東根市

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ファイル:Higashine city center area Aerial photograph.1976.jpg
1976年(昭和51年)撮影の東根市中心部付近の空中写真。画像右上の山麓から画像中央にかけて広がる市街地が、古くからの東根市の中心地である。画像下部の区画造成工事が行われているエリアは、今日の東根市役所のある『東根都市圏』一帯である。1976年撮影の10枚を合成作成。
国土交通省 国土画像情報(カラー空中写真)を基に作成。

東根市(ひがしねし)は、山形県中央東部にある人口約4万7千人の。平成27年(2015年)現在、県内で最も人口が増加している市町村である[1]サクランボリンゴをはじめとする果樹の栽培が盛んで、サクランボの生産量は全国の市町村で1位。サクランボの主要品種である「佐藤錦(さとうにしき)」は東根市で作出された。

地理

山形盆地の北部最上川東岸に位置し、市域東部の奥羽山脈から流れる乱川、白水川、村山野川、日塔川が作り出した扇状地[2]に市街地がある。乱川下流域には湧水地が存在し、環境庁(現環境省)の選定した名水百選に選定されている。

奥羽山脈に面する市の東半分は山地となっており、北東は黒伏山、御所山(御所山県立自然公園)、南東は関山峠を通じて仙台市と接する。南は面白山付近で山形市と接し、大畑山・水晶山・乱川を境として天童市と接する。西は最上川付近で河北町と、北は村山市尾花沢市と接する。

歴史

奥羽山脈から流れ出た川が作り出した沖積平野には遺跡が多く残されており、縄文時代前期頃から人々が集住し始めたものの[3]弥生時代の遺構は見つかっておらず寒冷化によって続縄文文化が南下したとみられる[4]古墳時代には稲作がはじめられ、天童市成生から当市郡山にかけては条里制の地割が見られるとともに古墳も出現する(大塚古墳)。和銅5年(712年出羽国が成立すると最上郡に属し、平安時代最上郡が村山郡と分かれると村山郡に属した。駅制が地方にも波及すると、最上川舟運を利用した駅制の一部に組み込まれ、延喜式に記述がある「村山駅」及び村山郡衙は市内郡山にあったと推定されている[5]。また、11世紀半ばに摂関家領荘園として小田島荘が成立したとされ、初見は寛治6年(1095年)の関白藤原師通の日記においてである。

鎌倉時代に入ると地頭として横山党中条氏が治めた。中条氏は鎌倉にあり陸奥国刈田郡和賀郡とともに兼帯したというが、後に分割相続し小田島氏を名乗る[6]南北朝時代に入ると南朝結城氏の支配下に入ったことが北畠親房の書状から推測される[7]が、結城氏が後に北朝に転じても足利尊氏により領有が認められた[8]。しかし正平11年(1356年)、結城氏の代官として小田島荘を治めた平長義(小田島長義)が北朝方結城氏勢力を駆逐し小田島氏本来の旧領を回復したことが、普光寺に納められた洪鍾の銘や、若宮八幡社の鰐口から暗示されている[9]。ところが、同年南朝側は奥州管領斯波家兼の次子斯波兼頼を出羽国最上郡に下向させると勢力図は一変、同じく南朝の寒河江氏などと共闘したとみられるが小田島氏は最上川西岸へ駆逐されてしまう。

その後室町時代には天童氏の庶子が入り東根氏を名乗った。戦国時代には、血統的には宗家に当たる最上氏と比肩する勢力を築いた天童氏の一翼として、長瀞氏六田氏などと名乗り天童八楯を形成する。しかし、最上義光の策により八楯が崩壊し天童氏が滅亡すると最上義光に仕えた。東根城東根景佐は12,000石を領した[10]

江戸時代に入ると最上氏が改易となり、程なく幕領となって東根代官陣屋が置かれた。享保年間には田畑の質流れ禁止令をめぐり長瀞騒動がおきている。その後寛政10年(1798年米津氏長瀞藩として入り長瀞陣屋が置かれた。大手門が現存移築されている。

