海山
海山(かいざん、英: seamount[1])とは、海底地形の一種。底面が円形又は楕円形で、海底において周囲よりも高く盛り上がっていながら、その頂上が海面上に出ておらず、島となっていない地形や場所、すなわち海中の山のことである。
概要
海山と海丘とは、一般に頂上とその周囲の海洋底との比高で区別され、比高が1,000m以上のものが海山、1,000m未満のものが海丘と呼ばれる。海山のうち、頂部が200mよりも深く、頂上が平坦なものをギヨー(平頂海台)と呼ぶ[2]。
海山から採集された基盤岩がほぼ玄武岩であることから、海山はすべて海底火山であると推定されている[2]。したがって、海山はホットスポット上や海溝近辺に多く存在する。その頂上の深度と噴火の規模によっては、頂上が海面上に現れ、新たな島となることもある。
海山の命名
定着した名称がない海山を含む海底地形を新たに命名する場合、国際水路機関(IHO)とユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)傘下にある海底地形名称小委員会(SCUFN)に各国が申請し、承認を得ると、『海底地形名集』に収録され、世界に周知される仕組みである[3]。
近年、島の領有権や領海、排他的経済水域、大陸棚とそこにある資源など海洋権益を巡る対立が増え、その海域への影響力を誇示する意味でも、海底地形に自国風の名称を付けようとする国々が目立つ[4]。
日本政府も、海底地形に天体や日本の海洋学者、作家名などにちなんだ名称をSCUFNに提案し、承認されている。このうち沖縄諸島南方については「康成海山」「芭蕉海山」「晶子海山」などからなる「文豪海山地形区」として2018年1月4日に確定した[5][6]。
なお北太平洋の天皇海山群は米国の海洋学者が1954年に命名したもので、上記のような背景や日本政府の意図とは無関係である。
脚注
- ↑ 文部省編 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年。ISBN 4-8181-8401-2。
- ↑ 2.0 2.1 用語解説 海上保安庁
- ↑ 日本提案の海底地形名を国際会議が承認海上保安庁(2014年6月24日)
- ↑ 中国に先手、海底地形に「漱石」「龍之介」の名『読売新聞』夕刊2018年1月5日
- ↑ 日本提案の海底地形名を国際会議が承認海上保安庁(2018年1月5日)
- ↑ 日本提案の海底地形名を国際会議が承認海上保安庁(2014年6月24日)
参考文献
関連項目
外部リンク
- Seamount (英語) - Encyclopedia of Earth「海山」の項目。