サンライズ (アニメ制作会社)

提供: miniwiki
2018/9/29/ (土) 01:39時点におけるAdmin (トーク | 投稿記録)による版 (1版 をインポートしました)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先:案内検索


株式会社サンライズ: SUNRISE Inc.)は、バンダイナムコグループアニメ制作会社日本動画協会正会員。

歴史

創業

1972年、経営難に陥った旧虫プロダクション(虫プロ)から独立した営業・制作畑のスタッフが中心となって、有限会社サンライズスタジオという名で創業。

虫プロの制作・営業部門に所属していた岸本吉功、伊藤昌典、山浦栄二、渋江靖夫、岩崎正美、沼本清海、米山安彦の7名[注 1]が設立メンバーである。手持ちの資金がなかったことから、同年、虫プロ作品で音響を担当していた東北新社に出資を仰ぎ[1]、サンライズ創業者との共同出資により株式会社創映社を設立。創映社が企画と営業を行い、アニメの実制作はサンライズスタジオで行なう体制だった[2]。そのため、当初の営業・制作スタッフはサンライズスタジオと創映社に同時に在籍する状態であったが、創映社自体は東北新社の子会社で下請けの存在だったため、当時制作した作品の著作権表示は全て「©東北新社」となっている。

設立の1972年は、彼らの独立元ともいえる虫プロやその関連・子会社の経営難や労働争議が表面化しつつあった頃で、その後、旧虫プロは1973年11月に経営破綻に追い込まれた。これは企業の成り立ちや手塚の意向及び経営方針がゆえに、「アニメーターにあらずんば人にあらず」と言われる程にアニメーター偏重の作品作りが最優先される企業風土となり、合理的で適切な企業運営ができなかったことが主な要因となったものであった。

創業メンバーは、虫プロが倒産直前の末期的様相を呈する前に独立した面々ではあるものの、虫プロの内情と体質的な問題を組織内部から見て知る人物達で、この虫プロの企業体質はサンライズスタジオの経営における大きな教訓となり、現在まで受け継がれている。すなわち、サンライズにおける「クリエーターが経営陣に入ってはいけない」という経営ポリシーの確立である[3]。そのため、創業以来、自社スタジオは構える一方で、制作進行管理業務以外の実制作作業は外注スタッフがほぼ全てを担っており、既に約40年の歴史を持つ企業ながら同社一筋のプロパー正社員として監督を務めた人物もいない[注 2]。これはアニメ制作に必要なスタッフや専門職の大半を自社で正規雇用として抱え続けたために昇給・人件費増加・社内ポストなどの問題が解決できずに労働争議に至って破綻した虫プロの反省でもあり、その様な意味において言えば、サンライズでヒット作を手掛けてその名を知られる富野由悠季高橋良輔などの監督や塩山紀生安彦良和木村貴宏などの著名アニメーターも外注スタッフに過ぎず、クリエイターは携わっても作品単位での企画・制作までにとどまっている。

また、創業当初の経営陣はアニメの作品性も重視するが、それ以上に必要に応じた外注の多用などコスト削減や各種版権収入なども含めて、総合的な採算確保を図り健全経営を維持することを最重視する経営方針を打ち出した。玩具の商品企画のタイアップをアニメ企画の起点と主軸に据える作品構築のシステムを採用していたことも、今日に至るサンライズを形成した重要な特徴の一つである[4]。この背景には、「資金のない弱小プロダクション故に人件費を負担できない」[5]という経営初期に抱えていた資金面の事情もあった。

日本サンライズ時代

1976年11月に東北新社傘下から離脱。株式会社日本サンライズに改組・商号変更し、東映本社作品と円谷プロ作品のアニメーション制作を下請け。サンライズの飯塚正夫によると『ゼロテスター』や『勇者ライディーン』などで得た利益はすべて東北新社にいって、彼らは給料が上がらず不満が溜まっていたそうである[6]。一説には利益の配分を巡る喧嘩別れとも言われる[7]。翌1977年の『無敵超人ザンボット3』にて初めて自社企画制作作品を世に送り出す。1979年制作の『機動戦士ガンダム』とその後の劇場用作品により、アニメ業界にリアルロボットブームを興した。

1981年、初代社長の岸本吉功が死去。当時四十代であったが激務が祟り身体を壊したものであったという[8]。岸本の死を受けて第2代社長に伊藤昌典が就任。

1985年にはオリジナルビデオアニメ(OVA)に進出。ただしオリジナルと言っても全くのオリジナル企画は少なく、『装甲騎兵ボトムズ』のようなテレビシリーズで人気を得た作品の続編と『機甲猟兵メロウリンク』のようにその延長線上にある企画との基本方針を取っている。

株式会社サンライズ

1987年6月株式会社サンライズに商号変更し、第3代社長に山浦栄二が就任する。

創業以来手掛けてきた作品にはオリジナル企画ロボットアニメや、玩具メーカーとりわけバンダイ系列各社とのタイアップが多いが、山浦の代から漫画原作付きなど様々なアニメ作品を制作、多くの作品で熱心なアニメファンやアニメ業界内部から高い評価と支持を得ている。

玩具タイアップを中心にオリジナル作品を多く手掛けてきた理由の1つに、設立当初は資金に乏しく漫画原作の著作権翻案権)を得るために必要な予算が捻出できなかったという事情がある。ただし、原作が出版物である作品の場合、アニメ雑誌が記事に取り上げる際、著作権者の意向という形で誌面の素材として使用したい映像の使用許諾が得られなかったりページ数の制限が付きまとうことが多く、オリジナル企画の多さは、1980年代を中心にアニメ雑誌においてサンライズ作品がメインに据えられ大きく取り扱われる要因となった[9]

1987年、従来のオリジナル企画主体の路線から転換し、『ミスター味っ子』『シティーハンター』『バツ&テリー』などを端緒に原作付き作品を手がけることが増えていった。同時期にリアルロボットブームが下火になったのを見るや、『機甲戦記ドラグナー』を最後にガンダム由来のリアルロボット系作品に依存した体制からも一旦脱却し、玩具メーカーとのタイアップのオリジナル企画においても『魔神英雄伝ワタル』を機に子供がロボットに乗る、或いはロボットと友情を育むことで敵を倒すロボットアニメが登場した他、『鎧伝サムライトルーパー』の関連作品の成功を受けて容姿端麗な美少年が特殊アーマーを装着する鎧ものが幅を利かせた。また、1990年代前半には当時のガンダムよりも下の年齢層をメインターゲットとした『勇者シリーズ』が商業的な成功を収めるなど、元々得意とするオリジナル作品も堅調に推移した。

バンダイ・ナムコ傘下のグループ企業へ

1994年4月1日バンダイによる資本参加を受けて同社傘下のグループ企業となる。それと同時に経営陣が刷新され、以降の経営上層部の人材は松本悟のように主にバンダイの送り込んだ人物が占める様になっていった。

川口克己によると、バンダイグループ内部には出資した作品のマーチャンダイジングの成功・不成功の判断基準として『ガンダム』シリーズを指標に用いる向きがあり、同シリーズと同程度の売上でないと作品として成功とは見なされないことから、自然とガンダムに偏重していく傾向があるという[10]。サンライズ作品に限らず、「ロボットアニメはガンダムに淘汰される」という見方もある[11]。このため近年ではサンライズ自身でさえ少年向け・低年齢層向けのロボット物のオリジナルアニメ作品を発表する機会にはなかなか恵まれなくなった。

2000年代

2007年にバンダイが旧ナムコ(以下、「旧」は省略)と経営統合、バンダイナムコグループを作ったことでナムコ系テレビゲーム作品とのタイアップが増える。一例としては『THE IDOLM@STER』を原案とした『アイドルマスター XENOGLOSSIA』が制作された。また、2008年には同じくナムコの『テイルズ オブ ジ アビス』のアニメ版の制作も行なっている。なお、かつての主軸でもあった玩具をメインとしたコンテンツとのタイアップ作品は、2004年の『陰陽大戦記』以降は激減。ガンダム以外のオリジナルロボット作品についても『コードギアス』シリーズや『ゼーガペイン』など、少数に留まる。(ただしこの2作については初動から10年経過した2010年代でも適宜シリーズの展開が続いている)

2010年代

この年代には自社参加・読者参加企画発祥のメディアミックス作品『ラブライブ!』が大ヒットを飛ばした事を筆頭に、以前よりも更に様々なジャンルの作品を手がける様になった。

2015年4月1日、キッズ・ファミリー向け作品などの一部の制作部門を分社した株式会社バンダイナムコピクチャーズが設立。(事前発表は同年2月12日)社長はサンライズ社長の宮河恭夫が兼任する。以降、サンライズはハイターゲット向けの作品を中心とした制作体制に特化することとなる。

2016年9月、サンライズ内部で独自に立ち上げた非映像系オリジナル作品(主に小説)を発信するwebサイト「矢立文庫」をスタート。

2017年9月、創業45周年を迎える。

付記

  • 現在、サンライズが所属するバンダイナムコグループは、前身のバンダイグループの当時から版権・キャラクター関連のビジネスでは長年の業界最大手として豊富なノウハウを持っているが、その裏返しとして同社が関与する作品では版権や制作体制全般の管理が極めて厳しく徹底されることで知られている。サンライズもバンダイグループ入りの後は版権ビジネスのみならず作品出演の声優や原作者・監督などのメディア出演についても管理が強化・徹底されるようになっており、現在ではその様な意味でもアニメ業界で知られる、アニメマスコミ関係者にとって扱いにくい存在になっているという。
  • 近年はバンダイナムコピクチャーズの誕生により、サンライズはハイターゲット向けの多種多様な作品を作ることに特化した企業となっていることもあり、アニメ雑誌アニメージュ」主催のアニメグランプリでも人気作品を数多く出している。
  • 制作スタジオはいくつもあり、それぞれに「第1スタジオ」などと数字が割り振られることが多い。略して「1スタ」などと呼ぶことがある。ただし中で働いているのは前述のように外注スタッフである。
  • 『ケロロ軍曹』では第33話において、ケロロ小隊が同社を訪れたことがある[注 3]。また、『銀魂』でも、第165話において、万事屋銀ちゃんの銀時らが同社を訪れたことがある。

制作作品

サンライズで制作されている作品は、全部で12箇所のスタジオが母体となっている(2015年4月にバンダイナムコピクチャーズに移管されたスタジオがあるため、現在は若干減った模様)。
☆印が付くものは2015年4月からバンダイナムコピクチャーズに移管された作品・シリーズ。

テレビアニメ

シリーズ単位

1970年代

1980年代

1990年代

2000年代

2010年代

劇場アニメ

1980年代

1990年代

2000年代

2010年代

OVA

※テレビシリーズの総集編はほぼ除外

1980年代 (OVA)

1990年代 (OVA)

2000年代 (OVA)

2010年代 (OVA)

グロス発注作品

パイロット作品

TVドラマ

TVCM

特記なき限り日清食品

PV

ゲーム

その他

同社スタッフが独立・起業した会社

歴代代表取締役社長

  1. 岸本吉功
  2. 伊藤昌典
  3. 山浦栄二
  4. 吉井孝幸(1994年)
  5. 内田健二(2008年4月25日)
  6. 宮河恭夫(2014年4月1日)

ラジオ番組

関連人物

演出家

アニメーター

キャラクターデザイナー

キャラクター作画監督

メカ作画監督

その他のアニメーター

メカニックデザイナー

脚本家・小説家

制作・企画

その他

関連項目

脚注

注釈

  1. 『アニメージュ』1981年12月号28ページの「小史日本サンライズ」や、岡島正晃・あさのまさひこ・中島紳介『ボトムズ・アライブ』(太田出版・2000年)p204など8名とする資料もある。
  2. ただし、福田己津央小原正和のように、サンライズでアニメーターとしてのキャリアをスタートし、フリーランスになった後も名義のある仕事の大半はサンライズ作品で行い、サンライズ制作作品の監督を務めた人物はいる。
  3. 劇中では「サンイラズ」と呼ばれていた。
  4. 5thシーズン以降は第6スタジオ以外のスタッフも参加するようになった。

出典

  1. Web現代「ガンダム者」取材班編集「第5章 企画 飯塚正夫 《アトムの革命》」『ガンダム者 ガンダムを創った男たち』講談社、2002年10月9日、ISBN 4-06-330181-8、230頁。
  2. 天本伸一郎編「第2章/サンライズ黎明期 山浦栄二 インタビュー」『富野由悠季 全仕事』キネマ旬報社〈キネ旬ムック〉、1999年6月9日、ISBN 4-906649-00-9、112頁。
  3. Web現代「ガンダム者」取材班編集「序章 サンライズ取締役社長 吉井孝幸 《アニメーションにおけるニッチ産業》」『ガンダム者 ガンダムを創った男たち』9-10頁。
    • 「いま、映画機動戦士ガンダムに燃える日本サンライズ PART4 座談会」『アニメージュ』1981年1月号、p114-p115。山浦栄二取締役企画部長(当時)の発言による。
    • 中島紳介、斎藤良一、永島収『イデオンという伝説』太田出版、1998年、p104.
    • Web現代取材班「第5章 飯塚政夫」『ガンダム者 ガンダムを創った男たち』講談社、2002年、p248-p249。
  4. Web現代取材班「第1章 安彦良和」『ガンダム者 ガンダムを創った男たち』(講談社・2002年)p72。
  5. Web現代「ガンダム者」取材班 ガンダム者―ガンダムを創った男たち 講談社 2002年
  6. 「ロングインタビュー 安彦良和」『キネマ旬報別冊 動画王』Vol.7(キネマ旬報社・1998年)p174.
  7. 市報松江12月号(2010年)
  8. 中島紳介、斎藤良一、永島収『イデオンという伝説』太田出版、1998年、p174-p176
  9. 柿沼秀樹、加藤智「ガンプラシーン回顧対談 1980〜2007 川口克己×柿沼秀樹」『バンダイ キャラクタープラモ年代記 鉄人からヤマト、ガンダムまで』学習研究社、2007年4月3日、ISBN 978-4-05-403282-8、161頁。
  10. Great Mechanics 5 双葉社 2002年
  11. 木村隆一のTwitter 2012年11月15日 2:38の発言、2012年12月10日閲覧。
  12. アニメ質問状 : 「革命機ヴァルヴレイヴ」 設定的な秘密が次第に明らかに……”. 毎日新聞デジタル まんたんウェブ (2013年6月22日). . 2013閲覧.
  13. 新作TVアニメ「ケロロ」2014年春 アニマックスにて放送開始予定 “ケロロ軍曹”誕生日に重大発表!”. イード アニメ!アニメ! (2013年12月9日). . 2013閲覧.

外部リンク