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'''ニヒリズム'''あるいは'''虚無主義'''(きょむしゅぎ、{{lang-en-short|Nihilism}}、{{lang-de-short|Nihilismus}})とは、この世界、特に[[過去]]および[[現在]]における[[人間]]の[[存在]]には意義、目的、理解できるような[[真理]]、本質的な価値などがないと主張する[[哲学]]的な立場である。名称は[[ラテン語]]の nihil (無) に由来する。
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'''ニヒリズム'''あるいは'''虚無主義'''(きょむしゅぎ、{{lang-en-short|Nihilism}}、{{lang-de-short|Nihilismus}}
  
== 概要 ==
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虚無主義の意。ドイツの哲学者 F.ヤコービが『フィヒテ宛書簡』 (1799) でニヒリズムの語を初めて用い,ロシアの小説家 I.ツルゲーネフの小説『[[父と子]](1862) によって広まった。認識論的には真理認識の可能性を否定する絶対的懐疑論であり,存在論的には一切の実在の否定である。一般には道徳的,政治的意味でいわれることが多い。すなわち行動の基準や価値体系,社会体制の否定あるいは破壊を志向する思想である。 [[F.ニーチェ]]は神の死んだ時代との関連においてこれを説き,さらにこれを乗越える意志の哲学を展開した。政治的には特に,19世紀末のロシアで,『父と子』のバザーロフの系統をくみ,個人に対する一切の束縛を否定した一派の立場をいい,この限りではやがてニヒリストとはテロリストと同じ意味でいわれるようになった。
ニヒリズムという語は、1733年にドイツ人 Friedrich Lebrecht Goetz が De nonismo et nihilismo in theologia caeterisque eruditionis partibus obviot というラテン語の書でラテン語で用いている。連続論に対置された原子論の意味だった。今まで最高の価値と人々がみなし、目的としていたものが無価値となった歴史的事態のことを言うときが多い。
 
 
 
[[心理学者]]を自認する[[フリードリヒ・ニーチェ|ニーチェ]]によれば、ニヒリズムにおいて私たちが取りうる態度は大きく分けて2つある。
 
#何も信じられない事態に絶望し、疲れきったため、その時々の状況に身を任せ、流れるように生きるという態度(弱さのニヒリズム、消極的・受動的ニヒリズム)。
 
#すべてが無価値・偽り・仮象ということを前向きに考える生き方。つまり、自ら積極的に「仮象」を生み出し、一瞬一瞬を一所懸命生きるという態度(強さのニヒリズム、積極的・能動的ニヒリズム)。
 
ニーチェは積極的ニヒリズムを肯定し、[[永劫回帰]]の思想の下、自らを創造的に展開していく、[[鷲]]の勇気と[[ヘビ|蛇]]の知恵を備えた「[[超人]]」になることをすすめた。
 
 
 
ハイデッガーによれば、ニヒリズムの温床は、現実や現世からの超越を主張する[[形而上学]]的立場だとされる。したがって「ニヒリズムの超克」という視点は、キリスト教サイドから、それ自身がニヒリズムだとされた。そのため、キリスト教ニヒリズムの克服を主張したニーチェは「ヨーロッパで最初の完全なニヒリスト」とも見なされる。「ニーチェの最も過激な門人」と評される[[エルンスト・ユンガー]]は、現代世界は、ニヒリズムの境界を通過したと言い、ハイデッガーとニヒリズム論を交換している。
 
 
 
コロラド州立大学の哲学者{{仮リンク|ドナルド・A・クロスビー|en|Donald A. Crosby}}は、ニヒリズムを5つの類型に分類している<ref name="Tajiri">田尻芳樹、海老根宏・高橋和久(編)「『ドリアン・グレイの画像』におけるニヒリズム」『一九世紀「英国」小説の展開』 松柏社 2014年、ISBN 9784775401910 pp.385-388.</ref>。
 
#政治的ニヒリズム - 自由を束縛する、あらゆる[[権力]]に[[暴力]]で反抗するニヒリズム
 
#道徳的ニヒリズム - 自己と他者の関係を規定し、社会秩序の基礎とする行動規範としての[[道徳]]を否定するニヒリズム
 
#認識論的ニヒリズム - [[理性]]の認識能力はごく限定的であり、[[真理]]や現実は一定の立場や色眼鏡抜きに掴む事は不可能であるという主張
 
#宇宙論的ニヒリズム - [[宇宙]]に意味は無く、人間に宇宙の本質を掴む事は出来ない。人間が見いだした宇宙の価値と無関係に宇宙は存在するという主張
 
#実存的ニヒリズム - 人間存在は無意味であり不条理である。例え何かの意味を見付けたとしても、最終的には[[死]]が待っている、という考え方
 
実存的ニヒリズムは上記のように、20世紀に入り哲学や文学で追求された現代的なニヒリズムである。ニーチェは2から5までのニヒリズムを網羅的に追求している。政治的ニヒリズムは19世紀の[[アナーキスト]]が盛んに主張した論で、当時政治的ニヒリズムを信奉する過激なニヒリストは今日の[[テロリスト]]と同じく社会問題となり、[[オスカー・ワイルド]]の戯曲『ヴェラ、あるいはニヒリスト』や[[ジョゼフ・コンラッド]]の『密偵』など、文学のテーマともなった<ref name="Tajiri"/>。
 
 
 
== 代表的な人物 ==
 
* [[フリードリヒ・ニーチェ]]
 
* [[マルティン・ハイデッガー]]
 
* [[エルンスト・ユンガー]]
 
* [[エミール・シオラン]]
 
 
 
== 脚注 ==
 
<references/>
 
 
 
== 参考文献 ==
 
* {{Cite book|和書|author=西部邁|year=2004|title=学問|chapter=80 虚無|publisher=講談社|pages=261-263|isbn=4-06-212369-X}}
 
* {{Cite book|和書|author=橋本智津子|year=2004|title=ニヒリズムと無|publisher=[[京都大学]]学術出版会|isbn=4-87698-642-8}}
 
* {{Cite book|和書|author=頼藤和寛|year=2000|title=人みな骨になるならば―虚無から始める人生論|publisher=[[時事通信社]]|isbn=9784788700765}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
* [[虚無主義 (倫理)|倫理学における虚無主義]]
 
* [[実存主義]]
 
* [[超然主義#他の用例|超然主義]]
 
* [[輪廻]]
 
* [[厭世主義]]
 
* [[反出生主義]]
 
* [[19世紀後半のロシアの革命組織#ロシアのニヒリズム|ロシアのニヒリズム]]
 
* [[大藪春彦]] - 『[[野獣死すべし]]』の[[伊達邦彦]]をはじめとして、能動的ニヒリズムに裏打ちされた主人公を多く描いた。
 
 
 
== 外部リンク ==
 
* [http://kotobank.jp/word/%E3%83%8B%E3%83%92%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%83%A0 ニヒリズム] - [[コトバンク]]
 
* [http://100.yahoo.co.jp/detail/%E3%83%8B%E3%83%92%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%83%A0/ ニヒリズム] - [https://web.archive.org/web/20150203053522/http://100.yahoo.co.jp/ Yahoo!百科事典]
 
* [http://www.weblio.jp/content/%E3%83%8B%E3%83%92%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%83%A0 ニヒリズム] - [[Weblio]]
 
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2019/5/1/ (水) 23:37時点における最新版

ニヒリズムあるいは虚無主義(きょむしゅぎ、: Nihilism: Nihilismus

虚無主義の意。ドイツの哲学者 F.ヤコービが『フィヒテ宛書簡』 (1799) でニヒリズムの語を初めて用い,ロシアの小説家 I.ツルゲーネフの小説『父と子』 (1862) によって広まった。認識論的には真理認識の可能性を否定する絶対的懐疑論であり,存在論的には一切の実在の否定である。一般には道徳的,政治的意味でいわれることが多い。すなわち行動の基準や価値体系,社会体制の否定あるいは破壊を志向する思想である。 F.ニーチェは神の死んだ時代との関連においてこれを説き,さらにこれを乗越える意志の哲学を展開した。政治的には特に,19世紀末のロシアで,『父と子』のバザーロフの系統をくみ,個人に対する一切の束縛を否定した一派の立場をいい,この限りではやがてニヒリストとはテロリストと同じ意味でいわれるようになった。



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