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津村 記久子(つむら きくこ、1978年1月23日 - )は、日本の小説家。大阪府大阪市出身、大阪府立今宮高等学校、大谷大学文学部国際文化学科卒業。
経歴
幼少時には児童書をまねて文章を書いていたが、中学生のころからは音楽に親しむようになる。大学3年のころから本格的に小説を書き始める[1]。
2000年、新卒で入社した会社で上司からパワーハラスメントを受け、10か月で退社[2]。その後、職業訓練校などを経て2001年に転職。
2005年に「マンイーター」(単行本化の際『君は永遠にそいつらより若い』に改題)で第21回太宰治賞を受賞し、小説家デビュー。兼業作家として、会社から帰った後、睡眠を二回に分けてその合間に小説を執筆していた[1]。
2012年、10年半勤めた会社を退職し、専業作家となる[1]。
受賞歴
- 2005年 - 「マンイーター」で第21回太宰治賞受賞
- 2008年 - 「カソウスキの行方」で第138回芥川賞候補
- 2008年 - 「婚礼、葬礼、その他」で第139回芥川賞候補
- 2008年 - 『ミュージック・ブレス・ユー!!』で第30回野間文芸新人賞受賞
- 2008年 - 咲くやこの花賞文芸その他部門受賞
- 2009年 - 「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞受賞
- 2011年 - 『ワーカーズ・ダイジェスト』で第28回織田作之助賞受賞
- 2013年 - 「給水塔と亀」で第39回川端康成文学賞受賞
- 2016年 - 『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞受賞
- 2017年 - 『浮遊霊ブラジル』で第27回紫式部文学賞受賞
- 2017年 - 『アレグリアとは仕事はできない』で第13回酒飲み書店員大賞受賞
作風・人物
- 自身の会社員生活の経験を元に、働く人々や女性を描いた作品が多い[3]。
- 大阪在住であり、近畿地方を舞台にした作品、関西弁を話す登場人物も多く描かれる。
- スポーツ観戦が趣味で、海外サッカーやロードレース、フィギュアスケートのファンである[1]。
作品
小説
- 『君は永遠にそいつらより若い』(筑摩書房、2005年11月 / ちくま文庫、2009年5月)
- 『カソウスキの行方』(講談社、2008年2月 / 講談社文庫、2012年1月)
- 『ミュージック・ブレス・ユー!!』(角川書店、2008年6月 / 角川文庫、2011年6月)
- 書き下ろし
- 『婚礼、葬礼、その他』(文藝春秋、2008年7月 / 文春文庫、2013年2月)
- 婚礼、葬礼、その他(『文學界』2008年3月号)
- 冷たい十字路 (『文學界』2007年6月号)
- 『アレグリアとは仕事はできない』(筑摩書房、2008年12月 / ちくま文庫、2013年6月)
- 『八番筋カウンシル』(朝日新聞出版、2009年2月 / 朝日文庫、2014年4月)
- 書き下ろし
- 『ポトスライムの舟』(講談社、2009年2月 / 講談社文庫、2011年4月)
- ポトスライムの舟(『群像』2008年11月)
- 十二月の窓辺(『群像』2007年1月号)
- 『ワーカーズ・ダイジェスト』(集英社、2011年3月 / 集英社文庫、2014年6月)
- ワーカーズ・ダイジェスト(『小説すばる』2010年9月号 - 11月号)
- オノウエさんの不在(『小説すばる』2008年4月号)
- 『まともな家の子供はいない』(筑摩書房、2011年8月 / ちくま文庫、2016年3月)
- まともな家の子供はいない(『ちくま』2009年11月号 - 2010年10月号)
- サバイブ(『Webちくま』2006年3月 - 6月)
- 『とにかくうちに帰ります』(新潮社、2012年2月 / 新潮文庫、2015年10月)
- 職場の作法(日本経済新聞電子版 2010年10月4日 - 23日)
- バリローチェのフアン・カルロス・モリーナ(『新潮』2011年1月号)
- とにかくうちに帰ります(『新潮』2009年3月号)
- 『ウエストウイング』(朝日新聞出版、2012年11月 / 朝日文庫、2017年8月)
- 『小説トリッパー』2009年12月号 - 2010年12月号
- 『これからお祈りにいきます』(角川書店、2013年6月 / 角川文庫、2017年1月)
- サイガサマのウィッカーマン(『デジタル野性時代』2012年3月号 - 4月号)
- バイアブランカの地層と少女(『野性時代』2008年1月号)
- 『ポースケ』(中央公論新社、2013年12月 / 中公文庫、2018年1月)
- 書き下ろし
- 『エヴリシング・フロウズ』(文藝春秋、2014年8月 / 文春文庫、2017年5月)
- 『別冊文藝春秋』2012年5月号 - 2013年1月号
- 『この世にたやすい仕事はない』(日本経済新聞出版社、2015年10月)
- 日本経済新聞電子版 2014年5月1日 - 2015年3月19日
- 『浮遊霊ブラジル』(文藝春秋、2016年10月)
- 給水塔と亀(『文學界』2012年3月号)
- うどん屋のジェンダー、またはコルネさん(『文學界』2010年2月号)
- アイトール・ベラスコの新しい妻(『新潮』2013年1月号)
- 地獄(『文學界』2014年2月号)
- 運命(『新潮』2014年6月号)
- 個性(『すばる』2014年9月号)
- 浮遊霊ブラジル(『文學界』2016年6月号)
エッセイ等
- 『やりたいことは二度寝だけ』(講談社、2012年6月 / 講談社文庫、2017年8月)
- 日本経済新聞、朝日新聞他
- 『ダメをみがく "女子"の呪いを解く方法』(紀伊國屋書店、2013年4月 / 集英社文庫、2017年1月)
- 『日経ウーマンオンライン』2012年10月 - 2013年3月。深澤真紀との対談集。
- 『二度寝とは、遠くにありて想うもの』(講談社、2015年4月)
- 朝日新聞、京都新聞、日経ビジネスオンライン他
- 『くよくよマネジメント』(清流出版、2016年5月)
- 『清流』2010年5月号 - 2013年7月号。イラストは森下えみこ。
- 『枕元の本棚』(実業之日本社、2016年7月)
- 『ジェイ・ノベル』2010年7月号 - 2015年11月号、『小説現代』2010年2月号
- 『大阪的』(ミシマ社、2017年3月)
- 江弘毅との対談。
- 『まぬけなこよみ』(平凡社、2017年4月)
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 作家の読書道 第155回:津村記久子さん
- ↑ 当時の経験は「十二月の窓辺」(『ポトスライムの舟』収録)に描かれている。
- ↑ 「津村 そうですね。一番は、身近なことが働くことなので、基本的には働くことを書くということだと思います。」日経Bizアカデミー インタビュー
- ↑ 受賞時タイトルは「マンイーター」、ペンネームは「津村記久生」。
- ↑ 連載時タイトルは「コピー機が憎い!」。
外部リンク
典拠レコード: