ソビエト連邦の国歌
ソビエト連邦国歌 Государственный гимн СССР | |
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作詞 | セルゲイ・ミハルコフ、ガブリエリ・エリ=レギスタン |
作曲 | アレクサンドル・アレクサンドロフ |
採用時期 |
1944年1月1日(初代の歌詞) 1977年9月1日(2代目の歌詞) |
採用終了 |
1991年12月26日(ソビエト連邦) 1990年11月23日(ロシア連邦共和国) |
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ソビエト連邦の国歌(ソビエトれんぽうのこっか)は、1922年のソビエト社会主義共和国連邦成立から1943年までの「インターナショナル」(ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国国歌としては1918年から)と、1944年から1991年のソ連崩壊までのソビエト連邦の国歌である「ソビエト連邦国歌」(ロシア語: Государственный гимн СССР)がある。本稿では後者の「ソビエト連邦国歌」について記す。なお、日本では「祖国は我らのために」の通称が使われることがある。
概要
本来は1943年に全く新しい曲と歌詞で国歌を制定する予定で公募されたが、ヨシフ・スターリンの気に入るような作品が集まらず、結局アレクサンドル・アレクサンドロフが1936年に作曲した「ボリシェヴィキ党歌」(Гимн партии большевиков、作詞はヴァシーリイ・レーベヂェフ=クマチ)の曲を流用し、児童文学作者であったセルゲイ・ミハルコフの詩を元にガブリエリ・エリ=レギスタンが補作するかたちで決定された。
1943年をもって国歌でなくなった「インターナショナル」は、翌年から代わりにボリシェヴィキの党歌となった。後継のロシア連邦共産党においても同様である。
当初の歌詞の2番にはレーニンとともにスターリンを称える箇所があるが、スターリン死去後の1955年から歌詞なしで演奏され、1977年に新しい歌詞になった。新しい歌詞はミハルコフ自身が作詞をし直した。
1991年のソ連崩壊とともにロシアの暫定的な国歌として愛国歌が選ばれたが、歌詞がないこともあり定着せず、国民からは旧ソ連国歌の復活を求める声もあった。2001年に制定された現行のロシア連邦国歌では、ソビエト連邦国歌の旋律と歌詞の一部("Славься, Отечество наше свободное":讃えられて在れ、自由な我らが祖国よ)を転用している。その他のロシア連邦国歌の歌詞もやはりミハルコフが作詞している。
初代の歌詞
1944年から1955年までの初代歌詞は次の通り。3番は発表当時の独ソ戦を想起させる。アレクサンドロフ赤軍合唱団が最初に歌った。
- 1番
- Союз нерушимый республик свободных
Сплотила навеки Великая Русь
Да здравствует созданный волей народов
Единый, могучий Советский Союз! - コーラス
- Славься, Отечество наше свободное,
Дружбы народов надёжный оплот!
Знамя советское, знамя народное
Пусть от победы к победе ведёт! - 2番
- Сквозь грозы сияло нам солнце свободы,
И Ленин великий нам путь озарил:
Нас вырастил Сталин-на верность народу,
на труд и на подвиги нас вдохновил! - コーラス
- Славься, Отечество наше свободное,
Счастья народов надёжный оплот!
Знамя советское, знамя народное
Пусть от победы к победе ведёт! - 3番
- Мы армию нашу растили в сраженьях
Захватчиков подлых с дороги сметём!
Мы в битвах решаем судьбу поколений,
Мы к славе Отчизну свою поведём! - コーラス
- Славься, Отечество наше свободное,
Славы народов надёжный оплот!
Знамя советское, знамя народное
Пусть от победы к победе ведёт!
日本語訳
- 1番
- 自由な共和国の揺ぎ無い同盟を
偉大なルーシは永遠に結びつけた
人民の意思によって建設された
団結した強力なソビエト同盟万歳! - コーラス
- 讃えられて在れ、自由な我々の祖国よ
民族友好の頼もしい砦よ!
