棋譜

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チェスの棋譜 (カパブランカ
Eisenberg vs Capablanca 1909

棋譜(きふ)とは囲碁将棋チェスなどのボードゲームにおいて、互いの対局者が行った手を順番に記入した記録を指す。また同時に、棋譜が記入された用紙(つまり棋譜用紙)を意味する場合もある。

概要

  • 正確な棋譜があれば、対局後もゲームの再現が可能となる。具体的な手だけでなく、対局者名・対局日・対局場所・考慮時間・戦型などが書き込まれる場合も多い。
  • その役割としては、野球バレーボールなどのスコアブックに近い。

チェスの棋譜

チェスは、公式戦では対局者自らが棋譜を記入する必要があるため、専用の棋譜用紙も販売されている。

棋譜の付け方には、主に代数式記述式の2種類の表記法がある。書籍などでは、代数式と記述式以外の表記法はほとんどない。1980年代までは記述式の書籍も多数出版され、いずれも公式の記録法であった。しかし1981年国際チェス連盟が代数式を唯一の公式記録法と定めたため、書籍でも現在はほとんど例外なく代数式である。

駒の表記

  • 駒の表記文字が何になるかは、下記の通り国によって異なる。日本では英米式に準拠している。
  キング クイーン ルーク ビショップ ナイト ポーン
英・米 K Q R B N P
ドイツ K D T L S B
フランス R D T F C P
スペイン R D T A C P
  • どこの国にも対応できるように、実際の駒の形を使った表記もある。この方法は「figure notation」と呼ばれている。
Unicodeでのfigure notation
  キング クイーン ルーク ビショップ ナイト ポーン
白の駒
黒の駒
  • 例: 「1.Nf3」は「1. f3」となる。

代数式と記述式の比較

2つの表記法(それぞれの内容については、次項以下で解説)
代数式
Algebraic Notation
  記述式
Descriptive Notation
 
1 e4 e5   1 P-K4 P-K4
2 Nf3 Nc6   2 N-KB3 N-QB3
3 Bb5 a6   3 B-N5 P-QR3
4 Bxc6 dxc6   4 BxN QPxB
5 0-0 f6   5 0-0 P-B3
6 d4 exd4   6 P-Q4 PxP
7 Nxd4 c5   7 NxP P-QB4
8 Nb3 Qxd1   8 N-N3 QxQ
9 Rxd1 Bd7   9 RxQ B-Q2
10 Bf4 0-0-0   10 B-B4 0-0-0

代数式と記述式の共通点

  • 駒の動きは「」+「移動後のマス」で表す。
    • ただし、代数式でポーンの動きを表すときは、「駒」を省略する。
  • 相手の駒を取る場合は、「」+「x」+「移動後のマス(記述式では取られる駒)」とする。「x」は敵駒の捕獲を表し、「takes(テイクス)」または「captures(キャプチャーズ)」と読む[1]
  • キング側へのキャスリングは 「0-0」、クイーン側は 「0-0-0」 で表す。
  • 白と黒が、それぞれ駒を動かして1手と数える[2]
    • 白と黒の指し手は、通常セットで表記される。(例:「1. e4 e5」)
    • 指し手を単独で表記する場合、黒の手には「...」を加える。(例: 白「1. e4」 黒「1. ... e5」)

代数式

  • チェスボードの左下のマス(a1)を基点にして、全体のマスを座標式に表記した方法。英語では「Algebraic chess notation」、または「Algebraic (code) notation」と呼ばれている。書籍によっては「国際式」や「座標式」などの日本語訳もあるが、現在では「代数式」の表現が最も多い。
  • 「代数式」は現在のチェスの標準となっている表記法で、ほとんどの書籍・雑誌・新聞で採用されている。
  • 記述式とは異なり、白側から見ても黒側から見ても同じ表記になる。
  • FIDE(国際チェス連盟)も、この代数式の表記法を正式に採用している。


