「ニワトリ」の版間の差分

提供: miniwiki
移動先:案内検索
(1版 をインポートしました)
(内容を「 '''ニワトリ'''('''鶏'''、学名:''Gallus gallus domesticus''「仮名転写:ガルス・ガルス・ドメスティ...」で置換)
(タグ: Replaced)
 
1行目: 1行目:
{{生物分類表
 
|名称 = ニワトリ
 
|色 = 動物界
 
|界 = [[動物|動物界]] [[:en:Animal|Animalia]]
 
|門 = [[脊索動物|脊索動物門]] [[:en:Chordate|Chordata]]
 
|亜門 = [[脊椎動物|脊椎動物亜門]] [[:en:Vertebrate|Vertebrata]]
 
|綱 = [[鳥類|鳥綱]] [[:en:Bird|Aves]]
 
|目 = [[キジ目]] [[:en:Galliformes|Galliformes]]
 
|科 = [[キジ科]] [[:en:Phasianidae|Phasianidae]]
 
|亜科 = [[キジ亜科]]
 
|属 = ヤケイ属''[[:en:Junglefowl|Gallus]]''
 
|種 = [[セキショクヤケイ]]''gallus''
 
|亜種 = ''domesticus''
 
|学名 = ''Gallus gallus domesticus''<br/>[[カール・フォン・リンネ|L.]], [[1758年|1758]]
 
|和名 = ニワトリ
 
|英名 = [[:en:Chicken|Chicken]]
 
|画像=[[ファイル:Ryujin.tif|250px]]<br />手前がメス、奥がオス}}
 
  
'''ニワトリ'''('''鶏'''、学名:''Gallus gallus domesticus''「[[仮名 (文字)|仮名]][[転写 (言語学)|転写]]:ガルス・ガルス・ドメスティカス」)は、[[鳥類]]の[[種 (分類学)|種]]のひとつ。代表的な[[家禽]]として世界中で飼育されている。ニワトリを飼育することを[[養鶏]]と呼ぶ。
+
'''ニワトリ'''('''鶏'''、学名:''Gallus gallus domesticus''「[[仮名 (文字)|仮名]][[転写 (言語学)|転写]]:ガルス・ガルス・ドメスティカス」)
  
== 生態・形態上の特徴 ==
+
キジ目キジ科の[[家禽]]。原種は[[遺伝子]]調査から[[インド]]や[[東南アジア]]に分布するセキショクヤケイ([[ヤケイ]])であるとされ,分類学上では同種である。しかし,ハイイロヤケイと[[交配]]したことも示され,他種のヤケイも起源にかかわっている可能性も指摘されている。家禽化は歴史が古く,どこで最初に行なわれたのかははっきりしないが,インドから東南アジア,[[中国]]などの説があり,少なくとも前2400年頃には家禽化されていた。インドでは最初は闘鶏用だったとされる。近年では多数の品種がつくりだされている。日本においては,遅くとも 4~5世紀に渡来していたものと思われる。江戸時代以降には愛玩用として多くの品種が育成され,17品種([[小国種]],[[東天紅]],[[唐丸種]],チャボなど)が国の[[天然記念物]]に指定されている。
[[ファイル:Chicks of many breeds.tif|サムネイル|220x220ピクセル|様々な品種のニワトリのひよこ]]
 
頭部に「鶏冠({{仮リンク|とさか|en|Comb (anatomy)}})」とあごの部分には「{{仮リンク|肉垂|en|Wattle (anatomy)}}(にくすい)、もしくは肉髯(にくぜん)」と呼ばれる皮膚が発達した装飾器官がある。雌よりも雄の方が大きい。目の後ろには耳があり耳たぶのことを「耳朶(じだ)」と呼ぶ。ニワトリが属する[[キジ科]]は、丈夫で地上生活に適した足を持っていることが多く、やはりニワトリも地上を主要な生活の場としている。一般的に足の指は4本(ただし[[烏骨鶏]]は5本)で雄の足には横向きか後ろ向きに角質が変化した距(けづめ)が生えているが、雌にはこの距はない。まばたきの仕方がヒトとは異なり、下から上に被せるようになっている。眼球運動が出来ないので常に首を前後左右に振っている。翼は比較的小さく飛ぶことは得意ではないが、野生化した個体は数十メートルほど飛ぶことがある。
 
  
ニワトリの雛である「ヒヨコ」は、一般に黄色とされているが、これは商用鶏(商用に扱われているニワトリ)の多くが白い羽装ニワトリであり、最も多く目にするヒヨコは黄色いためである。実際は、黄色いヒヨコばかりではなく、上記の写真のように様々な色や模様のヒヨコが存在する。俗説では、「ヒヨコが黄色いのは、卵の中で卵黄に浸っており、色が移っている」などという説があるが、これは間違いであると考えられる。雛の栄養の供給源となる卵黄は、卵殻の中では、雛の腹部に卵黄嚢がくっついているような形になっており、卵黄自体が雛の体と触れ合うことはない。さらに、雛の羽毛の色素を調査した研究報告<ref>YOU CAN’T JUDGE A PIGMENT BY ITS COLOR: CAROTENOID AND MELANIN CONTENT OF YELLOW AND BROWN FEATHERS IN SWALLOWS, LUEBIRDS,PENGUINS, AND DOMESTIC CHICKENS. KEVIN J. MCGRAW, KAZUMASA WAKAMATSU, SHOSUKE ITO, PAUL M. NOLAN, PIERRE JOUVENTIN, F. STEPHEN DOBSON, RICHARD E. AUSTIC, REBECCA J. SAFRAN, LYNN M. SIEFFERMAN, GEOFFREY E. HILL AND ROBERT S. PARKER. The Condor 106:390–395</ref>では、卵黄の中にある色素(カロチノイド)と羽毛の色素は一致しないとされている。(ニワトリの脚色は、カロチノイド由来であるとされる)よって、ヒヨコの羽毛は卵黄の色素とは異なると考えられる。
+
産業としての[[養鶏]]が本格化するのは昭和期に入ってからである。代表的品種としては,[[レグホーン種]](卵用種),コーニッシュ種,コーチン種(肉用種),[[プリマスロック種]],[[ロードアイランド・レッド種]](卵肉兼用種)などがある。レグホーン種はイタリア原産で,アメリカ合衆国,イギリスで改良された。就巣性はなく,産卵能力に優れ,特に単冠白色の品種は[[白色レグホーン種]]として最も広く利用されている。また,卵肉兼用種との[[一代雑種]]は強健,早熟,多産で多く作出された。コーニッシュ種はイギリス原産。褐色,白色の品種がある。褐色品種に優性白色種を導入した白色種と白色プリマスロック種との交配種(一代雑種)が今日の[[ブロイラー]](肉用の若鳥)として養殖され,養鶏では市場性が高く主流である。コーチン種は中国北部原産で,バフ,黒・白色などの品種もある。プリマスロック種,ロードアイランド・レッド種や[[名古屋種]]などの作出に利用された。この品種は晩熟で就巣性が強い。プリマスロック種はアメリカ原産で,横斑,白色といった品種が有名。横斑はおもに採卵用に改良された。白色は横斑の[[突然変異]]品種でおもに肉用種として改良された。ロードアイランド・レッド種はアメリカ原産で,褐色,白色などの品種がある。卵色が褐色で,白色レグホーン種,プリマスロック種などとともによく飼育されている。
  
雄鶏特有の甲高い鳴き声もニワトリの特徴のひとつとして挙げられる。現在日本国内では鳴き声を「コケコッコー」と表現する場合がほとんどだが、江戸時代では「東天紅(トウテンコウ)」と表現していた<ref>
+
{{テンプレート:20180815sk}}
[[2008年]][[10月29日]]放送『[[森田一義アワー 笑っていいとも!|笑っていいとも!]]』より</ref>
 
。英語圏では「Cock-a-doodle-doo」 (クックドゥードゥルドゥー)、フランスでは「ココリコ」、ドイツでは「キケリキー」、イタリアでは「キッキリキー」、中国語圏では「咯咯噠」や「喔喔喔」等と表現する。
 
 
 
なお、品種を問わずニワトリを観賞用・ペットとして飼育する場合、雄鶏は(日の出の早い夏は)早朝から「コケコッコー」と大声で鳴くため、市街地で飼育する場合は近所迷惑とならないように注意が必要である。雌鶏は雄鶏のように時を告げることはほぼ無いが産卵直後には「コッコ、コーコー」と多少は鳴く。
 
 
 
また、緑っぽい塊に白い部分(尿)が混じる通常の糞と、茶色いドロドロの盲腸便を排泄するが盲腸便の方はかなりの悪臭を放つ。手足や衣服に盲腸便が付着するとしばらく臭いが取れないのでこれも注意が必要である。また、夏場は水を大量に飲むので通常の糞でも軟便となりやすい。
 
 
 
== 起源 ==
 
ニワトリの起源としては単元説と多元説がある。単元説は東南アジアの密林や竹林に生息している[[セキショクヤケイ]](''Gallus gallus'')を祖先とする説である。
 
