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{{otheruseslist|新幹線の軌道などを検査する車両|航空自衛隊の救難団のヘリコプター|UH-60J (航空機)|}}
 
[[File:923 shinkansen T5 20080728.jpg|thumb|東京駅に停車中の923形「ドクターイエロー」]]
 
<!--[[File:Dr.Yellow.jpg|thumb|新大阪駅に停車中の923形ドクターイエロー]]--><!--同一主題のためコメントアウト。2枚も必要だろうか?-->
 
'''ドクターイエロー'''とは、[[新幹線]]区間において、[[軌道 (鉄道)|線路]]のゆがみ具合や[[架線]]の状態、信号電流の状況などを検測しながら走行し、新幹線の軌道・電気設備・信号設備を検査するための事業用車両の愛称である<ref>{{Cite news |title=ドクターイエロー公開、JR西 山陽新幹線40周年【暮らし・話題】 |url=http://www.topics.or.jp/worldNews/worldTopics/2015/01/2015012701000837.html |date=2015-01-27 |newspaper=徳島新聞 |publisher=徳島新聞社 |accessdate=2015-01-30}}</ref>。
 
  
== 概要 ==
+
'''ドクターイエロー'''
「ドクターイエロー」は通称であり、正式名称は「'''新幹線電気軌道総合試験車'''(しんかんせんでんききどうそうごうしけんしゃ)」である<ref>[http://railway.jr-central.co.jp/train/work/detail_04_01/index.html JR東海-車両のご案内 923形] - 東海旅客鉄道</ref><ref>{{Cite news |title=幻の新幹線「ドクターイエロー」公開 山陽新幹線40周年で |url=http://www.sankei.com/west/news/150127/wst1501270049-n1.html |date=2015-01-27 |newspaper=産経ニュース |publisher=産業経済新聞社 |accessdate=2015-01-30}}</ref>。通称は、車体色の黄色に由来している<!--{{要出典範囲|これは外形デザインが営業用車両と同一であるため、一般乗客が誤って乗り込むことがないよう、注意を引き特殊車両であることを表すべく元々は保守用車の色だった黄色を使ったと云われている。|date=2010年12月}}--><!--これは特殊車両云々ではなく、運輸省直轄時代、つまり省営時代から引き継がれた国鉄の技術内規(新幹線・交流原動機車・試験車など詳細個別に塗色の規定があった)によっているはずだが、全記録が見当たらず、わからないのでとりあえずコメントアウト。-->。
 
  
東北新幹線区間などでは、白ベースに赤の塗装の編成である[[東日本旅客鉄道]](JR東日本)E926形が使用され、「[[East i]](イースト アイ)」(正式名称は「電気軌道総合試験車〈でんききどうそうごうしけんしゃ〉」)と呼ばれる。用途が同じ車両なので、本項にてまとめて記述する。
+
新幹線設備の適切な継続管理のための検査車両。正式名称は新幹線電気軌道総合試験車。車体全面が警戒色の黄色に着色されていることから、ドクターイエローの愛称でよばれる。東海道新幹線と山陽新幹線の区間を、実際の営業列車とほぼ同じ条件でおよそ10日ごとに走らせ、動的な状態における電気関係や軌道関係の設備の異常や不正を調べ、乗り心地の状態などを確認する。おもな検査項目は、電気関係では(1)トロリ線(パンタグラフを通じて電車へ電力を供給する電線)、(2)架線電圧、電流、(3)信号、(4)通信(列車無線雑音や電界強度ほか)などの異常で、それぞれの電線の摩耗や腐食などを点検する。軌道関係では、(1)軌間(左右レール間の距離)、(2)左右のレールの高低、(3)通り(水平方向のずれ)、(4)左右のレールの平面性、(5)列車の動揺などの箇所に関し、軌道の変位によって生じるさまざまな狂いを検測する。
  
これらの試験車による検測結果は、[[東海道新幹線|東海道]]・[[山陽新幹線]]においては[[新幹線情報管理システム]] (SMIS)、[[東北新幹線|東北]]・[[上越新幹線|上越]]・[[北陸新幹線|北陸]]・[[北海道新幹線]]においては[[新幹線総合システム]] (COSMOS) に送られ、それぞれ乗り心地の向上や安定した集電、信号トラブルの未然防止などを目的とした[[保線]]作業のデータとして使用される。
+
試験車による検査は、電気関係と軌道関係でそれぞれ別の専用試験車両が用いられるのが一般的で、東海道新幹線も開通当初の1964年(昭和39)に導入されていた試験車は、軌道用と電気用が分かれていた。これらの試験車は車体が黄色で、ドクターイエローの初代である。その後、1編成で電気と軌道両方の検査ができるT2編成(922-10号車)が投入される。これは山陽新幹線博多駅開業を翌年に控えた1974年のことで、検測距離の延伸にあわせ、保守の効率をあげるために導入された。2014年(平成26)時点では、2001年に導入された700系の営業列車と同等の時速270キロメートル走行に対応したT4編成が運用されており、JR西日本の区間では同等のT5編成が稼働している。また、東北新幹線と上越新幹線および山形・秋田・北陸(長野)新幹線においても開業時からドクターイエローが試験車として運行されてきたが、2003年にミニ新幹線区間を含むJR東日本の新幹線全区間に対応でき、時速275キロメートルで検測ができる白い車体のE926電気軌道総合試験車East-i(イーストアイ)と入れ替わった。
  
これらの非営業用車両の車両形式は、「系」や「型」ではなく「(900系)○○○'''形'''=がた(○○○○番台)」と表記する(例:900系923形3000番台=T5編成)。
+
ドクターイエローは走行回数が少なく、そのスケジュールが公開されていないため、珍しい車両として鉄道ファンに人気がある。
  
運行は10日に1回程度であり<ref>{{Cite news |title=40歳山陽新幹線 ドクターイエロー診察中 |url=http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20150127-OYS1T50055.html |date=2015-01-27 |newspaper=YOMIURI ONLINE |publisher=読売新聞社 |accessdate=2015-01-30}}</ref>、走行時刻も非公開である<ref>{{Cite news |title=「ドクターイエロー」車内を公開 新幹線の安全支える検査車両 |url=http://www.sanyonews.jp/article/126457/1/ |date=2015-01-27 |newspaper=山陽新聞デジタル |publisher=山陽新聞社 |accessdate=2015-01-30}}</ref>ため、[[鉄道ファン]]を中心に「見ると幸せになれる」など、[[縁起物]]のような扱いをされる<ref>{{cite news |title=安全支える新幹線「ドクターイエロー」 10日に1度の“縁起物” |newspaper=[[フジサンケイ ビジネスアイ|サンケイビズ]] |date=2014-04-20 |url=http://www.sankeibiz.jp/business/news/140420/bsd1404201201001-n1.htm | accessdate=2014-04-20 }}</ref>。
+
{{テンプレート:20180815sk}}
 
