Jコミ

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株式会社Jコミ(ジェイコミ)は、絶版となった漫画、ライトノベル、TRPGルールブックなどを電子書籍として配信するウェブサイト「マンガ図書館Z」を運営する企業である。代表取締役社長は漫画家赤松健[1]

2010年平成22年)11月26日仮公開され[2]2011年(平成23年)4月12日に正式公開された。当初のサイト名は社名と同じ「Jコミ」だったが、2014年(平成26年)7月11日よりサイト名を「絶版マンガ図書館」に変更[3]、更に翌年2015年(平成27年)8月3日よりヤフー子会社のGYAOとの提携に伴いサイト名を「マンガ図書館Z」に改めた[4]。また、この際に6月16日に設立した株式会社Jコミックテラスに運営を引き継いだ。 2018年7月10日株式会社メディアドゥホールディングスによる株式会社GYAOからの株式取得により子会社化となった。[5]

なお、集英社ジャンプ・コミックス(JC)」で販売された事のある書籍の配信も行なっているが、「Jコミ」自体は同レーベルとは関係ない。

概要

作者の了解を得て広告を挿入した形で絶版作品を公開し、広告収入を作者に還元することを目的としている[6]。仮公開時には赤松健の漫画『ラブひな』全14巻が公開された[2]。絶版作品とは謳われているものの、単行本未収録の読み切りやそれらを独自にまとめたオリジナルの短編集の他、既に連載終了された作品の続編も公開されている。 また、他社から提供された漫画作品も公開されている。 なお、紙メディアや他版元の電子書籍で復刻が決まった作品は公開停止[7]になった他、著作者の裁量で掲載を取り下げた作品もある。

これらの作品はブラウザやアプリを通じて誰でも無料で読む事が出来たり(但し、成人向け作品は有料会員のみ閲覧可能、それ以外は僅かのページしか読む事が出来ない)、無料会員になる事でオフィシャルとして登録された作品をPDFファイルとして購入、保有する事が出来る。[注 1]

正式公開に先立ち「Jコミを応援してくれるフェロー(仲間)」の第一期生20人の募集が行われ[8]、最終的に20倍弱の応募倍率となったため急遽人数を増やして40人を当選とし、当選者には階級章バッジと赤松健のサイン入り仮契約カードが配られた[9]。フェローは会費無料で、義務は特にないとされている[8]

現在は、月一で対象となる作者の公開作品を一挙にまとめたものを加え、画集や作品のネームなどが加えられた限定商品や購入者による好きな作者のキャラクターを描いてもらえる権利や作者との飲み会等に参加出来る権利などの販売の他に、作者描き下ろしの年賀状を販売する作者応援キャンペーンが行われている。[10]

仕組み

ZIP書庫形式ファイルとしてまとめられた書籍のJPEGファイルがJコミにアップロードされると、自動的に解凍されスタッフの確認を経てから広告を挿入してPDF形式として無料公開される[11]。PDFファイルは高解像度と低解像度の2種類が用意されている[2]。2011年4月12日の正式公開以降はPDFの配信は一時中止されており、オンラインビューアーでのみの公開となっている。今後はオンラインビューアーで多く読まれた漫画上位3作品をPDF化する計画であると発表されている[12]。読者によってクリックされた広告の収入は全額作者に還元され[6]、会社の運営費用はウェブサイトのトップページの広告収入で賄うとしている[13]。PDFファイルには著作権保護のプロテクトなどは組み込まれておらず自由にコピーできるが、広告を外すことは不可能となっており、「ユーザーの間で相互にコピーされることによって無限に広告が拡散する」というビジネスモデルの構築を目標としている。自前でサーバを持たずAmazon EC2を利用している[14]

オンラインビューアーの愛称はVersion3が『サイボーグ009』の003フランソワーズ・アルヌールに因んだ「アルヌール」[15]、Version4が『機動戦士Ζガンダム』のフォウ・ムラサメに因んだ「ムラサメ」とされている[16]

取組み

社会問題にまで発展した、主にインターネット上で氾濫する海賊版漫画に対抗すべく、様々な取組みを行っている。 2018年8月から実証実験として実業之日本社と連携し、同社から出版・掲載された漫画や文芸書のデジタルデータの提供を呼び掛けている。[17] 実際にアップロードされ、出版社から許諾を受けた作品の中で著作権切れの書籍に関してはパブリックドメイン作品として閲覧可能となっているものもある。

また、漫画家の活動支援の一環として、ヤフオク!のreU fundingを通じてオークションを度々開催している。

沿革

脚注

注記

  1. 作者の意向でPDF販売を行っていない作品もあり、Zオフィシャル作家の著作であっても他社からの提携作品や自身が発表した投稿作品はPDFファイルでの販売は行われていない。

出典

  1. 運営会社”. Jコミ. . 2014閲覧.
  2. 2.0 2.1 2.2 “「ラブひな」無料配信スタート パンツや“ヤバゲー”の広告入り”. ITmedia. (2010年11月26日). http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1011/26/news058.html . 2010閲覧. 
  3. 岡田有花 (2014年7月10日). “「漫画版YouTubeを」――読者が漫画ファイルをアップ、作者の許可得て無料公開 Jコミ「絶版マンガ図書館」で海賊版を撃滅へ”. ITmediaニュース. http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1407/10/news099.html . 2014閲覧. 
  4. 西尾泰三 (2015年8月3日). “赤松健さんとGYAOが無料マンガ配信に新たな一手 「マンガ図書館Z」始まる”. ITmediaニュース. http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1508/03/news109.html . 2015閲覧. 
  5. Jコミックテラスの子会社化のお知らせ https://www.mediado.jp/mdhd/2285/
  6. 6.0 6.1 読者の皆様へ”. Jコミ. . 2014閲覧.
  7. 河内実加Twitterアカウントのツイートより
  8. 8.0 8.1 (17) Jコミを応援してくれるフェロー(仲間)を20名募集!
  9. Jコミ・フェローの第一期生が決定
  10. https://www.mangaz.com/campaign/c201712/
  11. 赤松健 (2010年11月15日). “(6) 無料化「ラブひな」で、どのくらいの効果か調べよう!”. (株)Jコミの中の人. . 2010閲覧.
  12. リリース第1号!『プレイヤーは眠れない』(全一巻)を無料公開 - (株)Jコミの中の人 そこでJコミでは、アルヌールで読まれた人気上位作品から、順次PDF化していくことを計画しております。
  13. 【 FAQ (よくある質問) 】”. (株)Jコミの中の人 (2010年11月18日). . 2010閲覧. “A.TOPページの広告で凌ぎたいと思います。”
  14. 導入事例(Jコミ) - cloudpack(クラウドパック)Amazon EC2などクラウドの導入設計、運用・保守サービス
  15. (15) 新型コミックビューワーV3について、ご意見を!”. (株)Jコミの中の人 (2011年2月24日). . 2015-6-1閲覧. “コードネームは「Arnoul(アルヌール)」です。(Jコミの技術部長が命名しましたが、名前の由来が分かる人います?)”
  16. (26) 今月は、画期的コミックビューワーV4「ムラサメ」が登場!”. (株)Jコミの中の人 (2011年7月1日). . 2015-6-1閲覧. “V3は「フランソワーズ・アルヌール」(サイボーグ003)から取ったので、V4はやっぱり「フォウ・ムラサメ」(Ζガンダム)から取るしかないでしょう!(笑)”
  17. 実証実験その1「出版社と組んで、海賊版の投稿システムを合法化しよう」 http://d.hatena.ne.jp/KenAkamatsu/20180806

外部リンク

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