多元説(交雑説)はセキショクヤケイ、[[ハイイロヤケイ]](''G. sonneratii'')、[[セイロンヤケイ]](''G. lafayetii'')、[[アオエリヤケイ]](''G. varius'')のいずれか複数の種が交雑してニワトリとなったとする説である。現在では分子系統学的解析によってセキショクヤケイもしくはその亜種に由来する可能性が強く示唆されている<ref>* [[秋篠宮文仁親王|秋篠宮文仁]],他, "ニワトリの起源の分子系統学的解析": Proc. Natl. Acad. Sci., 93, 6792-6795 [http://www.nig.ac.jp/labs/AR96ja/j/H/Ha6.html abstract]</ref>。一方で、現在のニワトリからハイイロヤケイ由来の遺伝子が見出されるなど、多元説を支持する報告もある<ref>* {{Cite book| 和書 | editor = 古瀬充宏| title = ニワトリの科学| year = 2014| publisher = 朝倉書店| id = ISBN 978-4-254-45504-5}}</ref>。
 
 
 
== 利用史 ==
 
=== 世界のニワトリ利用史 ===
 
ニワトリは[[東南アジア]]から[[中国]]南部において家畜化されたとされる。時期については[[ヒツジ]]・[[ヤギ]]・[[ブタ]]と同程度の紀元前8000年前からとするもの、[[ウシ]]より遅れて[[ウマ]]と同程度の前4000年頃とするものなど諸説ある。<ref>{{Cite Journal|last=Lawler|first=Andrew|date=23 November 2012|title=In Search of the Wild Chicken|journal=Science, New Focus |publisher=Science|Volume=338|Issue=6110|pages=1020-1024|doi=10.1126/science.338.6110.1020|quote=[http://yuihaga.blog.fc2.com/blog-entry-180.html 自然史ニュース ニワトリの家畜化]}}</ref>家禽化された端緒は食用ではなく、その美しい声や朝一番に鳴く声を求めた祭祀用、および鶏どうしを戦わせる闘鶏用であったと推定されている<ref>「ニワトリの動物学」(アニマルサイエンス5)p20 岡本新 東京大学出版会 2001年11月6日初版</ref>。ただし、家禽化されて間もなく肉および卵も食用とされるようになり、やがてそちらの方が飼育の主目的とされるようになった。[[インダス文明]]に属する[[モヘンジョ・ダロ]]の遺跡からはニワトリの粘土像と印章、ニワトリの大腿骨が出土しており、これがニワトリの存在を示す証拠としては最も古いものである。その後、ニワトリは3方向に分かれて伝播していった。西方への伝播はまず紀元前15世紀から紀元前14世紀にかけて[[エジプト]]に伝播した。他の西アジア地域においてこの時期はニワトリの存在が認められないため、この伝播は海上ルートによるものと考えられているが、まもなくエジプトのニワトリはいったん絶え、[[プトレマイオス王朝]]期に再び持ち込まれた<ref>「家畜の歴史」p508 F.E.ゾイナー著 国分直一・木村伸義訳 1983年6月30日初版第1刷 法政大学出版局</ref>。その後、インダス川流域からニワトリは陸伝いに西アジアへと広まり、紀元前8世紀ごろにはギリシアに持ち込まれ、紀元前5世紀ごろにはギリシア文明の諸都市に広く分布するようになっていた。ギリシア諸都市で発行された硬貨には、ニワトリが刻印されたものが多く存在している<ref>「家畜の歴史」p510 F.E.ゾイナー著 国分直一・木村伸義訳 1983年6月30日初版第1刷 法政大学出版局</ref>。新大陸にはニワトリはもともと生息しておらず、コロンブスの新大陸発見後にヨーロッパ人によって持ち込まれた。第2のルートは北へ向かって中国へと伝わるルートであり、日本への伝播もこのルートによるものである。
 
 
 
3つ目のルートは南へと伝わり、マレー半島からインドネシアへと伝わるルートである。このルートからは、やがて[[マレー人|マレー]]・[[ポリネシア人]]の[[南太平洋]]進出の際にニワトリは[[ブタ]]や[[イヌ]]とともに家畜として連れて行かれ、[[ニュージーランド]]や[[トケラウ]]など一部の島々を除くほぼ全域に広がった。しかし、重要な財産として珍重されることの多かったブタと違い、ニワトリは半野生の状態で放し飼いされることが多く、主要食料とはされていなかった<ref>「オセアニアを知る事典」平凡社 p211 1990年8月21日初版第1刷 </ref>。例外は[[イースター島]]で、ここでははじめからブタが存在せず、さらに[[イルカ]]や野生の[[鳥類]]、[[ヤシ]]などの食料源が次々と絶滅、または入手不可能となる中で、特に1650年以降において最大の動物性食料源として各地にニワトリ小屋が建設され、重要な役割を占めるようになっていった<ref>[[ジャレド・ダイアモンド]]著、[[楡井浩一]]訳『文明崩壊――滅亡と存続の命運を分けるもの(上・下)』、p.177 (草思社, 2005年)</ref>。[[ニューギニア]]においてはニワトリは食糧として重要性を持たず、美しい羽毛を装飾品として用いることが飼育の主な目的であった<ref>「オセアニアを知る事典」平凡社 p211 1990年8月21日初版第1刷 </ref>。また、オーストラリア大陸にはニワトリはこのルートからは伝播せず、19世紀にヨーロッパ人がオーストラリアに植民した際に初めて持ち込まれた。
 
 
 
ながらくヨーロッパにおいてニワトリはさほど重視された動物ではなかったが、18世紀から19世紀初頭にはニワトリへの興味が高まり、ニワトリへの科学的知見が増大し、またニワトリの育種がこのころから始まった。この動きは1830年代に中国との交易が盛んになり、コーチン種をはじめとする様々な東洋種がヨーロッパに持ち込まれたことで急激なものになった<ref>『ケンブリッジ世界の食物史大百科事典2 主要食物:栽培作物と飼養動物』 三輪睿太郎監訳 朝倉書店 2004年9月10日 第2版第1刷 pp.561</ref>。1850-1900年の間、ヨーロッパやアメリカでは東洋趣味の一つとして、[[コーチン (鶏)|コーチン]]種などを基にした観賞用・愛玩用のニワトリの飼育や品種改良がブームとなった。「ヘン・フィーバー(雌鳥ブーム)」と呼ばれるこの狂騒期に何百という新品種が作り出されたが、ブームが去るとほとんどの種は消滅してしまった。また、この時期に[[ホワイトレグホン]]([[w:Leghorn chicken|Leghorn]])、[[コーニッシュ]]([[w:Cornish Cross|Cornish Cross]])、[[ロードアイランドレッド]]といった、今日でも重要な[[家禽]]品種が作り出された<ref>Harold McGee 香西みどり訳『マギー キッチンサイエンス』2008年、共立出版 p.71</ref>。この時期に、ニワトリの近代的育種が本格的に開始されたといえる。また、この19世紀中盤には現代の卵用種の主流であるホワイトレグホンをはじめとする多数の卵用種([[レイノー]] [[w:Layer hen|Egg layer]])が開発され<ref>「ニワトリの動物学」(アニマルサイエンス5)p115 岡本新 東京大学出版会 2001年11月6日初版</ref>、これによって卵の生産が急増し、鶏卵は徐々に一般的な食材となっていった。オムレツやカスタードなどの古い鶏卵の調理法に加え、[[マヨネーズ]]などの新しい利用法もこのころに開発された。この卵用種の育成に比べると肉用種の育成は遅れ、1880年から1890年ごろにかけてアメリカで最初のブロイラー生産が始まっているものの、この時の品種は現代の肉用種とは異なるものとされている<ref>「ニワトリの動物学」(アニマルサイエンス5)p129 岡本新 東京大学出版会 2001年11月6日初版</ref>。その後、さまざまな種の利用を経て、現在の肉用種が完成された。
 
 
 
=== 日本列島におけるニワトリ ===
 
==== 先史・古代のニワトリ ====
 
日本列島に伝来した時代は良く分かっていない。[[愛知県]][[田原市]]の[[伊川津貝塚]]からは[[縄文時代]]のニワトリが出土したとされたが、これは後代の混入であることが指摘されている<ref>西本豊弘・佐藤治・新美倫子「朝日遺跡の動物遺体」『朝日遺跡Ⅱ(自然科学編)』(1992年)</ref>。日本列島におけるニワトリは[[弥生時代]]([[紀元前2世紀]])に中国大陸から伝来したとする説がある<ref>新美(2009)、p.101</ref>。
 
 
 
