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[[ファイル:モヨウフグ.jpg|サムネイル|モヨウフグ]]
{{特殊文字|説明=[[補助漢字|JIS X 0212]]、[[JIS X 0213]]}}
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'''フグ'''('''河豚'''、'''鰒'''、'''{{補助漢字フォント|鮐}}'''、'''{{補助漢字フォント|魨}}'''、'''{{JIS2004フォント|鯸}}'''、'''{{JIS2004フォント|鯺}}'''
{{生物分類表
 
|画像 = [[Image:Fugu in Tank.jpg|250px]]
 
|画像キャプション = '''トラフグ''' {{snamei||Takifugu rubripes}}
 
|名称 = フグ
 
|省略 = 条鰭綱
 
|目 = [[フグ目]] {{sname||Tetraodontiformes}}
 
|科 = [[フグ科]] {{sname||Tetraodontidae}}
 
|英名 = '''pufferfish'''
 
}}
 
'''フグ'''('''河豚'''、'''鰒'''、'''{{補助漢字フォント|鮐}}'''、'''{{補助漢字フォント|魨}}'''、'''{{JIS2004フォント|鯸}}'''、'''{{JIS2004フォント|鯺}}''')は、[[フグ目]]、特に[[フグ科]]に属する魚の総称。
 
  
本項目では主に、フグの文化的側面について解説する。分類学的側面については'''[[フグ科]]'''を参照のこと。フグ科に属さないフグ([[ハコフグ]][[ハリセンボン]]など)は各項目を参照。
+
フグ目フグ科 Tetraodontidaeの魚の総称。一般に体は丸形であるが,側扁しているものもある。口はきわめて小さく,歯は歯板状で強い。食用として美味なものが多いが,[[トラフグ]][[クサフグ]][[ヒガンフグ]],[[マフグ]]など,ほとんどが有毒で,特に卵巣や肝臓などに猛毒をもつ。この毒は[[テトロドトキシン]]と呼ばれ,熱に強く,特定の解毒剤もない([[魚類中毒]])。[[シロサバフグ]]は無毒。[[キタマクラ]]は食用にはしない。
  
およそ120種の魚がフグ科に分類される<ref name="jfrca">[http://www.fish-jfrca.jp/02/pdf/pamphlet/074.pdf わが国の水産業 ふぐ](社団法人日本水産資源保護協会)</ref><ref>上野輝彌・坂本一男著『日本の魚』(中公新書、2004年)p.199ではフグ科について約160種としている</ref>。そのうち食用とする種として、[[トラフグ]]、マフグなどが有名。食用可能な部位はフグの種類や漁獲場所によって異なるため、素人によるフグの取扱いや調理は危険である<ref>[http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/animal_01.html 自然毒のリスクプロファイル:魚類:フグ毒] 厚生労働省</ref>。実際、日本における[[食中毒]]による死亡事故の原因のほとんどが[[キノコ]]とフグの素人料理であり、そのうち、フグによる事故の多くには個人的な[[レジャー]]の[[釣り]]が関係している<ref>{{cite web|url=http://www.foocom.net/fs/hygiene_old/1055/|title= なぜ続く? 無資格者のフグ調理で食中毒発生|date=2009-03-09|accessdate=2015-03-27|publisher= FOOCOM.NET}}</ref>。
+
{{テンプレート:20180815sk}}
 
 
== 特徴 ==
 
=== 体形的特徴 ===
 
敵を威嚇するために体を膨らませる姿がよく知られる<ref name="nihonnosakana_p199">上野輝彌・坂本一男著『日本の魚』中公新書 p.199 2004年</ref>。この姿から英語では "[[:en:Pufferfish|Pufferfish]]" といい、これは「ふくらむ魚」という意味を持つ。胃の腹面の膨張嚢に空気や水を吸い込んで体の体積を2倍以上にすることができる<ref name="nihonnosakana_p200">上野輝彌・坂本一男著『日本の魚』中公新書 p.200 2004年</ref>。腹部にとげ状の短い突起がある種もいる。
 
 
 
[[歯]](顎歯)がよく発達しており、これが融合した強靭な4つの歯を持つ。主に海水魚だが、汽水や淡水に生息する種もいる。
 
 
 
その愛嬌のある姿から、キャラクター化されることもままある。また、一般的に硬骨魚は[[まぶた]]を持たないが、フグは油瞼という膜で目を覆っている。といっても瞬間的に開閉するものではなく、十数秒かけてゆっくりと閉じたり開いたりする。
 
 
 
=== 毒性(フグ毒) ===
 
{{See|テトロドトキシン}}
 
多くの種において、内臓や皮膚、血液、筋肉の全部または一部に[[毒]]性のある[[テトロドトキシン]]を持つ<ref name="nihonnosakana_p200"/>。クサフグなどのフグ毒の成分は主に[[テトロドトキシン]]であるが、微量の[[サキシトキシン]]も含まれる。また、ハコフグはテトロドトキシンを蓄積せず、[[パフトキシン]]を蓄積する。
 
 
 
フグの毒化の原因については、フグ自身がフグ毒を産生しているとみる内因説と、餌など外部から取り込まれるとみる外因説があるが<ref name="jfrca"/>、フグ毒は海洋細菌によって産生され、[[食物連鎖]]によってフグの体内に蓄積されるとみる外因説が有力となっている<ref name="nihonnosakana_p200"/><ref name="jfrca"/>。もともと[[有毒渦鞭毛藻]]などの有毒プランクトンや、[[ビブリオ属]]や[[シュードモナス属]]などの一部の[[真正細菌]]が生産したものが、餌となる貝類や[[ヒトデ]]などの底性生物を通して[[生物濃縮]]され、体内に蓄積されたものと考えられている。
 
