神の国(キリスト教)

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かみのくに
ギリシア語: βασιλεία τοῦ Θεοῦ, 英語: kingdom of God

日本語の訳語としては『口語訳聖書』や『新共同訳聖書』が採用している神の国が広く使われている。

岩波書店発行の佐藤研らが日本語訳した『新約聖書』では神の王国と訳されている。

旧約聖書,新約聖書,教会史を通じてのキリスト教の根本的信仰であり,イエスの説教の主題であった。『マルコによる福音書』1章 15に「時は満ちた,神の国は近づいた。悔い改めて福音を信ぜよ」というイエスの最初の宣教の言葉が記されている。元来ユダヤ人に待望されていた神の国は,全世界に及ぶ神の支配として考えられたが,同時にユダヤ民族の政治的独立や繁栄をもたらすものとされていた。しかし,終末観の発達とともに地上王国の理想から超越的,超現世的なものも強調されるようになり,終末の日に審判と祝福,滅亡と救いが全人類に及ぶとされるにいたった。イエスの「神の国」はこのユダヤ教の終末観の影響を強く受けているが,貧しい者,心清き者,迫害に苦しむ者などへの神の祝福を強調し,また神の国を受けるための信仰と生き方に重点をおいているところに特色がみられる。その言葉において「神の国」が現在的なものか終末に突如として実現する超自然的なものかどうか,議論の対立するところであったが,いまでは終末論的な見方が強い。イエスはこの人知をこえて突如として実現する神の国の到来の時期については語らず,ただへりくだって神の国を待つことを強くすすめた。