遊撃手

提供: miniwiki
移動先:案内検索
投手打者捕手一塁手二塁手遊撃手三塁手右翼手中堅手左翼手
野球のポジション図

遊撃手(ゆうげきしゅ、: shortstop)とは、野球において二塁と三塁の中間を守る内野手守備番号は6。英略字はSSShortstopから)。日本ではショートとも呼ばれる。

概要

二塁手と並んで内野で最も高い守備技術を要するポジションであり、「守備の華」とも称される[1]。遊撃手の手を借りないプレーは滅多になく、一塁との距離が遠いためにファンブルなどしていられず、体をのばす暇もなく、球を捕ったその地点から送球しなければならないためである[2]。通常は二・三塁間に守備位置をとり、一・二塁間に位置する二塁手と対称をなす。

担当する守備範囲は広く、三塁後方の浅いフライやレフト前からセンター前の打球に対応し、投手三塁手のカバーリングも行う。一塁から遠いため、内野ゴロの捕球から送球までに許される時間が短く、高い反応力に裏打ちされた俊敏性と送球の正確さが求められる。さらに、内野の深い位置から一塁や本塁へ送球することも多いことから強肩であることも要求される。また、二塁手と共に二塁ベース付近を守り、牽制球盗塁の際にはいずれかがベースをカバーし、もう一方は送球がそれた場合に備える。ダブルプレーの際は素早い打球処理と一塁への転送が求められるので、二塁手との連携は非常に重要である。また、左翼手や中堅手が打球を処理し内野に送球する場合には、送球の中継に入って内外野の橋渡し役(カットプレー)も担う。

多くのプレーに関係し、ボールに触る機会が全ポジションの中でも特に多いため、もっとも運動能力や野球センスを要求される内野手であるとされ、日本のプロ野球では、打撃に劣る選手でも俊足・強肩・堅守であれば遊撃手に定着することが多く、その上で高い打撃能力を持ち合わせていれば、より重宝される。したがって、要求される力量がないと判断されたり、故障や加齢により能力が衰えてきたりするとすぐに、(一塁に近いため遊撃手ほど肩の強さが要求されない)二塁手や、または守備の負担の比較的軽い三塁手や一塁手外野手コンバートされることが多く、一般的に守備能力が衰えると思われる30歳代半ばを超えても遊撃手のレギュラーを守り続けた選手は少ない。

日本のプロ野球ではボールに対する抵抗の少ない人工芝を内野に使用した球場が多いため、内野ゴロの打球が速く守備位置まで到達するので、捕球できなかった場合でも体で止めてボールを前に落とす打球処理方法が基本とされる。一方、内野に天然芝を多く使うアメリカの野球では、打球の速度が落ちるので前に落として打球を処理していたのでは一塁への送球が間に合わなくなるため、捕球の確実性よりも素早くアウトを取る能力を求められる。そのため、体のひねりを利用して素早く送球動作に移れる逆シングル捕球を積極的に採用するように指導されることが多く、真正面の打球であっても逆シングルで捕球する選手もいる。

左投げの選手の場合、ボールを捕球してから一塁手へ送球するまでに体の向きを変える必要があり、右投げに比べわずかではあるが処理に時間を要し、一塁手を除く他の内野のポジションと同様、遊撃手も通常は右利きの選手が務める。

メジャーリーグにおいてはカル・リプケンの登場以降、遊撃手も打撃力が必要不可欠なポジションであるとのイメージが強くなった[3]。特に、デレク・ジーターアレックス・ロドリゲスノマー・ガルシアパーラの3人は1990年代に「3大遊撃手」と呼ばれ、リプケン以降の、打撃も守備も兼ね備えた新たな遊撃手像を体現する存在となった。2000年代に入るとロドリゲス、ガルシアパーラに代わって、マイケル・ヤングミゲル・テハーダを加えた3選手が「新・3大遊撃手」と呼ばれていた。ただし近年においても、ポジション別のOPSなどでは、遊撃手は概して外野手や一塁手、三塁手よりも低くなっており、まずは打撃よりも遊撃を守れる守備力が要求されていることに変わりはないようである。選手の総合評価指標として知られるWARでは、捕手に次いでポジション補正値が高い。

脚注

  1. “守備の華”遊撃手で最高の選手は? 20年間の数字から見えた、ある真実。 1
  2. キャンパニス(1957年) p.104
  3. アメリカキューバ少年野球などでは伝統的に最も身体能力、野球技術の優れた選手が遊撃手を任されるため、日本における投手のような花形のポジションである。そのため、これらの国ではプロに入団すると遊撃手から適性に合った他のポジションにコンバートされることが多い。

参考文献

da:Baseballpositioner#Shortstop (SS)