 
 
天然のフグの場合、種によって毒化する部位が異なり、同じ種でも季節により毒の量が変わる。養殖のフグにおいてもその養殖方法によっては毒性を持つことがある<ref name="nihonnosakana_p201">上野輝彌・坂本一男著『日本の魚』中公新書 p.201 2004年</ref>。湾を仕切っての養殖法において有毒のフグが出現した報告例がある<ref name="nihonnosakana_p201"/>。近年、東北地方や[[茨城県]]の[[太平洋]]側では元からいる[[トラフグ属|ショウサイフグ]]と、[[日本海]]から流入したとみられる[[トラフグ属|ゴマフグ]]の交雑種が増えている。こうした雑種は有毒部位についての[[漁師]]や水産業者の経験則が通用しない可能性があるとして、調査した[[水産大学校]]が注意を呼び掛けている<ref>{{Cite news|url=https://mainichi.jp/articles/20170526/k00/00e/040/239000c|title=フグ 注意!雑種増加中 毒の部位不明、外見の判別難しく|work=|publisher=[[毎日新聞]]朝刊|date=2017年5月26日}}</ref>。
 
 
 
フグはテトロドトキシンに対し高い[[耐性]]を持っているため、フグ自体が[[中毒]]することはない。ただし自然に蓄積する濃度のテトロドトキシンに耐えられるという意味であって、人為的に高濃度のテトロドトキシンを与えたならばフグも中毒をおこす。
 
 
 
{{いつ範囲|近年|date=2016年11月}}、フグは分泌するテトロドトキシンを能動的にコントロールしていることが明らかになっている<ref name="nihonnosakana_p200"/>。
 
 
 
養殖時にテトロドトキシンの含有がない餌を与えると、咬み合いなど異常行動を引き起こすことが明らかになっている。
 
また異常行動時にテトロドトキシンを含有する餌を与えると収束することから、正常な活動のためには一定のテトロドトキシンが必要であるという見方もある<ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan/79/3/79_WA1898/_article/-char/ja/ 荒川 修:フグ類が保有する毒の分布,蓄積機構,および生理機能] 日本水産学会誌 Vol.79 (2013) No.3 p.311-314</ref>。
 
フグ毒については解明されていない部分が多いのが実情である。
 
* 1887年、[[高橋順太郎]]教授(東京帝国大学医学大学薬理学)と助教授の[[猪子吉人]]と共にフグ毒の研究を始め、1889年にフグ毒が生魚の体内にあること、水に溶けやすいことなどから、それが[[タンパク質]]([[酵素]])様のものでないことを証明し、毒力表を作成した<ref>高橋順太郎・猪子吉人「河豚之毒」明治22年(1889年)『帝国大学紀要医科』第1冊第5号</ref>。
 
* [[1907年]] [[田原良純]]が分離に成功したフグ毒をテトロドトキシンと命名。鎮痛作用があることを発見した。
 
* [[1950年]] テトロドトキシンの単離結晶化に成功。
 
* [[1964年]] テトロドトキシンの化学構造が発表される。
 
 
 
== 名称 ==
 
[[画像:Hiroshige A Shoal of Fishes Fugu Yellowtail.jpg|サムネイル|フグと[[ブリ]]を描いた[[歌川広重]]の[[浮世絵]]]]
 
=== 河豚 ===
 
漢字で「河豚」と表記するが、「河」と書くのは中国で食用とされるメフグが河川など淡水域に生息する種であるためで<ref name="atamagayokunaruosakanazatsugakudaijiten_p56">おさかな雑学研究会『頭がよくなる おさかな雑学大事典』p.56 幻冬舎文庫 2002年</ref>、また、このメフグが豚のような鳴き声を発することから「豚」の文字があてられているとされる<ref name="atamagayokunaruosakanazatsugakudaijiten_p56"/>。
 
 
 
[[中国語]]では「河豚」「河豚魚」「河魨」という表記を使っている。『[[山海経]]』などの古典では「鮭」の字を当てている場合がある<ref>石毛直道『食文化 新鮮市場』毎日新聞社、1992年、p.30</ref>。
 
<!-- 日本語で「河豚」はフグを意味しますが、中国語で「河豚」は[[カワイルカ]]を意味します。中国語でフグは、「魨」と書かれる。←淡水豚(カワイルカ)では?-->
 
 
 
=== 呼称 ===
 
以下のような別称・[[地方名]]がある。
 
; ふく
 
: [[下関市|下関]]や北九州などでは「ふく」と呼ばれる<ref name="nihonnosakana_p199"/><ref name="jfrca"/>。[[縁起]]をかついで「不遇」あるいは「不具」につながる「ふぐ」ではなく、「福」につながる「ふく」と呼ぶ。
 
; てっぽう<ref name="atamagayokunaruosakanazatsugakudaijiten_p55">おさかな雑学研究会『頭がよくなる おさかな雑学大事典』p.55 幻冬舎文庫 2002年</ref>
 
: [[大阪市|大阪]]では「たまに(偶に)当たる」を「弾に当たる」「当たると死ぬ」に掛けた[[洒落]]から「てっぽう([[鉄砲]])」と呼ぶ<ref name="atamagayokunaruosakanazatsugakudaijiten_p55"/>。「てっさ('''てっ'''ぽうの'''さ'''しみ)」「てっちり('''てっ'''ぽうの'''ちり'''鍋)」という料理名はここから来ている<ref name="atamagayokunaruosakanazatsugakudaijiten_p56"/><ref name="jfrca"/>。フグ食禁止令のために「テツ」の暗号が用いられたともいわれる<ref name="jfrca"/>。
 
