船井電機

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船井電機株式会社(ふないでんき、FUNAI ELECTRIC CO., LTD.)は、主にAV(テレビビデオなど)機器を中心に製造・販売を行っている企業である。通称はFUNAIフナイ

社是は「より良い製品を より厚い信頼を より実りある共存共栄を」、コーポレートステートメントは“DIGITAL VISUAL ENTERTAINMENT”。iVDRハードディスクドライブ・コンソーシアム(現在のiVDRコンソーシアム)のGeneral Member(2012年4月17日現在)。

概要

製造ラインを短期的に組み直しすることで、多様な家電製品を安価で大量生産することに優れている(F.P.S.=フナイ・プロダクション・システム)。

専ら日本国外への輸出、および他メーカーへのOEM供給を行っている。日本市場では三菱東芝ブランドの他、2001年から2017年にかけては子会社であるDXアンテナの名義で「DX BROADTEC」ブランドのテレビやレコーダーなどを製造していた(DXアンテナは2017年にエレコムに売却)。北米市場ではMagnavoxPhilipsEmersonKodakSanyoブランドのテレビやレコーダーなどを製造している。

1980年代には自社の「Funai」ブランドで日本国内のテレビ市場に参入。スーパーやディスカウントショップで売られている激安テレビの覇権を、韓国の金星社(現LG)や三星電子(Samsung)などと争い知名度を上げた。2000年代以降にはブランド力を高める方針を取った2社とは対照的に、船井電機はOEMなどの黒子に徹する方針を取ったため、自社ブランドの知名度は下がったが、業績は拡大している。特に北米市場における液晶テレビのシェア(他社のブランドを全て含む)はSamsung・VIZIO・LGに次ぐ4位(2016年度)であり、日本企業の中では最も高い。

近年は液晶テレビやBD/DVDレコーダー、3D対応BDプレイヤー、デジタルハイビジョンチューナーなどの製品をコンスタントに市場へ投入している。かつてはアーケードゲームテレビゲームの製造・販売も手がけていた。

Funaiブランドの製品は、日本市場では2017年よりヤマダ電機で独占的に展開されている。北米ではウォルマートを中心として展開し、ブランド認知度は高い。

アジア・欧州市場や新興国市場にも販路を広げているが、北米市場の比率が77%(2016年)と極めて高く、このうち6割はテレビである。

日本国内向けにVHSビデオデッキを製造・販売する最後のメーカーであったが、2016年7月をもって生産を終了した。

なお、大阪市にある経営コンサルティング会社「船井総合研究所」とは無関係。また新潟精密(電機部品メーカー)やプロピア等の親会社である「船井興産」は、船井電機の創業者・船井哲良の資産管理会社という点で人的なつながりはあるが、直接的なつながりはない[1]

歴史

船井哲良(1927年–2017年)が、1951年に個人経営のミシンの卸問屋「船井ミシン」を創業。当初はミシンの卸を行い、ほどなくミシンの自社生産・海外輸出を行うようになる。1959年に船井軽機工業株式会社を設立し、トランジスタラジオの製造に乗り出す。1961年に船井軽機工業のトランジスタラジオ製造部門を分離し、船井電機を設立。これが船井電機の創業である。会社設立当初より、専ら日本国外への輸出、および他メーカーへのOEM供給を行っていた。

1980年代にはこれまで主力だったトランジスタラジオに代わる中核事業として、ブラウン管テレビや生活家電の分野に進出。1980年代の急激な円高に伴い、日本国内市場への自社ブランドでの参入を決定。「FUNAI」のブランド名で販売を行った。「FUNAI」ブランドの他にも、「FUNPAL」や「SUEDE」なるブランドも存在した。また「ATHLETE」(アスリート)ブランドで小型液晶テレビ・ブラウン管テレビ・テレビデオを中心に展開、これらはイオン系列の店舗の家電売場に多く納入されていた。

1987年ホームベーカリー『らくらくパンだ』の製造・販売を開始し、松下電器(当時)とともにこの分野での草分けとなり、ブームを引き起こし、消費者の認知度を高めた。しかしホームベーカリーは一時期のブームに終わり、日本国内ではブランド力が弱く、販売網も整備されなかった。

1990年代にはウォルマートとの取引を開始し、業績は急拡大。1999年には大証二部上場、2000年には大証・東証一部上場を果たす。1990年代後半から2000年代前半にかけては、北米では特にテレビデオの販売で大成功し、60%を超える市場シェアを獲得していた。

2001年にはアンテナメーカーであるDXアンテナを子会社化し、この強力な販売網で日本国内市場での製品販売を行うこととし、新たに国内専用ブランド「DX BROADTEC」(ディーエックスブロードテック)を立ち上げた。ロゴは一見Tがrのように見えるが、BROADTECである。DX BROADTECブランドの使用により一時的に日本からFUNAIブランドは消えた。