弥生時代には本格的な[[稲作]]が開始されるが、日本列島における[[農耕]]は中国大陸と異なり[[家畜]]の利用を欠いた「欠畜農耕」と考えられていた<ref>新美(2009)、p.95</ref>。[[1989年]]([[昭和]]64年/[[平成]]元年)には[[大分県]][[大分市]]の[[下郡桑苗遺跡]]で[[ブタ]]頭蓋骨が発見され、日本列島における弥生期の家畜動物の出土事例となった。ニワトリに関しては[[1992年]](平成4年)に愛知県[[清須市]]・[[名古屋市]][[西区 (名古屋市)|西区]]の[[朝日遺跡]]から[[中足骨]]が出土している<ref>新美(2009)、p.101</ref>。以後、弥生時代のニワトリやブタは九州・本州で相次いで出土している<ref>新美(2009)、p.101</ref>。
 
 
 
弥生時代のニワトリは現代の食肉用・採卵用の品種と異なり小型で、チャボ程度であったとされる<ref>西本豊弘「弥生時代のニワトリ」『動物考古学 1』(1993年)</ref>。出土が少量であることから、鳴き声で朝の到来を告げる「時告げ鳥」としての利用が主体であり、食用とされた個体は廃鶏の利用など副次的なものであったと考えられている<ref>新美(2009)、p.101</ref>。
 
 
 
古代には『[[古事記]]』や『[[日本書紀]]』に記される[[天岩戸]]伝説において、常世長鳴鶏を集めて鳴かせたという記述がある<ref>{{Cite web|url=http://www.yakitori.co.jp/knowledge/history/history/ |title=ニワトリの誕生と養鶏のはじまり |publisher=東紅食品株式会社 | accessdate=2015-2-11 }}</ref>。
 
 
 
天武4年4月17日([[675年]][[5月19日]])の肉食禁止令において、[[ウシ]]・[[ウマ]]・[[イヌ]]・[[ニホンザル]]・ニワトリを食べることが禁じられている([[天武天皇#文化政策]])。殺生禁断の詔は[[聖武天皇]]の際にも出され、ニワトリの肉のみならず卵も避けられた<ref>江後(2011年)、p.169</ref>。古代には時を告げる鳥として神聖視され、主に愛玩動物として扱われた。『日本書紀』[[雄略天皇]]7年8月には[[闘鶏]]に関する記事があり、『日本書紀』が成立した奈良時代には闘鶏が行われていたとも考えられている<ref>新美(2008)、p.240</ref>。
 
 
 
[[平安時代]]には『日本三代実録』[[元慶]]6年([[882年]])条や『[[栄花物語]]』[[寛弘]]3年([[1006年]])条、『年中行事絵巻』などにおいて、[[貴族]]や庶民の間で[[娯楽]]・[[賭博]]の要素を持つ闘鶏が行われていたことが記されている<ref>新美(2008)、p.241</ref>。[[武士]]の誕生とともに鍛練として狩猟が行われ、野鳥の肉を食すようになったが、ニワトリは生んだ卵も含めて食用とは看做されなかった。また、平安時代にはそれまでの在来種に加え、[[小国 (鶏)|小国]]種が遣唐使によって持ち帰られた<ref name="『ニワトリの科学』(2014) P8">「ニワトリの科学」(シリーズ「家畜の科学」4)p8 古瀬充宏編 朝倉書店 2014年7月10日初版第1刷</ref>。
 
 
 
ニワトリという名前については日本の古名では鳴き声から来た「カケ」であり古事記の中に見られる。雉を「野つ鳥雉」と呼んだように家庭の庭で飼う鶏を「庭つ鳥(ニハツトリ)」(または「家つ鳥(イヘツトリ)」)と言い、次第に「庭つ鳥」が残り、「ツ」が落ちて「ニワトリ」になったと考えられる。また「庭つ鳥」は「カケ」の[[枕詞]]であり「庭つ鳥鶏(ニハツトリカケ)」という表記も残っている。別の説では「丹羽鳥」を語源とするのもある。
 
 
 
==== 中世・近世のニワトリ ====
 
[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]には[[キリスト教]]徒の[[ポルトガル人]]が西日本へ来航し、[[カステラ]]や[[ボーロ]]、[[鶏卵素麺]]など鶏卵を用いた[[南蛮菓子]]をもたらした<ref>江後(2011年)、pp.169 - 170</ref>。江戸時代初期の[[寛永]]4年([[1627年]])にオランダ商館一行が[[江戸]]へ参府した際には道中でニワトリと鶏卵が用意されたという<ref>江後(2011年)、p.170</ref>。
 
 
 
[[江戸時代]]には無精卵が孵化しない事が知られるようになり、鶏卵を食しても殺生にはあたらないとして、ようやく食用とされるようになり、採卵用としてニワトリが飼われるようになった。寛永3年([[1626年]])に[[後水尾天皇]]が[[二条城]]へ[[行幸]]した際には鶏卵を用いた「卵ふわふわ」が出され<ref>江後(2011年)、p.170</ref>、寛永20年([[1643年]])の料理書『[[料理物語]]』では鶏卵を用いた各種の料理や菓子が記されている<ref>江後(2011年)、p.170</ref>。また、江戸初期には海外交易が盛んとなっており、[[朱印船]]によって軍鶏、チャボ、烏骨鶏が日本へと移入された<ref name="『ニワトリの科学』(2014) P8" />。
 
 
 
江戸時代中期以降、都市生活者となった武士が狩猟をする事が少なくなり、野鳥があまり食べられなくなり、代わって鶏肉が食べられるようになった。文化年間以降京都や大阪、江戸において食されるようになったとの記述が「[[守貞漫稿]]」にある<ref>「江戸の料理と食生活」原田信男編 小学館 p84 2004年6月20日第1版第1刷 </ref>。[[料理書]]において鶏肉・鶏卵が登場し、[[1785年]]には「万宝料理秘密箱」という鶏卵の料理書も出版されている。
 
[[File:Mizutaki.jpg|thumb|(参考)現代の博多水炊き「とり田」(福岡市中央区薬院)の水炊き]]
 
一般に江戸期の大名家の記録ではニワトリ食に関する記録は見られないが、西国では[[佐賀藩]]の『諫早家日記』[[貞享]]4年([[1687年]])には長崎へ送られるニワトリについて記され、その食べ方は[[水炊き]]と考えられている「水煮」と記されている<ref>江後(2011年)、p.167</ref>。また、江戸後期の[[天明]]8年([[1788年]])には蘭学者の[[司馬江漢]]が『江漢西遊日記』11月15日条において長崎の平戸屋敷においてニワトリを食したことを記しており、やはり同様に水炊きであったと考えられている<ref>江後(2011年)、p.167</ref>。
 
 
 
[[考古学]]においては、江戸期の遺跡からはチャボ程度の小型種から大型の軍鶏まで多様なニワトリ骨が出土している。これらは解体痕を持つ食用のみならず、観賞用・闘鶏用など用途別の[[品種]]が存在していたと考えられている<ref>新美(2008)、p.249</ref>。また、この時期には鎖国によって海外からの新品種移入が途絶えた代わりに、この時までに日本に到達していた在来種(地鶏)、小国、軍鶏、チャボ、烏骨鶏の各種が改良され、さらに掛け合わされて各地に特色ある品種が次々と誕生し、現代に伝わる在来種がほぼ形成された<ref name="『ニワトリの科学』(2014) P8" />。
 
 
 
==== 近現代のニワトリ ====
 
明治期に入ると食生活の変化が進み、そのなかで鶏卵および鶏肉の利用は急拡大していった。明治10年代には鶏卵は国内生産では不足して輸入に頼っていたこともあり、養鶏が奨励されて各地でニワトリの飼育は増大していった。欧州と同じく、日本においてもまずニワトリの利用で拡大したものは鶏卵であった。明治21年には910万羽だった日本のニワトリ飼育数は、大正14年には約4倍の3678万羽にまで達していた<ref>「ニワトリの動物学」(アニマルサイエンス5)p120 岡本新 東京大学出版会 2001年11月6日初版</ref>。またこの時期に、旧来の地鶏の多くは欧州などからの移入種に押されて生産が減少していった。在来の品種と移入種とのかけあわせも盛んに行われ、名古屋コーチンなどの品種が誕生したのもこのころのことである。
 
 
 
第二次世界大戦において一時的に日本のニワトリ飼育数は急減したものの、昭和33年(1958年)に戦前の水準を再び超えるようになり、以後経済の成長とともにニワトリの飼育数も増加の一途をたどった。このころまで日本で飼育されるニワトリはほぼ卵用種であり、肉用には主に卵を産まなくなった廃鶏が回されていたが、1949年ごろに小規模なブロイラーの飼育がアメリカからの肉用種の移入とともに開始され、徐々に生産が拡大していった。この生産拡大を受け、1964年にはブロイラーの飼育統計が卵用種とは分けて出されるようになった。このときのブロイラーの飼育頭数は卵用種の6分の1程度に過ぎなかったが、昭和40年代を通じてアメリカからの優良品種移入などを通じブロイラー生産は急拡大を続け、卵の生産とは別にひとつの産業としてこの時期確立した<ref>『FOOD'S FOOD 新版 食材図典 生鮮食材編』p162 2003年3月20日初版第1刷 小学館</ref>。ただし卵用種の飼育も伸びは鈍化したものの微増傾向にあり、ブロイラーの飼育数が卵用種を上回ることはなかった<ref>「ニワトリの動物学」(アニマルサイエンス5)p122 岡本新 東京大学出版会 2001年11月6日初版</ref>。
 
