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{{Infobox disease
 
| Name = 狂犬病
 
| Image = Dog with rabies.jpg
 
| Caption = 狂犬病に罹患した犬(狂騒状態後の麻痺期)
 
| Field  = 感染症
 
| DiseasesDB = 11148
 
| ICD10 = {{ICD10|A|82||a|82}}
 
| ID9 = {{ICD9|071}}
 
| ICDO =
 
| OMIM =
 
| MedlinePlus = 001334
 
| eMedicineSubj = med
 
| eMedicineTopic = 1374
 
| eMedicine_mult = {{eMedicine2|eerg|493}} {{eMedicine2|ped|1974}}
 
| MeshID = D011818
 
}}
 
'''狂犬病'''(きょうけんびょう、{{lang-en|rabies}})は、[[ラブドウイルス科]][[リッサウイルス属]]の[[狂犬病ウイルス]] (''Rabies virus'') を[[病原体]]とする[[ウイルス]]性の[[人獣共通感染症]]である<ref name="whofact">{{Cite web|publisher=世界保健機関 |url=http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs099/en/ |title=Media centre - Rabies |accessdate=2015-08-01}}</ref>。[[水]]などを恐れるようになる特徴的な症状があるため、'''恐水病'''または'''恐水症''' ('''hydrophobia''') と呼ばれることもある(実際は水だけに限らず、[[音]]や[[風]]も水と同様に[[感覚器]]に刺激を与えて[[痙攣]]等を起こす)。
 
  
毎年世界中で約5万人の死者を出しており、その95%以上は[[アフリカ]]と[[アジア]]である<ref name="whofact" /><ref>世界保健機関:[http://www.who.int/rabies/en/index.html HUMAN AND ANIMAL RABIES]</ref>。感染した動物に噛まれた人の40%は、15歳未満の子供であった<ref name="whofact" />。ヒトからヒトへの伝播がなく大流行に繋がる恐れもないことから、感染症対策の優先度が低くなる傾向がある<ref name="idsc.2006.325"/>。
+
'''狂犬病'''(きょうけんびょう、{{lang-en|rabies}}
 
 
[[日本]]では、[[感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律|感染症法]]に基づく[[感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律#四類感染症|四類感染症]]に指定されており(感染症法6条5項5号参照)、[[イヌ]]などの狂犬病については[[狂犬病予防法]]の適用を受け(狂犬病予防法2条参照)、また、[[ウシ]]や[[ウマ]]などの狂犬病については[[家畜伝染病]]として[[家畜伝染病予防法]]の適用を受ける(家畜伝染病予防法2条及び家畜伝染病予防法施行令1条参照)。
 
 
 
日本では[[創傷|咬傷]]事故を起こした動物は狂犬病感染の有無を確認するため、捕獲後2週間の係留観察が義務付けられている。係留観察中の動物が発症した場合は直ちに殺処分し、感染動物の[[脳]]組織から[[免疫染色|蛍光抗体法]]でウイルス抗原の検出を行う<ref>[http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsvs/05_byouki/infect/01-rabies.html 狂犬病]、源宣之([[岐阜大学]]農学部 獣医公衆衛生学講座)</ref>。
 
 
 
== 臨床所見 ==
 
[[ファイル:Rabies Virus EM PHIL 1876.JPG|200px|thumb|狂犬病ウイルスの電子顕微鏡写真([[アメリカ疾病予防管理センター]]・1975年)]]
 
=== 病原体 ===
 
リッサウイルスは、遺伝子解析、[[血清型]]の分析から、下記の7つの[[遺伝子型]] (Genotype) に分類される<ref>[http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k03/k03_18/kansen_02.gif Neighbor‐Joining 法によるリッサウイルスの系統樹]、国立感染症研究所 感染症情報センター</ref><ref>[http://www.nih.go.jp/niid/reference/Lyssavirus-manual.pdf リッサウイルス感染症検査マニュアル]、国立感染症研究所</ref>。
 
* Genotype 1([[狂犬病ウイルス]]:''Rabies virus'')
 
* Genotype 2(ラゴスコウモリウイルス:''Lagos bat virus'')
 
* Genotype 3(モコラウイルス:''Mokola virus'')
 
* Genotype 4(ドゥベンヘイジウイルス:''Duvenhage virus'')
 
* Genotype 5(ヨーロッパコウモリリッサウイルス1:''European bat lyssavirus type 1; EBL1'')
 
* Genotype 6(ヨーロッパコウモリリッサウイルス2:''European bat lyssavirus type 2; EBL2'')
 
* Genotype 7(オーストラリアコウモリリッサウイルス:''Australian bat lyssavirus; ABL'')
 
 
 
Genotype 1(遺伝子型1型)が従来知られていた狂犬病ウイルスで、Genotype 2(遺伝子型2型)のラゴスコウモリウイルス以外のリッサウイルスは、ヒトに狂犬病様の[[脳炎]]を起こすことが知られている。
 
 
 
=== 感染 ===
 
[[Image:Rabid dog.jpg|thumb|狂犬病を発病したイヌ]]
 
一般には感染した動物の咬み傷などから[[唾液]]と共に[[ウイルス]]が伝染する場合が多く、[[傷口]]や[[目]]・[[唇]]など粘膜部を舐められた場合も危険性が高い。狂犬病ウイルスは'''[[ヒト]]を含む全ての[[哺乳類]]に感染'''し、人への感染源のほとんどが[[イヌ]]であるが<ref name="whofact" />、ネコやコウモリ、[[アライグマ]]などイヌ以外の[[野生動物]]も感染源となっている。
 
 
 
通常、ヒトからヒトへ感染することはないが、[[角膜]][[移植 (医療)|移植]]や臓器移植による[[レシピエント]](移植患者)への感染例がある<ref>[http://idsc.nih.go.jp/iasr/25/297/fr2973.html 臓器移植による狂犬病感染の調査、2004年 - 米国]、国立感染症研究所 感染症情報センター、IASR(病原微生物検出情報月報)Vol.25 No.11 (No.297) 2004年11月号</ref>。
 
 
 
なお、[[犬食文化|犬肉を食べる]]ことによって狂犬病に感染することは無いとされる<ref>{{cite news |title=世界が激怒する中国「犬肉祭り」の残酷さ |newspaper=[[ニューズウィーク]] |date=2018-7-6|url=https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/07/post-10550.php|accessdate=2018-7-7|author=ピーター・リー}}</ref>。
 
 
 
=== 症状 ===
 
[[潜伏期間]]は咬傷の部位によって大きく異なる。咬傷から侵入した狂犬病ウイルスは神経系を介して[[脳神経]]組織に到達し発病するがその感染の速さは日に数ミリから数十ミリと言われている。したがって顔を噛まれるよりも足先を噛まれる方が咬傷後の処置の日数を稼ぐことが可能となる。脳組織に近い傷ほど潜伏期間は短く、2週間程度。遠位部では数か月以上、2年という記録もある<ref>厚生労働省:[http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/07.html 狂犬病に関するQ&A]</ref>。
 
 
 
前駆期には[[風邪]]に似た症状のほか、咬傷部位皮膚の咬傷部は治癒しているのに「痒み」や「チカチカ」などの違和感<ref>[https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/kikou/200612/502130.html (西園晃)狂犬病患者はいつ出てもおかしくない] 日経メディカルオンライン 記事:2006年12月21日</ref>、熱感などがみられる。急性期には不安感、恐水症状(水などの液体の嚥下によって嚥下筋が痙攣し、強い痛みを感じるため、水を極端に恐れるようになる症状)、恐風症(風の動きに過敏に反応し避けるような仕草を示す症状)、[[興奮|興奮性]]、[[麻痺]]、精神錯乱などの神経症状が現れるが、脳細胞は破壊されていないので意識は明瞭とされている<ref name="menikk.506995"/>。また、腱反射、[[瞳孔反射]]の亢進(日光に過敏に反応するため、これを避けるようになる)もみられる。その2日から7日後には脳神経や全身の[[筋肉]]が麻痺を起こし、昏睡期に至り、呼吸障害によって死亡する。
 
 
 
なお、典型的な恐水症状や脳炎症状がなく、最初から麻痺状態に移行する場合もある。その場合、ウイルス性[[脳炎]]や[[ギラン・バレー症候群]]などの神経疾患との鑑別に苦慮するなど診断が困難を極める<ref>栄研化学株式会社:{{PDFlink|[http://www.eiken.co.jp/modern_media/backnumber/pdf/MM200507_02.pdf モダンメディア 2005年51巻7号 - 狂犬病について]}}</ref>。恐水症状は、喉が渇いていても水に恐怖を感じてしまう為、苦しむ[[動物]]や[[人間]]は多い。
 
 
 
=== 診断 ===
 
診断法は「蛍光抗体 (FA) 法」によるウイルス抗原の検出、「RT‐PCR法」によるウイルス遺伝子の検出、ウイルス分離、[[血清]]反応、[[ELISA]] による抗体価の測定などにより行われるが、感染初期の生前診断は困難。
 
 
 
=== 予後 ===
 
[[Image:Rabies patient.jpg|thumb|狂犬病患者]]
 
試験的な治療法の成功症例を除くと、ワクチン接種を受けずに発病した場合はほとんど確実に死に至り<ref>[http://idsc.nih.go.jp/iasr/26/301/fr3013.html 狂犬病を発病後回復した1例、2004年-米国・ウィスコンシン州]、国立感染症研究所 感染症情報センター</ref>、確立した治療法はない。2004年10月以前までで記録に残っている生存者はわずか5人のみで、いずれも発病する前に[[ワクチン]]接種を受けていた。[[2004年]]10月、[[アメリカ合衆国]][[ウィスコンシン州]]において15歳の少女が狂犬病の発病後に回復した症例がある<ref>[http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/4042005.stm Girl survives rabies without jab]、[[BBCニュース|BBC NEWS]]、2004年11月25日</ref>。これは発病後に回復した6番目の症例であり、ワクチン接種無しで回復した最初の生存例でもある<ref>[http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0707/200707_046.html 狂犬病からの生還 R.E.ウィルビー]、日経サイエンス2007年7月号</ref>。この際に行われた治療は[[ミルウォーキー・プロトコル]] (Milwaukee protocol) と呼ばれ、実際に数人が生存しており、治療法として期待されているが、回復に至らず死亡した事例も多く(これを用いても生存率は1割程である)、また生存したとしても麻痺などの後遺症が残るのが現状であり、研究途上である。近年ではこの治療法により10歳のアメリカ人少女、また[[2008年]]10月、[[ブラジル]]・[[ペルナンブーコ州]]の16歳の少年が歩行困難と発語困難により依然として治療を続けているものの回復に至った事例がある。[[2018年]]1月9日[[ブラジル]]・[[アマゾナス州]]・[[バルセロス (ブラジル)|バルセロス]]市在住の14歳の少年が同治療により狂犬病から生還した<ref>[http://www.jiji.com/jc/article?k=2018011100741 14歳少年、狂犬病から生還=世界で極めてまれ-ブラジル]、時事ドットコム、2018年1月11日</ref>。
 
 
 
「最も致死率が高い病気」として[[後天性免疫不全症候群]](エイズ)と共に、[[ギネス世界記録]]に記録されている。
 
 
 
== 予防および治療 ==
 
{{出典の明記|section=1|date=2013年3月}}
 
=== 予防 ===
 
上述の通り、'''発症後の有効な治療法は存在しない。'''ただし、感染前(曝露前)であれば、ワクチン接種によって、予防が可能である。これはヒト以外の哺乳類でも同様であり、そのため日本では[[狂犬病予防法]]によって、飼い犬の[[市町村]]への登録及び毎年1回の狂犬病ワクチンの[[予防接種]]が義務付けられている。
 