  • 1889年明治22年)4月1日 - 町村制施行に伴い北村山郡に以下の5村が成立。
    • 東根村 ← 東根村、六田村、神町村、板垣新田、中島新田、大林新田
    • 東郷村 ← 猪野沢村、沼沢村、野川村、白水村、万善寺村、太田新田、幾右衛門新田
    • 高崎村 ← 観音寺村、関山村、大江新田、名和新田
    • 大富村 ← 荷口村、羽入村、藤助新田
    • 小田島村 ← 蟹沢村、野田村、郡山村、島大堀村
    • 長瀞村 ← 長瀞村、松沢村、伝兵衛長右衛門新田
  • 1896年(明治29年)6月15日 - 東根村が町制施行して東根町となる。
  • 1954年昭和29年)8月1日 - 東根町、東郷村高崎村大富村小田島村長瀞村が合併して東根町となる。
  • 1956年(昭和31年)11月1日 - 天童町(現天童市)と境界変更。
  • 1957年(昭和32年)11月1日 - 大字猪野沢・東根・六田・沼沢・長瀞の各一部を村山市へ編入。
  • 1958年(昭和33年)11月3日 - 東根町が市制施行して東根市となる。
  • 1966年(昭和41年)4月1日 - 村山市と境界変更。
    • 東根市大字長瀞の一部を村山市へ、村山市大字大久保の一部を東根市へ編入。
  • 1967年(昭和42年)4月1日 - 一部を天童市へ編入。
  • 1969年(昭和44年)5月1日 - 河北町と境界変更。
    • 東根市大字松沢・長瀞・島大堀の各一部を河北町へ、河北町大字谷地の一部を東根市へ編入。
  • 1971年(昭和46年)5月1日 - 河北町と境界変更。
  • 1980年(昭和55年)9月1日 - 村山市と境界変更。
    • 東根市大字東根・六田・長瀞の各一部を村山市へ、村山市大字楯岡・河島の各一部を東根市へ編入。
  • 1989年平成元年)8月 - 中央地区に新市庁舎落成。
  • 2001年平成13年)10月17日 - 国際環境規格ISO14001の認証を山形県内の市町村で初めて取得。
  • 2001年(平成13年)11月6日 - 天童市の飛地を編入。
  • 2008年(平成20年)5月30日 - レジ袋有料化を実施。実施は山形県内初で、東北では仙台市に次いで2番目。

市名の由来

大昔、村山盆地の真ん中に「藻が湖(もがうみ)」という大きな湖があり、この湖の東に連なる奥羽山脈の麓に最も早く拓けたところを東根と呼び、この地名が付けられたといわれている。なお、最上川対岸の寒河江市には西根という地名もある。

市政

市長

市議会

  • 東根市議会は、条例定数18人
  • 現在の任期は、平成27年8月1日-平成31年7月31日
  • 議長 秋葉征士(平成27年8月5日就任)
  • 副議長 浅野目幸一(平成27年8月5日就任)
市議会の組織

議会運営委員会の他、常任委員会3つと、特別委員会が1つが設置されている。

  • 議会運営委員会:定員7名
  • 常任委員会
    • 総務文教:定員6名
    • 経済建設:定員6名
    • 厚生:定員6名
  • 議会広報特別委員会:定員7名

行政機構

2011年平成23年)4月1日現在の市職員数(短期契約職員を除く)は365人である。

  • 副市長
  • 総務部-総合政策課・庶務課・財政課・プロジェクト推進課・税務課
  • 市民生活部-市民課・生活環境課
  • 健康福祉部-子育て健康課・福祉課
  • 経済部-農林課・商工観光課
  • 建設部-建設課・都市整備課
  • 水道部-水道課
  • 消防本部-総務課

都市宣言

  • 交通安全都市東根の宣言
  • 東根市非核平和都市宣言
  • 暴力のない明るい都市宣言
  • 東根市健康づくり都市宣言
  • 果樹王国ひがしね宣言

市民憲章

  • 自然を愛し 環境をととのえ美しいまちをつくります。
  • 奉仕と感謝の輪を広げあたたかいまちをつくります。
  • からだをきたえ 楽しく働き豊かなまちをつくります。
  • 教養を深め香り高い文化のまちをつくります。
  • きまりを守り 進んで力をあわせ住みよいまちをつくります。