白を手前にして、チェスボードの左下のマス(a1)を基点とする。

  • 横方向(→)に  a、b、c、d、e、f、g、h
  • 縦方向(↑)に  1、2、3、4、5、6、7、8
a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8
a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7
a6 b6 c6 d6 e6 f6 g6 h6
a5 b5 c5 d5 e5 f5 g5 h5
a4 b4 c4 d4 e4 f4 g4 h4
a3 b3 c3 d3 e3 f3 g3 h3
a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2
a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1
   代数式表記法  Algebraic chess Notation
意 味
1 e4 e5 白はポーンをe4へ移動させた。黒はポーンをe5へ移動させた。代数式はPを省略する。
2 Nf3 Nc6 白はナイトをf3へ、黒はナイトをc6へ移動させた。
3 Bb5 a6 白はビショップをb5に移動させた。黒はポーンをa6に移動させた。
4 Bxc6 dxc6 白はビショップでc6のナイトを取った。そのビショップを黒はdファイルのポーンで取った。
5 0-0 f6 白はキングサイドにキャスリングを行った。黒はポーンをf6に移動させた。
6 d4 exd4 白はポーンをd4に移動させた。黒はそのポーンをe5のポーンで取った。
7 Nxd4 c5 白はナイトでd4のポーンを取った。黒はポーンをc5に移動させた。
8 Nb3 Qxd1 白はナイトをb3に移動させた。黒はクイーンで白のクイーンを取った。
9 Rxd1 Bd7 白はルークで黒のクイーンを取った。 黒はビショップをd7に移動させた。
10 Bf4 0-0-0 白はビショップをf4に移動させた。黒はクイーンサイドにキャスリングを行った。


曖昧さの回避

  • 動ける駒が複数ある場合は、駒の記号の直後に動く前の場所を書く。
  • 動く前の場所はファイルまたはランクどちらか一文字で構わない。結果的に2通りの書き方が生じるが、曖昧さが無くなればどちらの書き方でも問題ない。

例えば右図のように、a1とc3にルークがあったとする。現在、白丸の地点へルークを移動させた。しかし「Ra3」と書いてしまうと、どちらのルークを動かしたのか判断できなくなってしまう。そこで、

  • c3のルークを動かした場合は、「Rca3」または「R3a3」と表記する。
  • a1のルークを動かした場合は、「Raa3」または「R1a3」と表記する。

その他

  • アンパッサンは末尾に 「e.p. 」 と記す。 → 例: e5のポーンがd5のポーンを捕獲した場合は 「exd6 e.p.
  • ポーンのプロモーションは、末尾に昇格した駒を付ける。 → 例: 「b8=Q」または「b8Q」[3]
  • チェックは「+」で、チェックメイトは 「#」 で表す。ダブルチェックは「++」となる。
  • ゲームの結果の表記は次の通り。 → 白勝ち:1-0、黒勝ち:0-1、引き分け:1/2-1/2
  • さらに代数式の表記法には、下記のようなバリエーションもある。一部の書籍などで使われている。
    • Abbreviated Algebraic Notation : 省略した形の代数式表記法。「+」や「x」の記号を省略する。
    • Long Algebraic Notation[4] : 長くて完全な形の代数式表記法。例えば「1.e4 Nf6」を、「1.e2-e4 Ng8-Nf6」と表現する。

記述式

  • 記述式は現在はあまり用いられないが、19世紀からある伝統的な表記方法である。古いチェスの書籍(特に名著)には、記述式で書かれた物が数多く存在している。
  • 記述式は代数式よりも、棋譜を付けるのに多くの字数が必要となる。そのためチェス・クロックを使った実戦では、時間切れになりそうな場合に非常に不利となる。
  • 記述式では「-」(ハイフン)が用いられるが、これは日本語の「~へ」「~に」(英語の「to」)に相当する。
    → 例:P- K4(ポーンをK4移動させた。)
  • P(ポーン)を省略しない点も、記述式の特徴の一つである。

記述式の列

  • ファイル(縦の列)の列名は、左端から次のようになっている。初期配置のチェスボードに合わせてあり、この名を好んで使用するプレイヤーも多い。
  • これらは「King's Pawn Opening」や「Queen's Pawn Opening」などの名前の由来にもなっている。
クイーンサイド(Q)とキングサイド(K)
QR QN QB Q K KB KN KR
QR QN QB Q K KB KN KR
QR QN QB Q K KB KN KR
QR QN QB Q K KB KN KR
QR QN QB Q K KB KN KR
QR QN QB Q K KB KN KR
QR QN QB Q K KB KN KR
QR QN QB Q K KB KN KR

チェスボードの左端から

  • QR:クイーン・ルーク
  • QN:クイーン・ナイト
  • QB:クイーン・ビショップ
  • Q:クイーン
  • K:キング
  • KB:キング・ビショップ
  • KN:キング・ナイト
  • KR:キング・ルーク

