無人島

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無人島(むじんとう)とは、その第1義を平たく言えば、「人間のいない」のことである。そうは言っても、限定的な日数だけ住み着く人がいるケースはいくらでもあって、何日以上の滞在をもって「無人」でないのするのか、それについては定義されていない時代地域がほとんどである(※現代日本国には定義がある)。そのため、定住者がいる「有人島(ゆうじんとう)」との明確な線引きは難しい場合が多い。

なお、「むじんとう」は現代日本語での広く一般的な読みであるが、今ではほとんど死語とも言える古い日本語では「むじんじま」「むにんしま」「むにんとう」と読む。

名称

古来の日本語では、「ぶにん」と読む場合の「無人」の意味するところは、「誰もいなくて寂しい」もしくは「人手が足りない」ことである[1]。一方、「むにんじま」「むにんしま」「むにんとう」と読む場合、「誰もいない」ことを意味した。このことを考えれば、「誰もいない島」という意味での「無人島」は、「むにんじま」「むにんしま」「むにんとう」と読んでいたはずであり、「ぶにんじま」と読むのはおかしいということになる[1]

世界の無人島

世界最大の無人島はカナダデヴォン島である。面積は約55,000km2で、カナダのの中で第6位[2]、世界の島の中で第27位で、本州の24%、北海道の66%、九州の1.49倍、四国の3.01倍である。

日本の無人島

海上保安庁の定義では、下記のものが無人島となる[3]

  • 海図上で岸線が0.1km以上ある自然陸地(橋や防波堤で本土などとつながっていてもよい)を島と呼び、そのうちで定住者がいないもの。
  • ある季節だけ移り住む者が居る島、あるいは、住民登録本籍をその島の住所に置く者がいても実際に住んでいるわけではない島。
  • 特殊な例として、北方領土(178島)に属しロシア人が多数居住している国後島択捉島色丹島

上記の定義において、日本のすべての島(6,852)から本土(本州北海道九州四国沖縄本島)及び有人離島(432)を除けば、日本における無人島の総数は6,415となる[4]。日本の施政下で最も大きな無人島は渡島大島で面積は9.73km2

パラオの無人島

パラオには200以上の島が点在しているが、人々が生活しているのは10ほどの島々であり、残りの島々はジャングルに覆われている[5]

無人島の理由

無人島になる理由のうち、はっきりしているのは小さい場合で、家を建てる場所もなければ住むことは不可能である。孤立して暮らす場合には、と食物の供給が不足しない条件が必要であり、それにはある程度の大きさが必要になるが、近隣の他島とのやりとりがあれば、この限りではない。

火山島など、生存に適さない条件があった場合にも無人島となる。沖縄県硫黄鳥島がこの例で、1959年までは集落があったが、噴火の危険があるとして避難、それ以降は無人島である。さらに、伊豆鳥島は、アホウドリ養殖のために島外から住民が移住していたが、1902年8月の噴火によって島民125名が全員死亡し、無人島になった。

日本では、過疎によってかつて有人であった島が、ゴーストタウンとなり無人島となる例もある。東京都八丈町八丈小島島根県益田市高島がその例で、また沖縄県の新城島の下地島もかつてそうなったことがある。

太平洋戦争時の硫黄島の戦いとして有名な硫黄島は、それ以前は住民があったが、その戦争の際に強制疎開され、それ以降は一般人が住まない無人島となった(航空自衛隊硫黄島航空基地は存在する)。

島を支えていた産業が崩壊して、無人島に至ったという例もある。長崎県長崎市にある端島(軍艦島)がそれに当たる。

なお、上述の海上保安庁による定義に基づけば、無人島は必ずしも「人の寄り付かない島」というわけではない。灯台が立っている島、沖ノ島のように神域として管理されている島、さらには四阪島のように、工場があって従業員が通勤してくる「無人島」も存在する。

無人島を舞台とした作品

文学作品内の『無人島』

無人島は、しばしば都市文明の対極にあるものとして描かれる。デフォーが著した『ロビンソン・クルーソー』をはじめ、しばしば文学作品などのテーマとして取り上げられる。多くの場合、その意図は、文明社会から隔絶された人間を描くことで、人間や人間社会の本質を浮き彫りにしたり、通常は所与のものと考えられている科学宗教教養、人との関わりなどが人間にとって本当に必要か否かといったことを考えさせる点にあるといえる。

漫画における無人島

文学に見られる無人島の扱いがそのままに漫画でも見られるが、漫画において独特なのは一コマ漫画の場合である。アメリカでは1コマ漫画が大きなジャンルとして成立しており、そこでは無人島が非常に大きなテーマとして扱われる。その典型はヤシの木が1本だけある小島に流れ着いた一人の男、というものである。星新一はこのタイプの漫画をきっかけにアメリカの一コマ漫画のコレクションを趣味にし、それに基づく本も出版している。それによると、アメリカの一コマ漫画における最大のジャンルであり、専門のアンソロジーも多数出版されている。おそらくその起源はロビンソン・クルーソーのパロディであろうと推察している[6]

また、星は「そこに人がいる以上は無人ではない」として、このジャンルを「孤島漫画」と呼んでいる。

無人島を舞台とした映画

無人島を舞台としたゲーム

脚注

  1. 1.0 1.1 24 むにんじま - 小笠原諸島地名事典 Place Names全般の地名 - 延島冬生(環境カウンセラー[1]
  2. カナダの島の面積順位 (カッコ内は世界の島の中での面積順位) 出典:List of islands by area より
    第1位バフィン島(第5位)、第2位ビクトリア島(第8位)、第3位エルズミーア島(第10位)、第4位ニューファンドランド島(第16位)、第5位バンクス島(第24位)、第6位デヴォン島(第27位)
  3. 海上保安庁水路部「海上保安の現況(昭和62年版)」
  4. 海上保安庁「海上保安の現況」昭62
  5. JTB『るるぶパラオ 2018年版』6頁
  6. 星新一、『進化した猿たち』1-3、1975)、早川書房、ハヤカワ文庫JA

関連項目

外部リンク

無人島物件を扱っている企業