; がんば
 
: 長崎県島原地方でフグを指す[[方言]]「がんば」は、「がんば置いてでん食わんば([[棺桶]]を置いてでも食わねば)」の略といわれている。
 
; ナゴヤフグ(名古屋フグ)
 
: 瀬戸内海地方における[[ナシフグ]]、[[コモンフグ]]、[[ヒガンフグ]]等の別称。「当たれば身の終わり([[美濃国|美濃]]・[[尾張国|尾張]])になる」→「尾張といえば[[名古屋市|名古屋]]」の連想から「ナゴヤフグ」となったとされる<ref>[http://www.pref.kagawa.jp/kocho/sanukino/2004/autumn/17_18.htm かがわ県産品紹介【さぬき風】] - かがわさぬき野Web版・2004年秋</ref>。
 
 
 
== トラフグの生産・流通 ==
 
=== 漁獲 ===
 
天然のフグを漁獲する方法は定置網、はえ縄、一本釣りなど多種多様である<ref name="jfrca"/>。天然物のトラフグは尻鰭が白く<ref name="sakananomekiki_p172">講談社編『魚の目利き食通事典』講談社プラスアルファ文庫 p.172 2002年</ref>、しっかりとした尾鰭を持っている<ref name="sakananomekiki_p173">講談社編『魚の目利き食通事典』講談社プラスアルファ文庫 p.173 2002年</ref>(尾鰭は黒色)。トラフグの代用食材となるカラスフグの場合には尻鰭も黒いため区別できる<ref name="sakananomekiki_p172"/>。
 
 
 
==== ブランド化の取り組み ====
 
フグは、[[山口県]][[下関市]]が本場として知られている。ただ実際のところ下関はフグの産地というよりは集積地である。下関近海でもフグは獲れるが、それ以上の数のフグが天然物、養殖物ともに日本全国や中国や韓国などの海外からも下関に集められる。下関がフグの本場と言われる所以として、明治期に全国で最初にフグ食が解禁になった地が下関であり(ふぐ料理公許第一号店は下関市の'''[[春帆楼]]'''。その後、山口県のみフグ食解禁の時期がしばらく続いた)、それ以降、下関には多くのフグ料理店ができ、現在のフグ料理の多くが下関で考え出されたことなどが背景にある。これらに加え、フグは猛毒があるため、水揚げ後の加工が重要であるが、この加工業者、加工場が前述の歴史的背景などから下関に集積している点が大きい。
 
 
 
最近では水揚げ漁港の側で加工場などの整備を行い、地場の名産品とすべく独自ブランドを立ち上げるなどの努力も行われている。[[大阪府]][[大阪市]]は消費で有名であり、[[愛知県]]日間賀島などもフグを観光として取り上げている。しかし、加工業者、加工場の質や数の問題もあり、漁獲されたフグの多くが下関に集中するという傾向にある。
 
 
 
* '''輪島フグ''' -フグを食べる文化があまりなかった[[石川県]][[輪島市]]が、ブランド化を図り始めたフグ。しかし、あまり有名ではない。市内の料理店で3240円の統一料金でフグ料理を含むメニューを味わえるほか、[[輪島朝市]]では唐揚げを挟んだ「フグバーガー」が販売されている。輪島でのフグの地方名は「デブク」である<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGKKZO23440300U7A111C1NZ1P00/ 【食ナビ】フグ漁獲量、実は輪島市が日本一/白子・すし…食べ尽くす『日本経済新聞』夕刊2017年11月14日]</ref>。
 
* '''讃岐でんぶく''' - [[香川県]]で水揚げされる[[ナシフグ]]に対して香川県漁連が認定しているブランド。[[2010年]]3月に商標登録が認められた<ref>[http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/economy/article.aspx?id=20100331000139 「讃岐でんぶく」商標登録を認可/県産ナシフグ] - 四国新聞・2010年3月31日</ref>。
 
* '''玄海とらふぐ''' - [[福岡県]][[宗像市]]の漁港で、従来[[下関漁港]]に水揚げしていたフグの一部をブランド化を目指して売り出したもの。
 
 
 
=== 養殖 ===
 
高級魚であるため[[養殖]]が行われている。養殖物のトラフグは天然物に比べて尾鰭が短く、全体的に黄色を帯びた色である<ref name="sakananomekiki_p173"/>。
 
 
 
[[愛媛県]][[愛南町]]では[[陸上養殖]]が行われている。だが養殖の生産量が急増したのは、当時の[[水産庁]]によるトラフグ養殖推進の方針や、熊本県などのように養殖フグ生産地の各自治体による養殖マニュアルが作成された[[1991年]]以降である。当時[[ハマチ]]・[[鯛]]等を養殖していた業者がトラフグ養殖に転換し、生産量が増加した。
 
 
 
2005年には[[佐賀県]]と[[嬉野町 (佐賀県)|嬉野町]](現[[嬉野市]])が[[厚生労働省]]に、フグ肝を食用として提供出来るよう[[特区]]を提案したが、現時点では100%の安全性が保証ができないと判断され却下されている。
 
 
 
==== ホルマリン薬浴問題 ====
 
魚体に[[寄生虫]](代表的なものとして[[エラムシ]])が付着しやすいため、その対策が養殖業者の課題となっている。[[ホルマリン]]による薬浴が手間のかからない方法であるといわれるが、発ガン物質でもあるホルマリンがフグの身へ残留することや、処理後の廃水を海へ廃棄することによる環境への影響、周辺の魚介類の汚染などが問題視されている。
 
