政党

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政党(せいとう)とは、共通の政治目的を持つ者によって組織される団体である。18世紀のイギリス下院議員エドマンド・バークによれば[1]名誉や徳目による結合であり、私利私欲に基づく人間集団(徒党)ではないとしている。

概説

政治において政策や主張に共通点のある者同士が集まって、意見の集約と統一された政策の形成を図り、政策の実現に向けての活動として、政権を担当もしくは目標とし、議会の運営の基本単位になるなどを行う組織または団体のことを指す。政党の結成を結党解散解党といい、政党を構成している自然人を党員、その最高役職を党首、党員ではない支援者を党友と呼ぶ。多くの近代国家では各種の政治レベル(連邦国家国家連合国家地方自治体など)での法律上の要件(政党要件)を満たした場合は、法的にも政党としての資格や保護を受けられる。逆に複数政党制を採用していない場合、政府が特定の政党を禁止するなどにより、非合法状態の政党も存在する。

政党の数や権力との関係による分類には、複数政党制一党独裁制一党制ヘゲモニー政党制)などがある。また政権に参加している政党を与党、参加していない政党を野党と呼ぶ。これは上述の各種の政治レベルで存在するため、国政上の与党が地方議会での与党とは限らない。

機能

政党の機能としては、まず社会内部の様々な利益を集約し、政治へと反映させる機能がある。政党が政策という形で市民に対し利益の集約したものを提示し、政府に対してそれを提示して実行させるよう努める。また、政治指導者の補充・選出機能も重要である。政策の似通ったものから候補を選抜して選挙に出馬させ、当選すれば党内にて経験を積ませながら育成し、より高度な集団を率いることのできるようなリーダーを育成していく。そして政党の力を利用してそのリーダーを元首などの国家指導者に就任させる。この際政党は政府内部で内閣や大統領府を自らのメンバーを主体として組織し、政策決定機関を組織化することも行う。また、政党が集約したわかりやすい政策や争点を市民に提示することで、市民の政治への理解・参加を促進させる機能も持つ。そして選挙によって勝利した政党は与党として政権を担当し、敗北した政党は野党として与党の政策の不備な点を批判し、監視・修正させる機能を持つ。この与党・野党は民主主義国家であれば選挙結果によって当然入れ替わりを生じるため、政党には政権担当能力・政権批判能力のどちらも保持していることが求められる。

政党の法制化と法律上の政党

世論と法律の政党に対する態度は、政党に対する反感、政党の容認、政党の法制化へと移り変わってきた。政党は本来私的結社でありなんら法的な根拠のあるものではなかったが、上記のような機能が有効なものと認められたため、徐々に政党は重視されるようになり、民主主義政治には不可欠なものとみなされるようになっていった。

政党の法制化への重要な一歩は、20世紀初めに比例代表制の導入で踏み出された。この制度は、政党の存在を立候補の前提としている[2]

ついで20世紀後半に、政治資金の規制や助成の制度が、政党の内部運営にまで踏み込む法制化をもたらした。法制化には、政党活動の奨励と政党に対する国家干渉の両面がある。制度の先鞭をつけたドイツで、この状態は政党国家モデルとして研究された。政党による国家支配は(たとえば国民の意思より政党の意思が優越するというような意味で)単純に実現しているわけではない。しかし、法制化の恩恵を既成政党に限ることで、新興政党の挑戦を国家の力で妨げる側面はある。

区分

政党はその国によって、様々なシステム(政党制)が存在する。政党制の区分も多くの学者による様々な区分が提唱されているが、まずは政党の数によって一党制と複数政党制の二種類に分けられるのが通例である。一党制の国は政党の選択システムがないため政権交代が原理的に不可能であり、実質的には独裁制と同義である。名目上複数政党制となっている国においても、例えば中華人民共和国1989年以前の東ヨーロッパのいくつかの国のように政権交代が原理上不可能であり、覇権政党とそれに翼賛する衛星政党しか存在しない国家も存在し、こうした国は当然民主国家とはみなされない。

また、政党はその政治主張やイデオロギーによってもいくつかに区分される。保守主義自由主義社会主義社会民主主義民主社会主義共産主義などである。こうした政党はイデオロギーごとにそれぞれ国際組織を持っており、社会主義・社会民主主義・民主社会主義政党の所属する社会主義インターナショナルや、自由主義政党の所属する自由主義インターナショナル、保守主義政党の所属する国際民主同盟などが存在する。

