諏訪地域

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諏訪地域(すわちいき)は、長野県南信地方諏訪市岡谷市を中心とした地域。県を10地域に分ける時に用いられる[1]。旧諏訪郡全体と一致している。

域内人口は211,318人(2005年時点)。諏訪市と岡谷市を中心とする複眼構造を為すが、諏訪広域連合の本部もある諏訪市の方がやや主力となりつつある。また最も人口が多い都市は茅野市である。

JR中央本線中央自動車道が通っており、南アルプスを避けて関東地方山梨県東海地方を結ぶ交通の要路である。

概要

自治体

該当する自治体は、西から岡谷市、下諏訪町、諏訪市、茅野市原村富士見町である。諏訪湖を取り巻く西側の「湖周」3市町と、東側の「八ヶ岳山麓」3市町村に緩やかな連携が見られる。

以下は長野県の定義である。

地理

ファイル:Suwako2.jpg
諏訪湖とその周辺(山梨県小淵沢上空より)

東京名古屋の二大都市圏から約200kmに位置し、中央自動車道およびJR中央本線が域内の広域交通を大きく担っている。

地域の北西に諏訪湖があり、東側に八ヶ岳連峰がそびえる。諏訪湖周辺は諏訪盆地となっており、人口や産業が集積している。

気候

周囲を北東にかけては八ヶ岳に連なる山々、南西にかけては南アルプスに連なる山脈に囲まれ、それらの山々と諏訪湖の影響を受ける。内陸的気候の特色を示す県内にありながら、例えば、春夏秋季の降水量は県内比で多め、冬季の降水量は圧倒的に少ないというように、内陸気候の中でも特徴的な気象環境下にある。気候は、湖周部と八ヶ岳山麓部で異なっている。これは、諏訪湖周辺と八ヶ岳山麓の標高差が大きいことに起因するものである。

避暑地と呼ばれる傾向にあるが、平地に限れば夏場の日中の最高気温は30度前後に達し、それほど涼しくはない。ただし、夜から朝にかけては気温は下がり、過ごしやすい気温になる。熱帯夜になることはめったにない。

ただし、諏訪地域の気候は標高差の関係から湖周部と八ヶ岳山麓部で異なっている。 諏訪湖周辺では、フェーン現象の影響を受け、標高が760m近くありながら、夏場には高温になることがある。また、冬は比較的乾燥しており、雪が少ないのが特徴である。また、諏訪湖の影響により、周囲よりも冬季の冷え込みは幾分やわらぐが、全面氷結すると、冷え込みが強まるという特徴がある。八ヶ岳山麓にある茅野市の大部分、原村、富士見町は、標高が800m以上となるため、北海道並みに夏は涼しく、冬は寒さが厳しい。ケッペンの気候区分では亜寒帯湿潤気候に分類される。

経済

後述する観光以外に、精密機械を中心に工場が多く、諏訪圏工業メッセという見本市を開催している。これは豊富な諏訪湖周辺の水を利用して古くから製糸業が発達したほか、第二次世界大戦期に関東から軍需工場が疎開した歴史がある。

歴史

古代

縄文、弥生時代から、霧ヶ峰を中心に人類の生活の痕跡がある。下諏訪の和田峠を始めとする黒曜石による石器、また、縄文弥生時代のものと見られる土器の破片も採掘される。

中世・近世

戦国大名諏訪氏によって治められる。代表的人物に諏訪頼重がいる。諏訪地域は東南側で甲斐国(現・山梨県)に接し、他の信濃国人や甲斐武田氏との関りから戦乱が度々起きた。諏訪頼重は武田信玄に攻め込まれ、茅野市上原城、諏訪市四賀の桑原城に立てこもったものの敗れ、甲斐にて自害させられている。 その従兄弟である諏訪頼忠によって諏訪氏が再興され、息子の諏訪頼水1600年慶長5年)の関ヶ原の戦いにおける功よって高島藩に封じられている。江戸時代にこの地域を支配していたのは高島藩で、藩庁は高島城。以降10代にわたって、諏訪氏により治められた。甲州街道の終点で中山道と交わる下諏訪の手前の宿場町として栄える。

近現代

観光

諏訪地域は諏訪湖や八ヶ岳などを抱え、寺社や史跡も多いため、一大観光地となっている。諏訪湖は点在する多数の観光スポットを結びつける役割を持っている。諏訪地域には毎年2000万人近い人が訪れている。

寺社・旧跡

全国的に名を知られている諏訪大社がある。諏訪大社は以前は「諏訪さま」などと呼ばれていた。諏訪さまへの信仰は鎌倉時代には既に存在したとされており、初詣客の数は長野県でトップを誇る。信濃国一宮となっている。温泉寺は上諏訪温泉のそばの山間にあり、諏訪地域を治めていた高島藩主(諏訪氏)の菩提寺となっていた。高島城は日本三大湖城の一つで、毎年冬には恒例のすす払いが行われる。NHKの大河ドラマ『武田信玄』の舞台に使われ放送されていた頃は20万人近くが訪れていたが、現在は4万人程度となってしまっている。諏訪市公式ページにライブカメラが設置されている。