 
 
発生国への渡航前の[[ワクチン]]接種、及び発病前(海外で感染の疑いがある動物に咬まれて帰国した際など)の治療、および抗ウイルス[[抗体]](抗狂犬病免疫グロブリン製剤)の投与により、発症阻止が図られる。ただし、日本では2017年現在、抗狂犬病免疫グロブリン製剤が承認されていないので、ワクチン接種は、輸入ワクチンを取り扱うクリニック・病院にて、医師の[[自由診療]]で受ける必要がある。
 
 
 
[[アメリカ疾病予防管理センター]]では、狂犬病が発生している地域へ渡航する人のうち、獣医師、野生動物保護の従事者、獣医学科の学生、適切な医療をすぐに受けることが難しい地域を訪れる者については、[[狂犬病ワクチン]]の暴露前(事前)接種を勧めているが、その他の旅行者、長期滞在者については狂犬病ワクチンの接種を勧めていない。
 
 
 
最良の予防法は、海外旅行へ行った際には、日本と同じ感覚で、現地のイヌ・ネコの動物に接さず、手を出さないようにすることである。
 
 
 
研究目的における病原体の取り扱いは、[[バイオセーフティーレベル]]2あるいは3レベルの実験室が要求され、万一に備えて、研究者はワクチンを接種する配慮が必要である。
 
 
 
=== 曝露後の治療 ===
 
狂犬病にかかった可能性のある場合、医療もしくは獣医療の専門機関に「いつ、どこで、どの個体に咬まれたか」を伝える。ウイルスは唾液腺や神経で増殖するが、唾液へのウイルス排出は潜伏期を経て、発病する3 - 5日前とされている(過去に一例だけ13日前から唾液にウイルス排出した記録もある)。一見狂犬病でないような動物に咬まれても狂犬病にかかるリスクは存在するため、咬まれた地域(旅行した国、場所)と咬まれてからどれほど日数がたっているのか、また咬んだ個体を繋留して一週間経過観察し狂犬病を発症するか否かを確かめる必要性がある。
 
 
 
発症すればほぼ確実に死亡するので感染の可能性がある場合には必ず次のような対処が必要である。
 
 
 
# 咬傷を受けたらまず傷口を[[石鹸]]水でよく洗い、[[消毒液]]や[[エタノール]]で[[消毒]]する。狂犬病ウイルスは弱いウイルスなのでこれで大半は死滅する。
 
# すぐに[[ワクチン]]接種を開始する(曝露後接種 Post-exposure immunization)。<br />曝露後ワクチン接種での治療日程は、曝露前ワクチン接種(過去の旅行前などの狂犬病予防注射)を行っていない場合と、行っている場合とに分けられる。<br />行っていない場合、欧米製のワクチンでは5回接種(当日及び3、7、14、28日後)を行うが、日本製のワクチンでは6回接種(当日及び3、7、14、30、90日後)を行う。
 
# 事前にワクチン接種を行っている場合、米国では曝露前ワクチン接種の時期と関係なく、曝露後ワクチン接種は2回(当日、3日後)。日本では、曝露前ワクチン接種が1年以内であれば2回(当日、3日後)、1 - 5年前であれば3回(当日、3、7日後)、5年以上前であれば曝露前ワクチン接種を行わなかったときと同様に6回(欧米製のワクチンの場合は5回)とされている。
 
 
 
また、[[世界保健機関|WHO]]では初回接種時に狂犬病[[抗体|免疫グロブリン]]を併用することを推奨しているが、日本国内では未認可のため入手不可能で外国でも一部地域を除き入手困難な場合が多い。いずれにしても大事なことは、噛まれたらまず直ちに洗浄し消毒液で消毒し、速やかに医療機関に相談することである。
 
 
 
== 狂犬病ワクチン ==
 
{{出典の明記|date=2013年3月}}
 
=== ワクチンの種類 ===
 
[[1885年]]、[[ルイ・パスツール]]によって弱毒狂犬病ワクチンが開発された<ref>秋田大学バイオサイエンス教育・研究センター:[http://www.med.akita-u.ac.jp/~doubutu/gijutubu/gikan2.html 動物とヒトとのかかわり -特に医学において動物実験が果たした役割-(2)]</ref>。これは狂犬病を発病した[[ウサギ]]の[[脊髄]]を摘出し[[フェノール|石炭酸]]に浸してウイルスを不活化するというものであった。パスツールは狂犬病の予防ワクチンだけでなく、すでに感染した患者にワクチンを投与することで早期なら発病の防止が可能であることも発見している。
 
 
 
現在、狂犬病のワクチンとしては動物の脳を用いて狂犬病ウイルスを培養して作成した[[動物脳由来ワクチン]]と培養組織を用いて狂犬病ウイルスを培養して作成した[[組織培養ワクチン]] (PCECV) とがある。いずれのワクチンも狂犬病ウイルスを不活化して作製した[[不活化ワクチン]]である。
 
 
 
動物脳由来ワクチンとしてはヤギ脳由来のセンプル型のワクチンと乳のみマウス脳由来のフェンザリダ型のワクチンがある。一方、組織培養ワクチンはドイツと日本で製造されているニワトリ胚細胞のワクチン (PCEC: purified chick embryo cell vaccine) のほかに、フランスの[[ヒト二倍体細胞ワクチン]]、[[VERO細胞ワクチン]] (PVRV: purified Vero cell rabies vaccine) がある。
 
 
 
=== 曝露前接種 ===
 
;日本
 
流行地への立ち入りを予定する者は基礎[[免疫]]をつけておくのが望ましいが、任意接種であり自己負担となる。狂犬病ワクチンはLEP-Flury株をさらに弱毒化したHEP-Flury株が用いられる。[[曝露前接種]]は初回接種を0日とすると0-28-180の3回接種となる。[[抗体]]陽転は2回接種後の2週後であるため初回接種から6週目となる。しかし、一部の報告によると3ヶ月を経過してから抗体価の減弱化がはじまるともある。3回接種完了で2年間有効とされている[[WHO]]の推奨方法とは異なる、日本独自の接種間隔である。
 
 
 
;欧米
 
欧米の狂犬病ワクチンは前記のように多種多様であるが、組織培養ワクチンが一般的に使用される。曝露前接種は、初回接種を0日とすると、0-7-28の3回接種となる。緊急接種の場合、28日目の代わりに21日目となる。抗体陽転はいずれの場合も初回接種から4週目となる。また、乳幼児では初回接種後2週間後に抗体陽転したと製造メーカーは発表している。いずれにせよ、緊急接種を行うと、21日目に完了するため、渡航前には有用と思われる。2年間有効である。曝露後接種も国産は5回目あたりで抗体陽転が認められたところ、海外の組織培養ワクチンはおよそ14日目に抗体価がWHOの安全基準である0.5 IU/mlを上回っている。
 
 
 
なお、WHOの推奨する曝露前接種方法はこの0、7、28、(21) である。日本製品でこの方法を適用することは未承認ワクチンを使用するのと同等である。欧米の狂犬病ワクチンは日本未承認であるため、個人輸入を取り扱っている医療機関にて申し込むことにより接種可能である。
 
 
 
=== 曝露後接種 ===
 
感染の機会があった場合、その発症を予防するためにもワクチンが使用される。
 
 
 
WHOでは0日、3日、7日、14日、28日(必要に応じて90日)の5回(6回)、各1ml筋肉注射を推奨している。その他、0日に2ml(1ml、両側)、7日に1ml、14日に1mlの筋肉注射で接種する方法([[エッセン法]]または変則的な[[ザグレブ法]]、2-1-1法)がある。また、0.1mlという少量を4回、皮内に接種する方式(タイ赤十字方式、2-2-2-0-2法)もある。
 
 
 
欧米の狂犬病ワクチンは海外でも非常に高価であるため、WHOのスタンダード方式は受け入れられていない。そのためザグレブ法やタイ赤十字方式も推奨されている。
 
 
 
== 流行地域 ==
 
[[ファイル:Rabies Free Countries Sourced 2010.svg|270px|thumb|狂犬病清浄国(緑色の地域、2010年)日本の厚労大臣が指定する狂犬病清浄地域とは異なっていることに注意]]
 
南極を除く全ての大陸で感染が確認されている。流行地域はアジア、南米、アフリカで、全世界では毎年50,000人以上が死亡している。
 
 
 
日本の[[厚生労働大臣]]が指定する狂犬病清浄地域は、日本、[[英国]]([[グレート・ブリテン島]]及び[[北アイルランド]]に限る)・[[アイルランド]]・[[アイスランド]]・[[ノルウェー]]・[[スウェーデン]]・[[ハワイ]]・[[グァム]]・[[フィジー]]・[[オーストラリア]]・[[ニュージーランド]]と非常に少ない<ref>[http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/pdf/03.pdf 狂犬病の発生状況] 2013年7月17日更新 厚生労働省</ref>。なお、フィジーについては、2011年現在、狂犬病は発生していないものの、輸入検疫制度が十分でないとの懸念がある{{要出典|date=2013年8月}}。
 
 
 
[[アメリカ疾病予防管理センター]]により土着の例が報告されなかった国や地域は、
 
カーボベルデ、リビア、モーリシャス、レユニオン、サントメ・プリンシペ、セイシェル、バミューダ、サンピエール・ミクロン島、アンティグア・バーブーダ、アルバ、バハマ、バルバドス、ケイマン諸島、ドミニカ、グアドループ、ジャマイカ、マルティニーク、モントセラト、オランダ領アンティル、セントクリストファー(セントクリストファー)・ネーヴィス、セントルシア、セント・マーチン、セントビンセントおよびグレナディーン諸島、タークス・カイコス諸島、バージン諸島、香港、日本、クウェート、レバノン、マレーシア(サバ)、カタール、シンガポール、アラブ首長国連邦、オーストリア、ベルギー、キプロス、チェコ共和国、デンマーク、フィンランド、ジブラルタル、ギリシャ、アイスランド、アイルランド、マン島、ルクセンブルグ、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン(セウタとメリリャを除く)、スウェーデン、スイス、イギリス、オーストラリア、クック諸島、フィジー、仏領ポリネシア、グアム、ハワイ、キリバス、ミクロネシア、ニューカレドニア、ニュージーランド、北マリアナ諸島、パラオ、パプアニューギニア、サモア、バヌアツ、となっている<ref>[http://wwwnc.cdc.gov/travel/yellowbook/2012/chapter-3-infectious-diseases-related-to-travel/rabies.htm Infectious Diseases Related To Travel]</ref>。
 
 
 
=== インド ===
 
{{出典の明記|section=1|date=2009年2月}}
 
インドは約30,000人<ref>[http://www.forth.go.jp/keneki/fukuoka/kuko/homepage/kansen%20ryuko%20joho/2006kansen%20ryuko%20joho/06032803.pdf 厚生労働省 福岡検疫所 資料]</ref> と世界で最も狂犬病による死者が多く、ワクチンによる治療を受ける人も年間で100万人に上る。インド国内での動物咬傷事故の90%以上はイヌ(その大部分は野犬)によるもので、主なウイルス保有宿主もイヌだが、サル、ウシ、ウマ、ネコ、ヤギ、ネズミ、ウサギなどからもウイルスが分離されている。
 
 
 
=== 台湾 ===
 
2013年、[[台湾]]中部の野生の[[シナイタチアナグマ]]が'''狂犬病'''に感染していたことを確認した<ref name="mainichi01">{{Cite web |url= http://mainichi.jp/select/news/20130718k0000e030178000c.html |title= 台湾:狂犬病52年ぶり確認 イタチアナグマが感染 |date=2013-07-18|accessdate=2013-08-01}}</ref><ref name="excite01">{{Cite web |url= http://www.excite.co.jp/News/world_g/20130729/Jpcna_CNA_20130729_201307290003.html |title= 南投でも狂犬病のイタチアナグマ発見、台湾全土で12例め |date=2013-07-29|accessdate=2013-08-01}}</ref>。
 
 
 
=== 中国 ===
 
[[中華人民共和国|中国]]では、ペット、食用犬などで1億5000万匹の犬が飼われているがそのほとんどが未登録犬で<ref>AFPBB News:[http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2415669/3105972 犬の登録と予防接種で狂犬病対策、未登録の犬は1億5000万匹も 中国]、2008年7月9日</ref>、さらにその数倍の野犬が生息している。近年の経済発展に伴いペットを飼う人が増えて飼犬も増加したが、狂犬病予防接種の実施率は0.5%と防疫効果がまったく期待できない低水準であり、また室内犬を除いては放し飼いが一般的である。それに伴って毎年約3000人(中国衛生部によると2006年は3207人)が狂犬病により死亡するなど、特に都市部での狂犬病被害が激増しており、2005年には国内伝染病による死者数の20%を占めた<ref>在中国日本国大使館:[http://www.cn.emb-japan.go.jp/consular_j/joho061127_j.htm 狂犬病について 〜ペット・野生動物に咬まれたら、症状が無くても直ちに医療機関へ〜]、2006年11月27日</ref>。
 
 
 
中国政府は[[2008年]]の[[2008年北京オリンピック|北京オリンピック]]に向けて撲滅に躍起になっていた経緯があり、[[2006年]]7月、[[雲南省]][[牟定県]]では蔓延する狂犬病の対策として予防接種済み犬を含む全ての愛玩・食用・野生犬、約5万匹を殺処分をする政策を取った([[軍用犬]]・[[警察犬]]を除く)<ref>日経ビジネスオンライン:[http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20070124/117593/ 中国で最も危険な伝染病は「狂犬病」]、2007年1月26日</ref>。処分の補償金はわずか5[[人民元|元]]で、処分の方法もほとんどが撲殺であり、飼い主の目の前で処分したり飼い主自ら処分したりするよう命令し、従わない場合は処罰するなど強権的な措置に全世界から非難が殺到した。
 
 
 
中国衛生部の統計によれば、2006年9月の1カ月間で、中国では319人が狂犬病を発病して死亡した。同年1月から9月にかけての死者も2200人を超え、5月から9月にかけては中国における感染症死亡者数の第1位となって大流行した。2007年上半期(1 - 6月)の統計でも発症者が1395人、死者が1136人と状況は変わっていない。
 
 
 
また、2008年の[[四川大地震]]によって多くの飼犬が野犬化しており、噛傷被害を受けた被災者も増加しているが、ワクチンが無く、傷を洗って消毒するだけで帰している状況のために今後狂犬病の被害が拡大する可能性があるとの見方もあり<ref>[http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=0519&f=national_0519_016.shtml 四川大地震:被災地で下痢患者増加、狂犬病の恐れも]、[[サーチナ]]、2008年5月19日</ref>、[[青川県]]では地震によって野犬化した犬の殺処分を行うことが決定された<ref>レコードチャイナ:[http://www.recordchina.co.jp/group/g19243.html <四川大地震>野良犬化した犬をすべて処分—青川県]、2008年5月19日</ref>。
 
 
 
2008年1月、すべての犬に狂犬病予防接種を義務づけた。2008年の狂犬病による死者は2478人<ref>日本獣医師会:[http://nichiju.lin.gr.jp/kousyu/pdf/h22_0401_kyouken.pdf#search=%27%E7%8B%82%E7%8A%AC%E7%97%85%20%E4%B8%AD%E5%9B%BD%27 狂犬病対策について] 2012年6月29日閲覧</ref>。
 
 
 
=== 北米 ===
 
米国では狂犬病に関わる公衆衛生コスト(診断、予防、コントロール)は年間$2.45-5.1億ドルに上る<ref>{{Cite web|publisher=米国CDC |title=Cost of Rabies Prevention |url=http://www.cdc.gov/rabies/location/usa/cost.html |accessdate=2015-08-01}}</ref>。人への感染は年間数名だが、スカンク、コウモリ、アライグマ、キツネなどの野生動物で毎年6,000 - 8,000件、ネコで200 - 300件、イヌで20 - 30件の狂犬病報告がある。[[ニューヨーク州]]では2015年1月から6月までの6ヶ月間で148匹の狂犬病に感染した動物が確認されており<ref>[http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure.asp?id=221#4 外務省海外安全ホームページ 安全対策基礎データ アメリカ合衆国] 2014年9月10日閲覧。</ref>、2006年8月には人を噛んだネコから狂犬病ウイルスが検出されたとしてニューヨーク市保健精神衛生局が注意喚起情報<ref>[http://www.nyc.gov/html/doh/html/pr2006/pr068-06.shtml Stray Kitten Tests Positive for Rabies in Huguenot Area of Staten Island : Press Release : NYC DOHMH]</ref> を発した。
 
 
 
狂犬病で亡くなった著名人に、[[アメリカ合衆国]]の女優だった[[エイダ・クレア]](1874年、39歳で逝去)がいる。
 
 
 
=== 南米 ===
 
伝播動物としてはイヌやコウモリが多い。[[ナミチスイコウモリ|チスイコウモリ]]からウシやウマなど家畜への感染が多く、その経済的損失が問題となっている。
 
 
 
=== 欧州 ===
 
人の死亡例は年間数十名。経口ワクチン入りの餌で野生の[[アカギツネ]]からの伝播は減少したが、その他の野生動物の感染は増えている。
 
 
 
=== 中東 ===
 
*[[バーレーン]] - なし
 
*[[イスラエル]] - あり
 
*[[クウェート]] - なし
 
*[[オマーン]] - あり
 
*[[カタール]] - なし
 
*[[サウジアラビア]] - あり
 
*[[アラブ首長国連邦]] - なし
 
*[[イエメン]] - あり
 
 
 
=== アフリカ ===
 
イヌ科や[[マングース科]]の構成種からの感染例が報告されている。
 
 
 
== 日本の狂犬病 ==
 
記録が残る最初の流行は、[[江戸時代]]の1732年([[享保]]17年)に長崎で発生した狂犬病が九州、山陽道、東海道、本州東部、東北と日本全国に伝播していったことによる。東北最北端の[[下北半島]]まで狂犬病が到着したのが[[1761年]]([[宝暦]]11年)のことである<ref>[http://www.hdkkk.net/topics/rabi0102.html わが国における犬の狂犬病の流行と防疫の歴史 2]</ref>。
 
 
 
* 1873年(明治6年)に長野県で流行したのを最後にしばらく狂犬病被害は途絶えたが、[[1886年]](明治19年)頃から再び狂犬病被害が発生するようになった<ref name="歴史4">[http://www.hdkkk.net/topics/rabi0101.html わが国における犬の狂犬病の流行と防疫の歴史 4]</ref>。[[1892年]](明治25年)には[[獣疫豫防法]]が制定され、狂犬病が法定伝染病に指定されるとともに狂犬の処分に関する費用の国庫負担と飼い主への手当金交付が定められた<ref name="歴史5">[http://www.hdkkk.net/topics/rabi0105.html わが国における犬の狂犬病の流行と防疫の歴史 5]</ref>。しかし狂犬病は[[1906年]](明治39年)頃から徐々に全国規模に広がり、特に関東大震災があった[[1923年]](大正12年)から[[1925年]](大正14年)にかけての3年間に大流行し、全国で9,000頭以上の犬の感染が確認された<ref name="歴史4"/>。
 
* [[1922年]](大正11年)には狂犬病になりやすい浮浪犬を駆除すべく[[家畜傳染病豫防法]]が制定され、地方長官は公共の場その他を徘徊する犬について抑留し、所有者が判明した場合は通知して引き渡すが、所有者不明の場合は3日間の公示の上、引き渡し請求がなければ処分できるとした<ref name="歴史5"/>。また全国的な狂犬病予防週間によって野犬の大掃蕩・不用犬の買上げ・新聞による狂犬病の知識の周知徹底運動が推進された結果、[[1928年]](昭和3年)から狂犬病は激減した。しかし大戦末の[[1944年]](昭和19年)から戦後にかけての社会的混乱期に再び大流行しはじめた<ref name="歴史4"/>
 
* 戦後混乱期には牛、馬、羊、豚など、野犬のみならず家畜にまで狂犬病が拡大した。この危機的状況に対して占領軍は日本政府に狂犬病単独の法律の制定を命じた。
 
* [[1947年]]3月に伝染病予防法に基づく狂犬病の患者届出が開始。
 
* [[1950年]](昭和25年)に[[狂犬病予防法]]を制定させた<ref name="歴史5"/>。同法の施行により、飼い犬の登録とワクチン接種の義務化、徹底した[[野犬]]の駆除によって[[1956年]](昭和31年)犬、ヒトの感染報告と1957年のネコ感染報告<ref name="idsc.2006.325">[http://idsc.nih.go.jp/iasr/28/325/tpc325-j.html 狂犬病 2006年現在 The Topic of This Month Vol.28 No.3(No.325)/IASR 28-3 ヒト狂犬病輸入例, 狂犬病対策] 国立感染症研究所</ref> 後は、狂犬病の発生は確認されていない。ただし、犬による咬傷事故が届出だけで毎年6,000件以上報告される現状で<ref>日本獣医師会:{{PDFlink|[http://nichiju.lin.go.jp/report/201216.pdf 狂犬病対策について]}}</ref>、犬への狂犬病ワクチンの接種率は近年低下しており、厚生労働省の調査による[[2007年]]度の登録頭数は約674万頭、接種率75.6%<ref>厚生労働省:[http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/01.html 都道府県別の犬の登録頭数と予防注射頭数等]</ref> だが、同年のペットフード工業会の全国調査による犬の飼育頭数は約1,252万2,000頭<ref>ペットフード工業会:[http://www.petfood.or.jp/topics/topics0801.html 2008年ペットフード工業会ニュース 第14回犬猫飼育率全国調査]</ref> であり、これから割り出される未登録犬も含めた予防注射実施率は約40%と、流行を防ぐために必要とされるWHOガイドラインの70%を遥かに下回っている。
 
 
 
国内で感染する可能性がなくなったわけではない。接種しなかった場合は狂犬病予防法により罰金刑などが科される可能性がある(後述)。
 
 
 
=== 日本における対処 ===
 
現在の日本においては狂犬病予防法により、予防、感染発生時の対処、蔓延防止の手段などが定められている。
 
; 予防措置
 
狂犬病予防法はイヌに適用されるほか(狂犬病予防法2条1項1号)、狂犬病を人に感染させるおそれが高いものとして政令で定める動物にも適用される(狂犬病予防法2条1項2号)。政令ではネコ、アライグマ、キツネ、スカンクにも狂犬病予防法を適用することとしている(狂犬病予防法施行令1条)。
 
 
 