記述式の行

  • 代数ではなく、「QR」「KN」といった初期配置の駒の位置で列(ファイル)を表現する方法。英語では「Descriptive chess notation」、または「Descriptive (code) notation」と呼ばれている。書籍によっては「英米式」[5]などの日本語訳もあるが、現在では「記述式」の表現が最も多い。
  • 記述式の最大の特徴は、白側と黒側で行(ランク)の数字が逆になり、座標が二重化・複雑化する点である。
  • 例えば白の「P-K4」と黒の「P-K4」は、ポーンを同じマスに移動させたのではない。それぞれ、代数式の「e4」「e5」にあたる。
  • 記述式の棋譜を扱う場合は、白側と黒側とで異なる対応表を使用した方がわかりやすい。
    • 白の手前(↑)から  1、2、3、4、5、6、7、8
    • 黒の手前(↓)から  1、2、3、4、5、6、7、8
   ↓ 黒から見た記述式の対応表 ↓
QR8 QN8 QB8 Q8 K8 KB8 KN8 KR8 QR1 QN1 QB1 Q1 K1 KB1 KN1 KR1
QR7 QN7 QB7 Q7 K7 KB7 KN7 KR7 QR2 QN2 QB2 Q2 K2 KB2 KN2 KR2
QR6 QN6 QB6 Q6 K6 KB6 KN6 KR6 QR3 QN3 QB3 Q3 K3 KB3 KN3 KR3
QR5 QN5 QB5 Q5 K5 KB5 KN5 KR5 QR4 QN4 QB4 Q4 K4 KB4 KN4 KR4
QR4 QN4 QB4 Q4 K4 KB4 KN4 KR4 QR5 QN5 QB5 Q5 K5 KB5 KN5 KR5
QR3 QN3 QB3 Q3 K3 KB3 KN3 KR3 QR6 QN6 QB6 Q6 K6 KB6 KN6 KR6
QR2 QN2 QB2 Q2 K2 KB2 KN2 KR2 QR7 QN7 QB7 Q7 K7 KB7 KN7 KR7
QR1 QN1 QB1 Q1 K1 KB1 KN1 KR1 QR8 QN8 QB8 Q8 K8 KB8 KN8 KR8
↑ 白から見た記述式の対応表 ↑
   記述式表記法  Descriptive chess Notation
意 味
1 P-K4 P-K4 白はポーンをK4へ、黒はポーンをK4へ移動させた。記述式はPを省略しない。
2 N-KB3 N-QB3 白はナイトをKB3へ、黒はナイトをQB3へ移動させた。
3 B-N5 P-QR3 白はビショップをQN5に移動させた[6]。黒はポーンをQR3に移動させた。
4 BxN QPxB 白はビショップでナイトを取った。そのビショップを黒はクイーン・ポーンで取った。
5 0-0 P-B3 白はキングサイドにキャスリングを行った。黒はポーンをKB3に移動させた。
6 P-Q4 PxP 白はQ4にポーンを移動させた。黒はそのポーンをポーンで取った。
7 NxP P-QB4 白はナイトでポーンを取った。黒はポーンをQB4に移動させた。
8 N-N3 QxQ 白はナイトをQN3に移動させた。黒はクイーンで白のクイーンを取った。
9 RxQ B-Q2 白はルークでクイーンを取った。黒はビショップをQ2に移動させた。
10 B-B4 0-0-0 白はビショップをKB4に移動させた。黒はクイーンサイドにキャスリングを行った。

その他の表記法

ファイル:Tablero Udemann.png
電報チェス表記(Uedemann Code)
郵便チェスには、「5254」のように数字のみの表記法がある。
電報チェスには、「GEGO」のようにアルファベットのみの表記法もある。
※両方とも代数式の「1.e4」を表している。

指し手の評価

書籍・雑誌などにおいてチェスの指し手の評価には一般に次の記号が用いられている。

  •  !! 絶妙手
  •  ! 好手
  •  ? 疑問手
  •  ?? 大悪手
  •  !? 注目すべき手
  •  ?! 疑わしい手
  • ± 白が優勢(上下逆の記号は「黒が優勢」)
  • +- 白が勝勢
  • -+ 黒が勝勢
  • = 形勢互角
  • ∞ 形勢不明

