貴金属比
数学において、貴金属比(ききんぞくひ、英語: metallic ratio)とは、
- [math]1:\frac{n+\sqrt{n^2 +4}}{2}[/math](n は自然数)
で表される比のことである。
貴金属数
0 | (0+√4)/2 | 1 | 1 |
---|---|---|---|
1 | (1+√5)/2 | (1+√5)/2 | 1.6180339887… |
2 | (2+√8)/2 | 1+√2 | 2.4142135623… |
3 | (3+√13)/2 | (3+√13)/2 | 3.3027756377… |
4 | (4+√20)/2 | 2+√5 | 4.2360679774… |
5 | (5+√29)/2 | (5+√29)/2 | 5.1925824035… |
6 | (6+√40)/2 | 3+√10 | 6.1622776601… |
7 | (7+√53)/2 | (7+√53)/2 | 7.1400549446… |
8 | (8+√68)/2 | 4+√17 | 8.1231056256… |
9 | (9+√85)/2 | (9+√85)/2 | 9.1097722286… |
… | … | ||
n | [math](n+\sqrt{n^2 +4})/2[/math] |
貴金属数(ききんぞくすう、英語: metallic number)とは、逆数との差が自然数である実数である。
n が自然数の時、第 n 貴金属数は、 [math]\frac{n+\sqrt{n^2+4}}{2}[/math] で表され (根号内の4と、分母の2の意味は、それぞれ(テンプレート:Su)2, (テンプレート:Su)である)、これは二次方程式 x2 − nx − 1 = 0 の正の解である。
特に第 1 貴金属数 (1+√5)/2 を黄金数、第 2 貴金属数 1+√2 を白銀数、第 3 貴金属数 (3+√13)/2 を青銅数という。
貴金属数と逆数
第 n 貴金属数の逆数は、[math]\frac{-n+\sqrt{n^2 +4}}{2}[/math] で表され、第 n 貴金属数との差は、自然数 n である。
例:9.1097722286… − 1/9.1097722286… (= 0.1097722286…) = 9
貴金属数の累乗
貴金属数の正の奇数乗は、常に貴金属数である。
貴金属数の正の偶数乗は、常に逆数との和が自然数である実数である。
連分数として
貴金属数には連分数表示があり、それは、
- [math]n+\cfrac{1}{n+\cfrac{1}{n+\cfrac{1}{n+\cfrac{1}{\ddots}}}} =[n;n,n,n,n,\dots][/math]
である。
数列の商の極限として
黄金数(第 1 貴金属数)が、フィボナッチ数列の隣り合う 2 項の商の極限で表されるように、一般に第 n 貴金属数にも、隣り合う 2 項の商の極限で表せるような数列が存在する。
数列 {Mk} を、漸化式
- [math]M_0 =0,\quad M_1 =1,\quad M_{k+2} =n M_{k+1} +M_k[/math]
で定義すると、この一般項は、第 n 貴金属数を μ として、
- [math]M_k =\frac{\mu^k -(-\mu)^{-k}}{\mu +\mu^{-1}} =\frac{\mu^k -(-\mu)^{-k}}{\sqrt{n^2+4}}[/math]
で表される。このとき、この数列の隣り合う 2 項の商は、k → ∞ のときに μ に収束する。すなわち、
- [math]\lim_{k\to \infty} \frac{M_{k+1}}{M_k} =\mu[/math]
が成り立つ。
青銅比
青銅比(せいどうひ、英語: bronze ratio)は、
- [math]1:\frac{3+\sqrt{13}}{2}[/math]
の比である。近似値は1:3.303。貴金属比のひとつ(第3貴金属比)。
青銅比において
- [math]\frac{3+\sqrt{13}}{2}=3.3027756377\ldots[/math]
は、二次方程式 x2-3x-1=0 の正の解であり、これを青銅数(せいどうすう、英語: bronze number)という。
青銅数を連分数であらわすと
- [math]3+\cfrac{1}{3+\cfrac{1}{3+\cfrac{1}{3+\cfrac{1}{\ddots}}}}[/math]
となる。