延長戦

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延長戦(えんちょうせん)とは、スポーツやゲームなどで、規定の時間や攻撃回数を終えるまで競技を行っても決着がつかない場合に、勝負の決着を付けるために競技を継続すること。

競技別の延長戦の形式

サッカー

サッカーの場合、通常前後半15分ずつの計30分で行われる。 1995年までは前後半を必ず最後まで行う方式(フルタイム方式)が主流だった。1993年Jリーグにゴールデンゴール(当初の名称は「サドンデス」。後「Vゴール」へ改称)方式が導入され、その後国際大会でもこちらが主流になっていくが、1点入っただけで勝敗が決まることなどが問題になり、2002年FIFAワールドカップ終了後は、ゴールデンゴールに代わりシルバーゴール方式をいくつかの国際大会で導入した。しかし、延長戦を前半だけで終了するのも不公平とのことで、2004年にフルタイム方式に戻った。

延長戦を行わない場合や延長戦でも決着がつかなかった場合はPK戦を行う場合がある。

ホーム・アンド・アウェートーナメント方式によるカップ戦などでは、第2戦の勝敗が通常の前後半で決まったときでも、第1戦との合計スコアがアウェーゴール数も含めて互角の場合は延長戦によりトーナメントの勝者を決定することがある。

1950年スペイン杯準決勝のアスレティック・ビルバオ vs バレンシアCFでは、30分間の延長戦後、時間無制限サドンデス方式の再延長を行った。再延長に入って3分、ビルバオのアグスティン・ガインサがゴールを決め決着となった。

野球

野球の場合、1イニング単位で延長し、イニング終了時に点差が付いていれば(後攻チームの場合は、先攻チームのそのイニングでの得点を上回った時点で→サヨナラゲーム)決着となる。何回まで延長を行うかや、延長に入った場合の特別ルールの採用などは、リーグや大会によって規定が異なる。

延長戦・引き分けに関する規定の例
  • メジャーリーグベースボールでは原則回数・時間無制限。しかし試合があまりにも長引いた場合や降雨等で試合続行不能になった場合はサスペンデッドゲームになることがある。
    • ただし2000年まではアメリカンリーグだけ消灯ルール(現地午前1時(アメリカには4つの標準時帯がある)の時点で試合が続くと、次のイニングスに入らず、その攻撃が行われているイニングスの終了までは試合を続け、それでも同点の場合は原則翌日へのサスペンデッドゲーム)を実施していた。
  • 日本のプロ野球では2001年から2010年までと2013年からは延長戦は12回まで時間無制限で開催される(ただし年度によって回数、時間制限のばらつきがある。両リーグの記事掲載の「回数・時間制限」の項を参照)。日本シリーズは第1戦から第7戦は12回まで時間無制限(2018年から)、引き分けによりそれ以降(第8戦以降)の試合は決着がつくまで行う。2007年から導入されたクライマックスシリーズではセ・パ両リーグとも延長戦は12回まで時間無制限で統一され、引き分けによる再試合は無い。なお、サスペンデッドゲームはパ・リーグのみが独自のルールで適用していたが1987年を最後に適用例はなく、さらに1994年に照明設備のない球場や照明設備の故障でのサスペンデッドゲームを行わないことになって事実上有名無実化し、2012年に日本プロ野球では採用しないこととなった。
    • なお1972年 - 1987年、および2011年と2012年にはナイター時の節電対策(前者はオイルショック、後者は東日本大震災に起因する)として通常の延長規定イニングにプラスして試合開始時刻を基点として一定時間を経過した場合は次の延長イニングに入らない「時間制限」(9回を終えていない場合は、コールドゲームは認められていないため雨天中止や日没でない限り9回までは行う)が制定された。1972年~1973年の両リーグと1982年~1987年のセ・リーグは「3時間20分」[1]、1974年~1981年の両リーグ(パ・リーグのみ1987年まで継続)は「3時間」[2]、パ・リーグのみの1988年と1989年は「4時間」[3]2011年と2012年は両リーグとも「3時間30分」[3]である。特に3時間ルールが適用された1974年以降は試合の長時間化の傾向もあって両リーグとも引き分けの数が急増した。
  • 社会人野球はトーナメント制が多いため、ほとんどが回数無制限で行われるが、大会によっては時間制限で引き分け再試合、ないしはサスペンデッドゲームやタイブレークが採用されることもある。
  • 高校野球では、延長戦は現在15回までと定められている。春夏甲子園大会や夏の都道府県大会では引き分け再試合となる。「選手の体力は2試合分が限度」という理由により、1958年から延長戦は18回までと定められた。その後2000年から延長は15回に短縮された。2018年春季の第90回記念選抜高等学校野球大会及び夏季の第100回全国高等学校野球選手権記念大会(地方大会も含む)から延長戦におけるタイブレーク方式を導入、延長13回から試合が決着するまで行われる。同時に準決勝までは延長引き分け再試合が廃止となる。また両大会共に決勝戦ではタイブレーク方式を採用せず延長15回で引き分けた場合は再試合とするが、再試合では準決勝までと同じ形でタイブレーク方式を採用する。
    • なお、軟式の高校野球においては予選や本選の決勝戦以外では、15回で決着が着かなければサスペンデッドゲームとしてそこで打ち切り、翌日16回から続きを行い、なお同点が続く場合は30回打ち切り、翌日31回より再開、これを繰り返す。予選決勝と本選決勝は15回で決着がつかなければ引き分け再試合にする。
  • オリンピックでは予選リーグ、決勝ラウンドを含めて延長は時間・回数とも無制限に行われる。しかし、北京オリンピックではタイブレークを使用し[4]、延長11回以降は、無死一二塁で任意の打順から攻撃を始めるようにした。
  • ワールド・ベースボール・クラシックでは、2006年大会は予選リーグ(1・2次)については延長14回まで(時間制限なし)行われ、決勝トーナメント戦は延長の回数制限も無くなる。2009年大会以降は13回以降のタイブレーク付き無制限延長を採用。
  • 高校以外の軟式野球では、全国大会においては回数・時間とも無制限。決着が着くまで行われる。なお1つの球場で数試合予定されている場合はイニングに制限がつく。最終試合以前の試合が延長戦になり、何回か行ったが決着がつかない場合は、そのイニングで一旦打ちきり、他球場で継続して行うか、最終試合終了後同一球場で継続して行われていたが、2012年より、天皇杯、国体を除く全国大会において延長戦は最大12回まで。すべての全国大会において試合開始から3時間半を経過した場合、新しいイニングに入らない。
    新規定適用でも同点の場合、次のイニングから無死満塁・継続打順による特別延長戦(タイブレーク)で決着をつける。
その他
  • 引き分けの場合、完全試合を含むノーヒットノーランの記録は、公式な達成記録とは見なされず参考記録として扱われる。
  • 補回試合(ほかいじあい)は、投手が9イニング3分の0以上投げた時に記録される投手成績(先発投手でなくリリーフ投手でもよい)。日本プロ野球においての通算記録の1位は、金田正一の56試合。2位が若林忠志の42試合。シーズン最多記録は、1942年の林安夫の10試合である。
野球の延長記録

ソフトボール

  • 国際ルールでソフトボールでは7回で同点となった場合、8回からタイブレーク(タイブレーカともいう)の延長戦を行う。仕組みとして、前回の攻撃を完了した最後の選手がランナー2塁においた段階でスタートし、回数・時間制限なしに勝敗が決するまで行う。

ラグビー

ラグビーは80分を終えて同点の場合、20分(10分ハーフ)の延長戦を行う。これで決着がつかない場合、以下のような方法が採用される。

  • サドンデス方式の追加延長戦(どちらか一方が先にトライ、ペナルティーゴール、ドロップゴールなどによる得点を挙げた段階で試合終了。上限10分)
  • キッキング・コンペティション(トライの後に行われるゴールキックと同様の方式で5人ずつ蹴り勝者を決定)
  • 引き分けとする
  • 抽選で勝者を決定する

アメリカンフットボール

バスケットボール

  • 「オーバータイム」と言い、ラウンドロビン・ノックアウトいずれの場合でも、決着が付くまで行う。延長戦は5分単位で行われ、5分終えても決着が付かない場合は2分間のインターバルを挟み再延長となり、以降同様に決着が付くまで繰り返される。タイムアウトは5分間につき1回のみ取れる。

バスケットボールの延長記録

ハンドボール

  • ハンドボールの場合は、60分を終えて同点の場合、5分ハーフの第1延長戦を10分行う。これで決着が付かない場合は同じ5分ハーフの第2延長戦を10分行う。これでも決着が付かない場合は7mスローコンテストを行う。

バレーボール

ヨーロッパのカップ戦などで採用されている、ホームアンドアウェートーナメントである時、第2レグ終了時に1勝1敗で終わったとき、第2レグ終了後に15点先取制(通常の第5セットと同じもの。先に8点目を取ったチームが出たところでコートチェンジ)による延長戦「ゴールデン・セット」を行う。日本ではVプレミアリーグ2016-17年度の「ファイナル3」「ファイナル」が全試合2試合制になるにあたり、両者1勝1敗で終わったとき、終了後に25点先取(13点目でコートチェンジ)の特別ルールで延長戦を行う[5]

アイスホッケー

相撲

相撲には他の競技と違って延長戦という制度は無いが、力士の疲労を軽減する策として水入りの制度がある。嘗ては立ち合いから4分半を経過したあたりから勝負審判の判断で水入りを挟んでいたが、近年は2分半あたりから水入りを挟むことも多い。水入り後に組んだ状態から再開し、再度動きが止まると二番後取り直し(残りが一番しかない場合は一番後取り直し)となり、両力士にしばしの休憩を与える形となる。このことから、水入り後の取組再開や二番後取り直し(または一番後取り直し)が他競技での延長戦にあたると考えられる。

柔道

  • 柔道は規定の試合時間を終了して決着が付かなかった場合は、同じ時間だけ延長戦を行い、どちらかが先にポイントを取った時点で試合終了となる。これをゴールデンスコア方式と呼ぶ。それでもなおポイントが付かなかった場合は判定により優勢勝ちが告げられる。ただし大会によっては引き分けとなる場合もある。

レスリング

  • レスリングは、これまでは3分ハーフを終えた際にポイントが並んだ場合に延長戦に入っていた。現在はルールが改正され、フリースタイルではピリオド毎に必要に応じて延長する形となっている。
    • ピリオド終了後に0-0の場合のみコイントスによって攻撃・防御に分かれて30秒の延長戦となり、先にポイントを取った方が、ポイントが入らなかった場合は防御側がピリオド獲得となる。
    • グレコローマンスタイルではルール上0-0で同点になることはないため延長戦が行われることはない。

プロレス

格闘技

  • K-1やJ-NETWORKのトーナメント戦などでは規定ラウンド終了後の判定でもドローとなった場合、エクストラ・ラウンドを1Rないし2R行う。延長ラウンドではラウンド・マスト・システムにより、両者が互角だった場合でも厳正に判定され必ずポイント差が付く。
  • プロボクシングでは4回戦トーナメント「Raging・Battle」決勝戦で採用。2010年からは全日本新人王決定戦決勝戦でも採用。

カーリング

  • カーリングは10エンドを終えて同点の場合、エクストラ・エンドが行われる。エクストラ・エンドでも0-0の場合はさらに次のエンドが行われる。

バドミントン

  • バドミントンは15点の簡易ゲームではない、21点のゲームの20点で同点の場合に行われる。2点差になるまで続けるが、30点が上限で29-29になった場合は先に30点目を取った方が勝ちとなる。

水球

  • 水球では2ピリオドの延長戦とペナルティースロー合戦が採用されていたが、2014年度より延長戦が廃止された。

関連項目

脚注

  1. 1972・73年は19時以後開始である場合は試合の経過時間にかかわらず22:20を過ぎて次のイニングに入らない
  2. 19時以後開始である場合は試合の経過時間にかかわらず22:00を過ぎて次のイニングに入らない
  3. 3.0 3.1 最大延長12回との併用
  4. ロンドン五輪から外されるためそれを防ごうという狙いもある。
  5. V・ファイナルステージ ファイナル3、ファイナルの方式を変更します!

出典・外部リンク