各国国内において、政党は政治的スペクトルによって分類される。いわゆる右翼左翼であり、共産主義や社会主義が左派、保守主義やファシズムが右派とされる。左派を革新、右派を保守と呼ぶこともある。なお、両派において極端に過激な主張をするものは、それぞれ極右極左と呼ばれる。また、両極に偏らない中間的な主張をする政党は中道と呼ばれ、中道内においてもその立ち位置によって中道右派中道左派の分類が存在する。

沿革

政党の成立

  • 近代政党の起源
    1. 議会が存在しなかったり選挙権が制限されていたで、政治体制の改革や革命を企てた政治結社にある。
    2. 初期の議会にあり、議会運営のための派閥が一時的なものから恒久的な組織に発達した。

議員である有力者が議会運営のために作った名望家政党幹部政党)が初期の政党である。普通選挙の採用にともない増加した選挙民との結合が困難になると、議会外に多くの党員を持つ大衆政党が出現した。

名望家政党と大衆政党の2つは、上記の政党の2つの起源と重なっている。新しい大衆政党の挑戦を受けて、以前の名望家政党も大衆政党に脱皮した。保守主義自由主義の政党が名望家政党の形態をとることが多く、社会民主主義共産主義の政党が大衆政党の形態をとることが多かった。

現代の政党

マスメディアの発達によって著名な政治家・党の意見が直接選挙民に届くようになったため、党組織の役割は低下し、大衆政党もふるわなくなった。人々の関心が国政の長たる首相・大統領とそれら公職への候補個人に集中することで、政党の力はさらに低下したとする観測がある。他にも様々な政党衰退論がある。

だが、政党衰退に導くような現象が社会に浸透して数十年が経過した現在でも、理論的には起きるはずの選挙結果の流動化が起こっていない。先進民主主義国の多数の政党システムは大きな変化なしに推移している。このことを、社会基盤を失った政党が、ただ選挙市場で既得権をもった独占者として生き延びているとして説明するのが、カルテル政党論である。

各国における政党

アジア

ヨーロッパ

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アフリカ

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アメリカ

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オセアニア

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脚注

  1. 「名誉の政治学-バークの政党論を手がかりに」苅谷千尋(政策科学14(1)立命大学)[1][2][3]
  2. 厳密には政党名簿比例代表のみが政党の存在を前提としている。同じく比例代表制に類別される制度でも単記移譲式投票(STV)は必ずしも政党の存在を前提としない。このため、STVを採用しているアイルランドの下院選挙においては、一定数の無所属議員が選出されている。

文献情報

  • Burke, E. 1839. Thoughts on the cause of the present discontents(1770), in The Works of Edmund Burke, vol. 1, Boston: Little, Brown & Co.
  • Dahl, R., ed. 1966. Political Oppositions in Western Democracies. New Haven: Yale Univ. Press.
  • Downs, A. 1957. An Economic Theory of Democracy. New York: Harper & Row.
  • Duverger, M. 1954. Political parties. New York: john Wiley.
  • Katz, R. S. 1980. A Theory of Parties and Electoral Systems. Baltimore: Johns Hopkins Univ. Press.
  • Katz, R. S. 1987. Party Government: European and American Experiences. Berlin: de Gruyter.
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  • Lawson, K., ed. 1980. Political Parties and Linkage: A Comparative perspective. New Haven: Yale Univ. Press.
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  • Panebianco, A. 1988. Political Party: Organization and Power. New York: Cambridge Univ. Press.
    • パーネビアンコ著、 村上信一郎訳『政党 組織と権力』ミネルヴァ書房、2005年
  • Putnam, R. D. 1976. The Comparative Study of Political Elites. Englewood Cliffs, N.J.: Prentice-Hall.
  • Sartori, G. 1976. Parties and Party Systems. New York: Cambridge Univ. Press.
    • サルトーリ著、岡沢憲芙、川野秀之訳『現代政党学 政党システム論の分析枠組み』早稲田大学出版部、1980年、普及版2000年
  • Schattschneider, E. E. 1942. Party Government. New York: Farrar & Rinehart.
  • Schumpeter, J. 1942. Capitalism, Socialism, and Democracy. new York: Harper & Row.
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  • Weber, M. 1946. Politics as a vocation, in H. Gerth and C. W. Mills eds. From Max Weber: Essays in Sociology. New York: Oxford Univ. Press.
  • Weiner, M. 1967. Party Building in a New Nation: The Indian National Congress. Chicago: Univ. of Chicago Press.

関連項目