ソビエトの旗よ、人民の旗よ
勝利から勝利へと導きたまえ! - 2番
- 雷雨を貫いて自由の太陽は我々に輝き
そして偉大なレーニンは我々に進路を照らした
スターリンは我々を育てた――人民への忠誠を
労働へそして偉業へと我々を奮い立たせた! - コーラス
- 讃えられて在れ、自由な我々の祖国よ
民族幸福の頼もしい砦よ!
ソビエトの旗よ、人民の旗よ
勝利から勝利へと導きたまえ! - 3番
- 我々の軍は戦いによって我々を成長させ
卑劣な侵略者を道から一掃する!
大戦によって我々は世代の運命を決定し
我々が我が祖国に栄光をもたらそう! - コーラス
- 讃えられて在れ、自由な我々の祖国よ
民族栄光の頼もしい砦よ!
ソビエトの旗よ、人民の旗よ
勝利から勝利へと導きたまえ!
- 註釈
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- Союз(ソユーズ/サユース)を日本では「連邦」と訳したが、本来は同盟という意味であるため、Советский Союз(サヴィェーツキイ サユース)は「ソビエト連邦」と訳すよりも「ソビエト同盟」と訳す方が原義に近い。実際、戦前は「ソ連邦」ではなく「ソ同盟」と和訳される場合が多かった。また、中文では「連盟」とされた。ここでも「自由な共和国の揺ぎ無い連邦を」とせず、「自由な共和国の揺ぎ無い同盟を」などとした。
- Славься(スラーフィスャ)は再帰動詞славитьсяの命令形なので、歌う側が讃えるのではなく、「讃えられて在れ」という国家に対する命令表現となっている。日本語話者には馴染みのない表現だが、ロシア語ではこうした再帰的命令形は通例表現である。ここでは直訳的に敢えて訳した。
1977年以降の歌詞
フルシチョフによるスターリン批判およびその後のソ連内におけるスターリンの否定的再評価によって、スターリンを賞賛する部分は差し替えられた。
- 1番
- Союз нерушимый республик свободных
Сплотила навеки Великая Русь.
Да здравствует созданный волей народов
Единый, могучий Советский Союз! - コーラス
- Славься, Отечество наше свободное.
Дружбы народов надёжный оплот!
Партия Ленина - сила народная:
Нас к торжеству коммунизма ведёт! - 2番
- Сквозь грозы сияло нам солнце свободы,
И Ленин великий нам путь озарил:
На правое дело он поднял народы,
На труд и на подвиги нас вдохновил! - (コーラス)
- 3番
- В победе бессмертных идей коммунизма
Мы видим грядущее нашей страны,
И Красному знамени славной Отчизны
Мы будем всегда беззаветно верны! - (コーラス)
日本語訳
- 1番
- 自由な共和国の揺ぎ無い同盟を
偉大なルーシは永遠に結びつけた
人民の意思によって建設された
団結した強力なソビエト同盟万歳! - コーラス
- 讃えられて在れ、自由な我らが祖国よ
民族友好の頼もしい砦よ!
レーニンの党――人民の力は
我々を共産主義の勝利へと導く - 2番
- 雷雨を貫いて自由の太陽は我々に輝き
そして偉大なレーニンは我々に進路を照らした
正義の事業に彼は人民を立ち上がらせ
労働へそして偉業へと我々を奮い立たせた! - (コーラス)
- 3番
- 不滅の共産主義の理想の勝利に
我々は我が国の未来を見る
そして名誉ある祖国の赤旗に
我々は常に熱い忠誠心を持つだろう! - (コーラス)
ボリシェヴィキ党歌
国歌になる前のボリシェヴィキの党歌。スターリン批判以前なので、レーニンと共にスターリンを称える箇所が存在する。
音源
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前後の国歌
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外部リンク
関連項目
- 神よツァーリを護り給え(ロシア帝国の国歌)
- 愛国歌 (ロシア連邦)(1991年 - 2000年)
- ロシア連邦国歌(2000年 - 現在)