 
 
[[2002年]]、[[東京水産大学]]は[[厚生労働省]]に対して、[[愛媛県]]と[[長崎県]]の[[養殖]]業者が寄生虫対策としてホルマリンを使用していることを指摘、これを受け両県が調査を実施した結果、[[2003年]]になって半数以上の業者が使用していたことが判明した。同問題発覚後に[[熊本県]]等の他の自治体でも調査を実施したところ、ホルマリンを使用している業者が多数見受けられた。この影響で長崎県では、しばらくホルマリンを使っていないフグまで出荷できなくなるなどの影響が出た。
 
 
 
また、ほぼ同時期に発生した真珠貝([[アコヤガイ]])の大量へい死では、アコヤ貝の死骸からホルムアルデヒド(ホルマリン)が検出された。近隣海域でフグ養殖業者以外にホルマリンを使う者が存在しない事から関連性を指摘される。その結果、フグ養殖業者と真珠養殖業者とが反目したほか、消費者団体によりホルマリン残留問題が提起されるなど社会問題にもなった。
 
 
 
その後、水産庁によるホルマリンの使用を禁止する通達が出され、各自治体によるホルマリンを使わない養殖マニュアルが作成され、養殖でのホルマリン使用量は減少したが、依然として一部の業者によるホルマリンの使用は続いており、[[イタチごっこ]]の様相を呈している。
 
 
 
[[2009年]]、ほぼ全ての養殖業者でのホルマリン未使用が漁協にて確認されている。
 
 
 
=== 統計 ===
 
日本での県別漁獲量(2008年)<ref>[http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001069810 農林水産省大臣官房統計情報部 『平成20年 漁業・養殖業生産統計年報』 財団法人 農林統計協会、2010年]</ref>は以下の通り。なお、全国の水揚げの約6割が大阪で消費されている。
 
{| class="wikitable" style="float: left; margin: 0 0 0.5em 0"
 
|+ 天然
 
|-
 
! 順位 || 都道府県 || 漁獲量 (t) || 構成比
 
|-
 
| 1 || 福岡 || 545 || 11%
 
|-
 
| 2 || 山口 || 498 || 10%
 
|-
 
| 3 || 島根 || 481 || 9%
 
|-
 
| 4 || 長崎 || 366 || 7%
 
|-
 
| 5 || 愛媛 || 341 || 7%
 
|-
 
| 6 || 石川 || 339 || 7%
 
|-
 
| 7 || 香川 || 274 || 5%
 
|-
 
| 8 || 愛知 || 259 || 5%
 
|-
 
| 9 || 富山 || 211 || 4%
 
|-
 
| 10 || 三重 || 199 || 4%
 
|-
 
|(計)|| 全国計 || 5,207 ||
 
|}
 
{| class="wikitable" style="float: left; margin: 0 0 0 0.5em"
 
|+ 養殖
 
|-
 
! 順位 || 都道府県 || 漁獲量 (t) || 構成比
 
|-
 
| 1 || 長崎 || 2,496 || 60%
 
|-
 
| 2 || 熊本 || 554 || 13%
 
|-
 
| 3 || 香川 || 183 || 4%
 
|-
 
| 4 || 兵庫 || 152 || 4%
 
|-
 
| 5 || 福井 || 120 || 3%
 
|-
 
| 6 || 佐賀 || 114 || 3%
 
|-
 
| 7 || 山口 || 83 || 2%
 
|-
 
| 8 || 鹿児島 || 15 || 0.4%
 
|-
 
| 9 || 三重 || 1 || 0.02%
 
|-
 
|(計)|| 全国計 || 4,138 ||
 
|}
 
{{clear}}
 
 
 
=== 輸入 ===
 
[[2002年]]、初めてフグの輸入量が国内生産量を上回った<ref>[http://www.asahi.com/03-04/news/OSK200312110042.html ASAHI.com 輸入フグふくらんだ 門司税関調べ、初めて国内産上回る]</ref>。2002年の輸入先の99%は[[中華人民共和国|中国]]であり、残り1%は[[大韓民国|韓国]]である。近年は養殖技術の向上により、これらの国の養殖フグも大量に輸入されている。
 
 
 
なお、[[中国産食品の安全性]]問題はフグ関連でも発生している。アメリカにおける、中国産の[[アンコウ]]の切り身でのフグ・フグ毒の混入、及び日本と[[アメリカ合衆国|米国]][[ハワイ州]]における中国産[[カワハギ]]の切り身でのフグ・フグ毒の混入が代表例として挙げられる。
 
 
 
=== 流通に関わる関連法規 ===
 
==== 日本 ====
 
===== 食用フグの種類と部位 =====
 
日本近海においてもフグは数百種類生息しているが、種類によって毒を保有している部位が異なり、食用になる部位が全く無いものもいる。厚生省(現・厚生労働省)の「処理等により人の健康を損なうおそれがないと認められるフグの種類及び部位」によって食用可能なフグとされているのは21種で<ref name="jfrca"/>、可食部位も筋肉、皮、精巣のいずれかである<ref name="jfrca"/><ref>「[http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/kanshi/s58_1202-2.html フグの衛生確保について(厚生省環境衛生局長通知)]」</ref>。食用可能な種類と有毒種で見た目が似ているものがあり、[[キノコ]]類と同様、素人目には判断できない場合が多い<ref>「[http://www.kahaku.go.jp/userguide/hotnews/theme.php?id=0001222495438068&p=2 マリントキシン-毒を持つ魚介類に注意!- 自己判断は禁物、フグの毒]」 [[国立科学博物館]]ホットニュース、2008年9月25日。</ref>。さらに同じ種類の場合にも毒性に個体差があるほか<ref name="jfrca"/>、生息海域や季節によって毒性に違いがみられる場合がある<ref name="jfrca"/>(日本近海産のクロサバフグは無毒であるが<ref name="nihonnosakana_p201"/>、南シナ海産のクロサバフグは皮膚が弱毒で卵巣と肝臓が猛毒であることが判明している<ref name="nihonnosakana_p202"/>)。
 
