秘湯

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登山者しか行けない温泉、白馬鑓温泉は白馬鑓ヶ岳中腹の標高2,100mに位置する。

秘湯(ひとう)は、主に山奥などの交通の便が悪い場所に存在する温泉のことを指す。読んで字の如く、秘=他人に知らせたくないような温泉のことである。

概要

ファイル:鹿の湯(しかのゆ)露天風呂(大)P6270560.jpg
北海道の原生林の中の渓流沿いにぽつりと露天風呂が点在する鹿の湯

古くから山奥のひっそりとした温泉を求める温泉愛好家は数多く存在したが、その傾向が大衆的に強まっていったのは戦後高度成長期以降である。温泉宿が社員旅行の旅行先として使われるようになり、有馬熱海別府などに代表されるような大温泉地が歓楽地化するにつれ、素朴な湯治場の雰囲気を温泉を求める温泉ファンは喧騒から離れた僻地や小規模な温泉へ足を運ぶようになった。秘湯という言葉も、この頃から用いられはじめたとされる。この当時(1960年代)、漫画家であるつげ義春がしきりに僻地の鄙びた温泉地、湯治場へ足を運び当時の温泉や湯治場の雰囲気を多くの作品や旅の絵などに刻印している[1]。また、多くの秘湯ファンにつげの及ぼした影響は大きい。1980年代に入ると「秘湯」ブームとなり、巨大な温泉宿や歓楽街を有した温泉地よりも山奥の素朴な一軒宿を好む傾向が強まる。ブームにより秘湯の大衆化が進展し、素朴さが特徴であった宿にも快適装備(浴室のシャワーや、水洗トイレなど)が設けられるようになり俗化が進んだ。現時点では、長距離歩かないと本来の意味での秘湯に辿りつくことは容易ではない。

日本の主な秘湯

何を以って「秘湯」であるとするかは議論の余地が残されているものの、アクセスが困難な秘境らしい環境の温泉を試みに列挙する。

いずれも登山装備を要し、夏期のみ利用可。

「秘湯」の宿

「秘湯」を名乗る上での規制はないため、秘湯は自称することが可能である。例えば、民間企業である株式会社朝日旅行(旧・朝日旅行会)が主催する組織日本秘湯を守る会の場合、宿が申請し何かしらの審査が行われ、会としての独自の「秘湯」の基準を満たせば秘湯を名乗る。かつては秘湯らしかったところが改築や自動車道路の開通等により秘湯とは言えなくなっても、未だに会員として継続しているところもある。

参考文献

関連項目

脚注

  1. アサヒグラフ1959年2月14日号

外部リンク