発病後の治療法が存在しない以上、狂犬病は感染の予防そのものが最も重要な病気である。そのため、日本国内でイヌ等への感染が獣医師によって確認された場合には[[狂犬病予防法]]第8条、9条により、患畜の速やかな届出と隔離が義務づけられている。なお、狂犬病は[[人獣共通感染症]]であることから、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)で四類感染症に指定されている(感染症法6条5項5号)。一方、[[ウシ]]など法律・政令で定められた特定の動物の狂犬病については家畜伝染病として[[家畜伝染病予防法]]の適用を受ける。家畜伝染病予防法では、ウシ、[[ウマ]]、[[ヒツジ]](綿羊)、[[ヤギ]]、[[ブタ]]が指定されており(家畜伝染病予防法2条)、家畜伝染病予防法施行令で、[[水牛]]、[[シカ]]、[[イノシシ]]が追加されている(家畜伝染病予防法施行令1条)。
 
 
 
; 感染発見後
 
'''隔離されたイヌ等は、狂犬病予防法第11条により、狂犬病予防員([[首長]]が任命した[[獣医師]])の許可を受けなければ殺してはならない'''が、'''狂暴化するなど人命への危険や隔離が困難であるなど緊急やむを得ないときは殺すことを妨げない'''とされている。また、まん延を防止するため予防員による発生区域での一斉検診および予防接種(同13条)が行われたり、イヌ等について移動制限がかけられたりする場合もある(同15条)。これら狂犬病の撲滅およびまん延の防止にかかわる条項違反については、罰則が定められている。
 
 
 
これらの動物が狂犬病に感染した場合には、患畜として家畜伝染病予防法第17条に基づき殺処分命令が出されることとなる。命令が発せられた場合には当該患畜の所有者・管理者はこれを受け入れ、速やかに処分を実施しなければならない。この家畜伝染病予防法に基づく殺処分命令の権限は[[都道府県知事]]が持つ。
 
 
 
=== 近年における日本での発生状況 ===
 
国内での感染が確認されなくなって以降、日本で狂犬病が発症した事例は3件でともに日本国外での感染である<ref>[https://www.forth.go.jp/keneki/naha/01infectious/rabies061116/rabies061116.htm 狂犬病発症2例目!!] 厚生労働省検疫所、2006年11月16日</ref><ref> [https://wanchan.jp/osusume/detail/6188 実際に起こった「狂犬病」による死亡事例] わんちゃんホンポ、2017年12月15日更新</ref><ref> [http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200704/502986.html 36年ぶり「狂犬病」の詳細が明らかに] 日経メディカルオンライン 記事:2007年4月12日</ref>。
 
 
 
* [[1970年]]に[[ネパール]]を旅行中の日本人旅行者が現地で犬に咬まれ、帰国後に発病・死亡した事例。
 
* [[2006年]]11月に[[京都市]]在住の男性1人がフィリピン滞在中に犬に噛まれたことが原因で帰国後に狂犬病を発症し、死亡した事例である。京都での感染事例では、医療機関受診時点で既に脳炎症状を発症しており、病歴の正しい聴取が困難だった可能性が報告されている<ref name="menikk.506995">[http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t010/200806/506995.html 1年目の研修医が診た狂犬病] 日経メディカルオンライン 記事:2008年6月24日</ref>。
 
* [[2006年]]12月に[[横浜市]](2年前から[[フィリピン]]滞在)の60代の男性1人がフィリピン滞在中に犬に噛まれたことが原因で帰国後に狂犬病を発症し、死亡した事例である。
 
 
 
== 日本への再侵入の危険性 ==
 
犬に限らず狂犬病に感染している動物が[[ペット]]として海外から日本へ持ち込まれる可能性は常にある。また、狂犬病以外の人獣共通感染症に感染した動物がペットとして日本に輸入される可能性もあり、近年の[[愛玩動物]]の輸入増加とともに問題視されている<ref name="jvma.68.135">佐伯潤ほか、[http://doi.org/10.12935/jvma.68.135 91日齢未満の幼齢犬における狂犬病抗体保有状況調査] 日本獣医師会雑誌 Vol.68 (2015) No.2 p.135-140</ref>。平成24年度の日本国内イヌの登録数は、678万5959匹、注射頭数は491万4347匹、ワクチン接種率は72.4%とされているが、実際には接種が行われていない事例が存在していると報道されている<ref>[http://www.huffingtonpost.jp/2015/05/13/rabies_n_7271322.html 狂犬病の予防接種は必要? 日本で発生する危険性は...] The Huffington Post Japan, Ltd. 記事:2015年05月20日</ref>。
 
 
 
厚生労働省は、輸入動物を原因とする人畜共通感染症の発生を防ぐため、2005年9月1日から「動物の輸入届出制度<ref>厚生労働省:[http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou12/index.html 動物の輸入届出制度について]</ref>」を導入した。一方、狂犬病行政の問題としては、日本では犬以外のペット(特に狂犬病ワクチンの適用対象となっている猫)に対する狂犬病などの予防注射が、法で義務化されていない事が挙げられる。
 
 
 
さらには、平時の野犬や野生動物の狂犬病ウイルス(または抗体)保有状況調査に至っては、ほぼ皆無と言えるほど貧弱なことなども再侵入監視上の問題として指摘されている{{要出典|date=2009年10月}}が、[[農水省]]、[[環境省]]、[[厚労省]]の3省連携が障壁となっており、改善されていないと述べる識者もいる<ref>[http://nihon.matsu.net/nf_folder/nf_koramu/nf_kyoukenbyou_utanai.html 「狂犬病注射をしない」ということの意味] にほんまつ動物病院</ref>。
 
 
 