 
 
== 養鶏 ==
 
[[ファイル:Florida chicken house.jpg|thumb|屋内飼育]]
 
[[ファイル:Industrial-Chicken-Coop.JPG|thumb|ケージ飼い]]
 
ニワトリは[[鶏舎]]のなかで飼育することも、野外で放し飼いすることも可能である。[[養鶏産業]]の場合、卵用種はケージの中に多数のニワトリを入れ集中的に飼育することが一般的である<ref>『FOOD'S FOOD 新版 食材図典 生鮮食材編』p166 2003年3月20日初版第1刷 小学館</ref>。これに対し、[[ブロイラー]]の場合はケージでの集中飼育は行わず、鶏舎の中でそのまま飼育することが普通で、野外にて放し飼いされることもある。これはケージでの集中飼育の場合、肉に傷がついたりニワトリの健康が損なわれやすいためである<ref>『FOOD'S FOOD 新版 食材図典 生鮮食材編』p162 2003年3月20日初版第1刷 小学館</ref>。養鶏業における飼育日数は卵用種と肉用種で大きく異なり、日本においては卵用種で430日前後、肉用種は49日前後が一般的である<ref>「ニワトリの科学」(シリーズ「家畜の科学」4)p27 古瀬充宏編 朝倉書店 2014年7月10日初版第1刷</ref>。これは、経済効率と若鶏の方が肉が柔らかく好まれるため肉用種は若いうちに出荷されること、および卵用種はその必要がなく、卵を経済的に生みつづけられる限り飼育され続けることによる。
 
 
 
ニワトリに与える飼料は、[[トウモロコシ]]や[[ソルガム]]、[[エンバク]]、[[コムギ]]、飼料用[[コメ]]といった[[穀物]]を中心に[[米ぬか]]や[[ふすま]]、大豆かすや菜種かすといった油糧種子の搾りかす、[[おから]]、[[魚粉]]などを混合したものが一般的である。
 
 
 
=== 初生雛の雌雄鑑別法 ===
 
[[ファイル:Color sexing by S gene.tif|サムネイル|羽色鑑別法(銀遺伝子を利用)
 
左がオス、右がメスとなる
 
]]
 
養鶏産業において、初生雛の雌雄鑑別により、雄と雌を見分けることは必要不可欠である。
 
 
 
・'''肛門鑑別法'''(Ventral sexing)
 
 
 
 初生雛のお尻(総排泄口)を観察し、生殖突起の有無によって雄と雌を見分ける手法
 
 
 
 初生雛鑑別師の資格が必要であるほど、高度な技術が要求される。
 
 
 
・'''羽色鑑別法'''(Color sexing)
 
 
 
 初生雛の羽毛の色や模様によって雄と雌を見分ける手法
 
 
 
 ニワトリの性染色体であるZ染色体に位置する、横斑遺伝子(Barring gene)または銀遺伝子(Silver gene)を利用した判別法
 
 
 
・'''羽性鑑別法'''(Feather sexing)
 
 
 
 初生雛の羽毛の長さ(主翼羽と覆主翼羽)によって雄と雌を見分ける手法
 
 
 
 ニワトリの性染色体であるZ染色体に位置する、遅羽遺伝子(Late-feathering gene)を利用した判別法
 
[[ファイル:Color sexing by B gene.tif|サムネイル|羽色鑑別法(横斑遺伝子を利用)
 
左がオス、右がメスとなる
 
]]
 
[[ファイル:Feather sexing.tif|サムネイル|羽性鑑別法 (遅羽遺伝子を利用)
 
左がオス、右がメスとなる
 
]]
 
 
 
=== 生産量 ===
 
{|
 
|-align="center"
 
|
 
{|class="wikitable"
 
|+'''[[国際連合食糧農業機関|FAO]]による全世界の鶏の飼育数の推移'''<ref>[http://faostat.fao.org/DesktopDefault.aspx?PageID=409&lang=fr Archives des séries statistiques de production (interrogation par production, produit : poule, pays et années] - [[国際連合食糧農業機関|FAO]]</ref>, ''(100万頭)''
 
|-
 
!1964
 
!1969
 
!1974
 
!1979
 
!1984
 
!1989
 
!1994
 
!1999
 
!2004
 
|-
 
|{{formatnum:4228}}
 
|{{formatnum:4986}}
 
|{{formatnum:5801}}
 
|{{formatnum:6922}}
 
|{{formatnum:8275}}
 
|{{formatnum:10285}}
 
|{{formatnum:12535}}
 
|{{formatnum:13689}}
 
|{{formatnum:16365}}
 
|}
 
|-
 
|
 
{| class="wikitable"
 
|+ 2004年の家禽の主要生産国'''<ref>{{de}} [[Handelsblatt]] - ''Die Welt in Zahlen'' (2005)</ref><br /> ''(1000トン)''
 
|-
 
! 順位
 
! 国
 
! 生産量
 
|
 
! 順位
 
! 国
 
! 生産量
 
|-
 
! 1
 
| {{USA}} || {{formatnum:15536}} ||
 
! 11
 
| {{RUS}} || {{formatnum:1060}}
 
|-
 
! 2
 
| {{CHN}} || {{formatnum:9475}} ||
 
! 12
 
| {{RSA}} || 973
 
|-
 
! 3
 
| {{BRA}} || {{formatnum:8668}} ||
 
! 13
 
| {{CAN}} || 950
 
|-
 
! 4
 
| {{MEX}} || {{formatnum:2250}} ||
 
! 14
 
| {{TUR}} || 940
 
|-
 
! 5
 
| {{IND}} || {{formatnum:1650}} ||
 
! 15
 
| {{ARG}} || 885
 
|-
 
! 6
 
| {{ESP}}
 
| {{formatnum:1268}} ||
 
! 16
 
| {{THA}} || 878
 
|-
 
! 7
 
| {{GBR}}
 
| {{formatnum:1242}} ||
 
! 17
 
| {{MYS}} || 825
 
|-
 
! 8
 
| {{JPN}} || {{formatnum:1241}} ||
 
! 18
 
| {{IRI}} || 820
 
|-
 
! 9
 
| {{FRA}} || {{formatnum:1135}} ||
 
! -
 
| ||
 
|-
 
! 10
 
| {{IDN}} || {{formatnum:1100}} ||
 
! -
 
| ||
 
|-
 
|}
 
|}
 
 
 
ニワトリは[[鶏肉|肉]]と[[鶏卵|卵]]を食用に、羽を衣服(特に防寒具)や寝具に利用するため世界中で飼育されており、ニワトリの飼育は[[養鶏]]という一つの産業として成り立っている。特に食用目的での飼育が盛んであり、伝統的な[[放し飼い]]による低密度な飼育から、大規模養鶏場での高密度な飼育まで、生産者ごとに数々の飼育法が用いられる。
 
 
 
ニワトリの飼育数は世界全体において急増を続けている。これは、ウシやブタに比べ狭い場所で集中的に飼育できるうえ、この2種に比べて個体が小さいため価格が安く頭数を増やしやすいこと、ブロイラーはブタやウシに比べ少ない飼料で大きくなるため効率がいいこと、[[ヒンドゥー教]]において禁忌とされるウシや[[イスラム教]]において禁忌とされるブタとは違い、ニワトリを禁忌とする宗教が存在しないため世界中のどの場所にも需要が存在することなどがあげられる。ニワトリは食肉用としては長年ブタとウシに次いで第三位の生産量を誇る家畜であったが、1970年から2010年までの40年間で生産量は1520万トンから9790万トンに増加し、増加率は545%にのぼった<ref>「食肉・鶏卵生産のグローバル化 2021年までの展望」p1 ハンス・ヴィルヘルム・ヴィントフォルスト、アンナ・ヴィルケ著 杉山道雄・大島俊三編訳著 平光美津子・鷲見孝子・棚橋亜矢子・松野希恵・高山侑樹共訳 筑波書房 2011年6月20日第1版第1刷発行</ref>。このため鶏肉は20世紀にはウシをしのいで2位となり、2018年にはブタをもしのいで世界で最も生産される食肉となると推定されている<ref>「世界の食肉生産はどうなるか 2018年の展望」p4 ハンス・ヴィルヘルム・ヴィントフォルスト著 杉山道雄・大島俊三編訳著 平光美津子・鷲見孝子訳著 筑波書房 2011年6月20日第1版第1刷発行</ref>。
 
 
 
さらに上記の数字はあくまでも食肉生産用のニワトリの数字であり、鶏卵生産用のニワトリ飼育も急増を続けている。1970年から2010年までの40年間で鶏卵生産量は1950万トンから6380万トンに増加し、増加率は226.4%にのぼった<ref>「食肉・鶏卵生産のグローバル化 2021年までの展望」p46 ハンス・ヴィルヘルム・ヴィントフォルスト、アンナ・ヴィルケ著 杉山道雄・大島俊三編訳著 平光美津子・鷲見孝子・棚橋亜矢子・松野希恵・高山侑樹共訳 筑波書房 2011年6月20日第1版第1刷発行</ref>。
 
