称号

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称号(しょうごう、英語:Title)とは、主に個人または団体の公的な身分資格地位などを表す呼び名[1]

概要

そもそも、称号とは、を称するという意である。以外に特定の人を指す呼び名のことを号といい、当初は特定の人物を他者と区別するための呼び名として便宜的に成立するようになった。次第に人類が発達し、国家や民族、部族、地域、組織など、あらゆる社会や集団が形成され、身分制が成立すると、特権階級を中心にその社会・集団の中で、集団内での支配や序列を形成するために、それぞれの身分に特定の呼称や固定化された肩書きが用いられるようになった。称号を名乗る文化・習俗は、世界各地に発生したが、称号はその成立から今日に至るまで、個人や組織が国や社会・特定の集団の中での地位身分資格名誉、功労、業績、能力、個性、特典、権利または個人としての主張、性格といった特性を表明するものとして、広く用いられるようになった。

特に称号を名乗る文化は貴族や宗教者、軍人、官僚、学者、芸能の分野において、その発達著しく、貴族の称号たる爵位、学者・研究者の称号たる学位などがその例である。

今日、称号の概念は、あらゆる肩書きを包括するものであるが、狭義には爵位や学位、役職、資格などの肩書きを除く、一部の肩書きのみを指して用いられる。

今日、称号は国際機関をはじめ多くの民族宗教地方公共団体法人企業、その他の団体において定められており、その根拠は国の定める法律ないし条例、制定授与する機関・法人または団体の規約や定款などによる明文化された規定による場合のものや、慣習的に称号の授与が行われる場合もある。称号の授与は、主に称号記ないし表彰状感謝状、称号付与通知書ないし認定証を交付することにより行う。

称号を称する場合、表彰による授与または贈呈或いは試験等の合格による認定を受けるか、或いは当事者による自称、祖先からの世襲、或いは師からの継承などにより名乗るものである。称号を受けることを受称または受号という。いずれを用いるかは称号を定める機関の慣例による場合が多い。受称は学術、武道の分野、受号は書道の分野で用例がある。称号を受けることを謙譲語では拝受と表記するため、こちらの用例が比較的多い。また、等級のある称号において、上位の称号を受けることを進号、称号を贈ることを授与、付与、認定、贈号、贈呈という。但し死没者に対して称号が贈られる場合、追号といわれる場合もある。

主な類型

称号には個人に対する称号と団体・組織・法人に対する称号などがある。主な類型としては、大きく栄誉称号資格称号にわけられ、あらゆる称号の多くは、概ねこの二つに分類することができる。栄誉称号の第1に君主の称号たる君主号(封号、外交称号含む)や皇太子、王子などの皇族・王族の称号、貴族の爵位など地位に基づく称号である。第2に、学位や準学士或いは学会のフェローなどの学術称号、その他、第3として技能や事績、経験等に基づく称号があげられる。また、個人の事績を顕彰する目的で授与または贈呈される称号として名誉院長、名誉会長などの名誉称号名誉学位も名誉称号の一種)がある。 資格称号としては、弁護士や名称独占を許容される資格があげられる。

また、もうひとつの分類方法として君主号や爵位の他、伝統芸能の名跡のように世襲の称号、個人の功績や成果に応じ個人の努力と才覚により所得する称号とにわけることができる。また、称号の効果としては、単に栄誉を讃えることに留まるもの、権利や権能或いは義務が発生するもの、特定の資格や能力を保障するものなどにわけられる。栄誉称号のほとんどは終身その効果を保持し、死後もその称号を剥奪されることはない、いわば終身称号である。しかし、資格称号については資格免許の更新を要したり、或いは生存中のみ称号の効果が認められるものもある。