 
基本的には路線の点検作業のみに使用されるが、[[阪神・淡路大震災]]では建設資材輸送に使われるなど、緊急時には例外的な運用も行われる<ref>{{cite web | publisher =乗りものニュース | title =神戸の力になるために 震災復旧資材を運んだ「ドクターイエロー」| url =http://trafficnews.jp/post/37368/ | date = 2015-01-17 | accessdate = 2015-01-17 }}</ref>。
 
 
 
== 車両 ==
 
{{出典の明記|section=1|date=2010年12月}}
 
=== 東海道・山陽新幹線 ===
 
<!--922形以降に付与された{{要出典範囲|[[新幹線の編成記号|編成記号]]の'''T'''は、Testの意味を持つ|date=2011年2月}}。--><!--これも当時の発番規則によっているはずなので、果たして本当にそうかはわからない。とりあえずコメントアウト。-->
 
<!--電線は 25cm 間隔、線路は 15cm 間隔を時速 275km/h 検査している。また、検査はミリ単位で行われ、異常があった場合には夜中に専用の列車で直し、整備を行っている。-->
 
 
 
==== 921形 ====
 
===== 0番台 =====
 
単独の軌道試験車であり、921-1(登場時は4000形4001号)、921-2の2両が存在した。
 
 
 
検測走行時の最高速度は160km/h。丸みを帯びた箱形車体で、前面は非貫通3枚窓、[[在来線]]の軌道試験車と同じく3[[鉄道車両の台車|台車]]を装着する。測定機器の電源用として、[[ディーゼルエンジン|ディーゼル]][[発電機]]を搭載していた。
 
 
 
車体塗装は[[黄5号|淡黄色]]で、窓下に[[青20号|青色]]の帯を巻いていた。帯の部分に車両番号を書き文字で記載していた。921-1は[[新幹線#モデル線鴨宮基地|鴨宮モデル線区]]投入時からこの塗り分けであり、ドクターイエローカラーの元祖となる。検測時は、開業前では試験編成に、開業後は[[新幹線911形ディーゼル機関車|911形ディーゼル機関車]]などに牽引されていた。後述する[[新幹線1000形電車|1000形]]B編成を改造した922形0番台(T1編成)に軌道検測機能は無かったが、それには併結されることなく各々単独で運用された。
 
 
 
なお、後述の922形10番台・20番台に組み込まれている921形とは、形式および用途は同じながら外観はまったくの別物である。
 
 
 
; 921-1
 
: 在来線の軌道試験車をベースに設計され、[[1962年]]に4000形4001号として[[東急車輛製造]]で製造され鴨宮モデル線区に投入された(東海道新幹線開業直前に921-1と改番)。正面中央上部に、車両編成番号表示窓が設置されている。
 
: 自動車用ディーゼル発電機を使用して、低速で自走することができた(車庫内での入れ換えなどに使用)。全長は18mで、正面窓が側面まで回っている。
 
: 被牽引では200km/hでの計測も可能であり、このため[[1978年]]5月より東北新幹線先行試験区間の小山試験線に投入され、翌[[1979年]]に同じく東海道・山陽新幹線から移転した[[新幹線961形電車|961形]]とともに、各種試験・測定に使用された。
 
: 東北新幹線の試験終了後の[[1980年]]、[[廃車 (鉄道)|廃車]]解体された。
 
; 921-2
 
: [[1964年]]の東海道新幹線開業に合わせ、増備車として旧形客車([[国鉄スハ32系客車#寝台車(二重屋根車)|マロネフ29 11]])の改造により製造された。921-1との違いは細かい部分のみで、正面中央上部の車両編成表示窓の省略、正面窓が車体側面まで回っていない、窓の配置が若干異なる、全長が17.5mと短くなっている程度である。性能上は単体では自走できず、測定項目も921-1より少なかった。
 
: 921-1より早く、[[1975年]]末に廃車となり、翌[[1976年]]に[[東海旅客鉄道浜松工場|浜松工場]]の車体解体設備で解体された。
 
 
 
===== 10・20番台 =====
 
10番台は11号、20番台は21号の2両が存在した。
 
 
 
T2編成(後述)からは、電気・軌道の検測を一元的に行うため、新製された922形の5号車に組み込まれることになった。車体断面は922形と同一であるが、車体長は17.5mと短く、車体は測定条件を満たすために強固な鋼製で、自重は60tを超えていた。
 
 
 
921-11は922形10番台(T2編成)、921-21は922形20番台(T3編成)に組み込まれていた。
 
 
 
====941形(電気試験車→救援車)====
 
鴨宮[[モデル線]]区で運用されていた1000形A編成を、モデル線区投入の2か月後(1962年8月)に電気試験車に、さらに1964年に救援車へと改造したもの。最高速度200km/h。
 
 
 
元々は白地に青帯だったが、救援車への改造にあわせて黄地に青帯になった(青帯の幅は細く前照灯までつながっていた)。その後再改造され、元々1灯式だった[[前照灯]]は2灯式に、前面窓は[[新幹線0系電車|0系]]に合わせ2号車は曲面ガラスから平面ガラスに改造されたが、1号車の曲面ガラスと両車の車両編成番号表示窓は残された<!--画像イラストが実車の通り-->。救援車としての出動は一度もなく、1975年に0系1・2次車の廃車が本格化する前に、浜松工場に新設された車体解体設備の輪切りのテストのために廃車解体された。
 
* 1号車 (941-1) :資材室
 
* 2号車 (941-2) :救援要員用座席(40席)・工具棚
 
{{-}}
 
 
 
==== 922形 ====
 
===== 0番台 =====
 
1964年6月に、モデル線で運用されていた1000形B編成を、A編成の電気試験車→救援車の改造と同時に、電気・信号系の測定車に改造したもの(軌道系の測定はできなかった)。最高速度200km/h。のちに'''T1編成'''とも称される。
 
 
 
元々は白地に窓周りが青色の塗色だったが、改造にあわせ黄地に青帯になった(T2編成以降と異なり青帯の幅は細く前照灯までつながっていた)。その後再改造され、元々1灯式だった前照灯は2灯式に、1号車の前面窓は0系に合わせ曲面ガラスから平面ガラスに改造された(4号車は比較試験のためもともと平面ガラスであり1号車のみ改造)。しかし、車両編成番号表示窓と256km/hの記録のプレートは残された。1975年に0系1・2次車の廃車が本格化する前に、941形同様に廃車解体された。
 
* 1号車 (922-1) :信号・通信測定車
 
* 2号車 (922-2) :電気測定車
 
* 3号車 (922-3) :資材車
 
* 4号車 (922-4) :電気測定車
 
 
 