 
 
一般消費者に対する未処理フグの販売は禁止されている<ref name="jfrca"/>([[食品衛生法]]第6条第2号参照)。
 
 
 
===== フグの取扱い =====
 
フグ取扱資格は、国内統一資格ではなく都道府県ごとに定められていて、資格名称や資格取得方法に違いがあり、届け出後講習会を受講するだけで資格が与えられる地域もあれば、試験により資格を取得する地域もある。東京都などは、[[ふぐ調理師]]試験の受験資格に一般の[[調理師]]免許を取得していることが条件の1つとなっている。<!--一般調理師資格が無くてもフグ取扱資格を取得できる自治体があるので修正。-->更に、身欠きフグのみ取扱う場合でも、フグ取扱施設許可等を必要としたり、フグ加工品の販売を行う場合に届出を必要とする地域がある<ref>[http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/itiba/suisan/fugu/fugutor.html 東京都市場衛生検査所 ふぐの衛生的な取扱い]</ref>。
 
 
 
東京都を始めとする規制の厳しい自治体では、飲食店などでフグを料理用にさばくためには、フグの有毒部分の除去処理を行うことのできるフグ取扱施設の許可(届出の場合もある)とフグ取扱資格者がいる(無資格者がフグをさばくことは認められていない)ことが必要である<ref>[http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/kanshi/s58_1202-2.html フグの衛生確保について(厚生省環境衛生局長通知)]</ref><ref>[http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/kanshi/s58_1202-1.html フグの衛生確保について(厚生省環境衛生局乳肉衛生課長通知)]</ref>。<!--取扱資格が必要なのは、営業行為においてなので補足。施設規定について追加。-->
 
 
 
===== 有毒部位の管理 =====
 
盗難による悪用防止のため、施錠できる容器に保管して適切に廃棄しなければならない。東京都の条例では、除去したフグの内臓をまず (1) ステンレス製の鍵付き容器に保管し、(2) それを築地の除毒場で焼却し、(3) それを[[苛性ソーダ]]で中和し、(4) それを地下に埋めることが義務づけられている<ref>[http://www.to-con.com/FRaU/012/index.php 東京コンシェルジュ #12](2012年6月3日閲覧)</ref>。
 
 
 
==== エジプト ====
 
エジプトでもフグは免許を有する者によって調理される<ref>[http://www.kirin.co.jp/entertainment/daigaku/brk/no56/ No.56 古代エジプトでは肉よりも魚、フグまで食べていたビールのルーツ研究所キリンビール大学キリン] あと、フグも、古代エジプトの時代から食べていました。ご存じのように、フグは毒をもっています。だから今のエジプトでも、フグは免許を持った人しか売ることができません。ただ、その免許をどうやって取得したかたずねると、「親戚からもらった」とかいう場合がありますけれどね。</ref>。
 
フグを象った[[ヒエログリフ]]は「不満」を意味する<ref>[http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Ocean/2979/shiritori/siritori_hu.html エジプトしりとり「ふ」]</ref>。
 
 
 
== 利用 ==
 
[[File:Fugu sashimi.jpg|thumb|ふぐ刺し(薄造り)]]
 
[[File:Fugu-no-Shirako.JPG|thumb|ふぐの白子焼き]]
 
{{Main|1=ふぐ料理|2=ふぐ条例|3=ふぐ調理師}}
 
* ふぐ刺し(てっさ)
 
* ふぐの[[白子]]
 
* から揚げ
 
* ふぐ[[ちり鍋|ちり]](ふぐ鍋・てっちり)
 
* [[河豚の卵巣の糠漬け|卵巣の糠漬け]]([[石川県]])
 
* [[ふぐざく]]
 
 
 
=== 食材 ===
 
食用にする種として[[トラフグ]]、マフグなどが有名。特にトラフグが高級魚として知られる。フグ料理は、一般的に高級料理として旬の冬場に食べられ、食用フグの7割が[[京阪神|京阪神地域]]で消費されており、特に大阪での消費量は全消費量の6割に達する。もっとも、近年は養殖により季節を問わず食べることが可能である。フグの[[肝臓]](ハラワタ)は多くの食通をうならせる美味であり、「フグは食いたし命は惜しし」という言葉があるように<ref>末廣恭雄『日本の魚』保育社〈カラーブックス〉、1968年、p60</ref>、中毒を覚悟してまで食べようとする者もいる。しかし、フグについての素人判断・素人料理は危険である<ref name="nihonnosakana_p202">上野輝彌・坂本一男著『日本の魚』中公新書 p.202 2004年</ref>。
 
 
 
フグ毒は通常の調理による加熱では分解できない<ref name="jfrca"/>。肉だけならどのフグも毒がないと思われがちだが一部肉にも毒があり食用に出来ない種が存在するため危険である。
 
 
 
[[石川県]]の[[河豚の卵巣の糠漬け]]のように特殊な加工法を用いることによって除毒した塩蔵品もある<ref name="jfrca"/>。しかし、どのような仕組みで分解されるのかは分かっていない<ref>[http://ci.nii.ac.jp/naid/110003145589/ フグ卵巣ぬか漬けの微生物によるフグ毒分解の検討] 日本水産学会誌 69(5) pp.782-786, 853 20030915 社団法人日本水産学会</ref>。フグ卵巣糠漬では、食用可能な状態にまで減毒している理由として、古くから塩漬・糠漬中に卵巣から毒が桶に拡散するためと説明されている。実際、[[微生物]]によるフグ毒の毒力減少が認められていない<ref>藤井 建夫、{{JOI|DN/JST.JSTAGE/jsfm/30.186}} 腐敗と発酵のはざまの研究生活で垣間見たもの, 日本食品微生物学会雑誌 Vol.30 (2013) No.4 p.186-192 </ref>。またテトロドトキシンは300℃以上に加熱しても分解されないので、限られた地域の許可を受けた業者のみが加工できる。この関係で、[[食品衛生法]]ではフグの[[卵巣]]など毒を持っている部位は個別の毒性検査によりその毒力がおおむね10MU/g以下であることを確認したもの以外は販売・調理・食用が禁じられている。<!--原則を詳述-->
 
 
 
他、フグの肝臓を客に提供していた会員制フグ料理店『[[大阪とらふぐの会]]』が、[[大阪府警察]]から[[食品衛生法]]違反容疑で摘発された上<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/national/20160331-OYT1T50002.html 「秘密の隠れ家」人気店、フグの肝提供で捜索] 読売新聞 2016年3月31日</ref>、地元自治体から営業禁止の[[行政処分]]を受けた<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/national/20160401-OYT1T50135.html 「とらふぐの会」系4店処分…「違法性は認識」] 読売新聞 2016年4月1日</ref>。その後、同店の経営者は同容疑で同府警に逮捕された<ref>[http://mainichi.jp/articles/20160525/k00/00m/040/127000c フグの肝 提供疑い、料理店経営者ら逮捕…大阪府警] 毎日新聞 2016年5月24日</ref>。
 
 
 
==== 食用に関する歴史 ====
 
2300年前に記された中国の『[[山海経]]』にはフグを食べると死ぬとの記載がある<ref name="tabemonotokenkouomoshirozatsugaku_p51">落合敏監修 『食べ物と健康おもしろ雑学』 p.51 梧桐書院 1991年</ref>。一方、2000年前の日本の[[里浜貝塚]]からはフグの骨が発見されており[[縄文時代]]から食用にされていたと考えられている<ref name="tabemonotokenkouomoshirozatsugaku_p51"/><ref name="jfrca"/><ref>[http://www.satohama-jomon.jp/satohama/satohama-booklet.pdf 里浜人の暮らし]</ref>。
 
 
 
[[豊臣政権]]下の時代に行われた[[文禄・慶長の役|朝鮮出兵]]の際、兵士にフグによる中毒が続出したため、[[豊臣秀吉]]はフグ食禁止令を命じた<ref name="jfrca"/>。[[徳川氏]]に政権が変わった後にも、武家では「主家に捧げなければならない命を、己の食い意地で落とした輩」として、当主がフグ毒で死んだ場合には[[家名断絶]]等の厳しい対応がなされたという。
 
 
 
[[明治政府]]も1882年(明治15年)に河豚を食べた者を拘置・科料に処する法令を出した<ref name="jfrca"/>。しかし、その後、[[下関市|下関]]でフグを食した[[伊藤博文]]がそのうまさに感心し(諸説あり)、[[山口県]]のみでのフグ食を解禁した。その後フグ食の文化は山口県を中心に全国でも復活し、今日に至っている<ref>2008年3月27日放送の[[朝日放送]]「[[ビーバップ!ハイヒール]]」より</ref>。フグの食用・調理にあたっての条例は[[1948年]]([[昭和]]23年)に、[[大阪府]]が制定した『ふぐ販売営業取締条例』(昭和二十三年大阪府条例第五十五号)が最初である。
 
 
 
かつてはフグ毒に当たると頭だけ出して地面に埋めれば治るなどの俗信があったが完全な迷信であり全く効果はない。[[かまど]]で煮炊きをしていた時代では、[[すす|煤]]が鍋に落ちると当たるとも言われていた<ref>『[[大草家料理書]]』、『[[本朝食鑑]]』。<!-- 「すすはきに河豚を食う」([http://dic.search.yahoo.co.jp/search?p=%E3%81%99%E3%81%99%E3%81%AF%E3%81%8D%E3%81%AB%E6%B2%B3%E8%B1%9A 日本国語大辞典])リンク切れ --></ref>。人間以外では[[ネコ]]はフグを食べても中毒しないとも言われるが俗信で、中毒死がしばしばある<ref>[http://www.nyan-wan.jp/health/inedible/cat2.html ペットにあげてはいけない食べ物] ニャンバーワン</ref>。
 
 
 
==== フグによる食中毒 ====
 
フグ毒の毒量は「[[マウスユニット]] (MU)」(20グラムの[[ネズミ]]を30分で死亡させる量が1マウスユニット)で表される。人間の場合5,000-10,000マウスユニットで[[致死量]]に至るが、フグ毒による事故では致死率が5.7%<ref>[http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kenkou/anzen/anzen_info/shizendoku/hugu/index.html 危険がいっぱい ふぐの素人料理] 東京都福祉保健局</ref>と言われており、他の食中毒よりも圧倒的に致死率が高い。
 
 
 
フグの毒に対しては、特異療法([[解毒剤]]や[[血清]])が未だに開発されておらず、[[神経毒]]であるテトロドトキシンが尿とともに排出しきって[[呼吸困難]]が収まるまで[[人工呼吸器]]を繋げることが唯一の治療法となる。強心剤、利尿剤の投与が主な対症療法。なお、[[トリカブト保険金殺人事件]]では、機序がテトロドトキシンと拮抗する[[アコニチン]]([[トリカブト]]毒)の効果を遅らせるためにフグ毒を使用している。
 