以下、それぞれの事例につき詳述する。

個人に対する称号

個人に対する称号のうち、国、地方公共団体或いは法律に基づき国公私立大学や公益法人が授与する公的な称号と財団法人・株式会社その他の社団が授与する私的な称号がある。

国家・地方公共団体・大学・公益法人などの定める公的な称号

公的な称号について、以下に概説する。

  1. 皇位・王位、皇室・王室などにおけるもの
    1. いわゆる君主号のこと。君主または諸侯元首の地位(皇位または王位など)の名称。天皇皇帝国王ハーンアウグストゥスカエサル(シーザー)、カリフスルターンシャーアミールバシレウスツァーリ大公首長など。
    2. 日本皇室では、天皇の長系卑属の親王・内親王に対してその幼少時に付与される漢字1文字と「宮」を組み合わせた「○宮(○○のみや)」という呼称(公式には「御称号」)が狭義の称号とされる。ただし、広義では男子皇族宮号を、さらに広義では皇族の親等の遠近にかかわらず親王内親王などの身位を称号と見る場合もある。
  2. 戦士・武人などの称、貴族の位、官職の名など
    1. 大統領国家主席などの国家元首首相閣僚評議会議長行政府大臣長官などの官職名。
    2. モンゴルなどで勇者の称号をバガトルという。民族によっては特定の事象・経歴に則り名前に用いる称号を授受する風習が存在するところもある。
    3. 王朝などで特定の貴人を処遇するために授与する特定の地位(官位など)。またはその名称(准后など)。
    4. 爵位貴族の称号。名字には爵位名をつけて(ie. Viscount Ishiguro)、または爵位領名(ie. the Marquess of Bath)で呼称するが、名を呼ぶ際は名の下にとつけて敬称する。公爵侯爵伯爵子爵男爵爵位は世襲称号、また准男爵(baronet)も世襲だが、一代貴族 (イギリス貴族のうち、世襲ではなく、一代限りで貴族に任じられる者)、勲功爵(knight)(ナイト爵)などは一代称号とされる。また、貴族の夫人、子女に許される称号を儀礼称号という。
    5. 騎士は西欧における武人の称号。
    6. 軍隊の階級も広義の称号といいうる。また、法令上「階級」と「称号」とを区別する場合、「称号」として元帥名誉大佐等が定められている国もある。
    ※(2.3.4.5に関連して)主に日本国外では、栄典の授与(日本における位階勲章褒章)や記章の授与に際して位階・勲等功級のようなものや称号もともなうことが多い(爵位騎士号元帥陸軍大将海軍大将文化功労者英雄称号など)。英雄称号は共産圏の国々において勲章に付随する栄典として授与されることが多い。
  3. 学修上・研究上の称号
    1. 学位。学術称号のことをいう。大学において一定の単位と修了要件を満たすことで授与される。博士修士専門職学位(修士相当)及び学士短期大学士の学位がある。
    2. 高等専門学校卒業者には、準学士の称号が授与される。以前は短期大学の卒業者に準学士の称号を与えていたが、2005年10月1日より短期大学士の学位が授与されることとなった(高等専門学校は現行のまま)。準学士は、国内では学位に準ずる意義を有するが、法令上は学位ではなく名誉称号である。
    3. 一定の要件を満たす専修学校の専門課程を修了した者には、高度専門士及び専門士の称号が付与される。専門士も大学編入などの資格があり、実質的には学位に準ずる。しかし、学術面よりも専門的技能や職能を評価する称号であることから、あくまで学位に類する称号であると考えられており、準学士と同じく法令上はあくまで国内のみの評価基準となる名誉称号である。
  4. 功績に対するもの
    1. 研究並びに大学運営の功労者には、大学より学校教育法上に定められた名誉教授の称号が授与される。また、法律に関わらず大学が独自に設置する称号としては様々なものがある。名誉学長や名誉博士もそのひとつである。名誉教授の他に特別栄誉教授の称号を授与している大学もある。その他、長崎大学の臨床教授の称号、客員教授の称号などもある。
    2. 学会などでは優れた研究業績のある人物に名誉会長、名誉会員、永年功労会員、フェロー称号、名誉フェロー称号、研究員、客員研究員、実験力学専門術士、実験力学高度専門術士などの称号が授与しているケースもある。日本心理学会では認定心理士日本歯科理工学会ではDental Materials Adviser。
    3. 独立行政法人中央農業総合センターでは、研究協力員の称号を授与している。称号には任期があるが再任は妨げられない。
    4. 独立行政法人産業技術総合研究所では実績ある研究員に名誉フェロー称号を授与している。
    5. 公的機関や私的団体などで一定の地位・功労、業績に対して敬意を表する目的で授与する栄誉職のこと。都道府県警察では剣道柔道をもって警察官の育成にあたったの功労ある師範に対して名誉師範の称号を授与している。その他、都道府県立或いは市町村立の病院では功労ある院長に名誉院長の称号を授与している。また、消防団などでも、兵庫県赤穂市消防団、伊丹市消防団では名誉消防団長の称号を、岡山県岡山市、同県玉野市石川県小松市の各消防団において名誉消防団員の称号を授与する例がある。(消防団長#消防団長経験者に対する称号消防団員#退職消防団員 (OB・OG) の称号参照)
    6. 日本赤十字社では名誉社長名誉社員特別社員(従来は金色特別社員及び銀色特別社員)の3種の称号を授与している(日本赤十字社#日本赤十字社の授与する称号参照)。
    7. 都道府県、市町村などでは地域自治・行政分野の功労ある者に対して名誉称号を贈る例がある(例:名誉町長、名誉市長、名誉村長、名誉議員、名誉都民、名誉道民、名誉府民、名誉県民、名誉市民、名誉町民、名誉村民、名誉区民など)また、特定の分野名を冠した功労者の称号を授与する例もある(例:○○市政功労者)。
    8. 兵庫県姫路市では善行奉仕に篤実に勤めた市民に対して姫路市篤行高士の称号を贈呈している。
  5. 国家資格及び公的資格のうち、肩書きとして使用できるもの。
    1. 国家資格ないし公的資格のうちで資格試験に合格した者に対して付与される資格も称号のひとつということができる。特に弁護士司法書士行政書士弁理士技術士など士業といわれる資格はこれに該当する。教員免許や社会教育主事任用資格など、資格取得後、任用されてはじめて資格の効果が発生するものについては、これに該当しない。
  6. 広報活動のための称号
    1. 都道府県や市町村、その他の公益法人では、観光や地域振興を目的として広報を著名人や現地の市民などに対して委嘱するため、観光大使の称号を授与する例がある。
    2. 組織全体をアピールする場合、一日署長など実在の称号と同じ名前の称号を設定することがある。ただしこれは名称のみであり、実際の権限を持たず、広報以外の職務を行うことはない。

