ja>Slipcoped |
|
(同じ利用者による、間の2版が非表示) |
1行目: |
1行目: |
− | '''ヘイフリック限界'''(ヘイフリックげんかい、Hayflick limit)とは、[[細胞]]の分裂回数の限界のこと。ここでは主に、ヒト体細胞のヘイフリック限界について記述する。 | + | '''ヘイフリック限界'''(ヘイフリックげんかい、Hayflick limit) |
| | | |
− | == 歴史 ==
| + | 生命の寿命は体細胞の分裂回数によって制限されるとする概念. |
− | ヘイフリック限界は、1961年に[[カリフォルニア大学]]や[[スタンフォード大学]]で解剖学の教授を務めていた{{仮リンク|レオナルド・ヘイフリック|en|Leonard Hayflick}}らによって初めて発見された<ref>
| |
− | {{Cite journal
| |
− | | author = Hayflick, L.
| |
− | | title=The serial cultivation of human diploid cell strains.
| |
− | | journal = Exp. Cell Res.
| |
− | | pages = 585-621
| |
− | | year = 1961
| |
− | | url = http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/0014482761901926
| |
− | | id = PMID 13905659
| |
− | }}</ref>。その後多くの研究者によって追試され、ヒトの様々な臓器から得られた細胞を培養すると由来臓器に固有な分裂回数で増殖を停止すること、年齢の高いヒトからの細胞は分裂可能回数が少ないこと、遺伝的[[早老症]]患者から提供された細胞は健常者のそれより分裂可能回数が少ないことなど、多くの発見が生まれた。なおこの発見は、[[アレクシス・カレル]]の唱えた「普通の細胞は不死である。」という説を覆すこととなった。
| |
| | | |
− | == 原因 ==
| + | ヒト細胞培養では約 50 回の分裂であることからヒトの寿命は 115 年前後が限界と計算される. |
− | ヘイフリック限界の発見とその後の研究により、ヒト体細胞が決められた分裂可能回数を持つことは明らかであった。そこで原因として注目されたのが[[テロメア]]である。というのもヒト体細胞の場合、生まれたばかりのときの[[テロメア]]DNAの長さは8~12Kbp(bpは1[[塩基対]])ほどあるが、年齢が高くなるにつれその長さは短縮する傾向があり、また、[[テロメア]]DNAが5Kbpほどになるとヘイフリック限界がおとずれることが分かったからである。
| |
− | しかし、現存する多くの単細胞生物は無限の増殖能を持つ上に、培養によって簡単に不死化(無限分裂能)株が得られる細胞の存在もあって、テロメア短縮とヘイフリック限界を結びつけることに対しては議論され、「ヒト体細胞を培養しても無限の分裂が得られないのは、培養条件が最適でないからだ」という反論も多くみられた。
| |
− | その議論に終止符を打ったのが酵素[[テロメラーゼ]]であった。[[テロメラーゼ]]は[[テロメア]]DNAを修復させる酵素であり、無限分裂能をもつ細胞では強い活性をもつことがわかった。また、ほとんどのヒト体細胞ではかなり弱い活性をもつか、もしくは酵素自体が発現していないこともわかった。そして、環状DNAをもつ細胞や[[細胞小器官]]([[ミトコンドリア]]と[[葉緑体]])ではテロメラーゼ活性が全くないもののヘイフリック限界を持たないことも決め手となり、ヘイフリック限界とテロメアの関係は確実視されるようになった。
| |
| | | |
− | == 影響 ==
| + | *Leonard Hayflick (1928) 米国の微生物学者 |
− | 細胞にヘイフリック限界がおとずれると、[[細胞周期抑制タンパク質]]の発現が上昇する。これにより細胞は[[細胞老化]]と呼ばれる状態となり、[[体細胞分裂]]を行わなくなる。
| |
| | | |
− | == 範囲 ==
| + | {{テンプレート:20180815sk}} |
− | 分裂の回数が有限であるのは、ヒト体細胞に限らない。一般の動物の体細胞と繊毛虫、酵母など多くの分類群でも認められている。ただし生物細胞一般論としてはこのような分裂回数の有限性はむしろ少数派である。<br />
| |
− | また、動物体細胞以外での体細胞分裂回数の有限性は、テロメアが直接関係していないことが強く示唆されており、上記ヘイフリック限界とは異なる現象である。
| |
− | | |
− | ==最大寿命との関連==
| |
− | ヒトの分裂限界(PDL:population doubling level)(=ヘイフリック限界)は50で最大[[寿命]]は約120年、[[ウサギ]]ではPDL20で最大寿命は約10年、[[ラット]]ではPDL15で最大寿命は約3年で、PDLと最大寿命とが直線的な関係がみられる<ref>田沼靖一 『アポトーシスとは何か』 p205-213、1998年6月25日、講談社現代新書、ISBN 4-06-149308-6</ref>。
| |
− | | |
− | == 参考 ==
| |
− | <div class="references-small"><references /></div>
| |
− | == 関連項目 ==
| |
− | * [[寿命]]
| |
− | * [[細胞老化]]
| |
− | * [[アポトーシス]]
| |
− | * [[生物学における不老不死]]
| |
− | | |
− | {{biosci-stub}} | |
| {{DEFAULTSORT:へいふりつくけんかい}} | | {{DEFAULTSORT:へいふりつくけんかい}} |
| [[Category:細胞生物学]] | | [[Category:細胞生物学]] |
2018/10/12/ (金) 08:28時点における最新版
ヘイフリック限界(ヘイフリックげんかい、Hayflick limit)
生命の寿命は体細胞の分裂回数によって制限されるとする概念.
ヒト細胞培養では約 50 回の分裂であることからヒトの寿命は 115 年前後が限界と計算される.
- Leonard Hayflick (1928) 米国の微生物学者
楽天市場検索: