「ソーシャル・マーケティング」の版間の差分

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'''ソーシャル・マーケティング'''(social marketing)とは、[[マーケティング]]の一つの考え方である。[[1971年]]に[[フィリップ・コトラー]]によって提唱された。
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'''ソーシャル・マーケティング'''(social marketing)
 
 
==概要==
 
*ソーシャルマーケティングとは、営利事業組織である企業の利益追求中心の[[マーケティング]]([[マネジリアル・マーケティング]])に対して、社会との関わりを重視するマーケティングの考え方である。
 
*1960年代後半から70年代前半にアメリカで生まれた。当時は買わせるための強引な販売やプロモーションが行われていた。また、企業目標達成のために、消費者[[ニーズ]]や[[ウォンツ]]を明らかにし、いかに効率的にそれらを喚起したり、応えたりするか、ということのみに腐心する企業がほとんどだった。ところが、製品やサービスそのものが[[消費者]]や[[社会]]に対する配慮が欠けていたりしたこともあり、「消費者主義」「消費者保護運動」と訳される「コンシューマリズム」が台頭した。
 
*[[1962年]]に出版された[[レイチェル・カーソン]]による『[[沈黙の春]]』、また同年に[[ジョン・F・ケネディ]]アメリカ大統領によって提唱された「4つの[[消費者の権利]]」、そして[[1965年]]に[[ラルフ・ネーダー]]が出版した『どんなスピードでも自動車は危険だ:アメリカの自動車に仕組まれた危険』''[[w:Unsafe at Any Speed|Unsafe at Any Speed:The Designed-In Dangers of the American Automobile]]''という[[ゼネラルモーターズ]]製の乗用車「[[シボレー・コルヴェア]]」の欠陥を指摘する本を出版したことなどが、動機となって誕生した。
 
*こうした反省を踏まえ、それまでの企業経営の視点のみからマーケティング活動を行う「マネジリアル・マーケティング」に対して、新たにソーシャル・マーケティングの考え方が登場した。
 
*ソーシャル・マーケティングの視点から見て、[[マネジリアル・マーケティング]]は「商的マーケティング」(commercial marketing)と言われることもある。
 
*[[1971年]]に[[フィリップ・コトラー]]により提唱された。
 
*近年では、非営利組織のマーケティング([[NPOマーケティング]])にも応用されている。
 
 
 
==定義==
 
*[[フィリップ・コトラー]]・G. ザルトマン([[1971年]])
 
**「ソーシャル・マーケティングとは、社会的なアイディアの受容性([[需要]])に影響を及ぼすと意図され、そして製品計画、価格決定、[[コミュニケーション]]、[[流通]]、および[[マーケティング・リサーチ]]の考察に関するプログラムの設計、実行、そして統制である。」
 
*P. コトラー([[2009年]])
 
**「ソーシャル・マーケティングは、ターゲットと同様に社会(公衆衛生、安全、環境、そして[[コミュニティ]])に便益をもたらすターゲットの行動に対して影響を与えるために、価値を創造し、伝達し、提供させるというマーケティングの原理および手法を適用するプロセスである。」
 
 
 
==コトラー以外のソーシャル・マーケティング==
 
*P.コトラーのソーシャル・マーケティングが従来の[[マネジリアル・マーケティング]]の技法を[[企業]]だけでなく、[[政府]]、[[博物館]]といった一般の[[非営利組織]]にも応用、拡張していこうとするものであるのに対し、W.レイザーが提唱したソーシャル・マーケティングは、これまでの[[マーケティング]]行動に社会対応が欠如していたという反省のもとに、評価判定基準に社会的利益や価値をおこうとする考え方である。
 
*[[4P]]を中核とする伝統的なマーケティング(マネジリアル・マーケティング)に欠けていた社会的責任や社会倫理といった社会的視点を導入したものである。その背景には、当時のアメリカにおける[[公民権運動]]や、[[コンシューマーリズム]]などによる、既存体制への不満や大企業への批判が展開されていたのである。
 
*P.コトラーが提唱するソーシャル・マーケティングが「非営利組織のマーケティング」と呼ばれるのに対し、W.レイザーが提唱するソーシャル・マーケティングは「社会志向のマーケティング」と呼ばれる。
 
 
 
==ソサイエタル・マーケティング==
 
*ソサイエタル・マーケティング(societal marketing)は、企業の社会的影響力を考慮しつつ行う具体的マーケティング活動をいい、広い意味でソーシャル・マーケティングに含まれることが多い。社会的利益を考慮したマーケティングであり、[[グリーン・マーケティング]]や[[エコロジカル・マーケティング]]はソサイエタル・マーケティングの代表例である。
 
