きりたんぽ

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ファイル:Kiritanpo.jpg
たんぽときりたんぽ鍋

きりたんぽ(切蒲英)とは、つぶした粳米ご飯の棒を先端から包むように巻き付けて焼いたたんぽ餅を、棒から外して食べやすく切った食品。秋田県郷土料理(比内地鶏)がらのだし汁に入れて煮込んだり、味噌を付けて焼いたりして食べる。秋田県内では、場に学校給食のメニューとなる。

主な種類と概要

たんぽ(たんぽ餅)
たんぽ(たんぽ餅)は、切る前の段階でのきりたんぽのことを指している。ただし、ほとんどの人がこれを「きりたんぽ」であると考えるが、切っていないので厳密には誤りである。「たんぽ」とは、元来、稽古用のにつける綿を丸めてで包んだものであり、(秋田杉)の棒に半殺し(半分潰すという意味)のご飯を巻き付けたところがたんぽをつけた槍(たんぽ槍)に似ていることから、その名が付いた。
ファイル:きりたんぽPC303413.jpg
みそつけたんぽ。味噌をつけて焼いている例。
みそつけたんぽ
焼いたたんぽに味噌を塗って食べるもの。みそたんぽとも呼ばれる。
きりたんぽ鍋
鶏(比内地鶏)のガラでとった出汁をベースに濃口醤油日本酒砂糖(または味醂)で醤油味のスープを作る。ゴボウマイタケ(金茸、銀茸)、比内地鶏など煮えにくい素材から順に入れ、中火で煮立てる。きりたんぽとネギを入れ、味が染みる直前でセリを投入する。セリに火が通ったら完成。
比内地鶏が品種開発される以前は、出汁には比内鶏のものを用いていた。比内地鶏が手に入らない場合はブロイラーのトリガラ、もも肉、鶏皮、ネクタイ(首の肉)で代用すると良い味が出る。
具材については邪道とされるものが存在する。白菜は「甘味と水分が多く出る」、魚肉(竹輪などの練り製品)は「風味が変わってしまう」、ニンジンは「匂いが変わる」、シイタケは「風味が変わる」として入れられない。基本はゴボウ、鶏肉、マイタケ、、たんぽ、セリの6種[注 1] である。 なお、うるち米を素材とするきりたんぽは長時間煮ると形が崩れるため、食せる状態まで煮たら早めに鍋から引き上げ食べる事が望ましい。特におみやげ品として売られているきりたんぽには繋ぎとして米粉が混ぜ込まれているため、その場で米を潰して作ったきりたんぽよりも型くずれしやすい。
だまこもち
たんぽのように焼かず、団子状に丸めた類似の伝統料理。


起源

秋田県北部の郷土料理で、その地のマタギの料理が起源だったとの説がある[1]。いくつかの説があり、

  1. 残った飯を捏ねて棒の先に付け焼いて食べたら旨かった。たまたま、藩主が巡視に来たときに食べ、食べ物の名前を訊かれたときに、キリタンポと答えたのが始まり[2]
  2. マタギが山から帰った際、残した飯を潰して棒につけて焼き、獲物のヤマドリや山菜、キノコとともに煮たり味噌をつけて食べたりしていた[1]

しかし、当の阿仁町(現・北秋田市)のマタギは、。曰く、「冬に米が食える身分なら(わざわざ危険を冒して)冬山に登らない。マタギにとっての狩りとは米を食えない身分が生存権獲得のために行うギリギリの行為なのであって、おにぎり片手に行うハンティングではない」。つまり、当時最高の贅沢であった米の料理法の一種であるきりたんぽはマタギの生業と矛盾している、というのがその理由である。しかし、逆に言えば明治維新~昭和初期にかけて貧しかった頃、積極的に稲作を営まず、農業よりも遥かに換金効率の高い狩猟を行っていたマタギであるからこそ米が手に入りやすかったという事情も考えられる上、マタギたちが狩りに携行食としておにぎりを持参するのはごく普通のことだったようである。

きりたんぽ鍋は家庭料理であることから、鍋に入れる鶏肉に本来は決まりはない。比内地鶏が使われるようになった契機は、比内地鶏の産地である大館市の企業が、煮込んでも硬くなりすぎず鍋物に最適なことに注目してセットで売り出し、成功したことである。その後、県北部の鹿角市が発祥、大館市が本場と定着し、秋田県の郷土料理として広く親しまれるようになった。

これに対し県南部、つまり由利本荘市大仙市横手市湯沢市周辺では、あまりなじみがある料理ではなかった。きりたんぽが全国的に有名になってから秋田県の名物として県南にも普及した[3]。県南部はむしろ、山形県や宮城県などで広く行われている芋煮会の分布範囲である。

行事

秋田県内では、北部を中心に野外に集まりきりたんぽ鍋を作る会合が行われ「なべっこ」と呼ばれる。また、小学校などでは遠足できりたんぽ鍋を作る「なべっこ遠足」がかつては盛んに行われた[注 2](きりたんぽの代わりにだまこもちを使う場合もある)

評価

脚注

注釈

  1. ほかに好まれる具材として、しらたきサトイモ卵巣を含む鷄モツつみれを入れる場合もある。
  2. 秋田県内の小学校201校のうち、現在も「なべっこ遠足」を実施しているのは15校(全体の7.5%)のみである。

出典

  1. 1.0 1.1 『日本の郷土料理』第2巻(東北II)(石毛直道奥村彪生神崎宣武山下諭一 編、ぎょうせい、1986年) 23頁 : 滑川道夫「郷土料理につながるふるさとの味」
  2. 小松三郎、秋田 日本釀造協會雜誌 73巻 (1978) 1号 p.32-34, doi:10.6013/jbrewsocjapan1915.73.32
  3. 『日本の郷土料理』第2巻(東北II)(石毛直道・奥村彪生・神崎宣武・山下諭一 編、ぎょうせい、1986年) 48頁 : 山下諭一「きりたんぽを食べる」
  4. 本場大館きりたんぽまつり”. 本場大館きりたんぽまつり実行委員会. . 2013年7月1日閲覧.
  5. 行政インフォメーション 2011年11月号 (PDF)”. 「きりたんぽ発祥まつり」・「花輪かっぽ軽トラ市」を開催します. 鹿角市 (2011年11月). . 2013年7月1日閲覧.

関連項目

外部リンク