財団法人や企業の定める私的な称号

私的な称号としては主に財団法人や企業、その他の社団が定めるものがあり、主な事例について以下に概説する。

  1. 武道・技能・芸能その他の称号
    1. 武道などでは、主に範士教士錬士の称号が授与される。全日本居合道連盟では範士と教士の間に準範士の称号を置く(剣道居合道弓道杖道空手など)。段位審査同様、受審者には称号審査が課せられ、一定の要件を満たすことが求められる。
    2. マインドスポーツ囲碁将棋)などで大会の優勝者に授与されるタイトルなど。将棋では名人王将王位、王座、棋王、棋聖、竜王倉敷藤花などがある。またチェスグランドマスターなど総合的な成績で得られる称号もある。
    3. その他、大会優勝者などの呼称。例えばオリンピックコンテストコンクールの優勝者などのチャンピオン、メダリストなど。美人コンテストなどのミス、準ミス、或いは○○王、○○女王、○○クィーンなどの呼称も称号のひとつといえる。
    4. スポーツ界の功労者などに対するスポーツマスター称号などがある。
    5. 工芸分野においては都道府県ないし市町村により技術者に対してマイスター称号などが授与される場合もある。
    6. 業界団体などでは名誉会長、名誉会員等の称号を定めていることがある。
  2. 特定の業界において定めている称号
    1. 楽団において名誉総指揮者、名誉指揮者などの称号を定めているところがある。
    2. 財団法人、非営利法人などにおいて定める民間資格のうち、肩書きとして使用することができるものも称号のひとつといえる。主に資格称号といわれる。検定試験にて付与される等級など肩書きではないため、これに該当しない。
  3. サービス業において業界団体が授与している称号
    1. 主な事例としてタクシー運転手にマスターの称号を授与している(保持者は営業車に3つ星のあんどんを装着出来る)。その他、販売店や製造業の称号もある。
  4. 企業が独自に設置する社内称号
    1. 主な例として、アサヒビールがし現場社員を対象として、テクニカルマスター、テクニカルエキスパートの称号を授与している。高砂製作所では技監の称号を設置している。
    2. 私塾などでは、塾友の称号を贈呈する場合がある。
    3. 日本商工会議所では一定のタイピング能力のある者にゴールドホルダーの称号を授与している。