*'''社会志向的マーケティング'''と訳されるソサイエタル・マーケティングは、伝統的な[[マネジリアル・マーケティング]]を社会的価値や社会的役割という新しい視座から捉えなおしたもので、適正利潤の確保という組織の目標の枠内において、自然的・生態的・社会的影響を考慮しながら、顧客ニーズに基づいたマーケティング諸手段を有機的に遂行する活動である。
 
 
 
==派生==
 
*非営利組織のマーケティング
 
*公共事業のマーケティング
 
*[[企業の社会的責任|CSR]]マーケティング
 
*[[コーズ・マーケティグ]]
 
*コーズ・リレーティド・マーケティング
 
 
 
==主な研究者==
 
*[[フィリップ・コトラー]]
 
*[[恩蔵直人]](早稲田大学教授)
 
*[[井関利明]]([[慶応義塾大学]][[名誉教授]])
 
*[[村田昭治]](慶應義塾大学名誉教授)
 
*[[梅沢昌太郎]](元[[日本大学]][[教授]])
 
*[[三上富三郎]](元[[明治大学]]教授)
 
*[[長谷政弘]](日本大学[[名誉教授]])
 
 
 
==研究書籍==
 
*[[フィリップ・コトラー]]、アラン R. アンドリーセン著/[[井関利明]]監訳『非営利組織のマーケティング戦略』[[第一法規出版]]、[[1991年]]。
 
*フィリップ コトラー、エデュアルド L. ロベルト著/井関利明監訳『ソーシャル・マーケティング―行動変革のための戦略―』[[ダイヤモンド社]]、[[1995年]]2月。
 
*フィリップ・コトラー、ナンシー R. リー著/塚本一郎監訳『コトラー ソーシャル・マーケティング―貧困に克つ7つの視点と10の戦略的取組み―』[[丸善]]、[[2010年]][[1月29日]]。
 
*C.H.ラブロック、C.B.ウェインバーグ著/渡辺好章、[[梅沢昌太郎]]監訳『公共・非営利のマーケティング』[[白桃書房]]、[[1991年]][[6月26日]]。
 
*[[村田昭治]]『ソーシャル・マーケテイングの構図―企業と社会の交渉―』[[税務経理協会]]、[[1976年]]。
 
*[[三上富三郎]]『ソーシャル・マーケティング―21世紀に向けての新しいマーケティング―』[[同文舘出版]]、[[1982年]]1月。
 
*梅沢昌太郎『ビジネス・モデルの再生―ディスマーケティングを問う―』白桃書房、[[2006年]][[11月16日]]。
 
 
 
==関連項目==
 
*[[マーケティング]]
 
*[[コーズ・マーケティング]]
 
*[[フィリップ・コトラー]]
 
  
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次のような二重の意味で用いられる。一つは,マーケティング活動の評価基準を,利潤極大化や市場占有率の拡大などの経済的利益に加えて,公害の解消,消費者福祉や地域福祉の向上などの社会的利益にも求めようとする志向。もう一つは,マーケティング・マネジメント論で開発されてきたさまざまな技法を,従来の営利企業だけでなく政府,病院,学校などの非営利機関にも適用しようとする志向。企業の社会的影響力の増大や 1960年代後半のコンシューマリズムの高まりを契機として生まれた考え方であり,企業と社会のかかわりを社会的責任の視点からとらえる上で重要なコンセプトとなっている。日本企業の中でも,多国籍化やグローバル化が進むにつれ,あらためて注目され,評価され始めている。
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2018/10/1/ (月) 23:41時点における最新版

ソーシャル・マーケティング(social marketing)

次のような二重の意味で用いられる。一つは,マーケティング活動の評価基準を,利潤極大化や市場占有率の拡大などの経済的利益に加えて,公害の解消,消費者福祉や地域福祉の向上などの社会的利益にも求めようとする志向。もう一つは,マーケティング・マネジメント論で開発されてきたさまざまな技法を,従来の営利企業だけでなく政府,病院,学校などの非営利機関にも適用しようとする志向。企業の社会的影響力の増大や 1960年代後半のコンシューマリズムの高まりを契機として生まれた考え方であり,企業と社会のかかわりを社会的責任の視点からとらえる上で重要なコンセプトとなっている。日本企業の中でも,多国籍化やグローバル化が進むにつれ,あらためて注目され,評価され始めている。



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