 
 
日本におけるニワトリ飼育数はほぼ横ばいであり、年度によって微増や微減をくりかえしている。飼育数は卵用種の方が多く、2009年度の日本国内における卵用種飼育数は1億4000万羽、肉用種は1億700万羽となっている。このうち卵用種は1992年以降20年間ほぼ数字に変動がなく、肉用種は減少傾向にあったが2005年から反転して増加傾向となった<ref name="『ニワトリの科学』(2014) P25">「ニワトリの科学」(シリーズ「家畜の科学」4)p25 古瀬充宏編 朝倉書店 2014年7月10日初版第1刷</ref>。飼育数がほぼ変動していないのに対し、飼育農家数は急減を続け、卵用種は1992年の9160戸から2011年には2930戸と3分の1以下となり、肉用種は1992年の4720戸から2011年には2392戸とほぼ半減している。これは、ニワトリ飼育の大規模化が進み、1軒当たりの飼育頭数が大幅に増加していることを示している<ref name="『ニワトリの科学』(2014) P25" />。
 
 
 
== 品種 ==
 
{{see also|en:List of chicken breeds}}
 
ニワトリの品種には、主に卵の生産に重点が置かれる[[#卵用品種|卵用品種]]、食肉の生産に主眼が置かれる[[#肉用品種|肉用品種]]、どちらにも重点の置かれる[[#卵肉兼用品種|卵肉兼用品種]]、こうした食品生産とは無関係に観賞用として飼育される[[#観賞用品種|観賞用品種]]の4つの品種群が存在する。卵用品種は180日以上にわたって産卵状態を維持し続ける品種もあり<ref>「ニワトリの科学」(シリーズ「家畜の科学」4)p46 古瀬充宏編 朝倉書店 2014年7月10日初版第1刷</ref>、また肉用種は成長速度が非常に速いうえに飼料が肉になる効率が他の肉用家畜であるウシやブタに比べても抜きんでて高い<ref>「ニワトリの科学」(シリーズ「家畜の科学」4)p40 古瀬充宏編 朝倉書店 2014年7月10日初版第1刷</ref>など、その主目的に対しては高度に特化されている。ただし、肉用品種と言えども卵は生み、また卵用品種と言えど卵を産まなくなった場合は廃鶏として食肉市場に回されることがあるなど、食料生産用の3品種群においてはそれほど明確に区分が設けられているわけではない。なお、多数の品種はあるものの、全世界において産業的に広く利用されているものは[[レグホーン]] Leghorn、[[プリマスロック]] [[w:Plymouth Rock chicken|Plymouth Rock]]、[[ロードアイランドレッド]] Rhode Island Red、[[コーニッシュ]] Cornish Crossの4種であり、それ以外の品種は各地方で限定的に利用されるにとどまっている<ref>「ニワトリの科学」(シリーズ「家畜の科学」4)p4 古瀬充宏編 朝倉書店 2014年7月10日初版第1刷</ref>。また、プリマスロックおよびロードアイランドレッドは卵肉兼用種であるが、実際の生産には卵用及び肉用にそれぞれ選抜され専用化された種が用いられる<ref>「ニワトリの科学」(シリーズ「家畜の科学」4)p11 古瀬充宏編 朝倉書店 2014年7月10日初版第1刷</ref>。欧米では、主に卵用や肉用に、産卵性や増体性を特化させて飼育されてきた品種が多い中、日本では、観賞用に多くのニワトリを飼育し、親しまれてきた。外観の美しさを重視したものでは、尾や蓑の羽毛が長いもの、色彩の豊かなもの、個性的な特徴をもつものを選抜した。さらに、鳴き声にも注目し、美しく鳴くもの、長く鳴くもの、変わった鳴き方をするものを選抜した。そうして作られた品種を日本鶏(にほんけい)と呼ぶ。世界中で250品種(細分化すると500品種を上回るが、素性が不明なものが多くある)程度の品種が存在する中、日本鶏は50品種を上回り、日本人は非常に個性豊かなニワトリをたくさん作出した。
 
 
 
=== 日本鶏(にほんけい)===
 
【重田三喜人「養鶏に新時代が来た」、[[鳥類天然記念物一覧]]より】
 
 
 
==== 軍鶏グループ ====
 
*大軍鶏【オオシャモ】天然記念物
 
*小軍鶏【コシャモ】高知県原産
 
*八木戸鶏【ヤキド】三重県原産
 
*金八鶏【キンパ】秋田県原産
 
*大和軍鶏【ヤマトグンケイ】広島県原産
 
*南京軍鶏【ナンキンシャモ】 
 
*越後南京軍鶏【エチゴナンキンシャモ】新潟県原産 
 
 
 
==== 地鶏グループ ====
 
*土佐地鶏【トサジドリ】高知県原産 天然記念物
 
*三重地鶏【ミエジドリ】三重県原産 天然記念物
 
*岐阜地鶏【ギフジドリ】岐阜県原産 天然記念物
 
*岩手地鶏【イワテジドリ】岩手県県原産 天然記念物
 
*佐渡ヒゲ地鶏【サドヒゲジドリ】新潟県原産
 
*会津地鶏【アイヅジドリ】福島県原産
 
*愛媛地鶏【エヒメジドリ】愛媛県原産
 
*徳地地鶏【トクヂジドリ】山口県原産
 
*龍神地鶏【リュウジンジドリ】和歌山県原産
 
*対馬地鶏【ツシマジドリ】長崎県原産
 
*トカラ地鶏【トカラジドリ】鹿児島県原産
 
 
 
==== 長鳴鶏グループ  鳴き声の長さや美しさを楽しむ品種([[長鳴鶏]])である。 ====
 
*[[声良鶏]]【コエヨシ】秋田県、青森県、岩手県原産 天然記念物
 
*蜀鶏(唐丸鶏)【トウマル】新潟県原産 天然記念物
 
*[[東天紅鶏]]【トウテンコウ】高知県原産 天然記念物
 
 
 
==== その他 ====
 
*小国鶏【ショウコク】天然記念物
 
*烏骨鶏【ウコッケイ】天然記念物
 
*矮鶏【チャボ】天然記念物
 
*鴈鶏【ガンドリ】秋田県原産
 
*比内鶏【ヒナイドリ】秋田県原産 天然記念物
 
*芝鶏【シバットリ、シバトリ】新潟県原産
 
*蓑曳鶏【ミノヒキ、ミノヒキドリ】愛知県、静岡県原産 天然記念物
 
*河内奴鶏【カワチヤッコ】三重県原産 天然記念物
 
*播州赤柏【バンシュウアカカシワ】兵庫県原産
 
*黒柏鶏【クロカシワ】山口県原産 天然記念物
 
*[[オナガドリ|土佐のオナガドリ]] 高知県原産 [[特別天然記念物]]
 
*蓑曳矮鶏【ミノヒキチャボ、オヒキ】高知県原産 天然記念物
 
*鶉矮鶏【ウズラチャボ、ウズラオ】高知県原産 天然記念物
 
*久連子鶏【クレコドリ】熊本県原産
 
*地摺鶏【ジスリ】熊本県原産
 
*地頭鶏【ジトッコ】鹿児島県原産
 
*薩摩鶏【サツマドリ】鹿児島県原産
 
*チャーン 沖縄県
 
 
 
==== 実用改良鶏グループ ====
 
*名古屋【ナゴヤ】愛知県原産
 
*三河【ミカワ】愛知県原産
 
*出雲【イズモ】島根県原産
 
*土佐九斤【トサクキン】高知県原産
 
*宮地鶏【ミヤヂドリ】高知県原産
 
*熊本【クマモト】熊本県原産
 
*[[天草大王]]【アマクサダイオウ】熊本県原産
 
*インギー鶏【インギー】鹿児島県原産
 
 
 
=== 海外の品種 ===
 
*[[白色レグホーン種|レグホーン]] ([[w:Leghorn chicken|Leghorn]]) - 元は[[リヴォルノ]]の特産品であり、その街の名を英語読みしたもの。現在は世界中で飼育されている<ref>小学館「世界原色百科事典」より。</ref>。
 
*[[ミノルカ (鶏)|ミノルカ]] - 地中海原産の品種。黒色ミノルカはひよこも成鶏も黒い羽毛である。
 
*[[プリマスロック]]
 
*[[ロードアイランドレッド]]
 
*[[ニューハンプシャー種]]
 
*コーニッシュ ([[w:Cornish cross|Cornish Cross]])
 
*ライトサセックス
 
*オーストラロープ [[w:Australorp|Australorp]]
 
*アロウカナ
 
*ポーリッシュ
 
*コーチン
 
*フェニックスバンタム
 
*コーチンバンタム
 
*シーブライトバンタム
 
*モダンゲームバンタム
 
*シルキー (烏骨鶏と起源は同じと思われる)
 