将棋の棋譜

基本的な考え方はチェスの代数式と同様である。

先手、もしくは下手を下として、盤面を右上を基点として、横を1、2、……、9の算用数字、縦を一、二、……、九の漢数字(古くは縦横いずれも漢数字を用いた)とし、手番と進んだ先、駒を示す。例えば、第一手で先手が角道を開ける手は、「▲7六歩」である。▲は先手、△は後手を示し、印刷物では将棋の駒をかたどったもの((Unicode文字参照2617)=14px(2616)=14px)を使うことが多い。

ただし、日本将棋連盟では、漢数字を使わずに縦横いずれも算用数字で棋譜を記録するように定めてある[7]

直前の相手の移動先の駒もしくは打った駒を取る場合は、「同」を用いて移動先は用いない。なお、「同」を用いるのは直前に相手が移動もしくは打った駒を取る場合のみであり、それ以外の駒を取る場合は通常通り移動先を用いる。

移動によって成ることができる場合、成った場合は「成」、成らなかった場合は「不成」(「ならず」と読む)を付け加える。ルール上成れない場合「不成」は付けない。但しルール上必ず成らなければいけない場合(歩や香車が最前線に、桂馬が敵陣2段目以内に移動した場合)は「成」を付ける。なお、字数を減らす、あるいは字数を整えるためなどの理由により「不成」を「生」と表記することもある。

詰将棋においては、特に駒の種類を特定しなくてもよい合駒を「合」と表記することがある(「△2三合」など)。また、「合駒である」ということを強調するため、指し手に「△2三銀合」などと「合」を加えることもある。

上記の表現のみではどの駒を動かしたのか特定できない場合は、さらに以下の文字を付記して区別する。

「打」(うち、うつ)
その位置に盤上の同種の駒が移動できる位置に持ち駒を打った場合、駒の後ろに「打」をつける。右の図で、持ち駒の銀将を7三に打ったときは「▲7三銀打」となるが、7二に打ったときは7二に動ける盤上の銀は存在しないので単に「▲7二銀」となる。
「寄」(よる)「引」(ひく)「上」(あがる)
その位置に盤上の同種の別の駒が移動できる位置に盤上の駒を移動させた場合「寄」「引」「上」によって具体的な移動を記述する。横方向にのみ移動し縦方向の移動がなかった場合は「寄」、縦方向に1段以上下がった場合は横方向への移動に関係なく「引」、縦方向に1段以上上がった場合はこちらも横方向への移動に関係なく「上」で表す。なお、縦方向への昇降は指した主体から見てのものであり、先手の側からではない。
「右」(みぎ)「左」(ひだり)「直」(すぐ)
「寄」「引」「上」では判断不可能な場合は「右」「左」「直」で区別する。桂馬は「上」以外の動きができない駒であり、3枚以上が同じ場所に移動できることはあり得ないため2枚のうち「右」と「左」どちらにあった方を動かしたかだけで区別する。銀将金将(成金を含む)の場合は動いた先から見た元の位置が左右どちらにあるかで表し、まっすぐ上に上がった場合は「直」となる。なお、まっすぐ下に下がる場合は考える必要はない。まず、銀はそもそもまっすぐ下に下がれない(但し反則が発生した場合はこの限りではない)。金(成金も含む)の場合、まっすぐ下に下がる動きは「引」に当たるが、金(成金も含む)ができる「引」の動きはまっすぐ下に下がる動きだけなので「引」で必ず区別がつく(但し反則が発生した場合はこの限りではない)。角行飛車竜馬竜王の場合は2枚までしか盤上に存在し得ないので同種の別の駒から見て左右どちらにあったかで表し、「直」は使わない。2枚とも同じ筋にあって左右が区別できない場合も考えられるが、この場合「寄」「引」「上」で判別できるため考える必要はない(但し反則が発生した場合はこの限りではない)。右の図で、1三の竜が2四に動いたときは「▲2四竜右」、2二の竜が動いたときは「▲2四竜左」となる(▲2四竜引ではどちらの竜が動いたが判別できない)。なお、ここでの左右も縦方向への昇段と同様指した主体から見てのものであり、先手の側からではない。また、「右」「左」は動かす前の位置を表し、「寄」「引」「上」のように動いた方向を表すわけではない(例えば銀将や金将に「右」がついた場合は、動かす前に右にあった駒のことを指し、その駒の動いた方向は左である)。
銀将金将(成金を含む)の場合、「寄」「引」「上」と「右」「左」が複合する場合もある(「直」はまっすぐ上に上がる場合にしか使われないので動く方向は「上」しか考えられないので複合することはない)。右の図で、4二のと金が5一に移動した場合、「▲5一と右上」となる(「上」だけでは5二のと金と区別が付かず、「右」だけでは4一のと金と区別が付かないので両方付記する必要がある)。なお、他の駒はどちらか片方だけで判別できるので複合することはない(但し反則が発生した場合はこの限りではない)。銀将金将(成金を含む)の場合もこの複合だけで全て判別できる(但し反則が発生した場合はこの限りではない)。

