工芸

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工芸(こうげい)

高度の熟練技術を駆使して作られた美的器物またはそれを制作する分野。応用美術,装飾美術などともいう。用途としては衣,食,住のすべてにわたり,また材料,技術としては木竹工,金工,陶磁,ガラス,玉,象牙,プラスチック,漆工,繊維,紙,印刷などあらゆる素材を含む。

19世紀の後半以後の工業の急速な発達は,無趣味な大量生産品を氾濫させたが,それに反発した W.モリスの起したアーツ・アンド・クラフツ運動は,近代工芸の出発点となった。アール・ヌーボー,ゼセッション運動がこれに続いたが,工業生産と美術を結びつけて新しい様式を樹立したのは,「ドイツ工作連盟」 (1907結成) である。第1次世界大戦以後,ドイツのバウハウス,フランスのル・コルビュジエを中心としたエスプリ・ヌーボー運動などが機能主義のデザインを発展させたが,一方では産業や工業につながらない鑑賞性を主体にした単品制作のジャンルが分離して展開した。この分野では機能や実用性よりも,美的表現性に制作上の重点がおかれるようになり,絵画や彫刻と同様の展開をみせている。また両者のいずれの傾向にも加わらない古来の手工芸の分野も再評価され,世界的に盛行をみせている。

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