

事業所

登記上本店・大阪工場
本社
京都工場・研究開発センター
小国工場(大幸TEC株式会社内)
東京オフィス
名古屋オフィス

正露丸の歴史

ファイル:Seirogan advertisement in 1930s.jpg
1930年代の征露丸の広告

正露丸の成り立ちは、1830年にドイツ人化学者カール・ライヘンバッハが、ヨーロッパブナの木から木クレオソートを蒸留したことが起源となる。当初は化膿傷の治療に用いられ、後に防腐剤として食肉の保存などに使用され、更に殺菌効果を期待して胃腸疾患に内服されるようになった。日本には1839年長崎の和蘭商館長ニーマンにより持ち込まれ、1856年刊の薬物書には木クレオソートを「結麗阿曹多(ケレヲソート)」と記した記載が見られる。また、1866年刊の「新薬百品考」には、結麗阿曹多の製法、効能、用法が簡潔に記載されている。

1902年、大阪の薬商中島佐一薬房は「忠勇征露丸」の売薬免許を取得。木クレオソート丸剤に「忠勇征露丸」という商品名がつけられ、製造販売を開始した。

一方、帝国陸軍では、「明治三十七八年戦役陸軍衛生史」によると「戦役ノ初メヨリ諸種ノ便宜上結列阿曹篤ヲ丸トシテ之ヲ征露丸ト名ケ出世者全部ニ支給シテ(以下略)」服用を命じた記録が残っており、1904-5年の日露戦争時に「征露丸」を軍人全員に配布していた。正露丸誕生の一説として1903年に陸軍軍医学校によって開発されたとのいわれがあるが、1901年(明治34年)の陸軍医学雑誌ではクレオソート丸と記載があり、前記の資料より1903年以前からあったクレオソート(結列阿曹篤)丸を日露戦争時に「征露丸」と名づけて用いていたことがわかる。

中島は1945年3月に亡くなり、戦前最大のシェアを誇った「忠勇征露丸」の商品名・製造販売権は大幸薬品の前身である柴田製薬所に譲渡される。その後商品名を「中島正露丸」「正露丸」と変えながら、大幸薬品は正露丸販売の9割を寡占する最大手として現在に至っている。

登録商標問題

1959年に大幸薬品が「正露丸」商標登録を行い、今も権利は有効ではあるが、実際には、大幸薬品以外の各社から正露丸が発売されている。これは過去に「正露丸」という商標に関して裁判が行われ、「正露丸」という語は「クレオソートを主材とする胃腸用丸薬自体の一般的な名称として国民の間に広く認識されていた」と判断する判決が下されたこともその一因である。そのため、薬局・薬店・ドラッグストア等で購入する際には「ラッパのマークの正露丸」と指定する事で大幸薬品の正露丸を購入する事が出来る(TVCMでは他社製品の正露丸との差別化を図るため、正露丸の主成分である木クレオソートの薬効についてなど、どのように正露丸が効いているのか、CGを用いて、腸管内のイメージを表現。学術面を強化して、差別化を図っている)。TVCM以外でも、TBSラジオJRN系「ドライバーズ・リクエスト」のヒッチハイクCMニッポン放送NRN系「ミュージックスクランブル」「どうですか歌謡曲」のカウキャッチャーCMや地元・本社のある大阪のMBSラジオなども行っている。ちなみにCMで使われているラッパ曲は、旧陸軍信号ラッパを用いて伝達用に吹奏されていた「喇叭(らっぱ)譜・食事」(通称・食事ラッパ)。現在でも自衛隊で「喇叭譜」は用いられているが、CMで使用されている旧陸軍のものとはメロディが異なっている。ラッパのメロディによるCMは1951年に日本で民間放送が開始された頃から60年以上にわたって使われている。また2014年から放映されている森高千里が出演する正露丸のCMでは森高がラッパのメロディにを歌詞を付けているバージョンが放映された。

ファイル:Mess Call (Old Japan Army).ogg
旧日本陸軍の食事喇叭

感染管理事業

2006年から新たに感染管理事業を開始し、低濃度の二酸化塩素の溶液とガスの技術を用いた今までにない有効な二酸化塩素除菌消臭製品を提供している。二酸化塩素は、液体に溶存させたとき二酸化塩素ガス濃度が減少してしまうため、その濃度を一定化させることが不可能であった。しかし、同社の「二酸化塩素ガス濃度長期保持」に関する特許技術により、今まで困難であった二酸化塩素液剤の流通商品化が可能となった。現在、同社の二酸化塩素除菌消臭製品は、噴射、設置、携帯など、様々な用途に合わせた豊富なラインナップを用意している。