海外の事例として、2003年に[[ボリビア]]において狂犬病に感染した状態で、[[ペルー]]から輸入されたハムスターが人を噛む事故が発生している<ref>国際感染症学会 ProMED-mail:{{PDFlink|[http://www.emerginginfections.slu.edu/rabies/news/rabies010603.pdf RABIES, HAMSTER - BOLIVIA EX PERU: ALERT]}}、2003年1月6日</ref>。2003年に日本に輸入されたハムスターだけでも約50万匹に上っている<ref>厚生労働省:[http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou06/03.html 健康:結核・感染症に関する情報 - 動物等取扱業者のための野兎病Q&A]</ref>。また、狂犬病流行地ロシアとの貿易が多い[[北海道]]では、ロシア船から不法上陸した犬の存在が確認されており、危険視されている<ref>{{PDFlink|[http://www.forth.go.jp/mhlw/animal/down/4houki/h04_06nemuro.pdf 不法上陸犬の対応について]}}、厚生労働省検疫所、狂犬病予防等技術研修会(平成14年度)</ref>。
 
 
 
== 関連法規 ==
 
* [[狂犬病予防法]]
 
* [[家畜伝染病予防法]]
 
* [[感染症法]]
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{Reflist|2}}
 
 
 
== 参考文献 ==
 
* 日本内科学会雑誌 第96巻 第11号 2007年 2400-2405
 
* 畜産の研究 第62巻・第2号 「北京オリンピックと狂犬病」小野嘉隆
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{Commonscat|Rabies}}
 
* [[予防接種]]
 
* [[動物咬傷]]
 
* [[検疫]]
 
* [[世界狂犬病デー]]
 
 
 
== 外部リンク ==
 
* [http://www.cdc.gov/rabies/ Rabies] - 米国CDC
 
* [http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/index.html 厚生労働省 狂犬病について]
 
** {{PDFlink|[http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/dl/sankou130712-01.pdf ヒト狂犬病症例集 2008-2012年] 厚生労働科学研究}}
 
* [http://www.pubanzen.mofa.go.jp/kaian_search/sars.asp 外務省 海外安全ホームページ(感染症関連情報)]
 
* [http://www.johac.rofuku.go.jp/infection/virus/rabies.html 海外勤務者のための医療・衛生情報(狂犬病)] [[独立行政法人]][[労働者健康福祉機構]] 海外勤務健康管理センター
 
* [[国立感染症研究所]]感染症情報センター
 
** [http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k03/k03_18/k03_18.html IDWR:感染症の話(狂犬病)]、2003年第18週号、IDWR(感染症発生動向調査週報)
 
** [http://idsc.nih.go.jp/iasr/28/325/inx325-j.html IASR 28-3 病原微生物検出情報月報2007年3月号]、IASR(病原微生物検出情報月報)
 
* [http://www.nih.go.jp/vir1/NVL/Virus1/Virus1Toppage.htm 国立感染症研究所ウイルス第一部]
 
** [http://www.nih.go.jp/vir1/NVL/Virus1/NVL3%20HP/rabies%20Q%20and%20A1.htm 狂犬病Q&A]
 
* [[社団法人]][[日本獣医師会]]
 
** [http://nichiju.lin.go.jp/ekigaku/index.html 狂犬病などの共通感染症]
 
** [http://nichiju.lin.go.jp/ekigaku/k-links.html 狂犬病リンク集]
 
* [http://www.hdkkk.net/topics/rabi0101.html わが国における犬の狂犬病の流行と防疫の歴史]、[http://www.hdkkk.net/mokuji.html 人と動物の共通感染症研究会]
 
 
 
{{日本の感染症法における感染症}}
 
{{家畜伝染病|state=expand}}
 
  
 +
狂犬病ウイルス感染による[[中枢神経系]]の[[感染症]]。恐水病ともいう。発病するとほぼ 100%死亡し,治療法がない。感染源はイヌ以外に,アライグマ,キツネ,マングースなどの哺乳類。感染した動物の唾液からヒトその他の哺乳類に伝染する。狂犬病ウイルスは向神経性ウイルスの一種で,毒性が強く,発病すると独特の神経症状を呈する。[[潜伏期]]は9日から数年で,通常は 20日から 60日程度。発病率は 32~64%。症状は頭痛,不快感,焦燥などの前期を経て,発熱,興奮期に入る。嚥下筋や呼吸筋の興奮が強く,水を飲むとき,または水を見るだけでも嚥下筋のけいれんを起こすために,恐水病といわれた。麻痺期,昏睡期を経て呼吸麻痺が起こって死亡する。長い間治療方法がなかったが,1885年フランスのルイ・[[パスツール]]が,初めて狂犬病ワクチンの製造に成功。日本では 1957年以降,狂犬病が発生していなかったが,1970年にネパールで感染した患者1人,2006年にフィリピンで感染した患者2人が帰国後に死亡した。
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2019/6/11/ (火) 09:27時点における版

狂犬病(きょうけんびょう、英語: rabies

狂犬病ウイルス感染による中枢神経系感染症。恐水病ともいう。発病するとほぼ 100%死亡し,治療法がない。感染源はイヌ以外に,アライグマ,キツネ,マングースなどの哺乳類。感染した動物の唾液からヒトその他の哺乳類に伝染する。狂犬病ウイルスは向神経性ウイルスの一種で,毒性が強く,発病すると独特の神経症状を呈する。潜伏期は9日から数年で,通常は 20日から 60日程度。発病率は 32~64%。症状は頭痛,不快感,焦燥などの前期を経て,発熱,興奮期に入る。嚥下筋や呼吸筋の興奮が強く,水を飲むとき,または水を見るだけでも嚥下筋のけいれんを起こすために,恐水病といわれた。麻痺期,昏睡期を経て呼吸麻痺が起こって死亡する。長い間治療方法がなかったが,1885年フランスのルイ・パスツールが,初めて狂犬病ワクチンの製造に成功。日本では 1957年以降,狂犬病が発生していなかったが,1970年にネパールで感染した患者1人,2006年にフィリピンで感染した患者2人が帰国後に死亡した。



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