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(ほね、英:bone)は、脊椎動物において骨格を構成する、リン酸カルシウムを多分に含んだ硬い組織。特に軟骨(cartilage)などと明確に区別する場合には硬骨とも呼ばれる。

動物体内での骨の機能は多岐にわたり、体の保護や姿勢の維持、筋肉を用いた運動のほかに、栄養の貯蔵や、血球を産生する場としての役割も持っている。ヒトの大人の体には、大小約206の骨があり(幼児で約270個)、それぞれに固有の名称が与えられている。ヒトの体で最も大きな骨は大腿骨である。

またこの意味の他にも、口語的には骨格そのものを指し示す場合もあり、生物に留まらず広く用いられる(例:の骨、鉄骨など)。本項目では、特に断りのない限り、最初に示した通り脊椎動物の骨を説明する。

機能

力学的機能

  • 支持:骨は骨格によって身体のさまざまな器官重量を支える。
  • 運動:骨はによって相互に連結しており、支点・力点・作用点を形成することで体を運動させる。
  • 保護:骨は衝撃に惰弱な器官を保護する。頭蓋骨は脳、胸郭は胸部の内臓を収納・保護している。

代謝的機能

分類

骨は骨膜、骨質、および骨髄からなる。骨の大きさや形状は多種多様であり、縦に長い形状の「長骨」、立方体の形状の「短骨」、平たい形状の「扁平骨」、上記以外の特殊な形状を持つ「不整骨」に大別できる。

骨の生理

正常な骨は常に新陳代謝を行い、破骨細胞骨芽細胞の働きによって活発に吸収と再構築が行われ、一定の量が保たれている。骨折が治癒するのも骨の再生によるものである。骨の再生産、カルシウムの保持または放出は、副甲状腺ホルモン (PTH) 等によって制御される。

骨には神経がないため、骨が折れても痛くない。なぜ痛いかというと、骨折を起こすと骨の表面にある神経が集中している骨膜が破壊され、ほとんどの場合で強い自発痛や圧痛を生じるためである。骨折で手術をした際に、金属のプレートやワイヤー、ピン、ボルト等の固定具を骨に食い込ませて骨を固定し接合するが、もし骨に神経があったら激痛である。


組織学

  • 骨の有機成分の主体はタイプI型コラーゲンである。タイプII型は軟骨に主に分布する有機成分である。
  • 骨の形成には主として骨芽細胞破骨細胞が関与しており、これらの細胞による代謝のバランスの下に骨量が維持されている(骨のリモデリング)。
骨格形成と糖鎖の代謝

骨格形成には糖鎖の代謝が重要な役割を担っていることを理化学研究所が解明し、2007年に新遺伝子 SLC35D1 を特定した。これにより、ヒトの致死性の骨系統疾患、蝸牛様骨盤異形成症の解明に繋がることが期待されている[1]

脚注

  1. 骨格形成、軟骨代謝に必須の新規遺伝子SLC35D1を発見”. 独立行政法人 理化学研究所. 2008年2月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2008-2-20閲覧.

関連項目

外部リンク

  • Bone Health In Depth (英語) - (オレゴン州大学・ライナス・ポーリング研究所)