*ブラマ (インドなど)
 
*ハンバーグ [[w:Hamburg chicken |Hamburg]]
 
*ランシャン
 
*ダーニッシュヘン (デンマーク)
 
*ダンダラディー
 
*ファヨウミ
 
*Buff Orpington
 
*Delaware
 
*[[アメラウカナ]] [[w:Ameraucana|Ameraucana]]
 
*Wyandotte
 
*[[ウェルサマー]] [[w:Welsummer|Welsummer]]
 
*[[w:Cochin|Cochin]]
 
*Ancona
 
*Barnevelder
 
*Marans
 
*ISA Brown
 
*[[シナモンクィーン]] [[w:Cinnamon Queen|Cinnamon Queen]]
 
*[[イースターエッガー]] [[w:Easter Egger|Easter Egger]]
 
 
 
=== 商用種 ===
 
*[[ブロイラー]]…白色コーニッシュと白色プリマスロックの交配させたもの 一般にスーパーで購入している鶏肉はこれに該当する。
 
:出荷までの飼育期間は60日前後足らずで、その体重は3kgを上回る。
 
*[[ボリスブラウン]]…白色プリマスロックとロードアイランドレッドを交配させたもの
 
*[[レイヤー]]…白色レグホーンやロードアイランドレッドを育種改良した商用鶏
 
 
 
===  JAS地鶏 ([[地鶏]]参照) ===
 
*[[東京烏骨鶏]]([[東京都]])
 
*[[阿波尾鶏]]([[徳島県]])
 
*[[天草大王]]([[熊本県]])
 
*[[みやざき地頭鶏]]([[宮崎県]])
 
*[[薩摩地鶏]]([[鹿児島県]])
 
*[[南部地鶏]]([[岩手県]])
 
*[[比内地鶏]]([[秋田県]])
 
*[[伊達地鶏|伊達地鶏(伊達鶏)]]([[福島県]])
 
*[[大山地どり]]([[鳥取県]])
 
*[[名古屋コーチン]]([[愛知県]])
 
*[[土佐ジロー]]([[高知県]])
 
*プチコッコ
 
 
 
<gallery>
 
File:Rooster - National Museum of Nature and Science, Tokyo - DSC07131.JPG|チャボ(矮鶏)
 
File:Rooster - National Museum of Nature and Science, Tokyo - DSC07128.JPG|ウコッケイ(烏骨鶏)
 
File:Rooster - National Museum of Nature and Science, Tokyo - DSC07126.JPG|トウテンコウ(東天紅)
 
File:Rooster - National Museum of Nature and Science, Tokyo - DSC07130.JPG|ショウコク(小国)
 
File:Rooster - National Museum of Nature and Science, Tokyo - DSC07129.JPG|オヒキ(尾曳)
 
</gallery>
 
 
 
== 利用 ==
 
=== 食用 ===
 
ニワトリのもっとも重要な用途は食用であり、肉は[[鶏肉]]として、卵は[[鶏卵]]としてそれぞれ大量に生産される。食肉としては、淡白な白身で、栄養素として[[タンパク質]]に富む良質な肉質を持つ。また、ウシやブタと並ぶ世界で最も一般的な食肉であり、さまざまな鶏料理が世界中に存在する。食用の鳥としては最も一般的なものであるため、通常「鳥肉」と言えばそのままニワトリの肉(鶏肉)のことを指す。卵としてはさらに重要な生産源であり、[[ウズラ]]やその他の特殊な卵を除き、世界で流通する卵のほとんどは鶏卵である。このため、通常特に品種を指定せず「卵」と言えば鶏卵のことを指す。
 
 
 
また、ニワトリの骨を鶏ガラと言い、良質の[[出汁]]や[[スープ]]の原料となる。特に[[中華料理]]においては基本的な食材のひとつであり、[[ラーメン]]の最も基本的なスープは鶏がらを原料としたものである。ニワトリの脂肪からは[[鶏油]]が取れ、これも良質の調味油となる。鶏油は家庭において、脂肪の多く含まれるニワトリの皮から作ることもできる。さらに、[[軟骨]]はそのまま炒めたり揚げたりして食べることができ、[[焼き鳥]]屋においては「やげん」や「なんこつ」の名で一般的なメニューとなっている。また、ニワトリは消化管の一部である[[砂肝]]も食用とされる。
 
 
 
=== 鑑賞 ===
 
ニワトリは世界中で観賞用として、羽毛の色や模様、足や鶏冠などの外観の特徴を楽しんでいる。特に鳥類であるニワトリの羽装色は豊富である。
 
 
 
==== ニワトリの羽装色の名前(日本名) ====
 
*赤笹     ⇒腹部と尾羽は黒く、背部は褐色である(野生色)
 
*白笹     ⇒赤笹の褐色部が白色となる(''S'')
 
*金笹     ⇒赤笹の褐色部が黄色となる
 
*五色     ⇒五色の羽毛色をもつ
 
*猩々     ⇒全ての羽毛が褐色ないしは、尾羽のみ黒い(''Co'')
 
*桂      ⇒尾羽は黒く、体全体は白い(''Co'', ''S'')
 
*白      ⇒すべての羽毛が白い(''c'')
 
*パイル    ⇒背部は褐色であるが、腹部と尾羽は白色である(''I'', ''Co'')
 
*黒      ⇒すべての羽毛が黒い(''E'')
 
*浅黄     ⇒すべての羽毛が灰色(''E'', ''Bl'')
 
*カピタン   ⇒全ての羽毛が暗褐色で尾羽のみ黒い(''Co'', ''Mh'')
 
*チョコレート ⇒全ての羽毛が暗褐色(''Co'', ''Mh'')
 
*金鈴波    ⇒全ての羽毛が褐色と白色の縞々(''Co'', ''Bar'')
 
*銀鈴波    ⇒全ての羽毛が黒色と白色の縞々(''E'', ''Bar'')
 
*碁石     ⇒全ての羽毛が黒色であるが、先端部が白い(''E'',''mo'')
 
*三色碁石   ⇒羽毛が3色あり、先端部が白い(''mo'')
 
*桜碁石    ⇒全ての羽毛が褐色であるが、先端部が白い(''Co'',''mo'')
 
 
 
=== ニワトリの外観に関与する遺伝子 ===
 
【参考文献:伊藤ら「色素細胞 第2版 -基礎から臨床へ-」、R.D Crawford 編集 「Poultry Breeding and Genetics」、Sigrid Van Dort-David Hancox & Friends「Genetics of chicken colours THE BASICS」、Sigrid Van Dort & Friends「Genetics of the chicken extremes THE BASICS」】
 
 
 
==== ニワトリの羽装色に関わる遺伝子 ====
 
*白色遺伝子 (''I'') [Pmel17] 33番染色体 常染色体性優性 ⇒ 黒色羽毛が白色へ変わる<ref>The Dominant white, Dun and Smoky color variants in chicken are associated with insertion/deletion polymorphisms in the PMEL17 gene. Kerje S, Sharma P, Gunnarsson U, Kim H, Bagchi S, Fredriksson R, Schütz K, Jensen P, von Heijne G, Okimoto R, Andersson L. Genetics. 2004 Nov;168(3):1507-18.</ref>
 
*白色遺伝子 (''c'') [TYR] 1番染色体 常染色体性劣性 ⇒ 全身の羽毛色が白色へ変わる<ref>Complete association between a retroviral insertion in the tyrosinase gene and the recessivewhite mutation in chickens. Chang CM, Coville JL, Coquerelle G, Gourichon D, Oulmouden A, Tixier-Boichard M. BMC Genomics. 2006 Feb 5;7:19.</ref>
 
*劣性白色遺伝子 (''mo'') [EDNRB2] 4番染色体 常染色体性劣性 ⇒ 黒色の差し毛 (黒点)は残るものの、全身の羽毛色が白色になる<ref>Endothelin receptor B2 (EDNRB2) is responsible for the tyrosinase-independent recessive white(mo(w) ) and mottled (mo) plumage phenotypes in the chicken. Kinoshita K, Akiyama T, Mizutani M, Shinomiya A, Ishikawa A, Younis HH, Tsudzuki M, Namikawa T, Matsuda Y. PLoS One. 2014 Jan 23;9(1):e86361. doi: 10.1371/journal.pone.0086361. eCollection 2014.</ref> 
 
*褐色抑制遺伝子(''S'') [Slc45a2] ''Z''染色体 伴性優性 ⇒ 褐色羽毛が白色へ変わる<ref>Mutations in SLC45A2 cause plumage color variation in chicken and Japanese quail. Gunnarsson U, Hellström AR, Tixier-Boichard M, Minvielle F, Bed'hom B, Ito S, Jensen P, Rattink A, Vereijken A, Andersson L. Genetics. 2007 Feb;175(2):867-77. Epub 2006 Dec 6.</ref>
 