 
 
フグ中毒といえば、[[歌舞伎]]役者で[[人間国宝]]の[[坂東三津五郎 (8代目)|八代目坂東三津五郎]]が、1975年(昭和50年)1月16日、京都[[南座]]の初春興行に出演中、好物の[[トラフグ]]の肝による中毒で急死(68歳)し世間を驚愕させた。この事件では調理した板前にも有罪判決が出て、これも大きな話題になっている(→ 詳細は[[坂東三津五郎 (8代目)#フグ中毒|「八代目坂東三津五郎」項の「フグ中毒」節]]を参照)。
 
 
 
素人調理による食中毒は後を絶たない<ref name="nihonnosakana_p201"/>。1996年から2005年の10年間に全国でフグによる食中毒は315件発生しており、31名が死亡している。その多くが資格を持たない一般人がフグを調理した結果起きている。
 
 
 
===== 毒を持たないフグ =====
 
現代では[[養殖業|養殖]]方法の進歩により、毒を持たないフグを育てることが可能になっている。[[長崎大学]]と小川水産は、共同研究により無毒のフグを育てる養殖方法を確立し、[[2004年]]に[[特許]]を取得し、それを販売している<ref>{{Cite web|url=http://www.fugunoogawa.co.jp/swellfish.html | title=毒を持たない小川のとらふぐ |publisher=ふぐ乃小川 | accessdate=2014-10-05 }}</ref><ref>{{Cite web|url=http://www.miyagi.kopas.co.jp/JSFS/JSFS-kids/daigaku6.html | title=毒のないフグをつくる フグ毒の謎に挑戦! |publisher=日本水産学会| accessdate=2014-10-05 }}</ref>。ただし、毒を持つ天然物のフグの需要は高い<ref>{{cite news |title=高級食材「フグ」の本場、下関 |newspaper=[[CNN]] |date=2014-09-27 |url=http://www.cnn.co.jp/special/cnnasia/35048142.html|accessdate=2014-10-05 }}</ref>。
 
 
 
===== 2000年以降の主な死亡事故 =====
 
{|class="wikitable"
 
|-
 
!年月||都道府県||年齢||備考・調理法
 
|-
 
|2001年4月||東京都||60代<!--男性-->||釣ったフグを自分で刺身に
 
|-
 
|2002年5月||香川県||50代<!--男性-->2名||ふたりで釣ったフグを煮付けに
 
|-
 
|2002年11月||三重県||60代<!--男性-->||肝(有毒)
 
|-
 
|2003年11月||静岡県||70代<!--女性-->||友人からもらったフグの干物
 
|-
 
|2005年5月||長崎県||70代<!--男性-->||自分でフグの味噌汁を作った
 
|-
 
|2005年9月||愛知県||50代<!--男性-->||肝(有毒)
 
|-
 
|2006年3月||宮崎県||60代<!--男性-->||自分でフグを調理
 
|-
 
|2007年1月||長崎県||60代<!--男性-->||自分でフグを刺身に
 
|-
 
|2007年8月||長崎県||40代<!--男性-->||肝臓(有毒)の味噌焼き
 
|-
 
|2007年12月||広島県||60代<!--男性-->||内臓(有毒)の煮付け
 
|-
 
|2007年12月||茨城県||40代<!--女性--> ||自分でフグを調理
 
|-
 
|2008年5月||兵庫県||50代<!--男性-->||釣ったフグを調理<ref>[http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/03b.html 釣りをされる皆様へ|厚生労働省]</ref>
 
|-
 
|2011年1月||愛媛県||60代<!--男性-->||自身が経営する寿司店で客と共に内臓を食べ死亡。ふぐ調理の免許なし。他1人も入院。
 
|-
 
|2014年10月||兵庫県||50代<!--男性-->||同僚の調理練習の残りを自宅へ持ち帰り肝臓を食べて死亡。<ref>柴崎達矢[https://web.archive.org/web/20141010092150/http://mainichi.jp/select/news/20141010k0000m040066000c.html 食中毒:フグ肝臓食べた男性死亡 調理練習の残り持ち帰る]毎日新聞、2014年10月9日(2014年10月9日閲覧)</ref>
 
|}
 
 
 
===== 症状 =====
 
摂食直後から3時間程度で症状が現れる。麻痺は驚異的な速度で進行し、24時間以内に死亡する場合が多い。毒の排出は約8時間で終わる<ref name="JPS120">[http://ci.nii.ac.jp/naid/110003648867/ フグ毒研究の最近の進歩] 藥學雜誌 Journal of the Pharmaceutical Society of Japan 120(10) pp.825-837 20001001 社団法人日本薬学会</ref>。症状としては口や唇にしびれが生じ、それが周りへ広がる。最終的には[[呼吸筋]]が[[麻痺]]し、呼吸困難から呼吸麻痺が起こり死に至る。[[Japan Coma Scale|意識]]がなくなることはまずない。毒を含んだフグを食べてから症状が出るまでの時間は早ければ数分で、麻痺は急速に進行する。有効な応急措置はまずは毒を吐かせ、呼吸麻痺に陥った場合は[[気道確保]]と[[人工呼吸]]を行うことである。[[時代劇]]における[[暗殺]]描写で、食べた者が[[吐血]]するシーンがあるが、これはよりおどろおどろしく見せるための演出であり、そのような症例はない。
 
