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[[File:Diane de Versailles Leochares.jpg|thumb|ヴェルサイユのアルテミス像]]
 
 
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{{Greek mythology}}
'''アルテミス'''({{lang-grc-short|'''ΑΡΤΕΜΙΣ''', Ἄρτεμις}}, {{ラテン翻字|el|Artemis}})は、[[ギリシア神話]]に登場する[[狩猟]]・[[純潔|貞潔]]の[[女神]]である。[[アポローン]]が[[ヘーリオス]]と同一視され太陽神とされたように、後に[[セレーネー]]と同一視され月の女神とされた。また、闇の女神[[ヘカテー]]と同一視され、三通りに姿を変えるものだとも考えられた<ref>[[山室静]]/著『ギリシャ神話 付・北欧神話』[[社会思想社]]、pp.26-27 ISBN 4-390-10430-6</ref>。
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'''アルテミス'''({{lang-grc-short|'''ΑΡΤΕΜΙΣ''', Ἄρτεμις}}, {{ラテン翻字|el|Artemis}}
 
 
アルテミスは[[ゼウス]]と[[デーメーテール]]あるいは[[ペルセポネー]]の娘とも、あるいは[[ディオニューソス]]と[[イーシス]]との間に生まれた娘とも言われているが、[[ギリシア人]]に普及した伝承によれば[[ゼウス]]と[[レートー]]の娘で、[[アポローン]]の双生児とされている<ref>『ギリシア・ローマ神話辞典』p.37</ref>。[[アテーナー]]、[[ヘスティアー]]と同様、処女神である。
 
 
 
[[オリュンポス十二神]]の一柱とされるが、本来のヘレーネス(古代ギリシア人)固有の神ではない。その名は[[古典ギリシア語]]を語源としていないと考えるのが妥当である。アルテミスは、ギリシアの先住民族の信仰を[[古代ギリシア]]人が取り入れたものと、現在の研究では考えられている<ref>『ギリシア・ローマ神話辞典』p.38</ref>。
 
  
== 概説 ==
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ローマの[[ディアナ]]と同一視されたギリシアの女神。ゼウスと[[レト]]の娘で,双子の兄弟の[[アポロン]]とともにデロス島で生れた。アポロン同様,弓矢を持ち,その矢には突然の死をもたらす疫病の働きがあると信じられた。純潔を尊ぶ処女女神で,ニンフたちを従え,山野で狩りをすることをなにより好むが,同時に獲物となる野獣の守護者,哺育者でもある。野獣たちの主であった,クレタと小アジアに共通する,古い大母神の性格を継承し,エフェソスでは体中に無数の乳房をもつ像に表わされて崇拝された。のちには月の女神とみなされるようになった。
=== 女神の原像 ===
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古くは山野の女神で、[[野獣]](特に[[クマ|熊]])と関わりの深い神であったようである。[[アテナイ|アテーナイ]]には、アルテミスのために、少女たちが黄色の衣を着て、熊を真似て踊る祭があった。また女神に従っていた少女[[カリストー]]は、男性(実はアルテミスの父ゼウス)との交わりによって処女性を失ったことでアルテミスの怒りを買い、そのため牝熊に変えられた。また、多産をもたらす出産の守護神の面も持ち、妊婦達の守護神として[[エイレイテュイア]]と同一視された。[[地母神]]であったと考えられ、子供の守護神ともされた<ref>『ギリシア・ローマ神話辞典』p.38</ref>。
 
 
 
女神は、森の神として、弟神(兄神とも)アポローンとともに「遠矢射る」の称号をもち、[[疫病]]と[[死]]をもたらす恐ろしい神の側面も持っていた。また[[産褥]]の女に苦痛を免れる死を恵む神でもある。また神話の中では[[オレステース]]が[[イーピゲネイア]]と共にもたらしたアルテミスの神像は[[人身御供]]を要求する神であった。アルテミスに対する人身御供の痕跡はギリシアの各地に残されていた。
 
 
 
=== 神としての像 ===
 
古典時代の[[神話]]では、狩猟と貞潔を司る神とされる。アルテミスの祭祀は女性を中心とするものであった。神話では[[ニュンペー|ニュムペー]]を従えて[[アルカディア]]の山野を駆け、鹿を射るが、ときには人にもその矢が向けられる。通常、アポローンとともに[[デロス島|デーロス島]]で生まれたとされるが、これは後世的な伝承で、母レートーが[[ヘーラー]]の嫉妬を避けて放浪した際、{{仮リンク|オルテュギアー島|en|Ortygia}}でまずアルテミスが生まれ、さらにデーロス島でアポローンが生まれた。
 
 
 
この時アルテミスは生まれたばかりであるにもかかわらず、母の産褥に立会い、助産婦の務めを果たした。この神話に彼女が生殖や出産を司る女神の側面が見て取れる。さらに、まだ幼いうちにゼウスを探して出会い、えびらや短い[[チュニック]]、狩りの長靴をねだり、そして妊婦の守護神であることなどをゼウスに願い出たとされる。アポローンと共に行動することがあり、母を侮った[[ニオベー]]の子供たちと対決した伝説が伝わる。またアルテミスの怒りに触れて不幸をこうむったものには英雄[[オーリーオーン]]や[[アクタイオーン]]の伝説がある。
 
 
 
=== エペソスのアルテミス崇拝 ===
 
[[File:Artemis of Ephesus.jpg|thumb|left|120px|エペソスの女神<ref group="注">この女神像の胸部には多数の乳房があるように見えるが、[[乳首]]がない。しかし一般に「多数の乳房を持つ像」と表現される。</ref>]]
 
[[アナトリア半島|小アジア]]の古代の商業都市[[エフェソス|エペソス]]は、アルテミス女神崇拝の一大中心地で、この地にあった[[アルテミス神殿]]はその壮麗さで古代においては著名であった。また、この神殿は現在遺跡が残るのみであるが、近くの市庁舎に祀られていた女神の神像は現存している。この像は胸部に多数の[[卵]]形の装飾を付けた外衣をまとっており、あたかも「多数の乳房を持つ」ように見える。この像は一般に「多数の乳房を持つ豊穣の女神」として知られ紹介されるが、異説として女神への生け贄とされた牡牛の睾丸をつけられているともされる<ref>大和岩雄 『魔女はなぜ人を喰うか』、大和書房 ISBN 4479750347</ref>。
 
 
 
小アジアにおける[[キュベレー]]などの大地母神信仰と混交して、独特なアルテミス崇拝が存在していたと想定されている。それは植物の豊穣や多産を管掌する地母神としてのアルテミス崇拝であった。この信仰は、古代ギリシアの森や山野の処女神アルテミスのイメージ・原像とは異なっている。また、出産の女神でもあったアルテミスの原像ともかなり異なっている。
 
 
 
[[キリスト教]]における[[使徒]]・[[パウロ]]は、『[[エフェソの信徒への手紙|エペソス人への書簡]]』を通して、エペソスの人々にキリスト教徒のあり方を語っているが、パウロはアルテミス信仰と正面から戦いを挑んでいたとも考えられる。また、『[[使徒行伝]]』はエペソスにおける女神信仰の様を[[偶像崇拝]]と記している。女神の壮麗な神殿は、キリスト教の[[地中海世界]]への伝播とともに信仰の場ではなくなり、やがて[[ゴート族]]の侵攻で灰燼に帰した。
 
 
 
== 物語 ==
 
アルテミスについては、[[オウィディウス]]などが『[[変身物語]]』において、読み物風の恋愛譚を書き残したことでよく知られる。オーリーオーンとの恋愛の話などが存在する。
 
 
 
=== カリストー ===
 
[[File:Amigoni, Jacopo (1675 - 1752), Giove e Callisto -ca. 1740-1750-.jpg|thumb|女神の姿でカリストーを欺すゼウス]]
 
[[カリストー]](Kallistō)は[[アルカディア]]の[[ニュンペー|ニュムペー]]であるが、純潔を誓い、アルテミスに従っていた。ゼウスは姿を変えてカリストーに近づき、彼女を愛した。こうして二人のあいだにアルカディアの祖となる[[アルカス]]ができるが、アルテミスはこれを怒り、彼女を雌熊に変えた(一説では、ヘーラーが、またゼウス自身が、雌熊に変えた)。カリストーはアルテミスによって殺されたとも、息子アルカスがそれと知らず、熊と思い彼女を殺したともされる<ref>『ギリシア・ローマ神話辞典』p.101</ref>。
 
 
 
ゼウスはカリストーを憐れんで天に上げ、[[おおぐま座]]にしたとされる。息子アルカスは[[こぐま座]]となった(なお、[[うしかい座]]もアルカスの姿であるとされる)。しかしこのカリストーは、本来は「アルテミス・カリステー」(Artemis Kallistē, もっとも美しいアルテミス)であり、アルテミス自身のことであったと考えられる<ref>『ギリシア・ローマ神話辞典』p.38</ref>。
 
 
 
=== アクタイオーン ===
 
[[アクタイオーン]](Aktaiōn)は、アポローンの子[[アリスタイオス]]と、[[カドモス]]の娘[[アウトノエー]]とのあいだに生まれた子で、猟師であった。彼は、[[キタイローン]]山中で50頭の犬を連れて猟をしていたが、たまたまアルテミスが泉で水浴している姿を垣間見、女神の裸身を見た。アルテミスは怒り、アクタイオーンを[[シカ|鹿]]に変え、その連れていた50頭の犬に襲わせた。犬たちによってアクタイオーンは引き裂かれて死んだ<ref>『ギリシア・ローマ神話辞典』p.14</ref>。
 
 
 
=== オーリーオーン ===
 
[[File:Orion.jpg|thumb|オリオン座]]
 