これら二酸化塩素除菌消臭製品は、角川SSC新書「H5N1型ウイルス襲来 新型インフルエンザから家族を守れ!(著者:国立感染症研究所研究員 岡田晴恵)」の中でも、新型インフルエンザパンデミック(大流行)時の対策ツールの一つとして紹介されている。同書によると、二酸化塩素ガスの殺菌効果は科学的に証明されており、新型インフルエンザウイルスを含め、ウイルスを不活性化する力があるという。

二酸化塩素商品の景品表示法違反処分

消費者庁は二酸化塩素除菌商品の効果について十分な検証がなされていないとして優良誤認を招く表示をやめるよう処分を行った。[4]なお、大幸薬品はこの二酸化塩素を利用した除菌製品の好調な売り上げなどを背景に2014年3月期の純利益の予想を60%上方修正していた。

取扱商品

  • 正露丸【第2類医薬品】
  • セイロガン糖衣A【第2類医薬品】
    • 「正露丸」の姉妹品。錠剤に白色のコーティングを施すことで「正露丸」独特の生薬の匂いを抑え飲みやすくした白い錠剤の下痢止め。包装は、入りの他に携帯に便利なPTP包装や今まで使うのに抵抗していた女性若者向けにピルケース入りの携帯用もある(ピルケースの色はイエローとピンクの2色を用意)。セイロガン糖衣は1966年10月、セイロガン糖衣Aは1981年11月販売開始[5]
  • ピシャット【第2類医薬品】
    • 2009年12月発売。通勤途中や会議中、移動中に突然起こる腹痛を伴う下痢に効果を発揮する飲みやすいフルーツ味の顆粒タイプの下痢止め。携帯に便利なスティックタイプで3歳以上から服用できる(製造販売元・パナケイア製薬)。
  • ピシャット錠【第2類医薬品】
    • 2011年7月発売。通勤途中や会議中、移動中に突然起こる腹痛を伴う下痢に効果を発揮する飲みやすいフルーツミント味の口中溶解タイプの下痢止め。(製造販売元・パナケイア製薬)。
  • 樋屋奇応丸【第2類医薬品】
    • 2011年5月、「樋屋奇応丸」11品目に関して独占国内販売権契を結んだ[6]。これにより大幸薬品は樋屋奇応丸11品目の発売元となり、販売を樋屋奇応丸株式会社から引き継いだ[6]。(製造元・樋屋製薬)。
  • ラッパ整腸薬BF【指定医薬部外品】
  • 木酢入浴液(薬用入浴剤【医薬部外品】)
  • クレベリン ゲル(二酸化塩素除菌消臭製品・ゲル剤)  
  • クレベリン スプレー(二酸化塩素除菌消臭製品・スプレータイプ) 
  • クレベリン マイスティック(二酸化塩素除菌消臭製品・ゲル剤)
  • クレベリン マイスティック ディズニーバージョン(二酸化塩素除菌消臭製品・ゲル剤)
  • クレベリンS(二酸化塩素除菌消臭製品・スプレータイプ)
  • クレベリンG(二酸化塩素除菌消臭製品・ゲル剤)
  • ウィルシールド スプレータイプ(二酸化塩素除菌消臭製品)
  • ウィルシールド ゲルタイプ(二酸化塩素除菌消臭製品)
  • パンデミック衛生対策キット(二酸化塩素除菌消臭製品など)
  • クレベリン発生機(低濃度二酸化塩素ガス発生装置)
  • クレベリンLED (加湿器)

スポンサー番組

かつては水曜グランドロマン日本テレビ系)をはじめ、ドラマシティよみうりテレビ制作・日本テレビ系)や月曜ドラマスペシャル月曜ミステリー劇場月曜ゴールデンTBS系)、ダウンタウンDX(よみうりテレビ制作・日本テレビ系)、さんまのナンでもダービーテレビ朝日系)など全国ネットのレギュラー番組でも提供・CMを放映したりしていたが、現在はレギュラー番組におけるスポンサーは担当していない為、主に関東エリアを中心にスポット枠でのCM放送が多い。なお、近畿エリアに関してはお正月の頃に特別番組にも提供している。

また、スポーツ関係の広告も実施しており、長居陸上競技場の広告スポンサー、Bリーグ大阪エヴェッサのコート広告スポンサー(2007年から)、京セラドーム大阪のネット裏広告(2008年から)などを展開している。

提供番組

歴代CM出演者

脚注

関連項目

外部リンク