;第1段階
 
:指先や口唇部および舌端に軽い痺れ。目眩により歩行困難。頭痛や腹痛の場合も有り。
 
;第2段階
 
:運動麻痺が進行、嘔吐、知覚麻痺、言語症、呼吸困難、血圧降下。
 
;第3段階
 
:全身の麻痺症状、骨格筋の弛緩、呼吸困難及び血圧降下が進行。
 
;第4段階
 
:意識の消失、呼吸停止。死亡(呼吸停止後も心臓の脈動は続いている)。
 
 
 
===== フグで中毒死した著名人 =====
 
*[[福柳伊三郎|福{{JIS2004フォント|&#26625;}}伊三郎]]
 
**[[大相撲]]力士、[[大正]]15年([[1926年]])[[12月11日]]
 
**[[福岡県]][[戸畑市]](現・[[北九州市]][[戸畑区]])の巡業先で、知人が差し入れたフグを食べる。帰路の船内で「どうもへんだ、やられたかな」と言い残して昏睡状態に陥り、いったんは回復したかに見えたが間もなく死亡。元[[関脇]]の人気力士の突然の死は[[角界]]に衝撃を与えた。同席してやはり中毒症状を発した[[行司]]の[[木村庄之助 (24代)|式守義松(後の廿四代目木村庄之助)]]は一命を取り留めている。
 
 
 
*[[沖ツ海福雄]]
 
**大相撲力士、[[昭和]]8年([[1933年]])[[9月30日]]
 
**[[山口県]][[萩市]]の巡業先で、部屋の若い力士が調理したちゃんこを食べて中毒死。現役の[[関脇]]で、[[大関]]取りを目前にしての死だった。<!--
 
 
 
*[[龍王山光]]
 
**元大相撲力士、昭和23年([[1948年]])[[2月18日]]
 
**廃業後しばらくして、自宅で自ら料理したフグを食べて夫婦共々中毒死。--><!--最高位前頭二枚目、引退ではなく廃業、しかもその後数年経ってから、ということで-->
 
 
 
*[[坂東三津五郎 (8代目)|八代目坂東三津五郎]]
 
**[[歌舞伎]]役者・人間国宝、昭和50年([[1975年]])[[1月16日]]
 
**[[京都市|京都]]で公演中に[[料亭]]で肝を四人前食べて中毒死。食通として知られた三津五郎が、渋る板前に「もう一皿、もう一皿」とねだったことが問題になり、危険を承知の上で毒性の高い肝を四人前も食らげた三津五郎がいけなかったのか、フグ調理師免許を持っている板前の包丁さばきがいけなかったのかで、かつてなかった大論争を引き起こした。公判では板前の情状を酌量しつつもその「中毒死の予見可能性」における過失は覆いがたいとして、[[業務上過失致死罪]]及び京都府条例違反で[[執行猶予]]付きの[[禁固刑]]という有罪判決。それまではフグ中毒事件を起こした調理師に[[刑事裁判]]で有罪判決が下ることは稀だったことから、この判決は世間を驚かせ、以後「フグ中毒」といえば「三津五郎」の名が必ず引き合いに出されるほどになった。
 
 
 
=== 工芸品 ===
 
分厚く伸縮性に富むフグの皮を利用し'''ふぐ[[提灯]]'''や'''ふぐ笛'''などに加工される<ref name="jfrca"/>。
 
 
 
=== 鑑賞魚 ===
 
汽水、淡水性のフグの一部の種は、[[熱帯魚|観賞魚]]として人気がある([[淡水フグ]]参照)。
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}{{Reflist|2}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{Commonscat|Tetraodontidae}}
 
* [[食中毒]]
 
* [[下関とふく]]
 
* [[薬理学]]
 
* [[らくだ (落語)]] - [[古典落語]]の演目。主人公はフグを食べ、その毒にあたって死ぬ(口演の中では既に物故者である)
 
* [[佐渡ヶ嶽部屋フグ中毒事件]]
 
* [[トリカブト保険金殺人事件]] - 犯人である神谷力は、アリバイ作りのために[[トリカブト]]毒と作用の拮抗するフグ毒を合わせて用い、被害者に中毒症状が表れる時間を調節した。
 
 
 
== 外部リンク ==
 
* [http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/hugu/ 危険がいっぱい、ふぐの素人料理]
 
* [http://www2h.biglobe.ne.jp/~kozi/abunai/fugu/fugu.htm ふぐ毒の強さ比較]
 
* [http://shofu.pref.ishikawa.jp/shofu/dokunuki/ 奇跡の毒抜き 〜ふぐの卵巣の糠漬けに見るいしかわの発酵文化〜] - 石川新情報書府
 
* {{PDFlink|[http://rms1.agsearch.agropedia.affrc.go.jp/contents/JASI/pdf/society/50-2744.pdf フグ毒産生細菌の細胞内フグ毒産生に及ぼす培養条件の影響]}}
 
* [http://wedge.ismedia.jp/articles/-/631 魚の王のひみつ 岸和田ふぐ博士訪問記]
 
  
 
{{DEFAULTSORT:ふく}}
 
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モヨウフグ

フグ河豚

フグ目フグ科 Tetraodontidaeの魚の総称。一般に体は丸形であるが,側扁しているものもある。口はきわめて小さく,歯は歯板状で強い。食用として美味なものが多いが,トラフグクサフグヒガンフグマフグなど,ほとんどが有毒で,特に卵巣や肝臓などに猛毒をもつ。この毒はテトロドトキシンと呼ばれ,熱に強く,特定の解毒剤もない(魚類中毒)。シロサバフグは無毒。キタマクラは食用にはしない。



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