===== 10番台 =====
 
{{鉄道車両
 
|車両名 = 新幹線922形電車<br />10番台・20番台
 
|社色 = #000000
 
|画像 = Doctor-yellow.jpg
 
|画像説明 = 922形20番台T3編成<br />(2004年10月17日)
 
|unit = self
 
|編成 = 7両([[MT比|6M1T]])
 
|編成定員 = 非営業車両
 
|起動加速度 = 1.0 km/h/s
 
|最高速度 = 210 km/h
 
|全長 = 25,150 mm(先頭車)<br />25,000 mm(2 - 4, 6号車)<br />17,500 mm(5号車)<ref group="**" name="Shinkansen 20 918">『東海道 山陽新幹線二十年史』日本国有鉄道新幹線総局、1985年、p.918</ref>
 
|全幅 = 3,380 mm<ref group="**" name="Shinkansen 20 918" />
 
|車体高 = 3,975 mm<ref group="**" name="Shinkansen 20 918" />
 
|軌間 = 1,435 mm
 
|電気方式 = [[交流電化|交流]]25,000V 60Hz
 
|制御装置 = [[電気車の速度制御#タップ制御|低圧タップ制御]] (CS46)
 
|歯車比 = 2.17
 
|駆動装置 = [[WN駆動方式]]
 
|ブレーキ方式 = [[発電ブレーキ|発電]]、[[電磁直通ブレーキ]]
 
|台車 = IS式ダイレクトマウント空気ばね台車<br />DT200A<br />TR8009(5号車両端台車)<ref group="**" name="Shinkansen 20 918" /><br />TR8010(5号車中央台車)<ref group="**" name="Shinkansen 20 918" />
 
|保安装置 = [[自動列車制御装置#ATC-1型(東海道・山陽型)|ATC-1型]]
 
|備考全幅 = {{Reflist|group="**"}}
 
}}
 
初代T1編成が老朽化、運用面での不都合も多く、[[博多駅|博多]]開業も迫っていたので、[[1974年]]に新製された電気軌道総合試験車である。<!--({{要出典範囲|このとき[[日本国有鉄道]](国鉄)内部でドクターイエローという通称が生まれた|date=2011年2月}})。--><!--これは全くわからない。T2は1974年当時、鉄道管理局内で「イエロードクタ」「ドクターカー」あるいは「テストカー」といった呼称もされていたのでコメントアウト。-->
 
'''T2編成'''とも称する。922形6両 (922-11 - 922-16) に921形軌道検測車 (921-11) を挟み込んだ7両編成で、全車とも[[日立製作所]]で製造された。0系16次車と同時発注のため、側窓が大窓になっている。登場当初は昼間に運用されたが、[[1986年]]に東海道・山陽新幹線が220km/hに速度向上してからは夜間の運用が主になった。JR化後は[[東海旅客鉄道]](JR東海)に所属。後記するT4編成の登場で[[2001年]]1月26日の[[東京駅|東京]]から博多への検測を最後に運用を終了し、同年10月2日から5日にかけて廃車、解体された。
 
 
 
* 1号車:通信・信号・電気測定車
 
* 2号車:データ処理車
 
* 3号車:電源車(観測ドームあり)
 
* 4号車:倉庫・休憩室([[鉄道車両の座席#固定式クロスシート|ボックスシート]]を装備。[[国鉄583系電車|583系電車]]の開放式[[B寝台]]下段に類似した構造となっており、寝台としても使用できる。)
 
* 5号車:軌道検測車(921形、3台車で短車体)
 
* 6号車:救援車(観測ドームあり)
 
* 7号車:架線磨耗測定車
 
 
 
外観からわかるように0系をベースとした車両であるが、初期の0系電車の外観における特徴の一つである車体側面の脱出口を本車両は装備していない。
 
 
 
なお、後述のT3編成と自動分割併合試験を行うため、1986年に7号車先頭部の[[連結器]]に改造が施され、前頭部の外観が多少変化した。これは結局現在のところ東海道・山陽区間においては実用化されていないが、後に東北方面での[[新幹線直行特急|新在直通運転]]における自動分割併合の実現に貢献することとなった<ref>[[RM MODELS]]2001年6月号89ページより。</ref>。
 
<gallery>
 
File:922 T2 Gifu-Hashima 19981011.jpg|922形10番台T2編成
 
</gallery>
 
 
 
===== 20番台 =====
 
T2編成の増備として、1979年に新製された。'''T3編成'''とも称する。T2編成1本では検測を行いつつ車両検査を受けることが困難であったため、T2編成が検査入場中は予備車である921形0番台で軌道検測を行わなければならなかった。921形0番台は最高速度が低く、運用上の問題が発生した<ref>『東海道 山陽新幹線二十年史』日本国有鉄道新幹線総局、1985年、p.918</ref>。それを防ぐために製造されたのがT3編成である。製造メーカーは3 - 5号車が東急車輛製造、それ以外は日立製作所である。
 
 
 
0系27次車(1000番台)と同時発注のため、側窓が小窓になっている。その他の仕様はT2編成に近いが、架線磨耗測定車が2号車、レーザー光線式架線摩耗測定装置の採用<ref>{{Cite book|和書|title=新幹線の運転|editor=にわあつし|year=2010|publisher=KHベストセラーズ|pages=p.174|id=ISBN 9784584132289}}</ref>、4号車が全車両倉庫になり、休憩室兼添乗員座席(0系[[普通車 (鉄道車両)|普通車]]オリジナルの2+3列[[鉄道車両の座席#転換式クロスシート(転換腰掛)|転換クロスシート]]を装備)が7号車に移る等微妙な違いがある(軌道検測車は921-21)。T2編成同様、車体側面の脱出口は装備しない。
 
 
 
JR発足以後は[[西日本旅客鉄道]](JR西日本)に所属。T4編成の登場で予備車になった。2001年にT2編成が運用を離脱し、[[2005年]]に当編成が後述の700系ベース車であるT5編成によって置き換えられるまでの4年間、東海道新幹線の全区間で運行されていた唯一かつ最後の0系タイプ車両であった(JR西日本所属の0系が[[新大阪駅]]から[[鳥飼車両基地]]の間を回送線として利用したケースを除く)。T2編成との外見上の相違は側窓の大きさのほか、最前部の連結器カバーがT2は白色、T3は黄色となっていた。
 
 
 
* 1号車:通信・信号・電気測定車
 
* 2号車:データ処理・架線摩耗測定車
 
* 3号車:電源車(観測ドームあり)
 
* 4号車:倉庫
 
* 5号車:軌道検測車(921形、3台車で短車体)
 
* 6号車:救援車(観測ドームあり)
 
* 7号車:休憩室
 
 
 
なお、前述のT2編成同様、1号車前頭部に自動分割併合装置が改造により装備されていた。
 
 
 