  • 諏訪大社
    • 上社
      • 前宮(まえみや):茅野市
      • 本宮(ほんみや):諏訪市
    • 下社
      • 春宮(はるみや):下諏訪町
      • 秋宮(あきみや):下諏訪町
    • 有名な御柱で駆け下りる場所(木落し坂):下諏訪町
  • 温泉寺:諏訪市
  • 高島城:諏訪市
  • 儀象堂:下諏訪町

美術館・博物館

信州は美術館や博物館が多く、諏訪地域も1983年5月に北澤美術館が開館して以降、質の高い美術館が点在するようになった。諏訪市原田泰治美術館は地元出身の画家・原田泰治の個人美術館。名誉館長は友人の歌手、さだまさし。サンリツ美術館は国宝楽焼白片身変茶碗」(銘不二山/本阿弥光悦作)を所蔵している。この美術館は服部時計店3代目社長の服部正次(はっとりしょうじ、1900 - 1974)と、その長男でセイコーエプソン社長であった服部一郎(1932 - 1987)のコレクションを展示するため、1995年(平成7年)開館した。

温泉

諏訪には温泉も多い。かつて上諏訪駅にはプラットホームに温泉があった。温泉施設を持つ駅は他にもjr例があるが、ホームにあるのはここだけであった。しかし、近年の足湯ブームによりこの温泉は足湯になってしまった。湯は熱めであるが、足のみを暖める足湯としては一般的な湯加減である。利用者には駅を利用したついでに足湯を楽しむ観光客などが多い。足を暖めることで、血流を良くし、全身を暖める足湯は、信州の厳しい寒さを凌ぐ目的での入浴にも適している。

その他の観光スポット

霧ヶ峰は八ヶ岳中信高原国定公園中部にあり、フォッサマグナ沿いに噴出した楯状火山である。最高峰は、車山 (1925m) 。山地帯夏緑樹林亜高山帯針葉樹林の境界付近に存在する。八島ヶ原湿原、踊場湿原からは、黒曜石を用いた石器旧石器時代のものと推定される)が発見されている。

祭事

交通

ファイル:長野県の10分割区分.png
青系色が北信地方(水色:北信地域 青:長野地域)
黄系色が東信地方(黄色:上小地域 薄黄:佐久地域)
赤系色が中信地方(オレンジ:大北地域 赤:松本地域) ピンク:木曽地域
緑系色が南信地方(黄緑:諏訪地域 抹茶色:上伊那地域 明るい緑:飯伊地域)

鉄道

域内をJR中央本線が通っている。西側3市町には1駅ずつしかなく、それぞれの駅の利用者数が比較的多いため、茅野駅上諏訪駅下諏訪駅岡谷駅自動改札機が取り付けられた。

普門寺信号場から岡谷駅までは、中央東線の本線区間(辰野線を除く区間)においては唯一の単線となっている。その影響で、上下線で最大の輸送量を発揮するダイヤ編成を行ったときに10分おきに電車を発着させるのが精一杯の状況である。なお、中央東線高速化実現期成同盟会によって複線化についての質問がJR東日本になされているが、JR東日本は現状の輸送力で十分としている。

道路

中央自動車道長野自動車道が通っているほか、国道20号が中核的な道路になっている。中央自動車道と長野自動車道は岡谷ジャンクションで接続しており、域内には中央自動車道の諏訪南インターチェンジ(富士見町)と諏訪インターチェンジ(諏訪市)、長野自動車道の岡谷IC(岡谷市)が存在する。国道20号は諏訪市内を中心に慢性的な交通渋滞に悩まされており、数十年前から、茅野市中河原北交差点より中央自動車道諏訪IC付近を経て長野自動車道岡谷ICまでを結ぶ諏訪バイパスが計画されている。このうち中河原北〜飯島(諏訪市)が暫定供用中、下諏訪岡谷バイパスとして岡谷市内の湖北トンネル南〜岡谷ICが開通しているが、諏訪市、下諏訪町の市街地を主にトンネルで迂回する、最も重要な区間が開通するめどは立っていない。

諏訪ナンバー

従来、諏訪地域の自動車は松本ナンバーを取り付けていたが、知名度の向上による観光でのメリットを目指して2006年10月10日よりご当地ナンバーを導入。しかし、登録台数が総務省の求める基準ぎりぎりの水準にとどまっているため、対象地域を拡張するなどの努力目標が課せられている。

脚注・出典

  1. 諏訪地域の情報長野県ホームページ(2018年8月3日閲覧)

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