イクター
提供: miniwiki
イクターあるいはイクター制(アラビア語: إقطاع Iqṭā')は、地方官に与えられる給与制度の一種で、徴税権を地方官に委任するという形式のもの。主にイスラーム圏の諸王朝で施行されていた[1]。
Contents
概要
アター制で行き詰まりを見せたアッバース朝は、地方官に対する給与を徴税権を与え、その税の中から一定率の金額を与えるという形式へ変更した[1]。これによって地方官は、アッバース朝の中央集権支配から脱することができるようになり、徐々に力をつけていった。
イクター制で力をつけていった地方官が建てた王朝
- サーマーン朝(873年 - 999年)
- イラン系イスラム王朝。トランスオクシアナ地方全域の徴税権及び後に支配権をアッバース朝より与えられる。
- ハムダーン朝(890年 - 1004年)
- アラブ系イスラム王朝。遊牧民の長ハムダーン家がジャズィーラ地方に建国。アッバース朝の実権を最初に簒奪した王朝。
- ブワイフ朝(932年 - 1062年)
- イラン系イスラム王朝。バグダードに入城し、カリフよりイラン地方の支配の正統性を認められた。大アミールという称号を与えられ、後にアッバース朝カリフを傀儡にする。ハムダーン朝と長期にわたり抗争を繰り返したが、ハムダーン朝衰退によって完全に実権を掌握する。
- ゴール朝(11世紀初 - 1215年)
- イラン系イスラム王朝。当初の称号はアミールであったが、後にスルターンと改称する。ハールーン・アッ=ラシードによってゴール地方の領主に任命されたのが始まりとされているが、王朝としての開始は11世紀ごろである。勢力が徐々に強大化し、勢力拡大方向を西のバグダード方面ではなくインド方面の東に設定した。1191年に北インド全域を支配。