新風舎

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新風舎の本社があった川上ビル(東京都港区)。ビル1階には書店「熱風書房」が入居していた

株式会社新風舎(しんぷうしゃ)はかつて自費出版共同出版を中心に行っていた日本出版社。松崎義行が東京都国分寺市にて15歳で創業。2006年時点では、社員数360名で、自費出版系を含めた年間出版点数では2,788点[1]と日本最大であった[2]が、2007年後半から経営が悪化し、2008年1月に破たんした。

歴史

  • 1980年 - 松崎義行が15歳で創業 自身の詩集を刊行 月刊「創作新風」創刊(16号まで)
  • 1983年 - 雑誌「TILL」創刊(8号まで)
  • 1989年 - ニフティサーブ「詩のフォーラム」の作品集を出版
  • 1993年 - 大阪支社開設 年間出版点数が100点を突破
  • 1996年 - ホームページ開設 新風舎出版賞開設
  • 1999年 - 「ドールアートシリーズ」創刊
  • 2000年 - 本社を東京青山に移転
  • 2001年 - 電子書籍出版開始 絵本「うしろにいるのだあれ」が大ヒット
  • 2003年 - 新風舎文庫を創刊
  • 2004年 - 福岡、名古屋、大阪に直営店オープン
  • 2005年 - 自費出版系を含む年間出版点数が日本一に(2,719点)[1][2]
  • 2006年 - 詩の投稿雑誌「未来創作」創刊
  • 2008年 - 東京地方裁判所に民事再生を申請(1月7日)、東京地裁が手続き廃止を決定し破産手続き開始(1月18日)
  • 2010年 - 破産廃止(2月10日)、以後は現存せず

主な出版物

  • 絵本児童書
    • 「うしろにいるのだあれ」ふくだとしお - 59刷 皇太子妃雅子が娘の愛子に読んでいる姿がテレビに映されたことでヒットになった
    • 「まさかさかさま」伊藤文人
  • 小説
    • 「小説円谷英二」鈴木聡司
    • 「るにんせん」団紀彦
    • 「小説地下銀行」車田康明
  • 実用書、ルポ、ビジネス
    • スバル360奇跡のプロジェクト」小口芳門
    • 「社労士独立開業成功のツボ!!」楠井祐次
    • 「J・F・K ダブルステイツ」三浦二三男
    • 「本は読むより書く方が10倍楽しい」井狩春男
    • 「1988年「10.19」の真実」佐野正幸
    • 「報道されなかったイラクと人びと」大村正樹・文、渡部陽一・撮影
  • 詩集
    • 「ナノテクノロジーなの。恋の魔法なの」マツザキヨシユキ
  • エッセー
    • 「そしてママはスチュワーデスになった」田中薫
  • 新風舎文庫

トラブル

  • 共同出版の盛行により飛躍的に出版点数が伸び、2005年には出版点数で業界一位となるなど多数の書籍を発行するようになっていたが、それと同時に、下記の通り著者とのトラブルも増加した。
  • 著者に共同出版を持ちかけ通常以上の出版費用を出させているのではないかという疑義を藤原新也[3]が提起した。藤原は、同形態の流通出版(旧称協力出版)を手がける文芸社への疑義も提起している。また、有田芳生[4]は書き手の夢を食い物にする希望商法であると感想を述べているが、論拠を明らかにはしていない。江川紹子[5]ら、擁護しているジャーナリストやライターもいる。
  • 2007年7月4日、元大学教授ら3人が全国約800の書店で販売すると勧誘されて新風舎と出版契約を結んだが、実際は一部の書店(原告のひとりの場合にはわずか3店)でしか販売されなかったとして、約736万円の損害賠償を請求する民事訴訟を東京地方裁判所に提起した[6][7]
  • 2008年1月7日、東京地方裁判所に民事再生を申請。信用調査会社である帝国データバンクによれば、負債額は約20億円、関連会社である新風ホールディングスを含めると約25億円。しかしながら、再建支援を表明していた企業(印刷会社2社)が、新風舎の経営サイドとの姿勢の食い違いから支援を断念し、1月18日、東京地裁は民事再生手続を廃止することを決定し、破産手続に移行した。破産手続の結果、一般債権者への配当が不可能であることが確定したため、2010年2月10日破産廃止(異時廃止)となった[8]
  • 新風舎の倒産に伴い、過去の既刊本は絶版となり、各書籍の著作権は、それぞれの作者に戻された。ただし、作者が希望した場合に限り、同業の文芸社と再契約する方法が示されたが、別途、作者側の費用負担が発生する方法であった。新風舎から文芸社に既刊本の著作権が自動移転したのではなく、あくまで作者が希望した場合に限って、任意で文芸社と作者個々人が、契約し直す選択肢も残されたということである。絶版した各書籍の著作権の扱いは、それぞれの作者自身の自由意思に委ねられたので、作者は文芸社からの再出版を拒否することも可能である。

脚注

  1. 1.0 1.1 出版社別 新刊点数 ランキング 日本著者販促センター
  2. 2.0 2.1 なお、自費出版系を除くと、2006年の新風舎の年間出版点数は2005年が1,673点、2006年が385点であり、2005年は講談社(2,099点)が、2006年は講談社(2,013点)をはじめとする多くの出版社がこれを上回る点数の書籍を出版している(上記ランキングによる)。
  3. Shinya talk - 「新風舎」なるどうもちょっと気になる出版社
  4. 有田芳生の『酔醒漫録』:「新風舎」のあくどい商法
  5. よみうりテレビウェークアップ!ぷらす」2007年7月14日放送
  6. asahi.com:自費出版でトラブル相次ぐ「本屋に並ぶと思ったのに」 - 文化・芸能 2007年7月5日閲覧
  7. 元教授ら自費出版「新風舎」提訴、一部書店しか本出回らず:社会:YOMIURI ONLINE(読売新聞) 2007年7月5日閲覧
  8. 第6回財産状況報告集会報告書(川島法律事務所)。

外部リンク