*黒色拡張遺伝子 (''E'') [MC1R] 11番染色体 常染色体性優性 ⇒ 全身の羽毛色が黒色へ変わる<ref>Melanocortin 1-receptor (MC1R) mutations are associated with plumage colour in chicken. Kerje S, Lind J, Schütz K, Jensen P, Andersson L. Anim Genet. 2003 Aug;34(4):241-8.</ref><ref>Association between polymorphism in the melanocortin 1 receptor gene and E locus plumage color phenotype. Dávila SG, Gil MG, Resino-Talaván P, Campo JL. Poult Sci. 2014 May;93(5):1089-96. doi: 10.3382/ps.2013-03611.</ref>
 
*小麦色遺伝子 (''e^y'', ''e^wh'') [MC1R] 11番染色体 常染色体性優性 ⇒ 雌鶏の全身の羽毛色が薄くなる(雄鶏では褐色部が明るくなる)<ref>Association of feather colour with constitutively active melanocortin 1 receptors in chicken. Ling MK, Lagerström MC, Fredriksson R, Okimoto R, Mundy NI, Takeuchi S, Schiöth HB. Eur J Biochem. 2003 Apr;270(7):1441-9.</ref>
 
*ラベンダー遺伝子 (''LAV'') [Melanophilin] 7番染色体 常染色体性優性 ⇒ 黒色羽毛が灰色(ラベンダー)へ変わる<ref>A single point-mutation within the melanophilin gene causes the lavender plumage colourdilution phenotype in the chicken. Vaez M, Follett SA, Bed'hom B, Gourichon D, Tixier-Boichard M, Burke T. BMC Genet. 2008 Jan 15;9:7. doi: 10.1186/1471-2156-9-7.</ref>
 
*ブルー遺伝子 (''Bl'') [MITF] 7番染色体 常染色体性優性 ⇒ 黒色羽毛が灰色(ブルー)へ変わる<ref>The "silver" Japanese quail and the MITF gene: causal mutation, associated traits and homologywith the "blue" chicken plumage. Minvielle F, Bed'hom B, Coville JL, Ito S, Inoue-Murayama M, Gourichon D. BMC Genet. 2010 Feb 25;11:15. doi: 10.1186/1471-2156-11-15.</ref>
 
*尖斑遺伝子 (''mo'') [EDNRB2] 4番染色体 常染色体性劣性 ⇒ 羽毛の先端部が白色へ変わる<ref>Evidence that the mottled (mo) and pied (pi) plumage genes of the domestic fowl are identical. Carefoot WC. Br Poult Sci. 1987 Dec;28(4):753-4.</ref>
 
*横斑遺伝子 (''Bar'') [CDKN2A] ''Z''染色体 伴性優性 ⇒ 羽毛に白色の横班が入る(白黒や白茶などの縞々)<ref>Sex-linked barring in chickens is controlled by the CDKN2A /B tumour suppressor locus. Hellström AR, Sundström E, Gunnarsson U, Bed'Hom B, Tixier-Boichard M, Honaker CF, Sahlqvist AS, Jensen P, Kämpe O, Siegel PB, Kerje S, Andersson. Pigment Cell Melanoma Res. 2010 Aug;23(4):521-30. doi: 10.1111/j.1755-148X.2010.00700.x. Epub 2010 Mar 29.</ref>
 
*褐色拡張遺伝子 (''Co'') [unkown] 常染色体性優性 ⇒ 全身の羽毛色が褐色になる(尾羽が黒色であるものでは、尾羽は黒色のまま)<ref>A new gene determining the columbian feather pattern.
 
 
 
Smyth JR Jr, Somes RG Jr. J Hered. 1965 Jul-Aug;56(4):151-6.</ref>
 
*褐色強調遺伝子 (''Mh'') [unkown] 常染色体性優性 ⇒ 褐色の羽毛が暗褐色へ変わる<ref>Genetics of Buff and Related Color Patterns in the Fowl. J. A. Brumbaugh  W. F. Hollander. Poultry Science, Volume 45, Issue 3, 1 May 1966, Pages 451–457,
 
 
 
</ref>
 
*黒色拡張遺伝子 (''MI'') [unkown] 常染色体性優性 ⇒ 雌鶏では頚部から頭部の羽毛色が黒色へ変わる<ref>Melanotic: key to a phenotypic enigma in the fowl. Moore JW, Smyth JR Jr. J Hered. 1971 Jul-Aug;62(4):215-9.</ref>
 
 *上記の各遺伝子の効果説明は一例であり、他の遺伝子との相互作用により、様々な色合いを示すことになる
 
 
 
==== ニワトリの羽毛の構造に関わる遺伝子 ====
 
*糸毛遺伝子 (''h'') [PDSS2]  3番染色体 常染色体性劣性 ⇒ 烏骨鶏のようにふさふさした羽毛(糸毛)になる<ref>A cis-regulatory mutation of PDSS2 causes silky-feather in chickens. Feng C, Gao Y, Dorshorst B, Song C, Gu X, Li Q, Li J, Liu T5, Rubin CJ, Zhao Y, Wang Y, Fei J, Li H, Chen K, Qu H, Shu D, Ashwell C, Da Y, Andersson L, Hu X, Li N. PLoS Genet. 2014 Aug 28;10(8):e1004576. doi: 10.1371/journal.pgen.1004576. eCollection 2014 Aug.</ref>
 
*逆毛遺伝子 (''F'') [unknown]  常染色体性優性 ⇒ 本来の羽毛は下向きに伸びるが、さかさまとなり、上向きに伸びる<ref>Aldrovandi on Chickens: The Ornithology of Ulisse Aldrovandi (1600). Reviewed by C. E. Kellett. Med Hist. 1964 Oct; 8(4): 394.</ref>
 
*ほつれ羽遺伝子 (''fr'') [unknown]  常染色体性劣性 ⇒ 翼羽および尾羽の小羽枝の欠損がみられる<ref>A heritable variation of feather structure in the fowl. Warren DC.1938, J. Hered. 29:91-93  </ref> 
 
 
 
==== ニワトリの鶏冠(とさか)や頭部に関わる遺伝子 ====
 
*単冠 (野生型) ⇒ 一般的なニワトリで見られる、もみじや手のひらのような鶏冠
 
*豆冠または三枚冠 (''P'') [SOX5]  1番染色体 常染色体性優性 ⇒ 小さく丸まった鶏冠になる<ref>Copy number variation in intron 1 of SOX5 causes the Pea-comb phenotype in chickens. Wright D, Boije H, Meadows JR, Bed'hom B, Gourichon D, Vieaud A, Tixier-Boichard M, Rubin CJ, Imsland F, Hallböök F, Andersson L. PLoS Genet. 2009 Jun;5(6):e1000512. doi: 10.1371/journal.pgen.1000512. Epub 2009 Jun 12.</ref>
 
*バラ冠 (''R'') [MNR2]  7番染色体 常染色体性優性 ⇒ バラのような鶏冠だとされる<ref>The Rose-comb mutation in chickens constitutes a structural rearrangement causing both alteredcomb morphology and defective sperm motility. Imsland F, Feng C, Boije H, Bed'hom B, Fillon V, Dorshorst B, Rubin CJ, Liu R, Gao Y, Gu X, Wang Y, Gourichon D, Zody MC, Zecchin W, Vieaud A, Tixier-Boichard M, Hu X, Hallböök F, Li N, Andersson L. PLoS Genet. 2012 Jun;8(6):e1002775. doi: 10.1371/journal.pgen.1002775. Epub 2012 Jun 28.</ref>
 
*V字冠 (''D'') [EOMES]  2番染色体 常染色体性優性 ⇒ 正面から見て左右に分離した鶏冠になる<ref>A genomic duplication is associated with ectopic eomesodermin expression in the embryonicchicken comb and two duplex-comb phenotypes. Dorshorst B, Harun-Or-Rashid M, Bagherpoor AJ, Rubin CJ, Ashwell C, Gourichon D, Tixier-Boichard M, Hallböök F, Andersson L. PLoS Genet. 2015 Mar 19;11(3):e1004947. doi: 10.1371/journal.pgen.1004947. eCollection 2015 Mar.</ref>
 
*毛冠 (''Cr'') [HOXC8]  1番染色体 常染色体性優性 ⇒ 頭部の羽毛が隆起し、冠のように見える<ref>The crest phenotype in chicken is associated with ectopic expression of HOXC8 in cranial skin. Wang Y, Gao Y, Imsland F, Gu X, Feng C, Liu R, Song C, Tixier-Boichard M, Gourichon D, Li Q, Chen K, Li H, Andersson L, Hu X, Li N. PLoS One. 2012;7(4):e34012. doi: 10.1371/journal.pone.0034012. Epub 2012 Apr 13.</ref>
 
*髭 (''Mb'') [HOXB8]  27番染色体 常染色体性優性 ⇒ 肉垂が小さくなり、顎から嘴周辺の羽毛が立毛し、髭のように見える<ref>A Complex Structural Variation on Chromosome 27 Leads to the Ectopic Expression of HOXB8and the Muffs and Beard Phenotype in Chickens. Guo Y, Gu X, Sheng Z, Wang Y, Luo C, Liu R, Qu H, Shu D, Wen J, Crooijmans RP, Carlborg Ö, Zhao Y, Hu X, Li N. PLoS Genet. 2016 Jun 2;12(6):e1006071. doi: 10.1371/journal.pgen.1006071. eCollection 2016 Jun.</ref>
 
