スタジアム

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ファイル:Allianzarenacombo.jpg
ドイツミュンヘンアリアンツ・アレーナは、世界初の外観色が変更可能なスタジアムである。

スタジアム英語:stadium[1]、複数形:stadiumsまたはstadia[2])は主に屋外でのスポーツコンサートなどの催し物を行うための大規模な建築物である。競技場をさす場合が多い。競技を行うフィールドステージと、それを取り囲む観客席で構成されている。観客席は全周を囲むこともあれば、一部のみを囲むだけの場合もある。

スタジアムの歴史

スタジアムという言葉は、古代ギリシアの「競技場」を意味したギリシャ語スタディオン (στάδιον)」に由来する。日本語に直訳すれば「(人々が)立つ(所)」であり、観客席を「スタンド(stand)」と呼ぶのもこれに由来する。

現在知られているうちで最も古いスタジアムはギリシャ、ペロポネソス半島西部の、オリンピアのものである。ここでは紀元前776年以降古代オリンピックが開催された。最初はスタジアムの端から端まで走る短距離走だけが競技として行われていた。そのため、競争で走る距離として、オリンピアのスタジアムの長さ(約190m)が大なり小なり標準的なものと考えられた。この長さはローマにも引き継がれ、180m-200mというトラックの長さが標準とされた。長さの単位であるスタディオンはこれに由来し、メートル法では177.6mである。

なかなか興味深いことに、走る距離が約200mを超えると、それ以下の距離よりも最高速度を落とさないと人間の身体は耐えられないことが知られており、近現代の陸上競技の成績もそうなっている。ギリシャやローマの古代都市の多くにスタジアムが見つかっているが、その中でもローマのチルコ・マッシモやギリシャのドミティアヌス帝の時代につくられたスタジアムが特に良く知られている。

近現代のスタジアム

種類

スタジアムには、屋根をもつドーム型スタジアムがある。これらは屋根を持ってはいるものの、通常ならば屋外で行う競技ができる程の広さを持っており、それらの競技向けに設計されているため、「スタジアム」を名乗っている。一方、(フィギュアスケートのような)屋内競技用のものは「アリーナ」と呼ばれる。屋根は一部分を覆うだけのタイプもある。多くはないが、フィールドが可動式になっているものもある。

観客席全席が椅子になっているものもあれば、立ち見を前提としたものもある。

建ぺい率を最大限に活かした結果、内外観ともに上部に広がる、すり鉢状にしているスタジアムもある[3]

特に1923年ヤンキースタジアム以来、野球場を「スタジアム」と呼ぶ例が増えた。ヤンキースタジアムには最初、陸上競技用のトラックがあり、「真の」スタジアムであったし、フットボールにも用いられた。何十年か経つうちに、主に野球場として用いられる場合でも屋外競技場ならなんでもかんでも「スタジアム」と呼ばれるようになった。

設計上の問題

競技によって必要となるフィールドの大きさや形が異なる。一つの競技向けのスタジアムもあれば、複数の競技に対応できるものもある。各種フットボール専用のスタジアムは極めて一般的にみられる。多目的スタジアムで最も一般的なものはフットボール競技場と競争用のトラックを組み合わせたタイプで、若干の問題点はあるがおおむね良好に用いられる。最も大きな問題はフットボールの際に(特にフィールドの両端で)観客席が遠くなることである。小さなスタジアムでは両端部に観客席をおかないこともある。全周に観客席をもつスタジアムの平面形は楕円に、一端が開放されているタイプでは馬蹄形になる。特にアメリカ合衆国の学生フットボール会場ではこれら三種類はいずれも一般的である。

観戦するための屋外競技としては、アメリカ合衆国ではアメリカンフットボール(以下アメフト)と野球の人気が高い。そのため、特に1960年代に多くのアメフト・野球兼用のスタジアムが建設された。その中にはうまくいったものもあるが、両競技が要求するものにははっきりした違いがあるため、専用スタジアムを建設する動きが1972-1973年にカンサスシティーから始まり、特に1990年代よりその動きが加速していった。大リーグ用の野球場に隣接してNFL用のフットボールスタジアムを建設したケースは、かつては前述のカンサスシティー(カウフマン・スタジアムアローヘッド・スタジアム)などごく一部にしか見られなかったが、近年ではアメフト・野球兼用のスタジアムに併設された広大な駐車場にアメフト・野球専用の球場をそれぞれ建てることにより、両球場が隣接する、あるいは同じ敷地内に両方の球場が配置されるケースは増加傾向にある(シアトル、フィラデルフィア、ピッツバーグ、シンシナティなど)。

多くの場合、古い野球場は既にある土地や都市の一角の平面形に合う形で建設されたので、フィールドの形が非対称になっていた。例えばヤンキースタジアムはニューヨーク、ブロンクスの一角にあった三角形の土地に建設されたので、左翼側は広いが右翼側は狭いという特徴をもつことになった。

農作物を段をなして植えた状態をさす「テラス」が、特にイングランドのスタジアムでは観客席をさす言葉として用いられることがある。イングランドではかつて殆どのスタジアムに見られ、アメリカの野球場でも時折みられる。これはtier という単語の代わりに用いられるものである。本来は立見席を意味していたが、現在では椅子が備えられているのが通例である。

正確に同じではないが関連した用法として、「テラス」が外野側の傾斜面を指すことがある。これは実用上ないし装飾上の目的を持っており、観戦に使うこともできる。オハイオ州シンシナティのクロスリー・フィールドのものが有名である。

スタジアムの設計が悪いと、ヒルズボロの悲劇(イングランドのシェフィールドヒルズボロ・スタジアムで1989年4月15日に起きた大規模な観客圧死事故。詰め掛けた観客とフェンスの間に挟まれた96人が死んだ)や ヘイゼルの悲劇(ベルギーのブリュッセルエゼル競技場で1985年5月29日に起きた事故。イングランドの流儀でどっと押し寄せたリヴァプール側ファンに驚いたユヴェントゥス側ファンが混乱状態に陥り、39人が死んだ)のような大事故に結びつくことがある。

サッカースタジアムにおいては、FIFA(国際サッカー連盟)の規定ではスタンド最前列からタッチラインまでの距離は8.5mが目安とされているというが、それ以下のスタジアムもある[4]

コーポレート・ネーミング、命名権

クラブのオーナーにあやかってスタジアムに名付けることがあった。例えばクロスリー・フィールドやリグレー・フィールドブッシュ・スタジアムである。その名前がオーナーの経営する企業の名前と一致することもあった。しかし、企業名を名乗る新しい潮流が生まれてきた。

ここ何十年かの間に、アメリカ合衆国におけるスポーツスタジアムの所有者は、企業をスポンサーにしてスタジアムの名前を売ることがコスト削減に有利であると知った。1970年代に始まったこの動きは1990年代に大いに加速し、新旧問わずスタジアム名に企業名が冠としてつくことになった。うまくいったかどうかは別にして、場合によっては古くからの名前を廃止して企業名を名乗るスタジアムも出てきた。例えばサンディエゴクアルコム・スタジアムである。これはジャック・マーフィー・スタジアムとして親しまれてきた。企業をスポンサーとして迎える動きは、既に全世界に広ており、ミルウォーキーミラー・パークなど、新設のスタジアムでは、最初から企業名がついているものが多い。若干の自治体立のスタジアムは、ご当地の著名な事物や人物の名がつけられている。例えば、ミネアポリスヒューバート・H・ハンフリー・メトロドームである。

コーポレート・ネーミングの結果、スタジアムの名前が頻繁に変更されることとなった。これは契約期間の終了や名付けもとの企業の変更に伴うものである。アメリカ合衆国での例では、フェニックスの チェイス・フィールドは以前Bank One Ballparkと呼ばれていたが、Bank Oneの買収に伴い名前が変わった。サンフランシスコの3Com Parkは、以前のキャンドルスティック・パークから一旦3Com Parkと名前が変わり、数年後には契約が切れ、その2年後にモンスター・パークという新しい名前がついた。逆に、ロサンゼルスのグレート・ウェスタン・フォーラムは現在では廃業しているが、その名の元になった銀行が消滅した後も何年もの間同じ名前を名乗っていた。恐らく最も面白いのはヒューストンミニッツメイド・パークであろう。もとはエンロン・フィールドという名であったが、あっというまにその名前は駄目になった。スポンサー企業エンロンのスキャンダルのためである。その後アストロズ・フィールドを1年名乗った後、新しいスポンサー企業がついた。このような名前の変更はアメリカ合衆国などでは盛んであるが、スタジアムの命名権売買を良しとしない国も多い。それらの国の人々は企業の資本参入よりもスポーツの方が高貴なものであると考えているからである。命名権参照。

照明基準

国際オリンピック委員会(IOC)ではピッチ中央から25度以下の場所に付けてはならない、FIFAの要求ではそれにくわえて45度以上の角度にも付けてはならない、としているという[5]

コンサート活用

コンサートで用いる場合、芝生があるスタジアムでは、そのダメージもある(保護パネルを用いることもある)[6]

脚注

関連項目

外部リンク