2005年9月30日に廃車となった<ref>{{Cite book|和書|title=JR電車編成表 '06冬号|year=2005|publisher=ジェー・アール・アール|pages=p.332|id=ISBN 4-88283-044-2}}</ref>後も922-26が[[博多総合車両所]]で保管されていた。現在は2011年3月に開館した[[リニア・鉄道館]]で展示されている<ref>[http://jr-central.co.jp/news/release/nws000348.html JR東海博物館(仮称)における展示概要について](ニュースリリース・JR東海)</ref>。
 
{{-}}
 
 
 
==== 923形 ====
 
{{鉄道車両
 
|車両名 = 新幹線923形電車
 
|社色 = #000000
 
|画像 = 923-0 T4 Hamamatsu 20060722.JPG
 
|画像説明 = 923形0番台T4編成<br />(2006年7月22日)
 
|unit = self
 
|編成 = 7両([[MT比|6M1T]])
 
|編成定員 = 非営業車両
 
|起動加速度 = 2.0km/h/s<ref group="*">改良工事が実施される以前は東海道区間では1.6km/h/sであった。</ref><ref group="***">[http://jr-central.co.jp/news/release/nws000330.html 700系の加速度向上について](ニュースリリース・JR東海)</ref>
 
|最高速度 = 270 km/h
 
|全長 = 27,350 mm(先頭車)<br />25,000 mm(中間車)
 
|全幅 = 3,380 mm
 
|車体高 = 3,650 mm
 
|軌間 = 1,435 mm
 
|電気方式 = 交流25,000 V 60Hz
 
|モーター出力 = 275kW/基
 
|編成出力 = 6,050kW
 
|主電動機 = [[かご形三相誘導電動機]]<br />TMT6A,TMT7A,TMT8(T4編成)
 
|歯車比 = 2.96
 
|台車 = コイルばね+円錐積層ゴム式ボルスタレス台車<br />TDT204(電動車), TTR8001(付随車)(T4編成)<br>WDT206(電動車), WTR8001(付随車)(T5編成)
 
|駆動装置 = [[WN駆動方式]]
 
|制御装置 = [[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御]]([[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]])
 
|ブレーキ方式 = [[回生ブレーキ|回生併用]][[電気指令式ブレーキ]](応荷重装置付き)、[[渦電流式ディスクブレーキ|渦電流ブレーキ]]
 
|保安装置 = [[自動列車制御装置#ATC-1型(東海道・山陽型)|ATC-1型]]、[[自動列車制御装置#ATC-NS|ATC-NS]]
 
|製造メーカー =[[日立製作所]][[日立製作所笠戸事業所|笠戸事業所]]<small>(1 - 3号車)</small><br />[[日本車輌製造]]<small>(4 - 7号車)</small>
 
|備考全幅 = {{Reflist|group="***"}}
 
}}
 
 
 
922形T2・T3編成の老朽化や、[[新幹線300系電車|300系]]以降の250km/h超の車両増加などにより、270km/hでの走行が可能な車両として[[新幹線700系電車|700系]]をベースに開発された。
 
 
 
1 - 3号車は[[日立製作所笠戸事業所]]、4 - 7号車は[[日本車輌製造]]豊川製作所で製造された。
 
 
 
T3編成までの軌道検測車(付随車)は、3台車の相対変位を測定する方式であり車体長も短かったが、T4編成以後は[[レーザー|レーザー光]]を使用した方式に改良され、他の車輌と同じ2台車で車体長も同じになっている。形式も他号車と同じく923形に含まれている。
 
 
 
先頭部には、前照灯の下方、車体中央に前方[[監視カメラ]]が設置されている。また、[[尾灯]]がこのカメラの左右に配置されており、営業用の700系では尾灯となっている左右の2灯も前照灯(この灯火のみ、[[キセノンランプ|キセノン]]や[[HIDランプ|HIDライト]]と呼ばれることもある、白色の[[ディスチャージヘッドランプ]])となっている。このため、前照灯は700系の4灯に対し6灯となり、視認性の向上が図られている。
 
 
 
車体色の黄色が、T3までの編成([[黄5号]])に比べて明るく鮮やかなもの([[黄1号]])となっている。また、2号車と6号車にはそれぞれ集電用1基、検測用1基の[[集電装置|パンタグラフ]]が搭載され、1両に2基のパンタグラフが並んでおり、営業車には例のない長大なパンタグラフカバーと相まって、ユニークな外観となっている。
 
 
 
なお測定走行時には、測定用パンタグラフは進行前方の車両、集電用パンタグラフは進行後方の車両のものを使用し、同一車両の2基のパンタグラフを同時に上げて走行することはない(試運転等、測定以外の特殊な運転の場合は除く)。
 
 
 
走行機器もベースとなった700系に準じているが、編成が短くなったことから、1ユニットを構成する車両数が4両から3両(M1c+M'+M2)に減らされている。それに伴い、新たに制御電動車 (M1c) が設定されたほか、従来は付随車に搭載されていた空気圧縮機や補助電源装置といった補機類が電動車に集約して搭載された。また、計測機器などの電源用および停電対策用として、M'車車内に210kVA電源装置および鉛蓄電池を搭載する。
 
 
 
* 1号車:変電/電車線/信号/通信測定台・電気/施設測定機器
 
* 2号車:高圧室・電気関係測定機器
 
* 3号車:観測ドーム・電気倉庫・電力データ整理室
 
* 4号車:(軌道検測車)軌道検測室・施設データ整理室・施設倉庫
 
* 5号車:多目的試験・電源供給・観測ドーム・休憩室
 
* 6号車:ミーティングルーム・高圧室・電気関係測定機器
 
* 7号車:電気/施設測定機器(添乗室があり700系普通車と同様の車内。カラーの大型[[プラズマディスプレイ]]も備える)
 
 
 
なお、923という[[新幹線の車両形式#事業用車|形式称号]]は2代目にあたる。先代はレール探傷車が名乗っており、2代目923形が登場した時点ではJR西日本に923-2が在籍していた。
 
 
 
===== 0番台 =====
 
東海道区間の[[新幹線300系電車|300系]]以降の車両への統一に伴い、[[2000年]]に開発された。JR東海に所属し、'''T4編成'''と呼ばれる。
 
 
 
落成当時、4号車(軌道検測車)の屋根はマリーゴールドイエローであった。太陽光による熱の悪影響を避けるため、2006年に700系と同じパールホワイトに塗り替えられている<ref>『新幹線EXPLORER』Vol.13、2009年、[[イカロス出版]]、p.25</ref>。
 
 
 
<gallery>
 
File:Dr.yellow1号車.JPG|1号車
 
File:Dr.yellow2号車.JPG|2号車
 
File:Dr.yellow3号車.jpg|3号車
 
File:Dr.yellow5号車.JPG|5号車
 
File:Dr.yellow6号車.JPG|6号車
 
</gallery>
 
 
 
===== 3000番台 =====
 
[[File:Dy 923 inspection chassis.JPG|thumb|4号車の軌道検測用台車]]
 
[[2003年]]の[[2000年代のJRダイヤ改正|ダイヤ改正]]で高速化された東海道新幹線において、922形T3編成の210km/hでの検測運転では営業車両との性能差からダイヤに支障し<!-- 922形T3編成で検測運転をすると東海道新幹線で -->、またT3編成自体の老朽化も進んでいたことから、これを置き換える目的で2005年に登場した。JR西日本博多総合車両所に所属し、'''T5編成'''と呼ばれる。2005年3月上旬にそれぞれのメーカーから陸上および海上輸送により博多総合車両所に運ばれた。
 
 
 
仕様は923形0番台T4編成とほぼ同一である。T4編成との外観上の差異は、車体側面に[[博多総合車両所]]でメンテナンスを行う際のジャッキアップ時にリフトを差し込むための穴があること、および7号車屋根上のアンテナの有無(T4編成にはない)のみである。
 
 
 
博多総合車両所所属でありながら普段は東京に常駐しているため、保守を容易にするため台車もT4編成と同一にしてある。また、定期検査はJR東海に委託し、[[日本の鉄道車両検査#交番検査|交番検査]]が[[東京交番検査車両所]]、台車検査・[[日本の鉄道車両検査#全般検査|全般検査]]が[[東海旅客鉄道浜松工場|浜松工場]]の施行となっている<ref>[[ネコ・パブリッシング]]『[[Rail Magazine]]』 2007年12月号。浜松工場への台車検査入場の記事が掲載されている。</ref>。
 
 
 
{| class="wikitable" style="font-size:80%; text-align:center;"
 
|+T編成 編成表
 
|style="background-color:#ccc;"|&nbsp;
 
|colspan="7" style="background-color:#ff6;"|{{TrainDirection|博多|東京}}
 
|-
 
!号車
 
|1||2||3||4||5||6||7
 
|-
 
! 形式
 
| 923<br />(M1c)
 
| 923<br />(M')
 
| 923<br />(M2)
 
| 923<br />(T)
 
| 923<br />(M2)
 
| 923<br />(M')
 
| 923<br />(M1c)
 
|-
 
! 役割
 
| colspan="3"|電気試験車
 
|軌道試験車
 
| colspan="3"|電気試験車
 
|-
 
!T4
 
| 1 || 2 || 3 || 4 || 5 || 6 || 7
 
|-
 
!T5
 
| 3001 || 3002 || 3003 || 3004 || 3005 || 3006 || 3007
 
|}
 
<gallery>
 
File:Sec923-1-2017-6-3.jpg|923-1
 
File:Sec923-2-2017-6-3.jpg|923-2
 
File:Sec923-3-2017-6-3.jpg|923-3
 
File:Sec923-4-2017-6-3.jpg|923-4
 
File:Sec923-5-2017-6-3.jpg|923-5
 
File:Sec923-6-2017-6-3.jpg|923-6
 
File:Sec923-7-2017-6-3.jpg|923-7
 
</gallery>
 
 
 
==== 運用 ====
 
主要駅停車の「[[のぞみ (列車)|のぞみ]]」(「[[ひかり (列車)|ひかり]]」)検測と、各駅に止まる「[[こだま (列車)|こだま]]」検測の2種類があり、通常各タイプとも同じダイヤで営業時間帯に運転される。
 
 
 
「のぞみ」タイプと「こだま」タイプのどちらも、基本的に2日かけて検測を行い、1日目に東京 → 博多、2日目に博多 → 東京となることが多い。ただし、新大阪駅到着時にいったん[[大阪仕業検査車両所]]に入区することが多い。
 
 
 
東海道新幹線開通間もないころは、営業列車のない深夜に検測を行っていたが、営業列車と同じ速度で検測可能なT2編成(922形10番台)が1974年に登場してからは昼間に検測を行うようになった<ref name="Shinkansen 20 377">『東海道 山陽新幹線二十年史』日本国有鉄道新幹線総局、1985年、p.377</ref>。当時は「ひかり」検測は3日かけて<ref group="*">1日目:東京 → 広島。2日目:広島 → 博多 → 広島。3日目:広島 → 東京</ref>、「こだま」検測は4日かけて<ref group="*">1日目:東京 → 新大阪。2日目:新大阪 → 博多。3日目:博多 → 新大阪。4日目:新大阪 → 東京</ref>行った<ref name="Shinkansen 20 377" />。
 
 
 
ドクターイエローの運用について、区間や走行時刻などの詳細は全く公表されないため、「'''ドクターイエローを目撃すると幸せになれる'''」という都市伝説がある。中々出会えない車両であることと目立つ色合いで人気があるため、[[プラレール]]や[[鉄道模型]]([[関水金属]]・[[トミーテック]]が発売)といった関連商品が多く売れている<ref>[http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/130627/wlf13062710490008-n1.htm ダイヤ非公開、幻の"幸せの黄色い電車"ドクターイエローが人気] 産経新聞 2013年6月27日配信 8月13日閲覧。</ref>。もっとも、毎回ダイヤを調整するのは大変なので検測のダイヤは決まっていてランダムな時間に走るわけではない。非公開であるが「走るならこの時間」というものは決まっているため、SNSなどの目撃情報と合わせると見ようと思えば存外簡単に出会える車両でもある。
 
 
 
=== 東北・北海道・上越・北陸・山形・秋田新幹線 ===
 
JR東日本では系列に関係なく非営業用車両(営業運転前の量産先行車を含む)の編成記号に「S」を使用している。
 
 
 
==== 921形 ====
 
===== 921-31・41 =====
 
東北・上越新幹線用の軌道検測車。
 
921-11・21とほぼ同仕様で、車体断面は925形と同一である。雪切装置が追加されたが、3台車のためボディーマウントではない。921-31は925形0番台(S1編成)に、921-41は925形10番台(S2編成)に組み込まれていた。製造メーカーはいずれも東急車輛製造。
 
 
 
===== 921-32 =====
 
[[1997年]]に[[新幹線200系電車|200系]]の中間車226-63を軌道検測車921-32に改造、レーザーによる測定を日本で初めて導入した。検測台車は測定装置が装備された以外は変わっていない。外観は改造で不要となった方向幕・指定席/自由席表示・雪切り室を塞いだ跡が残っていた。
 
 
 
[[碓氷峠]]を抱える長野新幹線の開業に伴い、従来の3台車の軌道検測車では軸重の関係で入線が困難なことから開発されたもので、1両しかないことからS1編成かS2編成のどちらかに組み込み、通常の定期検測では一定期間同一編成が連続して使われた。種車が200系量産車なため、先行して制作された925形と雨樋の高さが微妙に異なっている。
 
 
 
後述の通り、925形の運用離脱直前に検査期限切れとなったため、[[2002年]]12月8日付で廃車された。
 
 
 
==== 925形 ====
 
===== 0番台 =====
 
[[File:925 sendai untensyo.jpg|thumb|925形S1編成]]
 
[[1979年]]に製造された。黄地に緑帯である。'''S1編成'''とも称する。[[新幹線200系電車|200系]]の原型の一つである。S2編成と異なり、あらかじめ各車の窓割りが検測車仕様で製造されていた。軌道検測車は921-31。製造メーカーは1・2号車が日本車輛製造、3・4号車が[[近畿車輛]]、6・7号車が川崎重工業。長野新幹線開業に伴い、[[商用電源周波数|周波数]]50/60Hz両用対応、勾配対策がなされ、軌道検測車は921-32を連結するよう改めた。後記するE926形S51編成「East i」の登場で2001年に廃車された。
 
<gallery>
 
File:925 sendai untensyo2.jpg|925形S1編成
 
</gallery>
 
 
 
===== 10番台 =====
 
[[File:925-10 S2 Takasaki 20020925.jpg|thumb|925形S2編成(高崎駅、2002年9月25日)]]
 
[[1978年]]に製造された200系の原型にあたる[[新幹線962形電車|962形新幹線試作電車]]を、[[1983年]]に改造したものである。元々試作電車だったため、総合試験車化に際しいくつかの窓を埋めている。'''S2編成'''とも称する。軌道検測車は921-41。
 
 
 
東北・上越新幹線開業後も、軌道検測車を抜いた6両編成で「高速試験車」に使われ、これを基に200系による時速240km - 275km運転が実施された。1997年にS1編成同様50/60Hz両用対応。後記するE926形S51編成「East i」の登場で、2003年1月25日付で廃車された。定期運用を終える直前、前述の921-32が法定検査切れとなり、921-41を組み込んで東北・上越のみの検測を行った状態で2002年9月で定期運用を終えた。
 
{{-}}
 
 
 
==== E926形 ====
 
{{鉄道車両
 
|車両名 = 新幹線E926形電車
 
|社色 = green
 
|画像 = Shinkansen E926 East-i.jpg
 
|画像説明 = E926形S51編成<br />(2008年5月21日)
 
|unit = self
 
|編成 = 6両<ref name="E926 spec">{{Cite book|和書|editor=佐藤芳彦|title=新幹線テクノロジー|year=2004|publisher=山海堂|pages=p.154|id= ISBN 9784381088277}}</ref>([[MT比|5M1T]]<ref name="E926 spec" />)
 
|編成定員 = 非営業車両
 
|起動加速度 = 1.6 km/h/s<ref name="E926 spec" />
 
|最高速度 = 275 km/h<ref name="E926 spec" /><br />130 km/h(在来線区間)<ref name="E926 spec" />
 
|編成長 = 128 m<ref name="E926 spec" />
 
|編成重量 = 275 t<ref name="E926 spec" />
 
|全長 = 22,725 mm(先頭車)<ref name="E926 spec" /><br />20,500 mm(中間車)<ref name="E926 spec" />
 
|全幅 = 2,945 mm<ref name="E926 spec" />
 
|全高 = 4,290 mm(パンタグラフ含む)<ref name="E926 spec" />
 
|車体高 =
 
|軌間 = 1,435 mm<ref name="E926 spec" />
 
|電気方式 = [[交流電化|交流]]25,000V 50/60Hz<ref name="E926 spec" /><br />交流20,000V 50Hz<ref name="E926 spec" />
 
|制御装置 = [[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御]]<ref name="E926 spec" />
 
|歯車比 = 3.04<ref name="E926 spec" />
 
|モーター出力 = 300kW<ref name="E926 spec" />
 
|駆動装置 = [[WN駆動方式]]
 
|ブレーキ方式 = [[回生ブレーキ|電力回生ブレーキ]]併用[[電気指令式ブレーキ|電気指令式]][[空気ブレーキ]]<ref name="E926 spec" />
 
|台車 = SUミンデン式ボルスタレス台車<br />DT207A<br />TR8012(3号車)
 
|保安装置 = [[自動列車制御装置#ATC-2型(東北・上越・長野型)|ATC-2型]]、[[自動列車制御装置#DS-ATC|DS-ATC]]<ref name="E926 spec" /><br />[[自動列車停止装置#ATS-P形(デジタル伝送パターン形)|ATS-P]](在来線区間)<ref name="E926 spec" />
 
|製造メーカー = [[東急車輛製造]]
 
|備考 =
 
}}
 
営業列車の最高速度275km/h(当時)と同じ速度での検測データが必要とされたこと、最高速度が上昇したダイヤの都合や検測時間の短縮が必要とされたこと、新在直通可能な検測車両が求められたことなどを受け、2001年に[[新幹線E3系電車|E3系]]をベースに開発された<ref name="RP 20020196">『鉄道ピクトリアル』2002年1月号、電気車研究会、2001年、p.96</ref>。メーカーは[[東急車輛製造]]。
 
 
 
正式名称は「新幹線電気・軌道総合試験車」であり、「East i(イースト・アイ)」の愛称がついている<ref name="RP 20020196" />。'''S51編成'''とも呼ばれる。前述の開発ニーズから、[[在来線]]の[[車両限界]]に合わせられた[[ミニ新幹線]]規格の[[山形新幹線]]区間および[[秋田新幹線]]区間でも運用できるように車体はE3系に準じ、北陸新幹線でも対応できるように、[[商用電源周波数|周波数]]50/60[[ヘルツ|Hz]]切替装置や30‰([[パーミル]])急勾配登坂モーター、[[抑速ブレーキ]]切替装置も装備している。最高速度は275km/hである。なお、この速度は「'''検測車両における世界最高速度'''」として[[ギネス世界記録]]に認定されている。フル新幹線規格の東北新幹線・上越新幹線・北陸新幹線・[[北海道新幹線]]<ref group="*">北海道新幹線と共用区間である[[海峡線]]([[青函トンネル]]を含む)もE926形が検測を行う。</ref>の各区間とミニ新幹線規格の山形新幹線・秋田新幹線の各区間の検測を一手に引き受けている<ref name="EX 201606">『季刊新幹線EX』2016年6月号、イカロス出版</ref>。
 
 
 
===== 車体 =====
 
E3系をベースとしたアルミニウム合金製であるが、引側戸がないこと(1・3号車)や機器搬入口を設けたことなどが特徴である<ref name="RP 200201100">『鉄道ピクトリアル』2002年1月号、電気車研究会、2001年、p.100</ref>。車体塗装はそれまでの黄色系統から変わり、[[日本の救急車|救急車]]をモチーフとした白ベースの赤塗装に変更された。この塗装はJR東日本の在来線向け検測車両([[JR東日本E491系電車|E491系]]・[[JR東日本キヤE193系気動車|キヤE193系]])にも採用されている。
 
 
 
===== 走行・制御機器 =====
 
主変圧器(TM205)、主変換装置(CI5D)、主電動機(MT205/連続定格出力300kW)はE3系と同等品である<ref name="RP 20020199">『鉄道ピクトリアル』2002年1月号、電気車研究会、2001年、p.99</ref>。
 
