Emotion Engine

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Emotion Engine(エモーション エンジン、略称: EE)は、ソニー・コンピュータエンタテインメント (SCE) と東芝によって開発され、主にPlayStation 2向けに設計・使用されたMIPS R5900ベースの128ビットRISCマイクロプロセッサである。実質的な後継はPlayStation 3におけるCell Broadband Engine

本項では、同じくSCEによって開発され、PS2向けに設計・使用されたGPUGraphics Synthesizer(グラフィックス シンセサイザ、略称: GS)についても扱う。

この2つのチップはセットで使われる事が多く、当初は独立したチップであったが、のちにワンチップ化が行われた。

概要

CPUコアの浮動小数点演算ユニット (FPU) 以外に、VLIWを採用した2系統のベクトル演算ユニット (VU: Vector Unit) を搭載する。そのためFPU及び2系統のVUを合計した浮動小数点演算能力は、ピーク時で 6.2 GFLOPS となった。

また、DMAコントローラが統合されており、内部の各ユニットを128bitバスで接続した世界初[1]の完全な128ビットプロセッサでもある。

メインメモリとは、ラムバス社のDirect RDRAMインターフェイス2チャネルにより3.2 GB/sのメモリ帯域で接続されている。また、イメージプロセッシングユニットと呼ばれるMPEG-2デコーダユニットを内蔵し、MPEG-2形式のビデオを単体で再生する能力を持つ。

PS2が発売される前の1999年、当時のSCE社長だった久夛良木健はこのチップをゲーム機での採用だけにとどまらずマルチメディアワークステーションにも活用する構想を明らかにしていた[2]が(詳しくは#GScube 16を参照)、結果としてソニー製品としてはPS2とPSXWEGA[3]QUALIA 005[4]以外での採用は特になかった。ちなみに久夛良木はPS3のCPUであるCell Broadband Engineでも同様の構想を明らかにしていた[5]

また、ナムコ(ゲームメーカー)と山佐(パチスロメーカー)がパチスロ用基板「P246」を共同開発する際、GSと共にEEも採用された。

初期のPS3にもPlayStation 2用ゲームソフトの互換性を確保するためにEE+GSが搭載されている。その後GSしか搭載していない一部モデルを経てPS3におけるPS2ゲームソフトの互換性は廃止された。

各世代のEE、GSの比較表

EE#1[1]
(試作)
EE#2[6]
(SCPH-10000)
EE#3 EE#4 EE+GS
(SCPH-70000)
EE+GS'
(SCPH-79000以降)
チップ面積 (mm2) 240 224 110 73 86 N/A
プロセスルール (nm) 250[7] 180 150[8] 90 65
消費電力 (W) 15 18 N/A 8.5 N/A
トランジスタ数 (万) 1050 1350 N/A 5350
GS#1 GS#2 GS#3 GS#4 GS#5 GS#6
チップ面積(mm2) 279 188 108 96 83 73
プロセスルール(nm) 250 180 N/A 130[8]
トランジスタ数 (万) 4300 N/A

Graphics Synthesizer

Graphics Synthesizer(グラフィックス シンセサイザ、略称: GS)は、SCEによって開発され、主にPS2向けに設計・使用されたGPU

概要

4MBDRAM混載[9]したことによって、2560 bit(内訳は読み込み 1024 bit、書き込み 1024 bit、テクスチャ 512 bit)という超広帯域のバス幅を備え、合計48GB/秒という転送速度が特徴。 その他のスペックとしては、ピクセルエンジンと呼ばれるパイプラインを16基備え、147.456 MHzで動作する。なお集積トランジスタ数は4300万、250 nmプロセス製造でダイ面積が279 mm2となっており、発表当時としてはPC向けハイエンドチップの2倍以上の規模であった。

GScube 16

GScube 16は、PS2アーキテクチャをベースにメインメモリを4倍の128MBにしたEmotion Engineと、混載メモリを32MBに増量した「Graphics Synthesizer I-32」をそれぞれ16基搭載した、グラフィックワークステーションのプロトタイプである。 形状は正方形で、上部にGSユニットの稼働状況を表すイルミネーションが搭載されている。単独で稼働するワークステーションではなく、ホストシステムを必要とする。

また、チップを64個並列に搭載した「GScube 64」や、さらにそれを拡張し4000×2000ピクセルで120fpsでの映像出力が可能なワークステーションも予定されていた。

脚注

外部リンク