表記順序は(先手or後手)、〔{(移動先の筋)、(移動先の段)}or「同」〕、(移動させた(打ったのも含む)駒の移動させる前の種類)、(「右」or「左」or「直」)、(「寄」or「引」or「上」)、(「成」or「不成」or「打」)の順である。例えば右の図で、先手が8四の銀将を9三に動かし、成ったときは「▲9三銀右上成」となる。

速記する場合は下のような略記法を使うことがある。略記法ではアラビア数字だけを用い、漢数字は用いない。

歩兵 香車 桂馬 銀将 金将 角行 飛車 玉将
フ、・ ヒ、乙

原始筋違い角戦法の出だしの棋譜を例にあげる。

  • ▲7六歩 △3四歩 ▲2二角成 △同銀 ▲4五角 △6二銀 ▲3四角 △3二金

いろは譜

江戸時代に使われていた方式で、徳川家治が好んで使っていた。1一を「い」、1二を「ろ」などといった具合に、将棋盤のそれぞれの地点を1文字で次のような図の通りに表す。例えば7六歩、3四歩は「春歩」「ら歩」といった具合である。

構成としてはまず、いろは順に平仮名を1一から縦に配置し、平仮名を使い切ると一から万までの漢数字を使う。その際、「ゐ」「お」「ゑ」「二」「四」「九」はそれぞれ「い」「を」「え」「に」「し」「く」と音が同じなので採用せずに飛ばす。あとは適当な漢字で埋めている。

シャンチーの棋譜

シャンチーの手は「炮二平五」のように記す。この例は「炮の駒を二筋から真横に五筋へ移動」を意味する。チェスや将棋と異なり、左右方向の筋(競技者から見て右から左へ数える。)のみを記し、上下方向の座標は記さない。同じ筋でも先手と後手で異なる数字になることに注意。なお後手は算用数字を使用する。移動方向にはこの例の「平」のほかに「進」(上方向)、「退」(下方向)がある。真上または真下に移動する場合、移動後の筋のかわりに移動量を一から九までの数字で表す。

同じ筋に同じ種類の駒が2枚または3枚ある場合は、駒名の前に「前・中・後」をつけることで区別する。この場合、あいまいさがなければ移動前の位置は省略される。

囲碁の棋譜

囲碁の盤面図を印刷した用紙(碁罫紙)に、1手目から終局までの着手点を、1からの数字で順に記録したもの。現在では、記入の際には黒番と白番を別の色(黒と赤など)で書き分けて見やすくし、印刷する場合には黒番の着手を黒丸に白色数字、白番の着手を白丸に黒色数字で表示する。1局の全着手を1枚の盤面図に記載したものを総譜と呼ぶ。解説書や新聞の観戦記などでは見やすくするために数十手毎に複数の図に分割して記載することが多い。石取りなどで石が存在しなくなった箇所に打たれた場合や、コウなどで複数回同じ場所に打たれた場合は、「160は158の下」「159(157)」「159コウトリ(153)」などと盤面図の外に記す。また終局時のダメを詰める過程の着手(黒白どちらがその点に打ってもの増減に影響しない着手)は省略することが多い。

盤面の向きは、先手番の者から見た盤面となるようにするのが通例だが、後手番の者が記録した場合には逆向きになっていることもある。

持ち時間の決まっている公式戦などで、一手打つのにかかった所要時間の記録が必要な場合には、通常の棋譜と同時に所要時間の表を作る。

特に囲碁では棋譜を記録することを採譜と呼ぶ。

チェッカーの棋譜

チェッカーではチェスと違って駒が動けるマス目に通し番号を振る。白から見て左上端を1として、左から右へ、上から下へと数える。国際ドラフツの場合は1から50までの番号がつけられる。移動前のマスと移動後のマスの番号をハイフンでつなぐ。駒を取るときはハイフンのかわりに「x」を記す[8]