 
 
補機類の補助電源装置として、SC206A(容量77kVA)を3号車に2基搭載する<ref name="RP 20020199" />。また、架線の50Hzと60Hzの両区間の周波数に対応できる[[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]] - [[パルス幅変調|PWM]]コンバータ・インバータで構成されたSC213(容量100kVA)を2・3・4号車に、検測機器用電源としてSC214を2号車に搭載する<ref>{{PDFlink|[http://www.fujielectric.co.jp/about/company/jihou_2002/pdf/75-01/05.pdf 交通システム - E926形新幹線電気・軌道総合試験車補助電源装置]}}富士時報 第75巻第1号(2002年)、[[富士電機]]</ref><ref name="RP 20020199" />。SC214は主変圧器3次巻線(AC400V、50/60Hz)を電源としてAC100V、50Hzを出力するほか、停電用バックアップ機構を備えており、セクションを想定した3秒バックアップと停電を想定した10秒バックアップの2回路においてそれぞれ40kVAの容量を有する<ref name="RP 200201100" />。さらにバックアップ用蓄電池も2号車に搭載している<ref name="RP 200201100" />。
 
 
 
北陸新幹線区間における30‰急勾配において2M車カット状態で走行可能とするため、MT比は5M1Tと高めに設定されている<ref group="*">ベースとなったE3系0番台6両編成のMT比は4M2Tである。</ref>。
 
 
 
信号関係の検測を両先頭車で行い、それに関係する車上子を先頭部床下に設置している。そのため、信号関係の検測を行う際には、検測データの精度向上のために前位(運転台寄り)台車の主電動機をカットし、4M2T相当での走行に切り替える<ref name="RP 20020199" />。この時、主変換装置の特性が切り替わり、健全時と同等の加速度およびブレーキ負担割合の変更を行う機能を搭載している<ref name="RP 20020199" />。
 
 
 
===== 台車 =====
 
M車の台車は、E3系のDT207A(一部に検測用の機器を搭載できるものを使用)を搭載している<ref name="RP 20020199" />。軌道検測車(3号車)用の台車TR8012は、E3系のTR7005Aをベースにしている。具体的には、検測枠が取り付けられ、検測精度向上の観点から検測枠のオーバーハングを小さくするために車輪径は860mmから820mmに縮小、ヨーダンパも片側2本取り付け(E3系は1本)となっている<ref name="RP 20020199" />。
 
 
 
===== 編成 =====
 
6両編成のうち、軌道検測車であるE926-3には、同一仕様のE926-13が存在し、一方が検査などで走行できない時でも軌道の検測が行えるようになっていたが、E926-13は2015年2月4日に廃車された<ref name="EX 201606"/>。S51編成の全体が全般検査等入場中で計測走行できない時は、[[新幹線E2系電車|E2系]](N21編成)にE926-3または13を組み込み、軌道検測を行っていた。
 
 
 
* 1号車 (E926-1) :通信([[同軸ケーブル#特殊な構造の同軸ケーブル|LCX]]・在来線[[列車無線]])・電力(架線間隔測定)・信号([[自動列車制御装置|ATC]]用)
 
* 2号車 (E926-2) :通信・測定用電源
 
* 3号車 (E926-3, 13) :軌道
 
* 4号車 (E926-4) :電力(集電・検測兼用パンタグラフ)
 
* 5号車 (E926-5) :電力・信号
 
* 6号車 (E926-6) :電力(架線間隔測定)・信号(ATC用)
 
 
 
{| class="wikitable" style="font-size:80%; text-align:center;"
 
|-
 
|style="background-color:#ccc;"|&nbsp;
 
|colspan="6" style="background-color:#ffcc00;"|{{TrainDirection|東京・秋田|金沢・新潟・新庄・大曲・新函館北斗}}
 
|-
 
!号車
 
|1||2||3||4||5||6
 
|-
 
! 形式
 
| E926-1<br /> (M1c)
 
| E926-2<br /> (M2)
 
| E926-3(13)<br /> (T)
 
| E926-4<br /> (M2)
 
| E926-5<br /> (M1)
 
| E926-6<br /> (M2c)
 
|-
 
! 役割
 
| 通信・電力・信号
 
| 通信・測定
 
| 軌道
 
| 電力
 
| colspan="2"|電力・信号
 
|}
 
 
 
※ [[秋田新幹線]][[大曲駅 (秋田県)|大曲駅]] - [[秋田駅]]間は進行方向が逆になるため、このようになっている。
 
 
 
<gallery>
 
File:E926 S51 East i E926-1.jpg|E926-1
 
File:E926 S51 East i E926-2.jpg|E926-2
 
File:E926 S51 East i E926-3.jpg|E926-3
 
File:E926 S51 East i E926-4.jpg|E926-4
 
File:E926 S51 East i E926-5.jpg|E926-5
 
File:E926-1.jpg|E926-6
 
</gallery>
 
 
 
{| class="wikitable" style="text-align:center; font-size:80%;"
 
|+E2系N21編成 + E926-3(13) 編成表
 
|style="background-color:#ccc;"|&nbsp;
 
|colspan="9" style="background-color:#4da;"|{{TrainDirection|東京|長野・新潟・新青森}}
 
|-
 
!号車
 
|1||3||2||3||4||5||6||7||8
 
|-
 
!N21編成
 
|E223-1<br /> (T1c)
 
|style="background-color:#ffcc00;"|E926-3(13)<br /> (T)
 
|E226-101<br /> (M2)
 
|E225-1<br /> (M1)
 
|E226-201<br /> (M2)
 
|E225-401<br /> (M1k)
 
|E226-301<br /> (M2)
 
|E215-1<br /> (M1s)
 
|E224-101<br /> (T2c)
 
|}
 
{{-}}
 
 
 
<gallery>
 
File:JReastE2_N21_E926-13_Ueno_20131112.jpg|S51編成の全体が全般検査等などで入場中の場合で軌道計測を行う場合には、E926-3又はE926-13をE2系N21編成の中に組込む。<br/>(2013年11月12日 上野駅)
 
File:JR E2 N21 E926-13 omiya 20131112.jpg|E2系N21編成の中にE926-13の組込まれた状態の様子。<br/>(2013年11月12日 大宮駅)
 
</gallery>
 
 
 
=== 九州新幹線 ===
 
{{main|新幹線800系電車#検測機能}}
 
[[九州新幹線]]ではドクターイエローに相当する検測専用の車両は保有せず、検査の際、営業用として使用している[[新幹線800系電車|800系]]のうち対応する編成に機器を搭載して検測を実施している。
 
 
 
当初は800系のU001編成に検測機能が与えられ、[[鉄道の車両番号|車両番号]]の末尾に「K」の文字が加えられていたが、後述の2009年の増備編成の就役に伴い撤去された。
 
 
 
