船舶法
船舶法 | |
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日本の法令 | |
通称・略称 | なし |
法令番号 | 明治32年3月8日法律第46号 |
効力 | 現行法 |
種類 | 行政法 |
主な内容 | 船舶について |
関連法令 | 船員法、船舶職員及び小型船舶操縦者法 |
条文リンク | 総務省法令データ提供システム |
船舶法(せんぱくほう、明治32年3月8日法律第46号)は、日本船舶に対する行政的保護と取締り を目的として、日本船舶の国籍要件とその法的効果、船舶登記、船舶登録、船舶国籍証書などについて定めた日本の法律。
船舶法上の船舶の定義
船舶法においては船舶の定義を定めている。
船舶とは、浮揚性を有し、自力航行能力の有するものである。沈没船・座礁船も船舶である。建造中の船舶については、進水式を限度に船舶として取り扱うものと解されている(商851条)。なお推進器を有しない浚渫船は、船舶法施行細則2条により船舶とはならない。台船、作業船なども自力航行の力がなく我が国では船舶として取り扱わない。諸外国ではこれらも船舶として扱う。
日本船舶の国籍要件
国際法上、船舶は国籍(船籍)をもたなければならない。公海条約(1958年)5条と国連海洋法条約94条で、国籍取得の条件として船舶と旗国との間に「真正な関係」(genuine link)が存在しなければならないと規定されているが、国連海洋法条約は国籍付与の要件、基準については介入しないとする立場をとり、各国の国内法に委ねられている。日本においては、船舶所有権の全部を必要とする所有者主義をとっており、具体的には、以下の要件を満たす必要がある(船舶法1条)。
- 日本の官庁(国の機関)または公署(地方公共団体の機関)の所有する船舶
- 日本国民の所有する船舶
- 日本の会社法により設立した会社で、代表の全員及び業務執行役員の3分の2以上が日本国民の船舶(この要件については、日本企業でも外国人が経営に参画することが多くなってきたことから、平成11年の一部改正により要件が緩和された。)
- 上記3.以外の法人で代表者の全員が日本国民の船舶
船舶法適用除外船舶
- 防衛大学校を含む海上自衛隊の船舶は、船舶法の適用はない(自衛隊法109条)。
- 総トン数20トン未満の船舶、端舟、ろかい舟は、日本船舶であっても、船舶登記、船舶登録、船籍港、総トン数の測度申請、船舶国籍証書などの適用はない(21条)。
但し、総トン数20トン未満の船舶であっても漁船法上の漁船については、総トン数1トン未満の無動力船を除いて、総トン数の測度と船名の標示についてのみ適用がある(漁船法22条)。
日本船舶の権利義務
以上の国籍要件を満たす日本船舶の権利義務としては、以下のものがある。
権利(特権)としては、日本国旗の掲揚権と税関の置かれていない日本国内の不開港への寄港権、沿岸運送従事権があり、義務としては、船籍港を定める義務、総トン数の測度申請の義務、登記義務、登録義務、船舶国籍証書の検認を受ける義務、日本国旗の掲揚義務、船舶の名称、船籍港、総トン数等の標示義務がある。
登記・登録
船舶法の適用を受ける日本船舶のうち、総トン数が20トン以上の船を航行の用に供するときは、その船舶の所有者は、原則としてその住所地に船籍港を定め、その船籍港を管轄する管海官庁に総トン数の測度申請をし、船舶登記・船舶登録をして、船舶国籍証書を受有し、船内に備え置かなければならない(船員法18条)。(このように日本法では船舶登記と船舶登録が別制度となっており(二元制度)、船舶登記後に船舶登録を行う(船舶法第5条1項参照))。
また船舶所有権の移転については、私法上は船舶所有権移転の登記をしこれを船舶国籍証書に記載しなければ第三者に対抗できないし(商687条)、公法上は船舶所有権の変更登録をして船舶国籍証書の書換えを申請しなければ船舶を航行させることはできない。(船舶法6の2、10条)。
- 仮船舶国籍証書の受有―航行に供用、但し商行為を行えない。
- 航行認可書の受有―航行に供用、但し商行為を行えない
小型船舶の登録
総トン数20トン未満かつ3メートル以上で漁船に該当しない日本の小型船舶
- 「小型船舶の登録等に関する法律」に基づき、小型船舶検査機構(JCI)の登録を受けなければならない。小型船舶登録法が施行される以前は都道府県において船籍票の登録を必要としていた。
(政令に適用のない船舶)
- 漁船法2条1項の漁船
- 端舟、その他ろかいのみをもって運転し、又は主としてろかいをもって運転する舟