自治体交流

経済

県内でも整備されている交通インフラ環境や商工業地帯、東北地方の中心都市である宮城県仙台市に隣接しているという地理的環境を生かして、それまでは主に(サクランボリンゴラ・フランスなどの)果樹園が点在していたさくらんぼ東根駅周辺の農業地帯を大規模な工業地帯や商業施設、更には宅地開発によって新興住宅地区に区画整理をして分譲している。そのため、市街地の風景が著しく変化しており、県内の周辺市町村などからの移住者を中心に同市への定住者が増加し、さくらんぼ東根駅周辺を中心に新たな『東根都市圏』を形成している。

市街地は平地部を南北に貫く奥羽本線及び国道13号線と、仙台へ通じる国道48号から分岐した県道29号線が直交する地点に集積している。市の南西部には山形空港があり、中央部には山形新幹線延伸にともなって作られた「さくらんぼ東根駅」(旧蟹沢駅)と、その周辺地域に出店した「イオン東根[11]」や「ヨークベニマル東根店」といった大型ショッピングセンターエリアを中心とした新興商業地帯が形成されている。また、山形臨空工業団地、大森工業団地・大森西工業団地(旧山形県畜産試験場跡地とその周辺の果樹園地帯)などの工業地帯や陸上自衛隊神町駐屯地などでは東根市内以外の周辺の市町村からも多くの労働力を集めている。いずれの産業も盛んであることから、一人当たりの所得は県内平均(263.0万円)と比較して高い水準(296.1万円)にある[12]

農業

果樹の栽培が盛んで作付面積、農業産出額に占める割合が多く(78.2%)、水田の作付率は山形県の平均水田作付率(79.0%)より低い(43.8%)[13]

  • さくらんぼ生産量全国1位 (3,600t)
  • さくらんぼ栽培面積全国1位(平成27年)[14]
  • さくらんぼ経営体数全国2位(平成27年)[14]
  • 市町村別農業産出額・果実 全国4位(136.9億円)[14]
  • りんご生産量山形県1位
  • もも生産量山形県1位
  • ラフランス生産量山形県2位

工業

山形県が設置した大森工業団地・大森西工業団地を核として、東根市が主体となった山形臨空工業団地・縄目工業団地があり、製造業が盛んである[15]主な企業

金融機関

郵便

  • 東根郵便局(集配局・ゆうゆう窓口設置局)
  • 神町郵便局
  • 東根一日町郵便局
  • 長瀞郵便局
  • 大富郵便局
  • 羽前高崎郵便局
  • 東郷郵便局
  • 小田島郵便局
  • さくらんぼ東根温泉簡易郵便局

地域

人口

人口構成は若年人口が多くの割合を占めている。一方で「イオン東根店」など大型商業店舗がさくらんぼ東根駅周辺へ店舗移転する傾向にあり、これまでの中心街であった東根温泉街、東根駅神町駅周辺地域などは大規模な土地区画整理事業から取り残され、住民の急速な高齢化が進む等、市内間における一極集中が進んでいる。

東根市(に相当する地域)の人口の推移
総務省統計局 国勢調査より

保健・医療

  • 休日診療所 - さくらんぼタントクルセンター内
  • 北村山公立病院 - 三市一町(東根市・村山市・尾花沢市・大石田町)の組合立病院

住居表示

市内の一部地域では、全国でも採用例がほとんどない道路方式の住居表示が採用されている[16]

公共施設

福祉施設

  • さくらんぼタントクルセンター (東根市中央)

文化施設

  • まなびあテラス - 図書館と美術館を併設した東根市公益文化施設
    • 東根立図書館 (東根市中央南)-20万冊収蔵可能図書館
    • 東根立美術館 (東根市中央南)
  • 東の杜資料館 (東根市大字東根) - 650種類、約1000点の民俗資料を展示。

体育施設

屋内スポーツ施設
屋外スポーツ施設
  • 市民プール
  • ゲートボール場
  • 大森山緑地公園野球場
  • 大森山テニスコート
  • 大森パークテニスコート
  • 大森山公園多目的広場
  • 大森山公園芝公園

