裸子植物

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裸子植物 (らししょくぶつ、英語: Gymnosperm学名Gymnospermae)は、種子植物のうち胚珠がむきだしになっているものを指す[1]ソテツ類イチョウ類マツ類グネツム類を含む。

裸子植物が単系統であるか側系統であるかについては、分子系統学が発達した今日でも両方の立場があり、答えが出ていない。裸子植物の分類階級は伝統的にはであるが、裸子植物が側系統であると判断する場合には、単系統のみを分類群として認める立場から裸子植物門を置かず、その代わり、ソテツ門、イチョウ門、マツ門、グネツム門を置く。現生種は約750種が属する[1]

また、顕花植物と言った場合、裸子植物と被子植物とを含み、裸子植物の生殖器官はと呼ばれるが、これはリンネに由来する語法である。ただし、裸子植物のそれを花と認めない見方もある。例えば、英語で Flowering plant と言った場合には、被子植物のみを含める。

特徴

裸子植物は種子を作るようになった最初の植物である。

種子はシダ植物における大胞子のうと、それを覆う構造から生じたもので、本来は胞子形成を行う葉の裏面にのっていたものである。シダ種子植物ではそのような状態が見られる。しかし、多くの植物は胞子葉を特殊化させ、1つの枝先に集中してを形成した。そのような中で、種子の元である胚珠は胞子葉の間に保護される傾向がある。被子植物では胞子葉が胚珠を包み込んで雌しべとなり、胚珠が外界から切り離されることで、その傾向がさらにもう1歩進んだと言える。そのような観点で見れば、裸子植物は、植物界の進化に於いて、被子植物への進化の途中段階のものと見なすこともできる。

また、小胞子とそれに由来する雄性前葉体を小胞子の中に閉じこめて雌性胞子葉まで届ける、ということを行うようになった。これが花粉の起源である。

それに伴って、雌性胞子葉は花粉を受け止める役割を持つようになり、多くの裸子植物では雌雄の胞子葉はそれぞれに枝先に集まってまとまった構造を取るようになった。これがもう1つのの起源である。裸子植物においては花粉の媒介はほとんどが風によるもので、花には被子植物に見られるような装飾的な構造が欠如している。

最も初期の裸子植物はシダ種子植物である。古生代後期に出現した。シダ植物のような葉に種子をつけたものである。古生代末に環境が乾燥化するにつれ、イチョウ類、ソテツ類、それにキカデオイデア類が分化し、シダ植物とその地位を交代した。その後に針葉樹が分化し、中生代の地上はこれらの樹木に覆われた。また、中生代は恐竜時代ともいわれるが、裸子植物を中心とした植生は、恐竜の繁栄を大いに支えた。

中生代末から被子植物にその地位を取って代わられ、現在ではイチョウ類・ソテツ類・グネツム類は少数の種が残るのみである。現生の裸子植物の大半は針葉樹であるが、温暖で湿潤な環境では針葉樹が優占する植物群落はまれで、寒冷な地域に広く分布する。そのほか、海岸や岩の上など、やや厳しい条件下で針葉樹を中心とする群落が生じる場合がある。

マツスギなどの、現生の裸子植物の多くの種は、雌花が球果状(いわゆる松かさ状)となっている。このことから、現在ではイチョウ類・ソテツ類・グネツム類を除いた多数の種が球果植物に分類され、独立したグループとして扱われることもある。

被子植物に取って代わられた理由の1つに、昆虫鳥類などとのやりとりの少なさがあげられる場合がある。被子植物が、花粉媒介種子散布にそれらの動物との関わり合いを持ち、それによって互いに影響しあって多様な姿のものを生み出したのに対して、裸子植物にはそのような例が少なく、これが勢力の逆転に大きく影響したという見方である。実際、裸子植物の花粉媒介には風媒花の例が圧倒的に多く、動物媒の例はほとんど無い。

分類

脚注

  1. 1.0 1.1 馬渡峻輔・加藤雅啓・岩槻邦男 『バイオディバーシティ・シリーズ 植物の多様性と系統』 裳華房、1997-10-20。ISBN 978-4-7853-5825-9。

関連項目