オセロの棋譜

オセロでは単に座標のみを記す。座標は左から右に a…h、上から下(チェスと逆)に 1…8 で記す[9]

バックギャモンの棋譜

バックギャモンでは、「51: 10/5 6/5」のように記す。「51:」は2つのダイスの目が5と1だったことを意味し、10/5 は10ポイントから5ポイントへ移動したことを意味する。ヒットは後ろに * をつける。ポイントは1から24までで、バーは 25、ベアオフは 0 と記す[10]

麻雀では牌譜と呼ばれる。

記録の義務

管轄する団体によって異なるが、次回の対戦に生かすため棋譜をまとめている者も少なくない。

チェス

公式戦では必ず対局者本人が一手指すごとに、専用の用紙にペンで記録することが義務づけられており、例外は認められていない。ゲーム終了後は棋譜用紙(またはコピー)を大会の主催者へ提出する必要がある。

将棋

アマチュアだけでなくプロ同士の対局でも、対局者自身が棋譜を付ける義務はない。主催者やスポンサーによって公開が予定されている対局では、記録者が用意されるケースがほとんどである。当日に記録者がいない場合は、終了後か後日にまとめて書き留める。

囲碁

日本棋院では、勝者が棋譜を提出することを義務付けている。その他については将棋と同様である。

チェッカーバックギャモンでは棋譜(記録)を付ける義務はない。熱心なプレイヤーが自発的に付ける場合もあるが、ゲーム内容は記録しないのが一般的である。

棋譜と著作権

日本において、棋譜に著作権があるのか否かについては、さまざまな議論が行われており、法律の専門家の中にも著作権ありとする見解[11]も、著作権を否定する見解[12]もある。裁判に訴えた事例は無いため、判例は存在しない。

チェス

「棋譜(score)は単なる事実の記述なので、いったん公表されればパブリックドメインとして自由に扱ってよい」という古くからの慣例があり、FIDEと海外の下部組織はこれを踏襲している。しかし日本チェス協会(JCA)は公式ルールの翻訳文に原文にない語句を追加し、国際慣習に反して主催者(JCA)に権利があると主張している(詳細は「日本チェス協会#会則・規程の諸問題」参照)。

高度な棋譜データベースソフトでは、ある対局者が用いたオープニングの種類と頻度、そのオープニングに対して勝率の高いディフェンスなど、特定の条件で検索する機能を有しているものがある。またそれに近いサービスをインターネット上に構築しているサイトも数多くある。また近年では競技会終了後に、公式サイト上に棋譜がまとめて公開されることも多い。

日本国外では将棋や囲碁についても、棋譜は「著作物ではなく記録」というチェスの慣例があるためか、後述のように管轄団体が規約で禁止していてもネット上で棋譜が出回る例もある。

将棋

日本将棋連盟は、過去には法的根拠は無い(棋譜に著作権は無い)とした上で、収入問題に発展しかねないので頒布を控えてほしいとの「お願い」をネットコミュニティに対して行っていた[13]が、最近では、棋譜に著作権ありとして、許諾を得ない掲載や転載を禁じているケースもあり[14]、必ずしもスタンスは一定していない。一時、江戸時代の棋譜に著作権を主張し、物議をかもしたこともある(後に撤回された)。2012年2月現在、ニコニコ動画においては現役故人を問わず日本将棋連盟所属棋士の棋譜に著作権を主張し、棋譜を機械的に再生した動画を削除させている。

著作権は別にして、将棋連盟の主な収入が棋譜掲載の権利によることから、棋戦スポンサーである新聞社の優先掲載権に対して一定の配慮を行うというポリシーを取る棋譜掲載サイトも多いが、一方で全く配慮せず自由に掲載するサイトもあり対応はまちまちであり、個人主催の棋譜データベースサイトが多数運営されている。

囲碁

日本棋院関西棋院は、棋譜に著作権があると主張しており、許諾を得ずに棋譜を公開したり配布したりすることを禁じている。一方で海外ではチェスの慣習から、日本国内棋戦の棋譜が海外サイト経由で出回るという状況となっている。将棋と同様に個人サイトの対応もまちまちであり、データベースサイトに関しても同様である。

国立国会図書館デジタルコレクションでは著作権保護期間の切れた資料をインターネット公開しているが、その中には死後50年を過ぎていない棋士の棋譜(囲碁・将棋とも)を含む本が多数あり、書誌情報として「公開範囲 インターネット公開(保護期間満了)」と明記してある[15]。過誤でないとすれば、国の機関である同館は棋譜に著作権はないとの見解に従っていることになる。

また公益社団法人日本複製権センターのウェブサイトでは「参考になる棋譜が囲碁雑誌に載っていたので、そのページをコピーし、囲碁同好会でメンバーに配布した」という想定例に対して「たとえ非営利の同好会であっても著作権者の許可なく雑誌記事のコピーを行い、配布することは違法となりますのでご注意ください。但し、「棋譜」だけのコピーであれば、棋譜は著作物ではありませんので、著作権の侵害には当たりません」と回答している[16]

コンピュータ上での棋譜保存

Smart Game Format (SGF)のように各種のゲームを記録できるようにした共通のファイル形式も存在するが、主に囲碁でしか使われていない。

チェス

Portable Game Notation(PGN)形式が事実上の標準である。

インターネット上に公開されている棋譜は大多数がPGN形式のため、大半のチェス関連ソフトは対応している。

盤面図についてはForsyth-Edwards Notation(FEN)が標準として使用される。

チェッカー

Portable Draughts Notation (PDN, 英語版) が標準である。PDN 3.0 はUnicodeに対応しており、オセロにも使用することができる[17]

コントラクトブリッジ

Portable Bridge Notation (PBN)が存在する[18]

将棋

コンピュータ将棋協会が策定した「CSA形式」以外にも「柿木形式」「PSN形式」など、多数のフォーマットがあるため、ソフトが読めない形式の棋譜ファイルを利用する際は、ファイルコンバータが必要である。

囲碁

SGFが一般的であるが、その他の独自形式も存在する。

注釈

  1. 「x」ではなく、「:」(コロン)が使用されることもある。
  2. つまりチェスの1手は、将棋や囲碁の2手に相当する。
  3. 「=」の記号はドロー・オファーなどに使用されるため、国際チェス連盟(FIDE)では「b8/Q」を標準としている。
  4. 「Full Algebraic Notation」とも呼ばれている。
  5. 以前は英語の方でも、「English Descriptive Notation」と呼ばれていた。
  6. 「B-N5」について→「N5」だけだと「QN5」なのか「KN5」なのか紛らわしいが、局面上明確な場合は省略することができる。
  7. 『よくあるご質問:棋譜の表記方法』 日本将棋連盟http://www.shogi.or.jp/faq/kihuhyouki.html 
  8. PDN 3.0 standard, http://pdn.fmjd.org/ 
  9. Othello, Mattel, http://service.mattel.com/instruction_sheets/52551.pdf 
  10. 実例は以下を参照: 『棋譜鑑賞室』 日本バックギャモン協会http://www.backgammon.gr.jp/learning/grplayer/ 
  11. 加戸守行『著作権法逐条講義・五訂新版』著作権情報センター、2006年
  12. 渋谷達紀『知的財産法講義II 第2版 著作権法・意匠法』有斐閣、2007年
  13. http://bug.org/ML/shogi/onegai.txt
  14. 大和証券杯ネット将棋利用規約http://www.daiwashogi.net/agreement.html
  15. たとえば久保松勝喜代の自戦集「苦闘十三年」[1] (2018年8月2日閲覧)には久保松の対戦相手として木谷実(1975年没)、岩本薫(1999年没)、呉清源(2014年没)などの棋譜が入っている。
  16. 日本複製権センター ケーススタディ [2]、2018年7月31日閲覧。
  17. PDN 3.0 standard 1.0 documentation, World Draughts Federation, http://pdn.fmjd.org/ 
  18. PBN Homepage, http://www.tistis.nl/pbn/ 

参考文献

  • 「Chess Training」 Nigel Povah 著 CADOGAN Chess ISBN 1-85744-170-2
  • 「チェスの本」 フランソワ・ル・リヨネ 著 成相恭二 訳 白水社 ISBN 4-560-05603-X
  • 「挑戦するチェス」 権田源太郎 著 中央公論事業出版 ISBN 4-89514-159-4
  • 「ヒガシ コウヘイのチェス入門 定跡編」 東 公平 著 河出書房新社 ISBN 4-309-26001-2

外部リンク


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