伝統的な称号

  1. 伝統芸能において継承される名跡や先祖伝来の世襲呼称をいう場合もある。
  2. 名字・人名
    1. 名字のこと。特に平安時代末期の公卿における住所にちなみ、名乗った家名をいうことが多い。ちなみに豊臣秀吉家臣や全国の大名に羽柴の姓を許し、江戸時代には徳川氏が国主大名に松平の称号を許した。
    2. 異名、通り名、あだ名。通常姓名をもじったり容姿行動から付けられる。頭の良い者を「今孔明」力の強い者を「今弁慶」などと呼んだりこともある。
    3. 尊号譲位した天皇などの称号のこと。主に太上法皇太上天皇など。
    4. 院号。太上天皇や女院将軍大名正室・生母などの称号。また、戒名の号のひとつでもある。
    5. 主に室町時代から江戸時代にかけて皇族公卿将軍と一門、大名などに許された貴人の称号。公方号及び御所号屋形号などがある。公方号は本来、朝廷を意味した。南北朝時代足利尊氏室町幕府を開くにあたり朝廷から公方号を勅許されたことを契機として将軍の別称・敬称としての公方号が定着する。また、尊氏の庶子で鎌倉を中心とした東国支配を任された足利基氏鎌倉公方を称するようになり、足利氏の中で足利将軍家鎌倉公方家の二つの公方家が並立することとなった。江戸時代には徳川将軍家の当主たる将軍を指す別称・敬称として定着するようになった。御所号とは室町時代の足利将軍家及び鎌倉公方家とその一門、或いは南北朝時代、鎮守府将軍として活躍した北畠氏とその一門に許された称号である。公方号と並ぶ尊称であるが、公方が主に将軍や鎌倉公方家の当主、将軍職継承を目指して将軍家に対抗した足利一門に限定して称されたのに対して、御所号の場合は足利氏や北畠氏の嫡流・庶流に広く許された称号であった。江戸時代には鎌倉公方家の家督を継承した喜連川氏に許された。屋形号とは室町時代、幕府が足利一門、有力守護に対して授与した称号。屋形号を有するものは、臣下より御屋形様(おやかたさま)と敬称された。江戸時代は御三家をはじめとした家門大名、島津氏伊達氏などといった室町以来の旧族大名などに許された。
    6. 屋号・家号(やごう)。屋号とは商店、歌舞伎俳優の称号。家号と書く場合には、その家の通称を意味する。
    7. 室町時代後期以降、江戸時代まで武士が僭称した百官名東百官も人名であると同時に称号としての役割を果たした。
    8. 進士とは、中国で598〜1905年まで行われた官僚登用試験である科挙の合格者。中華文化圏のベトナム・朝鮮・日本も同じ制度を採用している。日本では、元来律令制大学寮学生で式部省が課した試験に合格したものの称号。その後、となる。

団体・法人に対する称号

中華人民共和国などでは、優良企業などの称号を授与している。

脚注

  1. 称号の定義は、松村明大辞林』(三省堂2006年)1226頁及び新村出編広辞苑』(岩波書店2011年)1375頁の解説に準拠。

参照文献

  • 新村出編『広辞苑』(岩波書店、2011年)ISBN 400080121X
  • 松村明編『大辞林』(三省堂、2006年)ISBN 4385139059

関連項目