[[オーリーオーン]](Ōrīōn)は、[[ポセイドーン]]の息子である。彼は陸でも海でも歩くことができ、そして非常な豪腕の持ち主で、太い棍棒を使って野山の獣を狩る、ギリシア一番の猟師であった。
 
 
 
狩猟の女神であるアルテミスとギリシア随一の狩人であるオーリーオーンは次第に仲良くなっていき、神々の間でも二人は、やがて結婚するだろうと噂されるようになっていった。しかし、アルテミスの双子の弟(兄)であるアポローンは、乱暴なオーリーオーンが嫌いだった事と純潔を司る処女神である彼女に恋愛が許されない事から、二人の関係を快く思わなかった。だが、アルテミスはアポローンの思惑を気にかけなかった。
 
 
 
そこでアポローンは奸計を以てアルテミスを騙す挙に出た。アポローンはアルテミスの弓の腕をわざと馬鹿にし、海に入って頭部だけ水面に出していたオーリーオーンを指さしして「あれを射ることができるか」と挑発した。オーリーオーンは、アポローンの罠で遠くにいたため、アルテミスはそれがオーリーオーンとは気づかなかった。
 
 
 
アルテミスは矢を放ち、オーリーオーンは矢に射られて死んだ。女神がオーリーオーンの死を知ったのは、翌日にオーリーオーンの遺骸が浜辺に打ち上げられてからだった。アルテミスは後に神となるほどの腕前の医師[[アスクレーピオス]]を訪ね、オーリーオーンの復活を依頼したが、冥府の王[[ハーデース]]がそれに異を唱えた。
 
 
 
アルテミスは父であり神々の長であるゼウスに訴えるが、ゼウスも死者の復活を認めることはできず、代わりに、オーリーオーンを天にあげ、[[星座]]とすることでアルテミスを慰めた。なお、[[さそり座]]は、アポローンが謀ってオーリーオーンを襲わせ、彼が海に入る原因となった[[サソリ]]であるとされた。そのため[[オリオン座]]は今も、さそり座が昇ってくるとそれから逃げて西に沈んでいくという。
 
 
 
== その他 ==
 
* 気の強さを表すエピソードの多いアルテミスであるが、[[トロイア戦争]]で自らが支援したトロイアが滅亡した際には父であるゼウスに泣きつくという一面を見せている。
 
* [[ギガントマキアー]]においては[[ギガース|ギガンテス]]の一人グラティオーンを倒している。
 
* 弓と[[箙]]で武装した「アポロウーサ」(女破壊者)あるいは「イーオケアイラ」(矢を射かける者)という添名を持つ<ref name="F">フェリックス・ギラン 『ギリシア神話』 青土社 p.97</ref>。
 
* エペソスにおけるアルテミス崇拝は、[[マルセイユ]]を経て[[ローマ]]に伝わり、女神は[[ローマ神話]]の[[ディアーナ]]と同一視された。
 
* [[薬草]][[アルテミシア]]([[ヨモギ属]])の名はアルテミスに由来し、女性の月経や分娩を整えるなど、多くの効能からよく用いられた。
 
* 聖獣は牝熊、鹿、[[猟犬]]で、聖樹は[[イトスギ|糸杉]]である<ref>豊田和二 『[[図解雑学シリーズ|図解雑学]] ギリシア神話』 [[ナツメ社]]</ref><ref name="F"></ref>。
 
* [[ヤママユガ科]]の蛾の一種である[[オオミズアオ]]の学名は ''Actias artemis'' (アクティアス・アルテミス)。
 
 
 
== 脚注 ==
 
 
 
=== 注釈 ===
 
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=== 出典 ===
 
{{reflist}}
 
 
 
== 参考文献 ==
 
* [[呉茂一]] 『ギリシア神話』 新潮社
 
* [[高津春繁]] 『ギリシア・ローマ神話辞典』 岩波書店、ISBN 4-00-080013-2
 
* [[オウィディウス]] 『[[変身物語]]』 岩波書店
 
* フェリックス・ギラン 『ギリシア神話』 青土社 
 
 
 
== 関連項目 ==
 
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* [[アマゾーン]]
 
  
 
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[[Category:ギリシア神話の神]]
 
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アルテミス古希: ΑΡΤΕΜΙΣ, Ἄρτεμις, Artemis

ローマのディアナと同一視されたギリシアの女神。ゼウスとレトの娘で,双子の兄弟のアポロンとともにデロス島で生れた。アポロン同様,弓矢を持ち,その矢には突然の死をもたらす疫病の働きがあると信じられた。純潔を尊ぶ処女女神で,ニンフたちを従え,山野で狩りをすることをなにより好むが,同時に獲物となる野獣の守護者,哺育者でもある。野獣たちの主であった,クレタと小アジアに共通する,古い大母神の性格を継承し,エフェソスでは体中に無数の乳房をもつ像に表わされて崇拝された。のちには月の女神とみなされるようになった。






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