2009年に製造された3編成のうち、U007, U009編成(1000番台)には軌道の検測を可能とする装置を、U008編成(2000番台)には電力、信号、通信の検測を可能とする装置が搭載可能である<ref>{{Cite book|和書|title=鉄道ファン2009年10月号|year=2009|publisher=交友社|pages=P.76|id= }}</ref>。
 
 
 
=== その他 ===
 
[[1995年]][[1月17日]]に発生した[[兵庫県南部地震]]([[阪神・淡路大震災]])では、東海道新幹線の復旧工事で必要な[[モルタル]]輸送にドクターイエローが用いられた。車内いっぱいに積み込まれた200袋のモルタルと24人の作業員を東京から京都まで輸送する任に当たった<ref name="Hanshin_awaji_149">阪神・淡路大震災鉄道復興記録編纂委員会『よみがえる鉄路』[[山海堂 (出版社)|山海堂]]、1996年、p.149、ISBN 4-381-00989-4。</ref>。
 
 
 
[[2008年]][[5月26日]]、JR東海は[[新幹線N700系電車|N700系]]に上下方向のみの軌道検測システムを取り入れると発表した<ref>[http://jr-central.co.jp/news/_xml/nws000120.html JR東海:営業列車での軌道計測技術について](ニュースリリース・JR東海)</ref>。
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist|group="*"}}
 
 
 
== 出典 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist}}
 
 
 
== 参考文献 ==
 
* 萬谷太郎(JR東日本運輸車両部企画課車両開発プロジェクト)「JR東日本E926形新幹線電車(S51編成)」 『[[鉄道ピクトリアル]]』2002年1月号、電気車研究会、2001年、pp.96 - 101
 
* {{Cite news |title=ドクターイエローの検査の様子を大公開! |url=http://www.westjr.co.jp/fan/blog/article/2015/02/page_6839.html |date=2015-02-23 |newspaper=トレナビ |publisher=西日本旅客鉄道 |accessdate=2015-03-04}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{commonscat|Doctor Yellow}}
 
{{commonscat|Shinkansen E926|East i}}
 
* [[国鉄193系電車]]
 
* [[国鉄キヤ191系気動車]]
 
* [[East i]] - 新幹線検測用車両
 
* [[JR東日本E491系電車]] (East i-E) - 在来線電化区間検測用車両
 
* [[JR東日本キヤE193系気動車]] (East i-D) - 在来線非電化区間検測用車両
 
* [[JR東海キヤ95系気動車]]
 
* [[JR西日本キヤ141系気動車]]
 
* [[TGV IRIS 320]] - [[フランス国鉄]]の、LGV([[TGV]]用高速新線)用検測用車両
 
* [[New Measurement Train]] - イギリスの[[ネットワーク・レール]]の検測用車両。[[インターシティー125]]がベース。
 
 
 
== 外部リンク ==
 
* [http://www.tems.co.jp/business/maintenance_ea/ メンテナンス(East i)] - 東日本電気エンジニアリング
 
* [http://www.nkh-cjrg.co.jp/business/01_01.html 業務内容(ドクターイエロー):東海道新幹線区間の検測作業を担当] - 日本機械保線
 
* [http://www.railtec.jp/business/index.html 事業内容:山陽新幹線区間の検測作業を担当] - レールテック
 
* [http://shinkansen50.jp/job/doctoryellow_01.html 新幹線お仕事図鑑:ドクターイエロー編] - 東海道新幹線50周年記念ページ
 
*{{YouTube|zi89wpFJepg|「ドクターイエロー」初の一般公開 新幹線開業50周年}}(朝日新聞社提供、2014年7月27日公開)
 
 
 
{{日本の新幹線}}
 
 
 
{{rail-stub}}
 
{{リダイレクトの所属カテゴリ
 
|collapse=on
 
|header=この記事は以下のカテゴリでも参照できます
 
|redirect1=新幹線922形電車
 
|1-1=1974年製の鉄道車両
 
|1-2=日立製作所製の新幹線車両
 
|1-3=東急車輛製造製の新幹線車両
 
|redirect2=新幹線923形電車
 
|2-1=2000年製の鉄道車両
 
|2-2=日立製作所製の新幹線車両
 
|2-3=日本車輌製造製の新幹線車両
 
|redirect3=新幹線925形電車
 
|3-1=1979年製の鉄道車両
 
|3-2=日本車輌製造製の新幹線車両
 
|3-3=近畿車輛製の新幹線車両
 
|3-4=川崎重工業製の新幹線車両
 
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|4-1=2001年製の鉄道車両
 
|4-2=東急車輛製造製の新幹線車両
 
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2018/9/23/ (日) 16:36時点における版

ドクターイエロー

新幹線設備の適切な継続管理のための検査車両。正式名称は新幹線電気軌道総合試験車。車体全面が警戒色の黄色に着色されていることから、ドクターイエローの愛称でよばれる。東海道新幹線と山陽新幹線の区間を、実際の営業列車とほぼ同じ条件でおよそ10日ごとに走らせ、動的な状態における電気関係や軌道関係の設備の異常や不正を調べ、乗り心地の状態などを確認する。おもな検査項目は、電気関係では(1)トロリ線(パンタグラフを通じて電車へ電力を供給する電線)、(2)架線電圧、電流、(3)信号、(4)通信(列車無線雑音や電界強度ほか)などの異常で、それぞれの電線の摩耗や腐食などを点検する。軌道関係では、(1)軌間(左右レール間の距離)、(2)左右のレールの高低、(3)通り(水平方向のずれ)、(4)左右のレールの平面性、(5)列車の動揺などの箇所に関し、軌道の変位によって生じるさまざまな狂いを検測する。

試験車による検査は、電気関係と軌道関係でそれぞれ別の専用試験車両が用いられるのが一般的で、東海道新幹線も開通当初の1964年(昭和39)に導入されていた試験車は、軌道用と電気用が分かれていた。これらの試験車は車体が黄色で、ドクターイエローの初代である。その後、1編成で電気と軌道両方の検査ができるT2編成(922-10号車)が投入される。これは山陽新幹線博多駅開業を翌年に控えた1974年のことで、検測距離の延伸にあわせ、保守の効率をあげるために導入された。2014年(平成26)時点では、2001年に導入された700系の営業列車と同等の時速270キロメートル走行に対応したT4編成が運用されており、JR西日本の区間では同等のT5編成が稼働している。また、東北新幹線と上越新幹線および山形・秋田・北陸(長野)新幹線においても開業時からドクターイエローが試験車として運行されてきたが、2003年にミニ新幹線区間を含むJR東日本の新幹線全区間に対応でき、時速275キロメートルで検測ができる白い車体のE926電気軌道総合試験車East-i(イーストアイ)と入れ替わった。

ドクターイエローは走行回数が少なく、そのスケジュールが公開されていないため、珍しい車両として鉄道ファンに人気がある。



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