2006年にヤマダ電機と業務提携し、7月5日ヤマダ電機での独占販売として液晶テレビを発表し、一時的にFUNAIブランドの日本再参入を果たした[2]。しかしほどなく終了し、日本国内では再びDXアンテナ名義や他社のOEMに徹することになる。

2008年にはフィリップスとブランドライセンス契約を結び、北米で液晶テレビなどにPhilips、Magnavoxの2ブランドを使用できるようになった[3]。また2013年にはPhilipsのオーディオ事業を買い取ることになった。しかし2014年、Philipsは契約違反があったとして船井電機を国際仲裁裁判所に訴えた。

2016年にPhilipsと和解したが、船井電機は特別損失を計上するなどして2年続けて赤字となり、3年間に社長が3度変わるなど、経営の混乱があった。また北米市場のシェアが低下するなど、経営の立て直しが急務となった。

2017年、経営の立て直しのためにDXアンテナをエレコムに売却し、ヤマダ電機と業務提携し「FUNAI」ブランドで日本市場に再参入。

1990年代は「HRSフナイ」という子会社を通して、海外映画作品(主に独立系のB級、シアタースルー作品)やエンターテインメント作品のビデオソフトの版権取得・販売も行われていた(その後 1995年に社名をクライムエンターテイメントと変更し、音楽作品レーベルも設立。2003年にヤマダ電機系列となり、2009年4月に株式会社ヤマダエコソリューションに社名変更された)。この時点での音楽レーベル部門が株式会社クライムエンタテインメント(販売委託元はユニバーサル ミュージック。カタログにはももいろクローバー(現・ももいろクローバーZ)などの音楽CD等も取り扱う)となった。

沿革

  • 1961年8月 - 大阪市生野区に船井電機株式会社を設立。
  • 1964年3月 - 広島県深安郡(現・福山市)に生産会社として中国船井電機株式会社を設立。
  • 1976年9月 - 本店を大阪府大東市に移転。
  • 1996年
    • 1月 - 船井サービス株式会社を設立。
    • 4月 - レーシングチーム「スーパーアグリ」のメインスポンサーとなり、「FUNAI SUPER AGURI」としてフォーミュラ・ニッポンに参戦(翌1997年まで)。
  • 1999年2月 - 大阪証券取引所市場第二部に株式を上場。
  • 2000年3月 - 東京証券取引所市場第一部、大阪証券取引所第一部に株式を上場。
  • 2001年 - 神戸市兵庫区のDXアンテナ株式会社を子会社化。
  • 2002年 - 日本国内ブランド「DX BROADTEC」使用開始。
  • 2004年4月 - 株式会社船井電機新応用技術研究所を設立。
  • 2005年4月1日 - フナイ販売株式会社はDXアンテナ株式会社に営業譲渡、日本国内での「FUNAI」ブランド使用停止・「DX BROADTEC」に一本化。
  • 2006年6月15日 - インターネット電話事業に参入FUNAI G-LEXサービス開始。2008年9月30日サービス終了。
  • 2007年2月15日 - 大リーグのボストン・レッドソックスと本パートナーシップ契約を締結[4]
  • 2008年6月 - 代表執行役社長に林朝則(前専務執行役)が就任。船井哲良社長は代表権のない会長に就任する。
  • 2011年11月18日 - 中国・斯米克集団(CIMICグループ:董事長 李慈雄)の傘下企業である蘇州明曜光電有限公司(以下、CMET)と合弁で、LED照明ランプの製造及び販売会社を設立することで合意、LED照明ランプ市場に参入することを表明。
  • 2013年
    • 1月29日 - オランダ・フィリップスよりライフスタイル・エンターテイメント事業を取得すると発表[5][6]
    • 4月 - 以前より委託製造を行なってきたアメリカのレックスマークよりインクジェットプリンタ関連製品製造子会社を取得。
    • 10月25日 - フィリップス、船井電機へのライフスタイル・エンターテイメント事業売却を破棄と発表[7][8][9]
  • 2017年
    • 3月30日 - DXアンテナの保有株式をエレコムに譲渡。同時に「DX BROADTEC」ブランド製品の製造を終了した。
    • 5月17日 - ヤマダ電機と独占販売契約を結んだ上で、「FUNAI」ブランドの国内市場向け製品を同年6月2日から発売すると発表した。

使用権を持つブランド

自社のFUNAI以外にも各社とブランドの使用権を得てSANYO(北米)、Magnavox(北米)、KodakPhilips(北米、南米)などのブランド名で製品を展開している。

出典

関連人物

関連項目

外部リンク