公民館

  • 東根公民館
  • 神町公民館
  • 東郷公民館
  • 高崎公民館
  • 大富公民館
  • 小田島公民館
  • 長瀞公民館

国・県の施設

警察

隣接する村山市にある村山警察署の管轄であるため警察署はない。

消防

教育

市の急激な人口増加に合わせるため市は「さくらんぼタントクルセンター」や旧東根市立第一中学校跡地に新たに「東根市立東根中部小学校」、神町地区に「東根市立大森小学校」などを新設し、市内の子育ての教育環境を急速に充実させている。現状では急増する生徒数に対して現存する市内の小中学校では既存の校舎では到底間に合わず「東根市立神町中学校」では、プレハブの仮校舎で辛うじて間に合わせている。

高等学校

中学校

県立

市立

小学校

自動体外式除細動器

学校給食

  • 東根市学校給食センター[17]

交通

空港

山形空港 - 東根市神町

道路

東北中央自動車道 東根ICがある。これは東北中央自動車道の開通区間の北端で、山形空港付近に接続する。しかし、開通区間の南端は上山市北部にある山形上山ICであり、一般道を走ってもさほど苦ではない距離のため利用者は少ない。国道13号は周辺市町村との連絡としてよく利用される。国道48号は仙台市周辺で買い物をする人や、山形宮城の両県間への観光に行く人に利用される。大半が片側1車線のため、休日などには渋滞することがある。

高速道路
一般国道
県道(主要地方道)

タクシー

  • 東根交通
  • 神町タクシー

以上2社が東根市に本社を置く会社で、市内の医療機関などにはタクシー会社直通の電話機が備えられているところもある。

バス路線

鉄道路線

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JRさくらんぼ東根駅

山形新幹線のさくらんぼ東根駅は、果物の名前を冠した駅で、山形新幹線の山形〜新庄間開通に合わせて既存の蟹沢駅を廃止し、1999年平成11年)12月4日に新設された。

観光

温泉

自然

歴史・文化

イベント

  • 東根元旦マラソン (毎年1月1日開催。8km、3km、歩いて3kmコースがある。)
  • さくらんぼマラソン大会 (毎年6月上旬に陸上自衛隊神町駐屯地周辺その他で開催)
  • ひがしね祭 (毎年8月10日・11日に市役所周辺その他で開催)
  • 最上川舟唄全国大会(毎年9月に開催)
  • ひがしね湯けむり映画祭 (毎年秋に開催。場所「さくらんぼ東根温泉」)
  • 東根市総合文化祭 (毎年秋に開催。場所「さくらんぼタントクルセンター )

東根市が舞台となっている作品

出身有名人

脚注

  1. 平成27年国勢調査速報値。人口増加率3.1%。
  2. 厳密には砂礫台地(段丘)であり(『山形県地形分類図』経済企画庁総合開発局・昭和48年)、火山性の多湿黒ボク土壌である(『山形県土壌図』経済企画庁総合開発局・昭和48年)。
  3. 山形県埋蔵文化財調査報告書第8集『小林遺跡発掘調査報告書』山形県教育委員会。昭和51年
  4. 横山昭男・誉田慶信・伊藤清郎・渡辺信『山形県の歴史』p.26
  5. 『角川日本地名大辞典(旧地名編)』村山駅(古代)
  6. 「吾妻鏡」建長3年8月15日条。小田島五郎左衛門尉義春。
  7. 松平家所蔵結城文書
  8. 文和元年/正平7年(1352年)『白川文書』
  9. 『角川日本地名大辞典(旧地名編)』小田島荘
  10. 東京大学史料編纂所、所蔵史料目録データベース『最上義光分限帳』
  11. 1999年に東根温泉街から移転している。
  12. 『平成25年度市町村民経済計算』山形県企画振興部統計企画課より「市町村別一人当たり市町村民所得(平成25年度)」。この所得は企業の利潤なども含んだ各市町村の経済全体の水準を表す指標であり、個人の給与や実収入等との比較はできない。
  13. 農林水産省東根市基本データ平成27年度
  14. 14.0 14.1 14.2 農林水産省市町村の姿ランキング
  15. 東根市の工業団地
  16. 「通り名で道案内」のねらい 国土交通省、2011年8月10日閲覧。
  17. 2008年平成20年)4月より民営化。施設を移転新築し、ごはん給食の回数を原則週4回に増やすなどより充実した給食を出している。また学校で割り箸を使用する生徒をゼロにするため、箸もセンターで準備する。
  18. 木造釈迦如来坐像(i 山形)

参考文献

外部リンク