電車特定区間

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電車特定区間(でんしゃとくていくかん)とは、 JR旅客営業規則第78条に規定する区間である。東京附近及び大阪附近の幹線区間のうち利用者が特に多い線区・区間について、この区間内の駅を相互発着する場合、普通旅客運賃の計算において幹線区間よりも割安な対キロ賃率を適用するものと規定されている。国鉄時代は国電区間とも呼ばれていた。車両面では概ね通勤形電車が走行するエリアである(一部例外あり)。

なお電車特定区間の中心部の区間は、東日本旅客鉄道(JR東日本)東京山手線内および、西日本旅客鉄道(JR西日本)大阪環状線内関西本線天王寺駅 - JR難波駅間・桜島線を含む)として別に指定され、それぞれの区間内各駅の相互発着については、さらに安い賃率が設定されている。

旧国鉄1984年4月の営業規則改訂時に設定し、国鉄分割民営化以降はJR東日本・JR西日本が設定範囲を決定しているが、新路線(東北本線京葉線の一部区間、JR東西線おおさか東線)開業に伴う指定追加以外は基本的には変更がない[1]

適用線区・区間

以下の記述は、正式線路名称による。

東京付近

大阪付近

運賃

東京付近の電車特定区間のIC運賃と大阪付近の電車特定区間の普通旅客運賃とJR東日本の幹線のIC運賃を記す(電車特定区間内で最短経路の設定がある140kmまで)。小児は大人の半額に対して普通旅客運賃は10円未満を切り捨て、JR東日本のIC運賃は1円未満を切り捨てる。2014年4月1日改定。

  • 営業キロは、1km未満を切り上げる。
  • 11km以上の区間の賃率は、電車特定区間が15円30銭、山手線内・大阪環状線内が13円25銭である。なお、11km以上300km以下の本州3社の幹線は16円20銭である。
  • JR東日本のIC運賃は、税抜き運賃+消費税額の1円未満を切り捨てる。
  • 普通旅客運賃は、税抜き運賃+消費税額の10円未満について東京附近の電車特定区間は切り上げ、それ以外は四捨五入する。
  • ()内は東京山手線内・大阪環状線内の運賃(10km以下は他線と同じ)。
営業キロ 東京附近 大阪附近 幹線
初乗り3km 133 120 144
4 - 6 154 160 185
7 - 10 165 180 195
11 - 15 216(194) 220(190) 237
16 - 20 302(259) 300(260) 324
21 - 25 388(334) 390(330) 410
26 - 30 464 460 496
31 - 35 550 550 583
36 - 40 637 640 669
41 - 45 712 710 756
46 - 50 799 800 842
51 - 60 918 920 972
61 - 70 1,080 1,080 1,144
71 - 80 1,242 1,240 1,317
81 - 90 1,414 1,410 1,490
91 - 100 1,576 1,580 1,663
101 - 120 1,836 1,840 1,944
121 - 140 2,160 2,160 2,268

これ以上の距離については市販の時刻表を参照のこと。

その他

  • 青春18きっぷを使用する場合、1回分の効力は当日限り(24時を過ぎて最初に停車する駅まで)であるが、電車特定区間内については同日付けの終電まで有効である。
  • 関東では現在でも近距離電車(通勤形使用)・中距離列車近郊形使用)の区分がほぼ明確であるが、近距離電車運転区間である蘇我駅が含まれていない(京葉線は、1つ手前の千葉みなと駅まで)。その一方、中距離列車しか運転されない横須賀線[2]は全線が含まれる。
  • 関西では2016年から阪和線で近郊形(225系5100番台)による通勤形(103系205系)の置き換えが実施され、2018年3月17日のダイヤ改正で線内を走る普通・快速列車が全て近郊形車両に統一された。前述の横須賀線と同様、電車特定区間ながら近郊形車両しか運行されない路線となった。
  • 2004年8月、上田清司埼玉県知事が、東京都神奈川県千葉県に比べ埼玉県内の電車特定区間の範囲が狭いことを不満として、JR東日本に改善を申し入れている。これに同行した吉田弘埼玉県議は、宇都宮線については常磐線同様茨城県に入って最初の古河駅まで、高崎線については籠原駅までを電車特定区間とするよう主張している[3]
    • なお、電車特定区間の末端駅である大船駅・高尾駅・武蔵五日市駅・取手駅・千葉駅・千葉みなと駅とも山手線から約40km[4]で(取手駅に至っては前述の通り千葉県を越えて茨城県の駅である)、奥多摩駅・久里浜駅は山手線から約65kmであるのに対し、電車特定区間の埼玉県の末端である大宮駅は、池袋駅・田端駅から約23kmである。
  • 2009年4月1日からの、JR東日本の全面禁煙の実施区間は、概ね電車特定区間と一致する。千葉駅・千葉みなと駅 - 蘇我駅間が全面禁煙区間に含まれる一方、横須賀線東逗子駅以遠と青梅線・五日市線・南武支線・鶴見線は含まれていない。ただし、同年10月1日以降、全面禁煙のエリアは拡大されている。
  • 関西地区では関西本線大和路線)の奈良駅 - 加茂駅間と片町線(学研都市線)の木津駅 - 長尾駅間が電化されるまで(前者1988年3月、後者1989年3月に電化)の間、ディーゼルカーが走っていたことの名残りから電車特定区間には入っていない。
  • JRの周遊きっぷ(発売終了)のうち「東京ゾーン」のフリーエリアは、東京の電車特定区間にほぼ相当した(新幹線を除き、全区間含まれている)。なお、フリーエリアは他に千葉みなと駅 - (京葉線) - 蘇我駅 - (外房線) - 千葉駅 - (総武本線) - 佐倉駅 - (成田線) - 成田駅 - 我孫子駅と、八高線八王子駅 - 拝島駅間、東京臨海高速鉄道りんかい線東京モノレール羽田線の全区間を含む。
  • JRの郊外地域から東京エリアまでの往復の運賃・特急券と、このエリアのフリーきっぷがセットになった「○○東京フリーきっぷ」(○○には対象となる地域名や特急・新幹線の愛称等が入る)という特別企画乗車券もある(一部、フリーエリアが電車大環状線に限られるものもある)。逆に、首都圏発のみが設定されているふるさと行きの乗車券の2010年版では、発駅が電車特定区間内の各駅となっていた。
  • JR西日本の京阪神地区では、福知山線(JR宝塚線)は電化後も電車特定区間には組み込まれなかったため幹線運賃が適用されるが、競合他社線並行区間である大阪駅北新地駅 - 宝塚駅間の利用に限り特定区間運賃が適用される。但し、同区間内には含まれない駅から発着する場合は、幹線運賃が適用される。
  • 関東では南武支線や鶴見線など、圏内の利用者がさほど多くない路線でも全線が電車特定区間に含まれるが、関西では関西空港線(逆に、加算運賃が適用されている)と和田岬線(山陽本線の支線)が含まれない。
  • JR東日本では、2016年現在電車特定区間を示す略称として、一般的には死語化した『E電』を引き続き用いており、同社のプレスリリース等でも「電車特定区間(E電区間)」といった表記が見られる[5]

脚注

  1. 『国鉄監修 交通公社時刻表 1985年3月号』によれば、当時は「11km以上の電車特定区間の運賃」は設定されておらず、運賃区分は1~3kmが120円、4~10kmが140円の2種のみで、「11km以上の乗車には幹線運賃を適用する」とある。いっぽうで「東京山手線内・大阪環状線内の運賃」については、1~20kmまで記載されており、1~10kmについては当時の電車特定区間の運賃と同額であった。
  2. 沿線に高級住宅地や軍事基地がある関係で使用される車両はグリーン車付きの近郊形車両であったが、国鉄時代には山手線などとともに国電案内図に国電として掲載されていた。
  3. JR東日本の運賃格差について」 - 埼玉県ホームページ
  4. それぞれの駅の山手線からの距離は大船駅39.7km・高尾駅42.8km・武蔵五日市駅45.2km・取手駅37.4km・千葉駅38.7km・千葉みなと駅39.0kmである。
  5. 首都圏エリアへ 「駅ナンバリング」を導入します - JR東日本・2016年4月6日

関連項目