 
 
==== ニワトリの肌の色に関わる遺伝子<ref>Analysis of skin color change and related gene expression after crossing of Dongxiang blackchicken and ISA layer. Zhang XD, Wang HH, Zhang CX, Li QH, Chen XH, Lou LF. Genet Mol Res. 2015 Sep 28;14(3):11551-61. doi: 10.4238/2015.September.28.7.</ref> ====
 
*黒肌遺伝子 (''Fm'') [EDN3]  20番染色体 常染色体性優性
 
*黒肌遺伝子 (''Id'') [unknown]  ''Z''染色体 伴性優性  ⇒ 左記の双方の遺伝子をもつことで、肌の色が黒色へ変わる
 
 
 
=== 食材・観賞以外の用途 ===
 
; [[羽]]
 
: 羽毛は軽量で保温性が高く衣服に利用される。アヒルやガチョウといった水鳥の羽毛に比べると質が劣るが安価なため、しばしば低価格の[[ジャケット]]などに使用される
 
: 釣り具の疑似餌に用いられることもある。
 
; [[糞]]
 
: 「鶏糞」と呼ばれ、[[肥料]]として市販されている。乾燥したものでは[[窒素|チッソ]]3パーセント、[[リン酸]]5パーセント、[[カリウム|カリ]]5パーセント程度を含み、[[有機質肥料|有機肥料]]としては即効性がある<ref>「ニワトリの科学」(シリーズ「家畜の科学」4)p185-186 古瀬充宏編 朝倉書店 2014年7月10日初版第1刷</ref>。充分に乾燥していない湿った鶏糞はかなり臭う。
 
: [[バイオマス]]として発電用燃料に用いられることもある<ref>[http://jlia.lin.gr.jp/magazine/vol38/001.html WEBマガジン ちくさんナビ Vol.38]</ref>。
 
; 頭部
 
: ニワトリの頭部はその外見から人の食用に人気がないが、肉食動物の餌として広く利用されている。特に動物園等の大型動物の餌として人気があり、犬用の缶詰も「鶏頭の水煮缶詰」として市販されている。
 
; 闘鶏
 
: ニワトリどうしを戦わせる[[闘鶏]]はニワトリを飼育するかなりの地域で広く行われたものであり、現代においても[[タイ王国]]をはじめとする東南アジア全域において非常に人気のある[[スポーツ]]である。
 
 
 
== 文化 ==
 
[[File:Ito Jakuchu AjisaiSoukei-zu.jpg|220px|thumb|[[伊藤若冲]]『紫陽花双鶏図』 18世紀。]]
 
ニワトリは世界の多くの文化圏において古くから、しかも広く飼育される動物であり、各文化においてさまざまな文化的な意味を付与されている。[[十二支]]においてはニワトリは[[酉]]としてそのうちの一つとなっている。ニワトリが家畜化されたそもそもの要因のひとつが鳴き声に神秘性を感じての祭祀用としてのものだった<ref>「ニワトリの動物学」(アニマルサイエンス5)p20 岡本新 東京大学出版会 2001年11月6日初版</ref>ことからもわかるとおり、甲高い雄鶏の鳴き声は夜明けを告げるものとして各文化で神聖視された。[[アメリカ英語]]においては、ニワトリ(チキン)は「臆病者」という意味の[[スラング]]として使われることがある。([[チキン (スラング)]])
 
 
 
== ニワトリ(ヒヨコ)を主人公にした作品 ==
 
* [[ぴよだまり]] - [[キャラクター]]
 
* [[チキン・リトル]] - [[ディズニー]]の[[アニメ映画]]
 
* [[チキンラン]] - [[ドリームワークス]]の[[クレイアニメ]]映画
 
* [[ブレーメンの音楽隊]] - [[ロバ]]、[[イヌ]]、[[ネコ]]、ニワトリが主人公の[[グリム童話]]
 
* [[谷山浩子|恋するニワトリ]] - 風見鶏に片想いをする内容の[[谷山浩子]]の作詞・作曲の歌
 
* [[カリメロ]] - 黒いヒヨコが主人公のTVアニメ
 
{{-}}
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist|2}}
 
 
 
== 参考文献 ==
 
* [[江後迪子]]『長崎奉行のお献立 南蛮食べもの百科』吉川弘文館、2011年
 
* 新美倫子「鳥と日本人」西本豊弘編『人と動物の日本史1 動物の考古学』吉川弘文館、2008年
 
* 新美倫子「弥生文化の家畜管理」『弥生時代の考古学5 食糧の獲得と生産』同成社、2009年
 
* 重田三喜人「養鶏に新時代が来た」 2016/10/27 
 
* 伊藤洋輔、柴原茂樹、錦織千佳子監修「色素細胞 第2版 -基礎から臨床へ- 」慶応義塾大学出版 2015年 ISBN 9784766422528
 
* R.D Crawford 編集 「Poultry Breeding and Genetics」Elsevier, Development in animal and veterinary science, 22. ISBN 0444885579
 
* Sigrid Van Dort-David Hancox & Friends「Genetics of chicken colours THE BASICS」ISBN 9789066744042
 
* Sigrid Van Dort & Friends「Genetics of the chicken extremes THE BASICS」ISBN 9789461901187
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{commons&cat|Gallus gallus}}
 
* [[鶏肋]] - 鶏の肋骨のことだが、[[故事成語]]でもある。
 
* [[トリインフルエンザ]]
 
* [[軍鶏]]
 
* [[鶏肥]]
 
* [[大日本除虫菊]](金鳥)
 
* [[旭川医科大学#四本足のニワトリ|四本足のにわとり]]
 
* [[ひよこ]]
 
* [[カラーひよこ]]
 
* [[ブルーピーコック]]
 
* [[鶏戦争]]([[ポーランド王国|ポーランド]]の反乱)
 
* [[ラピタ人|ラピタ文化]]:鳥を意味する"[[:en:manuk]]"(domestic chicken)は[[オーストロネシア祖語]]に由来する。
 
* [[伊藤若冲]]:江戸末期の絵師で、鶏をよく描いた事で有名。
 
* [[首なし鶏マイク]]
 
* [[インギー鶏]]
 
 
 
{{Bird-stub}}
 
 
{{DEFAULTSORT:にわとり}}
 
{{DEFAULTSORT:にわとり}}
 
[[Category:鶏|*]]
 
[[Category:鶏|*]]
 
[[Category:キジ科]]
 
[[Category:キジ科]]

2019/6/11/ (火) 09:56時点における最新版

ニワトリ、学名:Gallus gallus domesticus仮名転写:ガルス・ガルス・ドメスティカス」)

キジ目キジ科の家禽。原種は遺伝子調査からインド東南アジアに分布するセキショクヤケイ(ヤケイ)であるとされ,分類学上では同種である。しかし,ハイイロヤケイと交配したことも示され,他種のヤケイも起源にかかわっている可能性も指摘されている。家禽化は歴史が古く,どこで最初に行なわれたのかははっきりしないが,インドから東南アジア,中国などの説があり,少なくとも前2400年頃には家禽化されていた。インドでは最初は闘鶏用だったとされる。近年では多数の品種がつくりだされている。日本においては,遅くとも 4~5世紀に渡来していたものと思われる。江戸時代以降には愛玩用として多くの品種が育成され,17品種(小国種東天紅唐丸種,チャボなど)が国の天然記念物に指定されている。

産業としての養鶏が本格化するのは昭和期に入ってからである。代表的品種としては,レグホーン種(卵用種),コーニッシュ種,コーチン種(肉用種),プリマスロック種ロードアイランド・レッド種(卵肉兼用種)などがある。レグホーン種はイタリア原産で,アメリカ合衆国,イギリスで改良された。就巣性はなく,産卵能力に優れ,特に単冠白色の品種は白色レグホーン種として最も広く利用されている。また,卵肉兼用種との一代雑種は強健,早熟,多産で多く作出された。コーニッシュ種はイギリス原産。褐色,白色の品種がある。褐色品種に優性白色種を導入した白色種と白色プリマスロック種との交配種(一代雑種)が今日のブロイラー(肉用の若鳥)として養殖され,養鶏では市場性が高く主流である。コーチン種は中国北部原産で,バフ,黒・白色などの品種もある。プリマスロック種,ロードアイランド・レッド種や名古屋種などの作出に利用された。この品種は晩熟で就巣性が強い。プリマスロック種はアメリカ原産で,横斑,白色といった品種が有名。横斑はおもに採卵用に改良された。白色は横斑の突然変異品種でおもに肉用種として改良された。ロードアイランド・レッド種はアメリカ原産で,褐色,白色などの品種がある。卵色が褐色で,白色レグホーン種,プリマスロック種などとともによく飼育されている。



楽天市場検索: